クワズイモの種類ってどれくらいある?豊富な品種を知って育ててみよう!
いつの時代においても、緑は私たちの生活の傍にあり、心に癒しと安らぎを与えてくれるものです。
現代社会の中でも、世の中がめまぐるしい変化を遂げるなかで、私たちはいつも緑に癒しと安らぎを求めてきました。
だからこそ、観葉植物は人々から愛され日常生活の中に溶け込んでいるわけですが、そんな観葉植物の中でも、近年特に人気を集めている品種が「クワズイモ」です。
クワズイモは、頻繁にその名を耳にする観葉植物ではないかもしれませんが、気づかないうちに目にしていることが多い観葉植物でもあります。
大きな葉が特徴的なクワズイモ。
クワズイモは、身近な雑貨屋さんでも手に入るくらい私たちにとって、とても身近な存在の観葉植物です。
その知られざる生態や種類、育て方についてこれから詳しくみていきましょう。
クワズイモって何?
クワズイモという観葉植物の名前を知っている人は、そんなに多くはないかもしれません。
ですが、花屋さんだけではなく雑貨屋さんや100円ショップなどでも販売されているほど、誰でも簡単に入手することができる観葉植物です。
熱帯地が似合うトロピカルな雰囲気を持つクワズイモ。
初心者でも育てやすいと言われるクワズイモですが、その生態はどうなっているのでしょうか。
1.クワズイモの生態
簡単に入手できるということは、すなわち育て方も簡単ということ。
そんなクワズイモは、サトイモ科クワズイモ属に分類される植物です。
亜熱帯地域が原産地であり、日本においては暖かい地域の九州南部や沖縄、四国南部にいくつかの品種が自生しています。
沖縄や小笠原諸島においては一般家庭の庭先などで自生している姿をみることができます。
日本国内においては「アロカシア」という別名でも親しまれ、様々な葉の大きさや形で私たちを楽しませてくれる植物です。
2.クワズイモの見た目の特徴
南国の雰囲気をたっぷり醸し出し、その見た目が特徴的なクワズイモ。
本来ならば観葉植物はその葉の美しさや幹のたくましさを楽しむものですが、クワズイモはちょっと違います。
葉の形のほか、地上で膨らみを見せる根茎も魅力的な観葉植物です。
そして何と言っても特徴的なのが、大きく広がる葉。
クワズイモの葉は、大きいものだと80㎝前後まで広がり、まるで傘のようにして人間がその下にすっぽり入ることができるほどになります。
大きさもさることながら、もっと魅力的なのはその葉の形でしょう。
クワズイモにはいくつかの品種がありますが、ハートの形をした葉が多く、女性から大人気です。
葉の存在に負けず、茎の生長も著しく、その高さは最長で2m近い樹高になります。
3.クワズイモの花
クワズイモの花は少し地味です。
サトイモ科特有の7〜8㎝程度の小さな花を咲かせますが、一見茎の一部と見間違うほど地味で、ひっそりと咲きます。
まるでとうもろこしのように花穂を包むような状態で咲き、その色は乳白色のようなクリーム色です。
花を咲かせることは珍しく、好条件がそろって初めてその姿を見ることができる神秘的な花でもあります。
観賞用として育てているクワズイモでは、花を見かけることは難しくなりますが、だからこそ咲いた時の喜びはひとしおとなる、貴重な花です。
4.その名の由来
クワズイモのその名の由来は、響きの通り「食わず芋」からきています。
クワズイモの特徴の1つでもある根。
地上で大きく膨らみますが、その根には毒があり、食してはいけないという意味からこの名がつけられたといわれています。
また、その根の形が一見するとサトイモ似ていることも、その名の由来です。
クワズイモに適した栽培環境
クワズイモを育てるにあたり、どんな栽培環境が適しているのか、しっかりと把握しておく必要があります。
誰でも簡単に育てられるからと軽く見ていると、せっかくのクワズイモを枯らしてしまいかねません。
では、クワズイモに適した栽培環境はどうなっているでしょうか。
1.日当たりと置き場所
クワズイモは暖かい場所を好みますが、耐寒性が低いわけではないため、屋外に置いてもいても越冬することができます。
直射日光は葉焼けをする可能性があるので避け、できるだけ暖かい場所に置きます。
室内であれば日差しの入る窓辺で、かつ風通しのいい場所がベストです。
耐寒性が低いわけではありませんが、その見た目通り本来は暖かい場所を好み、とても低い気温は苦手です。
あたる日光の量が少なくても育つには育ちますが、茎と葉のバランスが悪いまま育ってしまいます。
日当たりには充分注意し、暗すぎずほどよい日光があたる場所に置くようにしましょう。
2.気温
暖かい地域であれば、屋外での越冬も可能です。
寒い地域であるか、少し元気がない状態で越冬する時には、室内に入れる方が安心して越冬することができます。
また、クワズイモは高い湿度も好みます。
通年において霧吹きなどで葉水をこまめに与えると、病害虫の予防にもなります。
3.水やり
クワズイモは自生している場所は高温多湿ですが、かといって水やりは水をたくさんあげればいいというわけでもありません。
適度な水やりは、どんな植物を育てる場合でも重要なカギとなります。
春から秋にかけては、土の表面の乾きを確認したら鉢の下から流れ出る程度の水を与えます。
真夏は水やりのタイミングも大事です。
日中など気温が高温になる時間帯に水をあげてしまうと、土の中が蒸れやすくなり根腐れの原因となります。
冬は土の表面を時々濡らす程度という少ない頻度で構いません。
クワズイモの種類
クワズイモにはいくつかの品種があります。
品種が多いこともクワズイモの魅力の1つです。
多種多様なクワズイモですが、そのそれぞれの特徴についてこれからみていきましょう。
1.アロカシア・オドラ(クワズイモ)
アロカシア・オドラは一般的に言うクワズイモのことです。
暑さには強いのが特徴ですが、耐陰性は低く、日光が少ないとすぐに元気がなくなってしまいます。
みずみずしい葉が光に反射するととても美しく、リビングでは窓際などに置くことでその存在感がさらにアップする品種です。
アロカシア属の植物を育てるにあたり、その基本となるのがこのアロカシア・オドラと言われています。
2.アロカシア・ククラタ
アロカシア・ククラタも日本に自生しますが、別名を「シマクワズイモ」と言います。
シマクワズイモはクワズイモより全体的に小さく、まるでクワズイモをそのまま小さくしたような感じです。
ハート型の葉も幹も小さいため、コンパクトでリビングなどに飾りやすいのが特徴でもあります。
3℃前後まで耐えられるほど、耐寒性にも優れている品種です。
3.アロカシア・アマゾニカ
アロカシア・アマゾニアは、アロカシア・ロウィーとサンデリーナの2種類の品種を掛け合わせることで誕生した品種です。
葉の表に浮き上がる銀白色をした葉脈が特徴的で、その幻想的な雰囲気が高い人気を集めている理由の1つとなっています。
葉の裏は赤色で縁がギザギザになっていることから、銀白色の葉脈とともに見た人をくぎ付けにするインパクト大の品種です。
アロカシアと名の付くクワズイモの中でも市場での流通が目立ち、生産量が多いことも特徴です。
オドラより耐寒性が低いため、越冬には細心の注意を要します。
4.アロカシア・グリーンベルベット
アロカシア・グリーンベルベットの特徴は、葉の質感にあります。
その名の通り、ベルベット生地のようなしっとりとした質感を持ち、光沢感を放つ姿はとても妖艶で美しいものです。
鉢にもこだわるとデザイン性も高くなり、その魅力はさらに輝きを増します。
市場に出回る数も少なく、希少価値が高い品種です。
5.アロカシア・ゼブリナ
アロカシア・ゼブリナは、何といっても茎が特徴的です。
ゼブリナという名の語源は「ゼブラ」からきているものですが、茎にまるでシマウマのようなゼブラ柄が入っています。
全体的にスタイリッシュでシャープな印象を与えるゼブリナ。
スペースをとらないので、いろいろな場所において観賞することができる品種です。
6.アロカシア・クプレア
アロカシア・クプレアは生長とともに、葉の色に変化が見られるクワズイモです。
まるで緑葉植物とは思えない無機質な葉の質感や、黒ずんだ葉脈が特徴的なクプレア。
若葉のころは少し赤紫に近い色をしていますが、生長するにつれシルバーがかった色に変化していきます。
この葉の色の変化を楽しむ人が多く、コレクターから特に人気を集めている品種です。
7.アロカシア・バンビーノ
アロカシア・バンビーノは先に紹介したアマゾニカを品種改良して誕生した品種です。
「バンビーノ」とは小さい男の子という意味を持ちますが、その名の通りこのクワズイモはかわいらしい姿をしています。
全体的にとても小さく、コンパクトサイズに生長するため、スペースをとらずに観賞を楽しみたい人に人気を集めています。
おススメしたいクワズイモ
ここまで触れてきたように、クワズイモにはたくさんの品種があります。
それぞれが特徴的で、どの品種も魅力的ですが、そんな中でも特におススメしたいクワズイモを、目的別に解説していきます。
1.初心者向け
初めて観葉植物を育てるという人や、クワズイモを初めて育てるという人におススメしたい品種はやはり、アロカシア・オドラです。
オドラはアロカシア属の植物を育てるうえで基本となる品種であり、耐寒性もあるため育てやすいことが特徴でもあります。
クワズイモの代表的存在でもあり、特徴的なハート型がシンプルに楽しめる品種です。
2.小さいクワズイモを求めている人
飾るスペースをあまり確保できないので、小さめのクワズイモがいいという人におススメしたいのが、アロカシア・ククラタです。
ククラタは、オドラをそのまま一回り小さくしたサイズ感なので、飾る際にスペースを取りません。
さらに小さいサイズの品種を求めている人には、品種改良して誕生したアロカシア・バンビーノもおススメです。
その名の通り、バンビーノはとてもコンパクトサイズなので、飾る場所に悩みません。
3.インパクトを求めている人
インパクトのあるクワズイモを求めている人には、アロカシア・アマゾニカがおススメです。
妖艶でエキゾチックな雰囲気を持ち、見る人を一瞬で魅了します。
ギザギザの縁をした葉の形や、浮き上がる銀白色の葉脈が特徴的です。
また、アロカシア・クプレアは葉の色の変化を楽しむことができます。
生長に合わせて2度葉の色を楽しむことができるので、変わり種を求めている人にはおススメです。
クワズイモを育てる時の注意点
クワズイモは比較的誰でも簡単に育てることができる観葉植物ですが、育てるにあたり注意すべき点もいくつかあります。
では、どんなことに気を付けたらいいでしょうか。
1.樹液
根の部分が特徴的なクワズイモ。
その見た目がサトイモに似ている点や毒性があることから、クワズイモという名がついているものです。
そのため、樹液に触れると肌荒れを起こす可能性もあります。
お手入れなどで触れる時には、ゴム手袋などをすることを心がけ、幼い子供が触れないように気を付けましょう。
2.病害虫
クワズイモは、特にハダニやアブラムシ、カイガラムシ、ナメクジへの注意が必要です。
気温が高くなり始める春は、特に注意します。
中でもナメクジは、葉や茎など食べられるところならどこでも食べてしまう害虫です。
たったナメクジ1匹でも、葉や生長点を大量に食べられてしまうと、当然ながら枯れてしまいます。
湿度が高くなってくる季節にはしっかり見回りをして、駆除するようにしましょう。
常日頃観察を怠らず、被害に気づいたら弱っている葉はすぐに取り除きます。
春と夏に薬剤を散布すると、病害虫の被害を減らすことが可能です。
3.植え替え
根が育ちすぎると、鉢の中が窮屈になり栄養分が充分に行き渡らなくなります。
そうすると根腐れを起こしてしまうので、定期的に植え替えが必要です。
水を与えても土への浸透率がイマイチだったり、葉が小さく艶がないような時は、根腐れを起こしているサインです。
根腐れしていたら、腐った根や株を取り除きます。
異変に気づいた時には、できるだけ早く植え替えを行うことが大切ですが、その際には現状より一回り大きい鉢に植え替えることを、忘れないようにしましょう。
4.日常的なお手入れ
どんな植物でも育てるにあたり、日頃のお手入れは欠かせません。
葉が育ちすぎて枚数が増えたり、傷んだり枯れている葉を見つけたら剪定します。
特に枯れた葉を放置してしまうと、病害虫がつく原因にもなるものです。
根元から思い切ってカットしましょう。
剪定して全体的なバランスを整えることは、見た目を美しく保つだけではなく、クワズイモを病害虫やその他の病気から守ることにもなります。
水やりだけではなく、葉を定期的にふき取ったり、こまめに霧吹きなどで葉水を与えるという日常的なお手入れを怠らないことが何よりも大事です。
まとめ
クワズイモは、その葉や根の形がとても特徴的な観葉植物です。
品種も豊富で、バリエーション豊かな姿で私たちを楽しませてくれます。
それぞれの品種の特徴をしっかり理解し、正しい育て方をすることでクワズイモはさらに美しく生長しますが、間違った育て方や生態に合わない環境に置いてしまうと、元気をなくしてしまいます。
生き物であることを忘れずに、自生している姿を思い浮かべながらクワズイモにとっていい環境を心がけて育てることを忘れないようにしましょう。