シクラメンの花言葉は怖い?色別の花言葉や基本的な育て方などを解説
鮮やかな花色がとても美しいシクラメン。鉢植えのギフトとして、母の日やクリスマスに贈る植物としても愛されています。
白や赤、ピンク色、紫など、さまざまな花色を持つシクラメンですが、色ごとに異なる花言葉を持っています。
そこで今回は、シクラメンの色ごとの花言葉とその由来、誕生花を紹介します。主な種類や基本的な育て方なども解説するので、贈り物や育てる際の参考にしてください。
シクラメンの基本情報
シクラメンの基本情報は以下の通りです。
| 科名 | サクラソウ科 |
| 属名 | シクラメン属 |
| 英名 | Cyclamen persicum |
| 別名 | カガリビソウ、カガリビバナ、ブタノマンジュウ |
| 原産地 | 地中海沿岸 |
| 草丈 | 20~30cm |
| 花径 | 2cm~5cm |
シクラメンは、地中海沿岸から中近東にかけて分布している球根植物(多年草)であり、鮮やかな見た目が魅力です。室内で花鉢で育てる種類の他に、花壇に植えられるガーデンシクラメンなどがあります。
シクラメンの特徴
シクラメンは、「冬の鉢花の女王」とも呼ばれる人気の花の一つです。多くの種類があるため、園芸品種では大きく分けて大輪花、中大輪花、小型花などに分けられます。
クリスマスの時期から年末年始の贈り物に特に人気があり、株元から次々と花が咲くので長く花を楽しめるのが魅力です。花壇に植えられるガーデンシクラメンは、色がさみしくなりがちな冬の花壇を明るい印象にさせてくれるでしょう。
ブタノマンジュウという別名の由来
シクラメンには、「ブタノマンジュウ」という別名があります。この名前の由来は、シクラメンが明治時代に日本に渡り、紹介されたときの球根の見た目が「饅頭をつぶしたような形をしていた」ことからとされています。
本来、シクラメンの魅力はハート型の葉っぱやかわいらしい花です。紹介された姿が球根ではなく花が咲いた状態であれば、呼ばれ方は変わっていたのかもしれません。
シクラメンはいつの誕生花?
シクラメンは、「1月14日」「12月7日」の誕生花です。12月~1月は、シクラメンが最も市場に色々な品種が出回る時期でもあります。
シクラメンには、白色やピンク色、赤色など、さまざまな色が存在するので、贈りたい相手の好みに合う色合いを見つけやすいでしょう。
シクラメンの色ごとの花言葉

シクラメン全体の花言葉は、「はにかみ」「遠慮」「気後れ」「内気」などです。うつむき加減に咲く花の姿から、このような花言葉がつけられたといわれています。
また、英語の花言葉には「timid hope(遠慮がちな期待)」「shyness(内気、はにかみ)」「resignation and good-bye(退職と別れの言葉)」といったものがあります。
そんなシクラメンには、色ごとに異なる花言葉があります。ここでは、それぞれの色合いが持つ花言葉について詳しく見ていきましょう。
白色
白色のシクラメンには、「清純」「綿密な判断」「思いやり」「誠実」といった澄んだ印象の花言葉が込められています。白という色そのものが持つ無垢さや純粋さ、潔さが反映されたもので、相手を気遣う気持ちや誠意を静かに表現できる色として親しまれています。
また、「綿密な判断」という花言葉に白が象徴する落ち着きや冷静さが由来しており、知性や慎重さを備えた印象を相手に与えてくれます。
やわらかく清らかな雰囲気をまとった白色のシクラメンは、リビングや寝室など、日常の空間にやさしいアクセントを添えてくれる存在です。飾る場所を選ばないため、自宅用にはもちろん、幅広い年代への贈り物としても喜ばれるでしょう。
ピンク色
ピンク色のシクラメンには、「憧れ」「内気」「はにかみ」といった可憐で控えめな印象の花言葉が込められています。やわらかなピンクが持つあたたかさや寄り添うようなやさしさが背景となり、見る人の心を穏やかにしてくれる色として親しまれています。
特に、「憧れ」という花言葉は尊敬の気持ちをそっと伝えたいときにもふさわしく、目上の方への贈り物として選ばれることも多いです。明るさと上品さを兼ね備えたピンク色のシクラメンは、贈り物にも部屋の彩りにも取り入れやすい魅力を持っています。
赤色
鮮やかな赤色のシクラメンは美しく、高い人気を誇っています。しかし、赤色のシクラメンには「嫉妬」という花言葉がつけられているので注意が必要です。
これは赤色のシクラメンが燃え上がる炎のように見えたことに由来しており、燃え上がる嫉妬心になぞらえてつけられたといわれています。シクラメンは、和名だと「篝火花(かがりびばな)」といわれており、これはそり返った花びらが篝火のように見えることに由来しています。
青色・紫色
青色や紫色のシクラメンは流通量が少なく、希少性の高い色として知られています。落ち着いた涼やかな色合いが特徴で、見る人に静かな美しさを感じさせる存在です。
花言葉は「遠慮」「恥じらい」「思いが響き合う」などであり、どこか奥ゆかしく控えめな気持ちを丁寧に表現する言葉が並びます。これは、うつむくように咲くシクラメンの可憐な姿が、慎ましい心情を象徴していることに由来しています。
定番の白色や赤色などとは異なる落ち着いた青色や紫色は、特別感のある贈り物としても人気があります。シックな空間にもよく馴染むため、大人っぽい雰囲気を演出したいときや他とは少し違った花を贈りたい場面にぴったりです。
シクラメンの花言葉の由来
シクラメンの花言葉の由来はある伝承に関係しているといわれています。
| その昔、イスラエルのソロモン王が王冠をつくらせるため、国中の冠職人を集めました。
冠職人たちは宝石や黄金をふんだんに使った豪華な王冠をつくり、ソロモン王に献上しました。しかし、豪華な王冠はどれも似たり寄ったりで、ソロモン王はなかなか納得しません。そんなある日、ソロモン王は恥ずかしそうにうつむいて咲くピンク色のシクラメンを見つけます。ピンク色のシクラメンは、「私の形を使ってください」と恥ずかしそうにささやきました。 |
このような背景から、シクラメンには「はにかみ」や「遠慮」という花言葉がつけられました。
シクラメンの花言葉に怖い意味はある?
結論からいうと、シクラメンの花言葉にも「怖い」という印象を与える花言葉は存在します。上述したように、赤色のシクラメンには「嫉妬」という花言葉があり、この花言葉は人によっては怖いイメージを持たれることがあります。
そのため、「贈っても大丈夫?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、赤色のシクラメンは贈り物の定番となっているため、それほど深く気にする必要はないでしょう。
どうしても心配という場合は、他の色を選ぶか、赤と白のグラデーションのシクラメンを選んでみてはいかがでしょうか。それに加え、贈る際はメッセージカードを添えて説明しておくとより安心です。
シクラメンの種類
シクラメンの原種は主に地中海沿岸~中近東に分布する19種類がありますが、華やかな花の人気から品種改良が活発で新しい園芸品種が多いです。大輪花の在来系やパステルカラー系統の中大輪花、明るい色彩が多いF1系、小型花のミニ系など、大きさや色味もさまざまです。
ここでは、シクラメンの中でも特に人気の種類の特徴や魅力などについて具体的に解説します。
ガーデンシクラメン
ガーデンシクラメンは、寒さに強い性質を持つように改良されたシクラメンの園芸品種であり、冬の花壇でも楽しめる丈夫さが魅力です。
一般的なシクラメンは室内向きですが、ガーデンシクラメンは耐寒性が高いため、屋外でも色鮮やかな花姿を保ちやすく、冬のガーデニングに欠かせない植物として親しまれています。ただし、地域によっては真冬の厳しい寒さで弱ってしまうこともあるため、気候に合わせた管理が大切です。
ガーデンシクラメンは花壇への植え込みはもちろんのこと、クリスマスやお正月の寄せ植えにもよく用いられており、季節感のある演出を手軽に楽しめる点でも人気を集めています。落ち着いた色から華やかな色まで品種が豊富なため、冬の庭や玄関先を明るく彩ってくれる存在として重宝されている種類です。
シクラメン・コウム
シクラメン・コウムは、原種シクラメンの中でも特に人気の高い小型種です。草丈はおよそ5~10cmとコンパクトであり、丸みのある葉と可憐な小花が特徴です。白色や淡いピンク色、紫色など、自然のやさしさを感じさせる落ち着いた色合いが揃っています。
シクラメン・コウムは原種ならではの強健さを備えており、耐寒性・耐暑性のどちらにも優れているため、鉢植えはもちろんのこと、庭植えでも育てやすい品種です。育てやすさとかわいらしさを兼ね備えたシクラメンなため、初心者でも安心して育てることができるでしょう。
シクラメン・ローゼス
シクラメン・ローゼスは、シクラメンの中でも珍しい万重咲きの品種です。幾重にも重なる花びらがふんわりと広がり、まるで小さなバラのような可憐な姿を見せてくれます。1輪ずつにしっかりとした存在感があり、鉢全体が華やかな印象になることから贈り物としても高い人気があります。
また、花粉がほとんど出ない上に花が傷みにくく、長い期間美しい状態を楽しめる点も魅力の一つです。冬の季節に咲くシクラメン・ローゼスは寒い時期の室内を明るく彩り、品のある華やぎを添えてくれます。バラのようなロマンチックさとシクラメン特有のかわいらしさを併せ持った特別感のある品種といえます。
シクラメン・セレナーディア
シクラメン・セレナーディアは、サントリーフラワーズが手がける独自品種で、「青いシクラメン」としても親しまれています。一般的なシクラメンには少ないブルー系の色味が特徴で、澄んだ空気のように爽やかな青色はひと目で心を奪われる美しさを持っています。
シリーズの中には、清涼感のある香りが楽しめる「アロマブルー」、八重咲きのやわらかな花姿が魅力の「ライラックフリル」などがあり、それぞれ異なる表情を楽しめます。個性的でありながら上品さも兼ね備えたシクラメン・セレナーディアは、冬の贈り物やインテリアとして周囲を明るく彩ってくれるでしょう。
シクラメン・ヘデリフォリウム
シクラメン・ヘデリフォリウムは原種シクラメンの一つであり、秋に花を咲かせることから「秋咲きシクラメン」とも呼ばれています。小ぶりで可憐な花をつけ、白色やピンク色などの自然に寄り添うような色合いが多く、落ち着いた季節にそっと寄り添うような魅力があります。
耐寒性が高く比較的丈夫な点も特徴で、適した環境に根づくと地面一面に広がるように群生するため、美しいグランドカバーとしても活躍します。季節の移ろいとともに楽しめる原種シクラメンとして、ナチュラルガーデンを好む方にも人気の品種です。
シクラメンの育て方

シクラメンを長く元気に楽しむためには、品種の特徴に合わせた適切な環境づくりが大切です。ここでは、家庭でシクラメンを育てる際に押さえておきたい基本のポイントを紹介します。
植付け
購入したばかりのシクラメンは、花鉢であれば1年目はそのままの状態で育てます。ガーデンシクラメンなど、花壇や寄せ植えにする場合には浅植えにしましょう。
シクラメンは湿気に弱く球根が腐りやすいので、植付けのときは球根の頭が少し出るくらいが最適です。
置き場所
花鉢の場合は、室内に置いて育てます。レースカーテンのある明るい窓辺や玄関先に置くと良いでしょう。ただし、室内で育てるシクラメンは耐寒温度が5℃程度なので、寒冷地での夜は気温が下がる窓辺などは避けてください。
ガーデンシクラメンなどを土に植える場合は、日当たりが良く風通しの良い場所に植えるのがおすすめです。寄せ植えに使用する場合は、霜が降りる寒い日には軒下などに移動すると安心です。
水やり
シクラメンの水やりは、土が乾いたらたっぷり与えます。水やりのときに葉や花に直接かけると湿気が多くなり、病気にかかりやすくなるので気をつけてください。水やりをする際は、葉を持ち上げてやさしく与えるようにしましょう。
一方、花壇に植える場合は、水やりで土の跳ね返りを防ぐためにバークチップなどを敷くと病気対策に有効です。底面給水タイプの場合は、鉢底の水が少なくなったら7分目を目安に水を足してください。底面給水の水や受け皿が汚れていたら、時々洗って清潔な状態を維持しましょう。
用土・肥料
シクラメンは、水はけの良い土を好みます。シクラメン用の土を使用するか、培養土に「赤玉土・小」を混ぜて排水性を良くしておくと良いでしょう。
肥料は休眠期には不要ですが、秋~花が終わるころの成長期には月に1回程度の肥料を与えます。花が咲いている間は即効性のある液体肥料を与えて栄養を補給するのがおすすめです。
夏越し
シクラメンの夏越しには、「葉を残す方法」と「球根の状態にする方法」の2種類があります。
葉を残す方法は、休眠期の夏も葉をつけた状態にして日陰に置き、土が乾燥したら水やりをします。シクラメンの球根は高温多湿に弱いので、水のやりすぎで球根が腐らないように注意してください。
一方、球根の状態にする方法は花が終わり葉が枯れてくる5月ごろに枯れた葉を取り除き水やりを完全に停止して球根を乾燥させます。夏を越して秋になったら水やりを再開して、芽が出るのを待ちましょう。
冬越し
シクラメンは冬に花が咲きますが耐寒温度が5℃と低い品種が多く、日本の寒さには弱いです。特に寒冷地では、寒さで枯れてしまわないように注意する必要があります。
また、水不足や肥料不足、多湿による病気などでも株が弱ってしまうので注意してください。シクラメンを室内で育てる際は、あたたかい日中に外に出して日光浴をすると株が元気になるので、できるだけ出すようにすると良いでしょう。
シクラメンを育てる際に注意すべき病害虫
シクラメンは、気をつけて育てないと病気にかかりやすい植物でもあります。特に室内で育てる場合は、風通しが悪く湿気がこもることでカビの原因になったり、虫が好む環境になったりする可能性が高いです。
最後に、注意すべき病気や害虫について解説するので、育てる際に役立ててください。
病気
シクラメンの病気には、主に萎凋病や炭疽病、軟腐病、灰色カビ病、葉腐細菌病、モザイク病などが挙げられます。
シクラメンの病気の多くは多湿によるものが多いです。シクラメンを植えるときは、球根を浅くして水やりに注意しながら病気を防ぎましょう。
害虫
シクラメンにつく害虫としては、アブラムシやアザミウマ、エカキムシ、ハダニ、ナメクジ、ネキリムシ、ヨトウムシなどが挙げられます。風通しが悪い室内で発生することが多いので、病気の対策と同じように水やりに注意しながら風通しの良い環境で育てるのが肝心です。
また、古い土には虫の卵が住みついていることもあるので、なるべく清潔な土を使用すると安心です。
まとめ
花が少なくなる冬の時期に庭や部屋を鮮やかに彩ってくれるシクラメン。「はにかみ」「遠慮」「気後れ」「内気」といった花言葉を多く持つシクラメンですが、赤色のシクラメンには「嫉妬」という花言葉があります。赤色のシクラメンは贈り物としても定番なので神経質になりすぎる必要はありませんが、気になる方はメッセージカードなどを添えて贈ると安心です
ぜひ本記事を参考に、お祝いのときやお世話になった方への贈り物にシクラメンを選んでみてはいかがでしょうか。

