自然のメッセンジャー、クルシア・ロゼアの魅力や特徴、花言葉など
クルシア・ロゼアは、卵型のつやつやとした光沢のある葉が魅力的な観葉植物です。
市場へ出回っている数がとても少ない希少な品種ですが、お世話が特別難しいわけではありません。
雰囲気はゴムの木にも似ており、よく間違われやすい観葉植物です。
今回は、クルシア・ロゼアの特徴や育て方などについて、その魅力をたっぷりとご紹介していきたいと思います。
クルシア・ロゼアの基本情報
科・属 | オトギリソウ科・クルシア属 |
英名 | Autograph Tree、Signiture Tree |
学名 | Clusia rosea |
別名 | サインの木、署名の木、絞め殺しの木 |
原産地 | 西インド諸島 |
クルシア・ロゼアの特徴
クルシア・ロゼアは、西インド諸島、バハマ諸島、メキシコ南部、南アメリカ北部などの暖かい地域に分布しています。
観葉植物としてのクルシア・ロゼアは、樹高が1.5m前後にもなる大きな植物です。
オトギリソウ科の植物には、約40属1,000種類以上が存在していると言われており、クルシア属のクルシア・ロゼアもそのうちのひとつです。高木から草本、つる性の物もあります。
オトギリソウ科の植物は、温帯地域から熱帯地域まで幅広く分布しており、代表的なものでは薬用として使われる「オトギリソウ」や、果物の女王とも呼ばれるフクギ属の「マンゴスチン」などがあります。
クルシア・ロゼアの最大の魅力は、肉厚でつやつやとしている卵型の葉です。
色は鮮やかな緑色で、とても可愛らしい姿なので眺めていると癒されます。
まだ市場には流通数の少ない、比較的レアな観葉植物ですので、もしネットショップなどで見つけたらラッキーかもしれませんよ。
ゴムの木に似ているクルシア・ロゼア
クルシア・ロゼアは、丸みを帯びてつやつやと光沢を持っている葉が可愛らしいですが、この葉はデコラゴムノキに似ているため、よく混同されがちですが、クルシア・ロゼアとゴムの木は全く異なる種類になります。
クルシア・ロゼアはオトギリソウ科クルシア属に入りますが、デコラゴムノキはクワ科フィカス属に入る観葉植物です。
ただし、デコラゴムノキにもクルシア・ロゼアにも、葉や茎の切り口から樹液が出てくるという共通点があります。
デコラゴムノキからは白色の樹液が出てきますが、クルシア・ロゼアの樹液は黄色をしています。
また、葉の大きさもデコラゴムノキの葉に比べると、クルシア・ロゼアの葉のほうが小さいという違いもあります。
別名「オートグラフ・ツリー」
クルシア・ロゼアは、ここまでご紹介してきた、つやつやした丸い葉、樹液といった特徴以外にも、もうひとつ特筆しておくべき特徴があります。
それは、英名である「Autograph Tree(オートグラフ・ツリー)」の由来にもなっています。
クルシア・ロゼアの葉は、先が尖ったもので傷付けながら文字や絵などを書くと、その跡が白く残るのです。
こういった特性から、サインを意味する「autograph(オートグラフ)」、署名を意味する「signature(シグネチャー)」などが英名の由来になっています。
自生している原産地では、クルシア・ロゼアの葉に自分の名前や落書き、メッセージなどが書かれており、手が届く高さのほとんどの葉には、何かしらのメッセージが書かれているそうです。
また、昔はクルシアの葉でラブレターを書いたというロマンチックな話もあります。
自生地では、誰かを祝うお祝い事のシーンでクルシア・ロゼアを贈り、贈る人たち一同で葉にそれぞれメッセージを書いてプレゼントするという習慣もあります。
木に寄せ書きをして贈るというのは、印象深く記憶に残る素敵な贈り物ですよね。
葉に傷ついて残った跡は、葉が枯れない限りは傷としてそのまま残っています。
「サインの木」「メモの木」とも呼ばれる所以は、クルシア・ロゼアの樹液が持っているこのような特性から来ているのですね。
クルシア・ロゼアの別名
さて、「サインの木」の別名を持つ、個性的な特徴があるクルシア・ロゼアですが、一方で「絞め殺しの木」という怖い別名もあります。
クルシア・ロゼアは、繁殖力がとても強い植物で、鳥に実を食べさせることで種子を遠くまで運んでいきます。鳥に運ばれた種子は、排泄などで他の樹木に付着し、着生した種子は、見る見るうちに宿主へ気根を伸ばし、枝を垂らしていきます。
生長していくと、最終的には着生した宿主の植物を絞め殺すほどの力強さがあるのです。
このため、ハワイでは自国固有の植物の生態を脅かす、有害外来植物として指定されています。
クルシア・ロゼアが生き残るために自ら進化させてきた素晴らしい繁殖力であり、生存戦力ではありますが、ハワイの中ではちょっとした困り者のようですね。
クルシア・ロゼアの花
クルシア・ロゼアは、生長していくと花径5cmほどの大きめで目立つ花を咲かせます。
花弁は5〜6枚あり、緑色の花柱を持っています。
開花したときは白やクリームの花色ですが、徐々にピンク色へと変わっていきます。
原生地では、花が咲き終わった後になる肉質の淡い果実が、アクセサリなどの装飾品に使われています。
熟した果実が破裂すると、鳥などによって遠くまで運ばれていき、幅広い土地で繁殖してきた植物です。
クルシア・ロゼアの風水効果
クルシア・ロゼアのような丸みを帯びている葉の観葉植物を家に置くと、家相が改善され、夫婦仲や家族関係が良くなるスピリチュアルな効果があると言われています。
丸い形状をしている葉は、風水的に見るとリラックス効果があり、気持ちを穏やかにして、その家を円満に導いてくれるのだそうです。
家族が集まるリビングルームなどに置くと、より効果的でしょう。
また、クルシア・ロゼアの葉はやや黄緑色の混じった小判状の形をしているため、金運を上昇させる効果もあるようです。
一回り小さい「クルシア・ロゼア・プリンセス」
クルシア・ロゼアには、一回り小さなサイズの「クルシア・ロゼア・プリンセス」という園芸品種があります。
クルシア・ロゼア・プリンセスは、葉や樹形が大きめであるクルシア・ロゼアを、家庭で育てやすい小型品種として品種改良されたものになります。
こちらも生産している農家が限られており、希少性の高い品種になります。
小ぶりで可愛らしい新葉が対になって生えてくる様子は、小さなカスタネットのようで可愛らしいですよ。
クルシア・ロゼアの育て方の基本
クルシア・ロゼアは流通が少なく、入手が難しい観葉植物ですが、特別難しい育て方が必要なわけではなく、基本は一般的な観葉植物の育て方とほとんど同じです。
育て方のコツさえ分かってしまえば、珍しいクルシア・ロゼアを元気に育てていくことができますよ。
それではさっそく、クルシア・ロゼアの基本的な育て方を、項目ごとに詳しくご紹介していきましょう。
置き場所
クルシア・ロゼアは、明るい日が差す場所を好む観葉植物ですが、強すぎる日光や直射日光は苦手とします。
葉が日焼けしすぎると、光合成を行なう組織が破壊されてしまい、再生が不可能になるので、ほどよい日光に当てて育てましょう。
耐陰性があるので、窓際で育てる場合にはレースカーテン越しやブラインド越しなど、遮光した場所に置くとちょうど良いでしょう。ただし、冬場の窓際はかなり冷え込みますので、真冬の日中は窓際で充分に日に当てておき、日が落ちたら部屋の中ほどの暖かい場所に置いて管理してください。
クルシア・ロゼアは寒さには弱いため、最低でも10℃以上は確保しておきたいところです。
寒い場所で管理する場合には、段ボールをかぶせたり、鉢を毛布で包んだりと、防寒対策を行なうと良いでしょう。
冷暖房の風などが直接葉に当たると、水分が蒸発してクルシア・ロゼアが元気をなくしてしまいます。
暖房器具の近くなども避けて、冷暖房の風が直撃しない置き場所を選びましょう。
水やり
クルシア・ロゼアは、春から秋にかけてが生育期に当たります。
生育期の間は、鉢土が乾いてから、鉢底から水が流れ出すほどにたっぷり水やりをしましょう。
生長速度が緩やかに落ちてくる秋の終わりからは、徐々に水やりの頻度を減らしていきます。
休眠期へと以降する生長ペースに合わせつつ、乾燥気味に育てることでクルシア・ロゼアの樹液濃度を高めて、寒さに強く育てることができるのです。
秋から冬場の間の水やりは、鉢土が乾いたのを確認してから2~3日後に水を与えましょう。
水やりの後に、受け皿に溜まっている水はこまめに捨てて清潔に保ってください。
水を溜めて放置したままでいると、鉢内の湿度が上がって株が蒸れてしまい、根腐れに繋がります。
水やりとあわせて、霧吹きなどで葉を湿らせる葉水をこまめに行うと、光沢のある葉にもっとつやが増して、元気に美しく育てることができますよ。
肥料
クルシア・ロゼアに肥料を与える場合には、春から秋にかけての生育期の間に与えましょう。
月1回ほどのペースで、緩効性の置き肥料を与えるのがおすすめです。
水やり代わりに薄めた液体肥料を塗布したり、活力剤(アンプル)を活用するのもおすすめです。
つやつやとした美しい葉に、さらに磨きをかけていくことができるでしょう。
剪定・切り戻し
クルシア・ロゼアは、茎が長く伸びすぎると、葉の重みで垂れていき、樹形が崩れてしまいます。
形が乱れてきたなと感じたら、古い葉を摘み取りつつ、剪定で整えていきましょう。
クルシア・ロゼアは、葉の付け根から新芽が出てきます。
切り口の下の節からも脇芽が生えてくるので、芽が出てくる様子をイメージしつつ、全体的にバランスを整えていきましょう。
切り口からは黄色い樹液が出てきて、付着するとなかなか落ちにくいため、下には新聞紙を敷いておき、作業時は必ず手袋を着用してください。
切り戻しを行なった後は、直射日光に当てて切り口を乾かしましょう。
切り口がきちんと乾かないと、雑菌の繁殖などに繋がります。
水やりは通常どおりに鉢土が乾いてからたっぷりと与えましょう。
肥料で生長を助けたい場合には、新しい芽が芽吹いてきてからでも間に合います。
植え替え
クルシア・ロゼアは、2〜3年に1度を目安にして定期的に新しい鉢へと植え替えましょう。
植え替えの適期は5〜6月頃が好ましいです。
植え替えをせずに長く同じ鉢で育て続けていると、鉢内で根がぱんぱんに詰まって根詰まりを起こし、上手に水分を吸収できなくなったり、根腐れを起こして株が枯れてしまう危険もあります。
一回り大きな鉢を用意して、ゆったりと余裕のある環境へ植え替えを行いましょう。
新しい土は水はけの良いものを用意してくださいね。
鉢から根を丁寧に抜き取ったら、根をほぐしつつ古い土を優しく落としていきましょう。
このとき、根の状態を確認しつつ、古い根や黒ずんでいる根、萎びている根などは、清潔なハサミで根を切り落として整理します。
根の整理が完了したら、新しい鉢と水はけの良い土に、株を植え替えましょう。
クルシア・ロゼアに元気がないときは?
流通が少なく貴重なクルシア・ロゼア。
育てているどの観葉植物にも言えることですが、入手したら枯らさず元気に育てていきたいですよね。クルシア・ロゼアに元気がなくなってしまったとき、一体どんな対処をすれば元気を取り戻してくれるのでしょうか。
ここからは、クルシア・ロゼアに起きやすい病気やトラブルなどについて、対処法をご紹介していきます。株にトラブルが起きたら、なるべく早く対処することで、早く回復させることができますよ。
害虫が寄生してしまった
クルシア・ロゼアには、カイガラムシやアブラムシといった害虫が付いてしまうことがあります。
カイガラムシは、主に葉裏や茎などに好んで寄生し、植物から汁を吸い上げて弱らせてしまう害虫です。
繁殖して数が増えてしまった分、植物の栄養が奪われて、最悪の場合は枯れてしまう恐れもあります。
また、排泄物が溜まっていくとすす病の誘発にも繋がるため、早めの駆除が必要になります。
カイガラムシは、成虫と幼虫で駆除方法が変わってきます。
幼虫のうちは殺虫剤が効くのですが、成虫になるとカイガラムシの体は固い殻に覆われていくので、薬剤が浸透しにくくなるのです。
カイガラムシの成虫は、歯ブラシなどの柔らかいもので、葉を傷つけないように注意しながら擦り落としていきましょう。
同様に、アブラムシが発生した場合も、寄生した葉の表面を柔らかい布などで拭きとるか、殺虫剤で駆除しましょう。
カイガラムシやアブラムシなどの害虫は、日頃から植物の状態をよく観察しておくと早期に発見できるため、被害を最小限に防ぐことができます。
葉水をこまめに与えるのも、害虫予防に繋がりますので忘れずに行ないましょう。
葉が変色してしまった
葉が黄色や茶色に変色してしまったり、落葉がひどい場合には、根詰まりや根腐れが起きていないかどうか確認してみましょう。
適切なタイミングで水を与えているのに、株に元気がない場合や、土の乾きが悪い場合には、根詰まりを疑いましょう。
幹や根本を観察してみて、なんだかブヨブヨとした質感になっていたり、土から腐敗臭がしていたり、土の表面にカビのようなものが見えたら、根腐れを起こしている可能性が高いです。
鉢から根を取り出してみると、根が黒ずんで変色しているかもしれません。
根腐れを起こしている原因としては、水を与える頻度が多すぎる、土の水はけの悪い、風通しの悪い環境で管理している、といったものが考えられます。
根腐れが進行していくと、根の細胞が死んでいきます。
吸水力が低下していくと、株全体に水分を行き渡らせることができないため、葉が元気をなくしてしまうのです。
根詰まりや根腐れを起こしていたら、なるべく早く植え替え作業を行ないましょう。
鉢から根を取り出すと、ぱんぱんに根が張っているかもしれません。
注意深く根を観察して、黒ずんで腐っている部分や傷んでいる部分は、清潔なハサミで切り落としていきます。
伸びすぎている根もカットしていき、大きさを調節しながら整理しましょう。
植物にとって根は大変デリケートな部分ですから、使用する刃物は火で炙って消毒するなどして、切り口から雑菌の繁殖を少しでも防げるようにしてください。
新しい土は水はけの良いものを使用して、新しい鉢に植え替えたらしばらくは水やりを控えて乾かし気味にします。
風通しが良く、明るく涼しい日陰でしばらく管理して、株を休ませましょう。
葉の色が抜けている
葉色が悪く、色素が抜けているかのように変色を起こしていたら、葉焼けの状態かもしれません。
葉焼けとは、人間の肌が日焼けで黒くなるようなもので、葉が強い日光に当たり過ぎてしまい、変色する現象です。
葉焼けを起こすと、植物が光合成を行なうために必要な組織が破壊されて、死んでしまいます。
破壊された部分は二度と再生できませんので、葉を摘み取りましょう。
葉に斑模様が入っている品種は、葉焼けを起こしやすいため特に注意が必要です。
葉焼けを起こしていたら、現在置いている場所の日当たりを再確認しましょう。
日光が強すぎていないか、直射日光が当たっていないか、長時間当たり過ぎていないかをチェックします。
当たる日光が強すぎるようなら、レースカーテンやブラインド越しに光が当たるよう調節しましょう。日に当てる時間を短くするのも効果的です。
まとめ
今回は、少し珍しい品種である観葉植物、クルシア・ロゼアについて、魅力や育て方などを詳しくご紹介してきました。
つやつやとした丸い葉を持つクルシア・ロゼアは、優しげな雰囲気を持ち、ナチュラルテイストのインテリアグリーンとしても優れています。
珍しい品種ではありますが、育て方はそこまで難しくなく、初心者の方でも育てやすい観葉植物です。
市場への流通が少ないため、品薄状態で入手がやや困難ではありますが、もし見かける機会があれば、購入を検討されてみてはいかがでしょうか。