バラは、色や贈る本数によって異なる花言葉を持つため、メッセージ性が強い花と考えられています。そのため、いつの時代もフラワーギフトとして人気です。赤いバラやピンクのバラは恋人に愛情を伝えるとき、父の日は黄色いバラ、そして白いバラはウエディングシーンでよく選ばれています。

白いバラがウエディングシーンでよく使われているのは、白い色が「純潔」といった印象を持ち「始まりの色」と考えられているためです。また、バラ全般に「愛」、白いバラに「純潔」「相思相愛」といった花言葉が付けられているのも理由の一つです。

白いバラの花束は、ウエディングシーンだけでなく、さまざまなシーンでお贈りできるのではないでしょうか。白いバラは「深い尊敬」「約束を守る」という花言葉もつけられていますし、上品さや高潔さを感じさせる佇まいが魅力ですので、ビジネスシーンでの贈り物におすすめです。先述したように白は「始まりの色」とされていますので、開業祝いや開店祝いに、プライベートでは人生の節目である入社祝いや入学祝い、出産祝いなどにも適していると言えるでしょう。

白いバラをお贈りするとき、話のタネとして白いバラにまつわるエピソードを知っておくと、役立つかもしれません。

ルネッサンス期にイタリアの画家・ボッティチェッリが描いた「ヴィーナスの誕生」をご存じの方は多いでしょう。この絵をよくよく見てみると、ギリシャ神話のアフロディーテとともに白いバラが描かれています。これは、アフロディーテと白いバラはともに誕生したと言われているため。海の神によって美しいアフロディーテが生み出されたのを見た陸の神が、自分も美しいものを創れると言って、白いバラを創ったのだそうです。

ちなみに、赤いバラはアフロディーテによって生み出されました。ある日、アフロディーテの愛人の武神マルスが、恋敵である美少年アドニスに嫉妬し、彼を地上にたたきつけました。そのときアフロディーテがアドニスを助けようとしたところ、白いバラの茂みに倒れて血を流し、白いバラを赤く染めて愛いバラが誕生したと言われています。

白いバラは、歴史的にも意味を持っています。第二次世界大戦中、ナチスによる独裁が行われていたドイツで、学生たちによる反ナチス運動「白バラ運動」が水面下で行われていました。彼らがナチスを批判する内容のビラを配布していたのを告発され、見せしめとして処刑されましたが、白バラ運動は途絶えることはなく、賛同者は増えていったと言われています。日本では、白バラ運動はあまり知られていませんが、ヨーロッパの方に白いバラをお贈りするときは、知っておくと役立つかもしれません。

白いバラの花束は赤やピンクなどのバラとは、また違った魅力を持っています。華やかさの中に上品さや清純さを感じられ、年代や性別を問わずにお贈りできるのではないでしょうか。