エキゾチックな個性派!ネイティブフラワーとはどんな花?
個性豊かな姿を持っているネイティブフラワーは、近年のドライフラワーやスワッグブームで人気を博している、エキゾチックな雰囲気を持った花々です。
一般的な品種とは一線を画していて、独特のフォルムや鮮やかな色彩、質感が魅力的なお花たちですが、どんな種類があるのでしょうか。
この記事では、花束やアレンジメント、ドライフラワーとしても楽しめるネイティブフラワーの素晴らしさについて、魅力をたっぷりと探っていきます。
ネイティブフラワーとはどんな花?
ネイティブフラワーとは花の名前ではなく、オーストラリアや南アフリカなどの特定の地域に自生する花々の総称です。
ネイティブフラワーもしくはワイルドフラワーとも呼ばれています。市場ではネイティブフラワーという名前で売られていないので、買い求める際には注意してくださいね。
大地のエネルギーをたっぷり受け止めたかのような、美しさの中にも野性的な力強さが漲る植物です。個性的なフォルムや色彩から、一本でも存在感を放ちます。他の花との組み合わせも楽しめるので、アレンジメント用の花材にも向いています。
ネイティブフラワーが人気の理由
乾燥地帯や暑い地域を原産地とするネイティブフラワーは、日本の夏の暑さにも強く、乾燥や厳しい条件下でも美しい姿を保ちます。
フラワーギフトのアクセント以外にも、自宅に飾る花束やインテリア装飾としても人気があり、ドライフラワーとしても楽しめる点も人気の理由です。一本でも存在感は十分ですが、他の花材と組み合わせれば個性的な装飾として楽しめます。
ここでは、ネイティブフラワーが人気な理由を、詳しくご紹介していきます。
暑さに強い
暑い夏は、多くの花が傷みやすく枯れやすい季節です。夏の厳しい条件下でも鮮やかな色合いの花を美しく保つのは、一筋縄ではいきません。そこで重宝されるのがネイティブフラワーです。暑さにも乾燥にも強く、色褪せにくいネイティブフラワーは、夏場に大活躍します。
夏に誕生日を迎える方へのプレゼントや、お中元のフラワーギフトとしてネイティブフラワーを取り入れれば、ワイルドな雰囲気で夏らしさを演出できるだけではなく、ギフトとして美しい状態で長く楽しんでもらえるのです。
アレンジがしやすい
日本に輸入されてくるネイティブフラワーは、もともとの見た目がドライ状態のように見える品種もありますが、本来はみずみずしく鮮やかな生花で販売されています。
乾燥前のネイティブフラワーは、花の香りや柔らかさなど、生花ならではの味わいが魅力です。生花からドライへと変化しても、花の雰囲気がほとんど変わらないので、生花の美しさをほとんど損なわずドライフラワーとして楽しめます。
近年人気が高いスワッグは、生花の状態で作って飾りながら乾燥させていく変化を楽しめる装飾アイテムです。このスワッグ作りにはネイティブフラワーがぴったりで、ユーカリの葉や実などはスワッグの定番素材ともいえます。
主に人気のネイティブフラワー
市場で特に人気を集めているネイティブフラワーの品種は数多くあります。その中でも、特に人気の高い品種を15種類ご紹介します。
それぞれが独自の個性を放ち、花束やインテリアデザインに魅力的なアクセントを与えてくれるものばかりです。気に入った品種があれば、ぜひ店頭で探してみてくださいね。
カンガルーポー
科・属 | ハエモドルム科アニゴザントス属 |
学名 | Anigozanthos |
英名 | Kangaroo Paw |
原産地 | オーストラリア |
花言葉 | 不思議・驚き |
カンガルーポーは、カンガルーの前足の爪に似た花の形が特徴的なネイティブフラワーです。学名の「Anigozanthos(アニゴザントス)」はギリシャ語で「開いた花」という意味です。花色には暖色系の赤やオレンジ、黄などが多く、中には緑色の品種もあります。
カンガルーポーには細い毛が生えていますが、ふわふわというよりカサカサとした触り心地です。ドライフラワーにも向いており、フレッシュな状態とドライにした状態で、あまり差が感じられません。市場では多く見かけない珍しい品種です。
キングプロテア
科・属 | ヤマモガシ科プロテア属 |
学名 | Protea cynaroides |
英名 | King protea |
原産地 | 南アフリカ |
花言葉 | 「王者の風格」「自由自在」「豊かな心」「華やかな期待」「栄光」 |
キングプロテアは原産地である南アフリカの国花で、まさに花の王様と呼ぶにふさわしいネイティブフラワーです。名前を知らなくても見覚えがあり、ネイティブフラワーとして真っ先にイメージされる品種といっても過言ではありません。
見事なピンク色の花径は大きく、豪華な雰囲気が漂っています。花色は赤がポピュラーですが、白い品種も存在しており、赤よりも白のほうが価格が高く、2倍以上の値段で取引されることもあるそうです。
たくさんの小さな花が集まってひとつの花のように見えています。花びらのように見える部分は萼(がく)で、外側には細かな毛が生え、ふわふわした触り心地です。
クラスペディア
科・属 | キク科クラスペディア属 |
学名 | Craspedia globosa |
英名 | Drumstick, Gold Stick |
原産地 | オーストラリア・ニュージーランド |
花言葉 | 「永遠の幸福」「心の扉をたたく」「個性的」 |
クラスペディアは、黄色のポンポン状の花がユニークなネイティブフラワーです。その特徴的なフォルムは木琴のばちのようです。
乾燥させても美しい黄色を保ち、インテリアや装飾にも適した花として、切り花でもドライフラワーでも人気です。
品種は黄色の1種類ですが、咲き具合やポンポンの大きさで異なる印象を与える植物です。ふんわりとした花が優雅な雰囲気を醸し出す一方、力強く大きな丸い花は強い存在感があります。
クリスマスブッシュ
科・属 | クノニア科ケラトペタラム属 |
学名 | Ceratopetalum gummiferum |
英名 | New South Wales Christmas Bush |
原産地 | オーストラリア |
花言葉 | 「気品」「清楚」 |
美しい星形の赤い花を持つクリスマスブッシュは、オーストラリアのニューサウスウェールズ州に自生するネイティブフラワーです。
ケラトペタラム属のほとんどはオーストラリア東部に自生しており、クリスマスブッシュは観賞用として栽培されています。小さい花が集まって豪華な見た目を生み出していますが、真っ赤な花は花びらではなく、萼部分が発色しているんです。
古くから人気を博してきたクリスマスブッシュですが、収穫に制約があって採取が難しい品種でもあります。限られた時期にしか出会えない希少な花で価格は高価ですが、花持ちが良いため贈り物や飾りとして人気があります。
グレビレア
科・属 | ヤマモガシ科グレビレア属 |
学名 | Grevillea |
英名 | Grevillea |
原産地 | オーストラリア |
花言葉 | 「情熱」「平和」「あなたを待っています」 |
グレビレアは、オーストラリア原産の固有種で、多様な品種が存在します。比較的育てやすく、鉢植えでも育てることが可能です。日本の夏の気候にも順応して手入れも簡単なため、庭木や店舗飾りとしても選ばれるネイティブフラワーとなります。
花弁に見える部分は総苞で、複数の雌しべが優雅に広がり「くるり」と巻いた独特な形状に開花するのが特徴です。一般的なものは円柱形状で、花の形がブラシに例えられますが、品種によっては、花が蜘蛛の巣のように見えるものや、歯ブラシのように雌しべが伸びるものがあります。花色には、赤やピンク、オレンジ、黄色、クリーム色などの暖色系以外にも、寒色系の紫や複色タイプがあるため、さまざまな色を楽しむことができるでしょう。
セルリア
科・属 | ヤマモガシ科セルリア属 |
学名 | Serruria |
英名 | Serruria, Blushing Bride |
原産地 | 南アフリカ |
花言葉 | 「ほのかな思慕」「可憐な心」 「優れた知識」 |
セルリアは40種以上にも及ぶ品種が存在するネイティブフラワーです。オーストラリアで生産されて日本に入ってくるため、オーストラリアが原産だと思われがちですが、南アフリカが原産地です。
鉢植えとしてはあまり流通せず、切り花として多く販売されています。「セルリア・フロリダ」という品種は、故ダイアナ妃のウェディングブーケに使用された品種として有名です。それにちなんで「Blushing Bride(はにかんだ花嫁)」という英名を持っています。優しく儚げな花姿が魅力的ですね。セルリアを花束やアレンジメントに加えると、優雅さと美しさがさらに引き立ちます。特別な日のフラワーギフトにもぴったりといえるでしょう。
バンクシア
科・属 | ヤマモガシ科バンクシア属 |
学名 | Banksia |
英名 | Australian honeysuckle |
原産地 | オーストラリア |
花言葉 | 「心地よい孤独」「勇気ある恋」 |
バンクシアは、一般的にはドライフラワーとして販売されている品種です。複数の小さな花が集まって大きな花のように見える「頭状花序」で形成されていています。さらに短く細かい毛が生えているので、触り心地はふさふさとして居るのが特徴です。
バンクシアは生花とドライ状態の見た目に違いがあまりなく、飾っているうちに自然とドライになっていきます。ただし、水に浸かった部分からカビが生えてしまうので、茎が傷む前にすばやく乾燥させるのがおすすめです。
ピンクッション
科・属 | ヤマモガシ科レウコスペルマム属 |
学名 | Leucospermum |
英名 | Pincushion |
原産地 | 南アフリカ |
花言葉 | 「どこでも成功を」 |
ピンクッションは名前のとおり、裁縫箱の針山のような姿をしたネイティブフラワーです。中央からふんわりと開いていく花の様子が美しく、たくさんの針がクッションに刺さったような不思議な形状をしています。開花時期が3月〜なので、春先から生花店でも見かけることができるでしょう。湿気や暑さを嫌う植物なので、真夏時期はあまり流通しません。花色は暖色系が多く、鮮やかな色合いのピンクッションは、ホテルや店頭などでもよく飾られています。
フランネルフラワー
科・属 | セリ科・アクチノータス属 |
学名 | Actinotus helianthi |
英名 | Flannel flower |
原産地 | オーストラリア |
花言葉 | 「高潔」「誠実」 |
フランネルフラワーは、柔らかな毛織物のようにふわふわとした感触が特徴的なネイティブフラワーです。花や葉、茎には細かい毛が密集しており、ネルシャツの素材であるフランネルのような触り心地を楽しめます。
主に切り花として輸入されていましたが、近年では日本での品種改良が進んで、鉢植えも出回るようになりました。清楚な白い花なので、ブライダルシーンにも多く使われています。
花色は白や複数色があり、葉はシルバーがかったグリーンの涼しげな色合いです。花が見頃のうちに風通しの良い場所に吊るしておくと、手軽にドライフラワーを作れるでしょう。
ヘリコニア
科・属 | オウムバナ科オウムバナ属 |
学名 | Heliconia |
英名 | Easter heliconia, Lobster claw |
原産地 | 熱帯アメリカ |
花言葉 | 「注目」「風変りな人」 |
ヘリコニアは、ロブスターのはさみのようなユニークな形が特徴の、ネイティブフラワーです。原産地は熱帯アメリカで、ヘリコニアが鳥媒花であるために、自然交雑による約80種類もの品種が存在していると言われています。
かつてはバショウ科に分類されていましたが、今ではオウムバナ科として認識されています。茎に見える部分は、葉鞘が茎を幾重にも重なって外見を上茎のように見せる偽茎です。実際の増殖は地下茎で行なわれます。
花を包んだ部分の花苞がオウムのくちばしに見えることから、「オウムバナ」の呼び方で親しまれています。
ユーカリ
科・属 | フトモモ科ユーカリ属 |
学名 | Eucalyptus melliodora |
英名 | Eucalyptus |
原産地 | オーストラリア |
花言葉 | 「思い出」「新生」「再生」「記念」「永遠の幸せ」 |
ユーカリのナチュラルで可憐な葉は、見た目も可愛いので、花束やフラワーアレンジメントに多く用いられます。
花束やフラワーアレンジメントでは主に葉が使われますが、品種によって実を楽しめるものもあり、ユーカリ・テトラゴナなどの品種は実を楽しむネイティブフラワーとして有名です。
テトラゴナは実の形が四角く、触れると白い粉のようなものが付きます。実も楽しめて香りの良いユーカリは、花束やアレンジメントに添える自然なアクセントとして優秀です。
ライスフラワー
科・属 | キク科オゾタムヌス属 |
学名 | Ozothamnus rosmarinifolius |
英名 | Rice flower, White dogwood |
原産地 | オーストラリア・南アフリカ |
花言葉 | 「豊かな実り」 |
ライスフラワーは、つぼみが米粒のように見えることから名付けられたネイティブフラワーです。個々の花は小さいですが、集まると豊かなボリュームを出すことができるので、花束やフラワーアレンジメントの素晴らしい脇役となります。
開花した姿よりもつぼみの状態が人気で、もこもことした愛らしい外見は華美になりすぎず、アレンジメントの華やかさを引き立てることができるでしょう。
ブライダルシーンの装飾としても人気です。細長い葉からはハーブのような香りがして、乾燥させても花がほとんど落ちることなく、美しい姿を長く楽しめます。
リューカデンドロン
科・属 | ヤマモガシ科リューカデンドロン属 |
学名 | Leucadendron |
英名 | Silver tree |
原産地 | 南アフリカ |
花言葉 | 「閉じた心を開く」「物言わぬ恋」「沈黙の恋」 |
リューカデンドロンは、さまざまな品種があり、葉の色も赤系からグリーン系まで多様な種類が存在します。リューカデンドロンの花は、苞葉という部分に隠れているため、見つけるのが難しいです。しかしながら、夏の花束やワイルドフラワーのブーケを中心によく使われます。花を観賞するための植物ではなく、苞葉が花を包む美しさを楽しむお花のようです。
飾っているうちに枯れることはほとんどありませんが、葉先が黒っぽく変色してくると、見頃が終わりの合図なので、処分をしましょう。
ワックスフラワー
科・属 | フトモモ科カメラウキウム属 |
学名 | Chamelaucium |
英名 | Wax flower, Wax plant |
原産地 | オーストラリア |
花言葉 | 「繊細」「かわいらしさ」 |
ワックスフラワーのつるつるとした質感は、光沢感があってまるで造花のようです。光が当たるとつやつやと輝く、ロウが塗られたような特徴的な見た目から、ワックスフラワーと名付けられました。
手で触れてみると、一般的な花びらはしっとりとしているのに、ワックスフラワーはしっかりとしていることが分かります。
花束やアレンジメントにも多く使われ、花の色は白やピンクなどが一般的ですが、近年では染料を用いたカラフルなワックスフラワーも登場しているため、イメージに合わせて花色を変えることができるでしょう。
まとめ
ネイティブフラワーは豊かな色彩と独特の個性を持ち、花束やインテリアデザインをより華やかに彩るアイテムです。一本で際立つ存在感を放ちながら、アレンジメントに馴染む花材としても使用することができるマルチな植物でもあります。ドライフラワーとしても楽しめる点も魅力です。
夏にはネイティブフラワーをお家に飾って、花の生命力を感じてみてはいかがでしょうか。