チランジア【フックシー】の育て方
チランジアのフックシーは、土を用意する必要のない、おしゃれな観葉植物です。
チランジアはエアープランツとも呼ばれ、お部屋にも飾りやすく人気の植物。
「そもそもチランジアって何?エアープランツって何?」「フックシーはお世話が楽ってて本当?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、土を必要としない、育てやすい人気観葉植物の「フックシー」に焦点をあて、育て方について詳しく解説します。
インテリア映えするアレンジ方法やフックシー以外の人気品種も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
フックシーってどんな植物?
フックシーは、南米を原産地とするチランジアの一種です。
育てるにあたって土が必要ない植物として広く知られており、この特徴から吊るしたりガラス容器や流木と組み合わせたりと、アレンジしやすい点が大きな魅力です。
育て方に深く関係する生態の理解を深めるために、まずはチランジアとは何かに言及し、フックシーの特徴を紹介します。
チランジア(エアープランツ)とは
チランジアとは、別名エアープランツとも呼ばれています。土がなくても育つ種類の植物で、樹木の幹や岩に着生して生長します。
チランジアは種類が豊富で、少し細かく種類分けすると根元に水分をためるタンクタイプと、空気中の水分を取り込むエアータイプに分けられます。
エアータイプについては、水を吸収する器官トリコームが葉に多くあることで植物体が白銀色に見える「銀葉種」と、トリコームの少ない「緑葉種」に分けることができます。
チランジアは種類に関係なく、栽培難易度が比較的低い植物です。1年を通じて葉がついている植物なので、季節に関係なく、年中変わらない姿でインテリアとして活躍してくれるでしょう。
フックシーの特徴
フックシーはチランジアの一種で、空気中の水分を葉から吸収するエアータイプ、葉にトリコームが多く植物体が白銀色に見える銀葉種という特徴をもつ植物です。
葉幅が1mm程しかない細い葉を四方に伸ばして生長していく点が特徴的で、その草姿は線香花火を思い起こさせるような愛らしさがありますよ。
フックシーは、上手に育ててあげると真ん中から芽が伸びて、ピンク色の花を咲かせます。
葉だけのフックシーとはまた違った雰囲気を楽しませてくれますが、子株を出しやすくするために早めに切り取ってしまうケースが多いです。
フックシーの育て方
フックシーは土が必要ないことから育てやすい植物として注目されていますが、生き物ですので定期的かつ生態に応じたお世話が必要です。
生態が珍しいフックシーは、どのように育ててあげるのがいいのでしょうか。
フックシーの育て方について、
・置き場所
・水やり
・肥料の有無
・病気や害虫
・冬越し
・夏越し
・増やし方
の7点を取り上げて解説していきますので、参考にしてください。
置き場所
フックシーは原産国が南米であることから、日当たりのいい明るい場所を好みます。直射日光に注意しつつ、しっかり日光に当ててあげるのがおすすめです。乾燥している環境が好ましいため、風通しのいい場所を選んであげましょう。
温度も注意してあげたいポイントで、フックシーの育成に適している温度は20〜30℃といわれています。40℃近いような高温、10℃以下の低温となりそうな場合は、遮光や日陰への移動、空調などを利用して温度調節してあげるのがおすすめです。
水やり
フックシーは葉から水分を吸収する生態であるため、一般的な植物とは水やりの方法が異なります。また、フックシーの状態によって水やりの方法を変えてあげる必要もあります。
そこで、日常的に必要な「ミスティング」と緊急時に効果的な「ソーキング」の2種類の水のやり方を取り上げて、やり方をはじめ、頻度や注意点を解説します。
ミスティング
ミスティングとは、霧吹きで水を与える方法です。一般的な植物でも葉水を与える時にミスティングを行いますが、フックシーの場合は葉を湿らすだけでなく植物体全部が湿るほどに行います。フックシーの生長に欠かせない基本的なお世話ですので、頻度や注意点をしっかりおさえて行いましょう。
ミスティングの頻度は季節によって変わります。乾燥する時期は週に2〜3回、湿気の多い時期は4〜5日に1回程度の頻度で行うのがおすすめです。
蒸れすぎると枯れてしまうため、葉の付け根に水が溜まらないように注意してあげましょう。
ソーキング
ソーキングとは、植物全体を浸水させて水を与える方法です。乾燥が酷い時に有効とされている方法で、フックシーが浸るほどの容器と常温の水を用意し、4〜6時間浸けておこないます。
乾燥が酷い状態でも繰り返し行うのは厳禁で、月に1回の頻度で取り入れるのがおすすめです。
注意点は、水に浸す時間を長くしすぎないことです。あまり長く浸けているとふやけてしまい、腐ってだめになってしまうことがあります。ソーキングを行った後、通気性のいい乾燥した場所で乾かす点にも注意してください。
肥料は必要?
結論からいえば、フックシーは肥料がなくても育ちます。ただ、施肥をしてあげると生長が早くなるほか、元気に育つというメリットも生まれるでしょう。
肥料は観葉植物用の液体タイプを使用するのがおすすめです。約1000〜3000倍に希釈してミスティングしてあげましょう。
ちなみに、ソーキングで施肥することも可能です。ミスティング時と同様に希釈液を作り、浸してあげてください。
施肥をするタイミングは、生育が盛んになる春と秋がおすすめです。
注意すべき病気・害虫
フックシーを育てるにあたって、注意したい病気はすす病です。すす病は虫の排泄物を栄養源としてカビが繁殖してしまう病気で、葉や茎の表面をすすのように黒く覆ってしまいます。
すす病になるとすぐに枯れてしまうなどの影響はありませんが、光合成ができなくなるほか、フックシーの生態の特徴である葉からの水分吸収ができません。すす病が疑われる場合は、ティッシュペーパーや歯ブラシなどを使って擦り落とし、原因と考えられる虫の駆除を行いましょう。
注意すべき害虫は、すす病を引き起こす原因とされているカイガラムシやアブラムシです。歯ブラシなどではらい落とす駆除方法でもいいですが、市販の薬剤を使用しても構いません。
冬越し
冬は気温が低くなる季節なので温度管理に注意が必要です。フックシーは寒さに弱いため、10℃以下の環境とならないよう空調やライトなどを利用して温かさを調節し、蒸れないように注意してあげましょう。
水やりは週に1回のペースに減らします。タイミングとしては午前中がベストで、ミスティングでたっぷりと湿らせてあげてください。
耐寒性をあげるために、約1000倍に希釈した活力剤をミスティングに使用するのもおすすめです。2〜3回に1回のペースで取り入れてみてください。
夏越し
夏は強い日差しと温度管理に注意が必要です。フックシーは直射日光があたると葉焼けしてしまうため、ネットなどを利用して30〜40%ほど遮光してあげるといいでしょう。
暑すぎる環境も苦手なため、窓際で温度が40℃近くなりそうな場合は風通しのいい日陰に移動してあげるのがおすすめです。
水やりは2〜3日に1回のペースで行いましょう。冬は午前中に行いますが、夏は暑さで蒸れやすいため夕方から夜にかけて行うのがおすすめです。
夏バテ防止に、約1000倍に希釈した活力剤をミスティングに使用するのもおすすめです。2〜3回に1回のペースで取り入れてみてください。
増やし方
フックシーを増やしたい場合は、親株の根元にできる子株を取って株分けする方法で行います。
肝心な子株ですが、フックシーは一般的に花を咲かせないと子株を吹きません。施肥などによって開花しなくても子株を出すケースもあるようですが、増やしたい場合は、まずフックシーが花を咲かせられるよう大事に育ててあげることが重要です。
株分けのほかには種から増やすという方法も選べますが、比較的簡単に発芽はするものの成長スピードが遅く、インテリアとして楽しめる大きさになるまで数年かかるといわれています。
【フックシー】日常の管理のポイント
フックシーの育て方のポイントを紹介してきましたが、ここで改めて日常的に注意を払って行ってほしいポイントを取り上げます。
日常の管理のポイントは以下の2点です。
・枯葉取りを忘れない
・気温によって水やりの頻度を変える
それぞれのポイントについて、注意点や必要性などを交えながら解説していきましょう。
枯葉取りを忘れずに
日常の管理のポイントは、枯葉取りを忘れないことです。
枯葉取りをしてあげると通気性が良くなるため、カビの繁殖や腐敗を防ぎやすくなります。茶色い部分を取り除くことで見栄えも良くなるでしょう。
フックシーは根元付近の葉から枯れていきますので、ハサミを用いて切り取って下さい。群生しているフックシーの場合は株と株の間に枯葉が出ますので、丁寧に取り除いてあげましょう。
毎日のメンテナンスが必要なわけではありませんが、元気に育つよう定期的にチェックしてあげるのがおすすめです。
気温によって水やり頻度を変える
気温によって水やり頻度を変える点も日常の管理のポイントです。
気温が低くなる季節は、週に1回のペースで水やりを行います。気温が高い季節は、2〜3日に1回のペースで水やりを行うのがおすすめです。
もし屋外でフックシーを育てる場合は、気温が低い季節は屋内と同様の週1回でいいですが、気温が高い季節は毎日もしくは2日に1回のペースで水やりを行いましょう。
気温が低い季節は凍ってしまわないよう午前中に水やりを行うことと、午前中に雨が降った場合は水やりを控えるようにしてください。
子株ができたら株分けしよう
フックシーは株分けで増やせます。一般的には花を咲かせた後に子株を吹かせますが、開花せずに子株を吹くケースもあるため、株分けの仕方は覚えておくといいでしょう。
ここでは、
・株分けに適した時期
・株分けの方法
・着生方法
を取り上げて株分けについて解説しますので、ぜひ覚えて実践してみてください。
株分けに適した時期
株分けに適した時期は、暖かく、蒸れにくい時期です。
フックシーは耐寒性が低いため、気温が低い季節には生育が緩やかになります。この時期に株分けをしてしまうと子株がうまく成長できず、枯れてしまう可能性があります。気温が低いため、フックシーが苦手とする蒸れない環境を作ってあげるのも難しいでしょう。
具体的に時期をあげるとすれば、生育が盛んとなる春と秋がおすすめです。雨の日が多くなりやすい梅雨の時期や、暑さが厳しくなる真夏は避けてあげるといいでしょう。
株分けの方法
株分けは、子株を指で持ちポキッと取ってしまう方法もありますが、カッターを用いるのがおすすめです。親株と子株の間に刃を入れて、丁寧に切り離してあげてください。
株分けをする際の注意点は、子株がある程度の大きさになるまで待つことです。子株は親株から栄養などを取り込んで生長していきますので、小さいうちに切り離してしまうと生育できずに枯れてしまうケースがあります。
親株の半分〜3分の2程度の大きさを目安に株分けを行うのがおすすめです。
着生方法
フックシーは樹木の幹や岩に着生して生育する生態なので、コルクや流木、ヘゴ板などに着生させることが可能です。どのように飾りたいかで材料を決めて、仕上がりをイメージしながら着生させるといいでしょう。
着生させるにはフックシーを材料に固定する必要がありますが、固定方法は針金や紐を利用するほか、ボンドを用いても構いません。ボンドを使用する場合は根にボンドが付かないように注意してください。固定後から着生するまでには数週間かかりますので、触らず、気長に待ちましょう。
固定にどの方法を用いるにしろ、フックシーを丁寧に扱うという点には注意してください。
チランジア・フックシーをおしゃれに飾ろう!
チランジア・フックシーは生育に土を必要としない生態なので、飾り方の幅がとても広い植物です。この点を活かして、インテリア映えするさまざまなアレンジに挑戦してみてはいかがでしょうか。
ここでは、4つのアレンジ方法を取り上げて魅力を紹介します。
どこに飾るかやどなたに贈るかなどをイメージしながら、参考にしてみてくださいね。
ガラスのコップや花瓶に入れて卓上のインテリアに
手軽におしゃれ映えするアレンジ方法は、ガラスのコップや花瓶に入れる方法です。ご自宅にあるものでも構いませんが、100均や園芸店などで好きなガラス容器を用意すると好みのインテリアに仕上げられます。小さい流木やサンゴなどを一緒に入れてテラリウムにするのもおすすめですよ。
ガラスコップや花瓶を用いたアレンジは、安定感のあるインテリアに仕上げられるためどこにでも飾りやすいのではないでしょうか。
ガラスの吊り下げ用プランターを用意すれば、浮かせて楽しむことも可能です。
流木や石に着生させてかっこいいインテリアに
スタイリッシュでかっこいい雰囲気を求めるなら、流木や石に着生させるのがおすすめです。本来の生育姿に近い状態で飾ることができ、自然美を楽しませてくれます。
使用する流木や石は身近にあるものよりも、販売されているものを利用するのがおすすめです。着生させやすい安定感のある形状を選びやすく、おしゃれさも追求しやすいでしょう。
流木や石の場合は着生させる位置によって雰囲気が変わるため、お好みのインテリアとなるよう楽しみながらアレンジしてみてください。
ハンギングで飾る
フックシーは土を必要としないため、ハンギングで飾ってみてはいかがでしょうか。
ハンギングとは、天井やレールから吊るして高い位置で植物を楽しむ手法です。一般的にはハンギングプランターやバスケット、ウォールポットなどを使用しますが、土を必要としないフックシーはガラス器でおしゃれに飾ることが可能です。
レザーや麻ひもを結んで吊るすことも可能で、省スペースで、手軽にインテリアとしてグリーンを取り入れられるでしょう。
ハンギングは棚がなくても飾れるアレンジ方法なので、邪魔になりにくい点でも取り入れやすいのではないでしょうか。
ホルダーを手作りするのもおすすめ
フックシーを飾るホルダーを手作りして飾るのもおすすめです。
ホルダーの材料となるアルミワイヤーは比較的リーズナブルな価格で手に入りますし、形を用意に変えられるためさまざまなホルダーづくりに挑戦できます。
フックシーを乗せられるような輪っかやかごを作ってフックで吊るしてもいいですし、ドリンクホルダーのようにバネ上に形成し、フックシーを上にのせて卓上インテリアとして楽しむのもおすすめです。
形を作るのが苦手なら、細いワイヤーをフックシーに直接巻き付けて吊るす方法でも構いません。スタイリッシュでおしゃれな雰囲気に仕上がります。
チランジアは種類がたくさん!人気の品種3選
ここまではチランジア・フックシーを取り上げて魅力や育て方を紹介していきましたが、フックシー以外にもチランジアは種類がたくさんあります。
そこでここからは、チランジアのなかでも人気のある品種として、
・コットンキャンディ
・キセログラフィカ
・カプトメデューサ
の3つを取り上げて、特徴や魅力を紹介します。
チランジア・コットンキャンディ
チランジア・コットンキャンディは、チランジアのストリクタという品種とレクルビフォリアという品種を人工交配してできた種類です。
チランジアのなかでも美しい花を咲かせる品種として知られており、ラメのような模様が目を引く淡い紫色のつぼみから、小さくて可愛らしい花を咲かせます。花は1〜2週間ほど楽しむことが可能です。
丈夫な品種なので、チランジアの入門種として選んでみてはいかがでしょうか。
草姿だけでなく、花も楽しみたいという方にぜひおすすめしたい品種です。
チランジア・キセログラフィカ
チランジア・キセログラフィカは、チランジアの王様といわれている大きく育つ品種です。葉幅のあるしっかりした葉や草姿が印象的ですが、美しい銀葉を楽しませてくれる点は見逃せないポイントです。
生長のスピードはゆっくりですが、大きいものでは高さは最大30cm、直径は60cmほどにもなり、存在感は抜群です。チランジアのなかでもインパクトのある大きく育つ品種を探している人におすすめです。
また、強健な性質であるため育てやすい点も大きな魅力です。チランジアのお世話に不安な方は、チランジア・キセログラフィカから育ててみるのもいいでしょう。
チランジア・カプトメデューサ
チランジア・カプトメデューサは、壺を思わせるような葉元と無造作にうねるように伸び広がる草姿が特徴的な種類です。独特な形状は存在感があり、インテリア映えすること間違いありません。
花付きがよい品種なので、神経質にならなくても赤紫色の花を楽しむこともできるでしょう。
カプトメデューサには葉が紫色に染まる「カプトメデューサエ・パープル」という品種もあるため、変わった葉色の植物を取り入れたい方は選んでみてください。
まとめ
フックシーはチランジアの一種で、細長い葉を四方に伸ばす線香花火を思わせるような愛らしい草姿の植物です。生態の特徴から土を必要としないため初心者でも育てやすいほか、飾り方の幅が広くさまざまなアレンジ方法でインテリアに取り入れられます。
温度管理や風通し、水やりには注意が必要ですが、そこまで神経質にならなくても育ってくれる丈夫な観葉植物です。
うまく育ててあげれば綺麗な花を咲かせてくれますし、子株ができれば株分けも可能ですよ。おしゃれなインテリアアイテムとして、フックシーを育ててみてはいかがでしょうか。