球根植物を水耕栽培してみよう!始め方やおすすめの植物を徹底解説!
植物の栽培と聞くと、どうしてもハードルが高く感じますよね。とくに、土の状態を見ながら育てる方法は難易度が高く大変です。しかし、水耕栽培なら初心者でも簡単に育てることができます。水を使用して球根から植物を育てていく方法で、球根から花を咲かせる植物であれば、比較的簡単に植物を増やすことができるでしょう。この記事では、球根の水耕栽培について、詳しく解説をしていきます。
球根の水耕栽培って?
球根の水耕栽培とは、土を使わずに球根を育てる方法を言います。水耕栽培は三角フラスコのように口が狭くなっている形状の花瓶を使ったり、コップのように口が広い形状の入れ物にペットボトルの上の部分を取り付けたりして、水に浸けて球根を育てます。もし適した形の入れ物が無かった場合は、ジェルポリマーを底に敷けば問題なく育てられます。
水耕栽培は球根から根が出ている様子が見えるので、きれいでありながらも少し不思議な雰囲気で面白いかもしれません。
ただ、水耕栽培が向いているのは冬だけなので、3〜4ヶ月程度で栽培は終わりとなります。
水耕栽培のメリット
水耕栽培のメリットは以下の通りです。
- 手軽に始められる!
- 簡単に育てられる!
- 冬でも部屋の中でお花が楽しめる
それぞれの内容を詳しく解説していきます。
手軽に始められる!
球根植物の多くは、ガラスの植木鉢などで育てることが多いですが、家にあるペットボトルやコップでも育てることができます。家にあるもので簡単に水耕栽培ができることから、手軽に球根を育てることが可能です。
簡単に育てられる!
水耕栽培のメリットは、やはり簡単に育てられる点です。
土壌栽培だと植物の特徴に合わせて適した環境を整えなければいけません。それに対して水耕栽培の場合は水さえあれば問題なく、球根にも栄養が蓄えられているので肥料も特に必要はないのです。もし肥料が必要だとしても、ごく少量で済みますよ。
球根植物はとても丈夫なので、水が汚れてきたら早めに取り換えてあげることだけ注意すれば綺麗なお花を咲かせてくれるはずです。
冬でも部屋の中でお花が楽しめる
水耕栽培は、小さなコップやペットボトルを使用して楽しめる植物です。
そのため、室内の小さなスペースでもお花を楽しむことができます。さらに、外が寒い冬の時期でも、暖かい室内で育てることができるので、10月〜12月の期間も花を楽しむことができるでしょう。
水耕栽培できる植物は?
水耕栽培に適している球根はいわゆる「秋植え球根」と言って、秋ごろに植えて冬〜春に咲くものです。それでは具体的にはどんな種類が適しているのでしょうか。水耕栽培によく選ばれるおすすめの球根を紹介します。
ヒヤシンス
水耕栽培できる球根でもメジャーなのがヒヤシンス。ヒヤシンスは寒さに強く、特に水耕栽培に適しています。むしろ寒くないと、ヒヤシンスは花を咲かせずに終わってしまうので、基本的に窓辺など、10℃以下の涼しい場所で育てるようにしましょう。
ヒヤシンスの水耕栽培を始めるのは10月下旬〜11月頃がおすすめです。そこから3〜4ヶ月ほどすると、1ヶ月ほど花を楽しめます。しかもヒヤシンスは一度だけでなく二度花を咲かせることもあります。奥の方につぼみができている場合は茎を切って成長を促してあげましょう。
ただ、ヒヤシンスの球根にはシュウ酸が含まれており、皮膚が弱い人が素手で作業をするとかゆくなってしまう可能性があります。そのため、なるべく軍手などを使って作業してください。
チューリップ
ヒヤシンス同様水耕栽培の定番がチューリップです。毎年9月中旬頃になると、ホームセンターや園芸ショップで水耕栽培用のチューリップの球根が「冷蔵チューリップ」「アイスチューリップ」などの名称で売られるでしょう。
ただ、実はチューリップの水耕栽培は初心者には少し難易度が高いです。実際にチューリップが花を咲かせずに時期を終えてしまうことも少なくありません。
春を迎えたときにチューリップが花を咲かせるには温度管理が鍵となります。最初は10℃以下の涼しい場所で管理しつつも、芽が出たら15℃ほどの暖かい環境で育てましょう。
クロッカス
紫や黄色、青など色のバリエーションが豊富で大きな花がかわいらしいクロッカス。こちらもホームセンターなどで手軽に入手でき、9月〜11月頃に春咲きの球根が出回ります。
クロッカスの球根は他の植物と比べると少し小さめ。そのため、できるだけ花瓶として使う入れ物も小さめのものを使いましょう。また、球根のサイズが小さすぎると栄養が足りていない可能性があります。なるべく大きめのサイズのものを選んでください。
クロッカスは花が咲いた後も育てることが可能な品種です。ただ、花が咲いた後は種を作るために栄養を持っていかれてしまいます。そのため長持ちさせたい場合は、花が枯れたら花が付いている茎を根本から切り、光合成させましょう。
ムスカリ
香水などでよく使われるムスクのもととなっているのがムスカリ。ムスカリを育てることで、紫や青などカラフルなつくしのような花とともに、品種によってはムスクのようなほんのりとした香りも楽しめます。
ムスカリの球根が出回るのは大体9〜11月頃。そこから順調に育てば3〜5月頃に花を咲かせます。花を咲かせた後はクロッカス同様、花が咲いた後の茎を切って地植えすることで、翌年も再度花を咲かせます。
ムスカリの球根は他の植物よりも小さめ。球根の水耕栽培は球根を浮かせて育てるのが基本ですが、ムスカリの場合この育て方は難しいです。そのため、コップなど容器の底にジェルポリマーを敷き、根が浸らない程度の量の水を入れて育てましょう。
スイセン
花が咲いた後も土に移すことで長く楽しめるのがスイセン。種類も豊富なうえ、他と比べて特に注意点もなく、育てやすいのが魅力です。
スイセンは10〜11月頃に球根が売られるようになり、3〜4月頃に花を咲かせます。スイセンの球根のサイズは小さめなので、ビー玉などを使って安定させるのが基本。カラフルなビー玉を選ぶなど工夫してよりオシャレに花瓶を飾って水耕栽培を楽しみましょう。
水耕栽培の始め方
それでは水耕栽培はどのように始め、花を咲かせるのでしょうか。水耕栽培の手順を解説していきます。
冷蔵庫で買ってきた種を寝かせよう
球根を買ってきたら、紙袋などに入れて冷蔵庫など冷たい場所に1〜2ヶ月ほど置いておきましょう。北海道や東北など冬が寒い地域なら外に置いておいても構いません。
水耕栽培に向いている球根は、冬が過ぎて春を迎え、温かくなったタイミングで花を咲かせます。しかし、自宅で植物を育てる場合、なるべく温かく過ごせるようにエアコンで部屋を温かくするので春になっても気温の変化が無く、球根も春が来たことに気づきません。そのため、花が咲かずに終わってしまうことも少なくありません。
そこで春化処理と言って、涼しいどころか寒いと感じるような場所でしっかり球根を冷やしておくことで、球根が「春が来た」と勘違いし、花を咲かせます。
水耕栽培を始めよう
春化処理を終えたらいよいよ水耕栽培を始めます。口が小さめの花瓶を用意して、水を入れて暗い場所で育てましょう。もしちょうど良いサイズの入れ物が無いなら、針金などで口から球根を吊るせる器具を作りましょう。
まだ根が出る前の球根は、お尻が数ミリ程度水につく程度にして管理します。水の交換は2〜3日に1回、根腐れ防止剤を入れている場合は週に1回程度が目安です。水耕栽培は水が汚れやすいので、こまめに取り替える必要があります。一応目安はありますが、浮遊物があったり水が濁っていたりすると感じたら交換してください。
根が出たら明るい場所に移そう
どの種類の球根も、大体1ヶ月程度すると根が出てきます。根が出た後は暗い場所から明るい場所に移動させましょう。また、球根そのものを水に浸けたままにしておくと腐りやすくなってしまいます。根の3分の1程度が水につく程度に浮かせ、球根自体は水につかないようにこまめに調整してください。
3〜4ヶ月程度で花が咲く
どの種類も栽培を始めて3〜4ヶ月程度、春を迎えるタイミングで花を咲かせます。一度花が咲いたら大体1ヶ月程度は楽しめるでしょう。もう少し長持ちさせたい場合は、地面に植え替えるのがおすすめ。その後品種によってはまた花を咲かせることもあるので、水耕栽培で育てた花は長く楽しめます。
ちなみに、なるべく早く花を咲かせたいと思っている場合、根がある程度しっかりしてきたらすぐに15℃以上の暖かい場所に置くという手があります。
ただ、急激に温度を上げるので、植物が傷んでしまうリスクも高くなります。なるべく植物に負担をかけないように、自然のペースに合わせて育ててください。
球根選びのポイント
球根の水耕栽培で大切なのは球根選びです。球根の段階である程度花を咲かせるかどうかわかるので、ポイントを押さえて育てやすいものを選んでください。
まず、球根は大きめでずっしり重さのあるものを選びましょう。また、球根が乾燥しているとシワができてしまうので、表面がツルツルしているものであることが大切です。加えて、柔らかいものも栄養不足になっている可能性が高いので避けてください。
球根を作る植物は、球根に栄養を貯め込みます。つまり、球根の大きさや質が球根に貯め込まれている栄養の量なのです。サイズが小さい、シワができている、柔らかい球根は育てていくうちに栄養が足りず、病気になってしまったり花を咲かせなかったりする可能性が高いです。そのため、健康に育っている球根を選ぶことが大切です。
このように球根によって花を咲かせる確率は大きく変わります。したがって、球根は自分の目で確認して選ぶべきでしょう。球根は店頭だけでなくインターネットでも買うことができます。インターネットの方が店頭よりも安く手に入ることがありますが、その分質の悪い球根を購入するリスクが高くなってしまいます。そのため、必ず店頭で自分の目で球根を確認して購入しましょう。
水耕栽培を成功させるポイント・注意点
水耕栽培を成功させるには、5つ押さえておきたいポイント・注意点があります。水耕栽培は比較的手軽かつ簡単にできるのが魅力ですが、注意点を理解していなくて球根を腐らせてしまう人も実は少なくありません。成功のポイント・注意点を把握して、球根から花を咲かせましょう。
初めての水耕栽培の球根は最初から根が出ているものがオススメ
初めて球根を育てる人の場合、最初から根が出ているものをあえて選ぶのもおすすめです。球根が出回るのは大体9〜11月頃。この時期を過ぎると根が出始めるのでポットに入れられたものが流通します。
すでに根が出ていてポットに入れられているものなら、土を払ってきれいな状態にした球根を水に置くだけです。根が出るまでは水位をこまめにチェックして球根が腐ってしまうのを防ぐ必要がありますが、すぐに根が出ているものならこの過程が必要ないので管理の負担も少なく済みます。
球根は消毒してから植えよう
球根の消毒は必須ではありませんが、消毒をしておくことで病気にかかりにくくなるため、球根はなるべく消毒をするようにしましょう。
消毒に必要な物は以下の通りです。
- ベンレート水和剤
- 水
- 消毒液を入れる入れ物
- ネット
ベンレート水和剤は、水で100倍〜500倍に薄めて用意した入れ物に入れましょう。
そこへ、球根を入れて15分〜30分時間を置いて下さい。
そのあとは、ネットなどを使用して球根がしっかり乾燥するまで、陰干しをしてから球根を使用しましょう。
窓際で風に当てて育てよう
球根が発芽したら、風通しの良い場所で育てるようにしましょう。
風通しが悪いと球根からカビが生えることがあります。
日光が必要な場合は、窓側の風通しの良い場所で、日光が必要ない球根であれば、風通しがよい暗い場所で育てると良いです。
水の入れすぎに要注意
球根は、根っこの生えてくる黒い部分だけに水が必要です。そのため、水は球根の下がギリギリ浸かるくらいの量を用意しましょう。
多すぎると、球根がカビたり枯れる原因になるので注意が必要です。
その後、根っこが生えてきたら、根っこの先に合わせて水の量を減らすようにしましょう。
最終的には、器の半分ほど根っこが生えるまで育てたら、水耕栽培の成功になります。
冬場は暖房の効きすぎに注意
球根は、水耕栽培をしている環境が暖かすぎると、どうしても季節を勘違いしてしまう可能性があります。そのため、暖房の効きすぎた部屋に置くのは注意が必要です。
そもそも、球根は寒い時期を越さないと春に花を咲かすことができません。こういった性質から、暖房の効いた温かい部屋はNGです。必ず寒い場所で、球根を保管するようにしましょう。
花が終わったらどうすればいい?球根は再利用できる?
球根植物は多年草なので、原則的には花を咲かせた次の年も花を咲かせることができます。
植物によって再利用の方法は異なりますが、ここでは球根植物として有名なヒヤシンスの再利用方法についてご紹介します。
ヒヤシンスの花が終わったら、球根を傷つけずにゆっくり容器から取り出してください。
事前に、30cmの穴を掘った地面か植木鉢を用意し、そこに植えて下さい。そのときに、たっぷり水を与えるのを忘れないようにしましょう。今まで水に埋まっていた球根が、球に土の中に入ると、水不足が懸念され枯れてしまいます。必ず沢山水を与えましょう。
土に植えたら、10日に1度定期的に液体肥料を与えます。
葉っぱが黄色くなるまで根気よく土の中で育てて、6月頃になったら球根を土から出せば、再利用することができるでしょう。
来年も咲かせるためのポイント
開花後も水耕栽培を続けていても、残念ながら花を咲かすことはできません。
来年も花を咲かせるには、以下のようなポイントに注意が必要です。
- 花が終わったらすぐに花茎を折る
- 水栽培の容器から球根を出し、肥料を与えた土に植える
- 葉が枯れるまでそのまま育てる
とにかく、来年も花を咲かせたいなら、球根を大きくすることが大切です。
大きく育つように、水やりや光合成、肥料を忘れずに与えましょう。
まとめ
球根植物は、丁寧に育てていけば何度も花を咲かせることができます。
室内の狭いスペースでも気軽に育てることができるので、初心者におすすめの栽培方法です。
置き場所や良い球根を選ぶことで、より水耕栽培を成功させることができるので、ぜひポイントをおさえて挑戦してみてくださいね。