選挙の出陣式とは?お祝いに贈るお花とマナー
選挙の出陣式とは、選挙事務所で支援者や候補者を集めて行われる行事のことで、選挙の出陣式では、事務所を華やかに彩る胡蝶蘭や生花のアレンジメントが贈られるケースが多いです。
特に選挙活動において、支援者の名前が入った豪華な胡蝶蘭が事務所に並ぶのは恒例になっており、候補者の人脈の広さをアピールするという重要な役割も担っています。
選挙活動期間における贈り物に関しては、公職選挙法と政治資金規正法を順守して、マナーを守って手配することが大切です。
この記事では、選挙の出陣式に贈るお花のマナーと気を付けたいポイントについてわかりやすく解説します。
出陣式とは?
選挙の出陣式は、候補者が選挙管理委員会に立候補の届け出をしたあとで、支援者や関係者を集めて行われる決起集会のことです。
出陣式は、候補者本人と選挙関係者、支援者の士気を上げるために開催される行事で、決起集会を行ったあとで選挙カーの出陣を見送るのが恒例となっています。
選挙戦には、候補者や関係者を応援するための華やかな胡蝶蘭やフワラーアレンジメントが欠かせません。特に胡蝶蘭が並ぶ姿は、候補者への期待の大きさの象徴でもあるため、数多くの関係者から当選を願ってお花が贈られます。
選挙期間に関する花贈りは法律を順守することが大切
選挙期間中、候補者の事務所にお祝いの胡蝶蘭が並ぶ様子を見たことがあるという人は多いのではないでしょうか。事務所に並ぶ胡蝶蘭は、候補者の支援者や関係者から届けられたお祝いのお花です。
選挙に関する贈り物をする際には、公職選挙法と政治資金規正法という2つの法律を順守して手配することが大切です。
万が一、自分が手配した贈り物が公職選挙法違反と見なされれば、選挙違反で検挙されることになり、最悪の場合、候補者が選挙活動を続けられなくなる可能性も出てきます。
そのため、この2つの法律をしっかり守って、候補者に応援のエールを届けましょう。
贈る期間に注意する
公職選挙法第129条において、選挙運動が可能な期間が定められています。
また、公職選挙法では、候補者にお酒やお菓子などを差し入れすることはできない(ミカンやリンゴ程度の果物とお茶請けのお菓子をのぞく)という法律もあります。
その点、胡蝶蘭やフラワーアレンジメントを含むお花は、公職選挙法違反になる品物に該当する可能性がないので安心して贈ることが可能です。
ただし出陣式にお花を贈る際も、念のため公示日(国民に正式に選挙の立候補者が発表される日)以降の、選挙期間中に手配するのが安心です。
出陣式に贈るお花は選挙事務所宛に手配しますが、厳密には公示日以前に選挙事務所を開設することはできません。
そのため公示日より前にお祝いを手配する際は、選挙の事前活動を行っているとみなされないためにも「選挙事務所宛て」ではなく「後援会事務所宛て」として手配するよう配慮しましょう。
必ず個人名義で手配する
政治資金規正法第21条において、会社、企業、団体から候補者にお祝い(お花も含む)を贈ることは禁止されています。これには企業だけでなく、労働組合なども含まれます。
そのため、お花を手配する際は必ず個人名義で手配し、贈り主の住所にも会社の住所などを使用するのは避けましょう。
また、個人が候補者に寄付できる金額は年間150万円以内と決まっています。
お花の金額だけで150万円を超えることは考えづらいですが、お祝いのお花代も金額に換算され、寄付の総額に含まれることは認識しておきましょう。
出陣式の花贈り
出陣式には、支援者から応援の胡蝶蘭や生花のフラワーアレンジメントが贈られます。
選挙は最終的に当選することが目標となるため、候補者が選挙に立候補したことを祝ったり、今後の活動を応援したりする意味で贈るお祝いを戦いになぞらえて陣中見舞いと呼ぶのが一般的です。
出陣式に人気があるのは胡蝶蘭
選挙のお花と聞いて真っ先に胡蝶蘭を思い浮かべる人が多いですよね。
胡蝶蘭は、候補者の人脈の広さや、支援の大きさをアピールするという役割も担っているため、選挙期間中には欠かせないお花です。
また胡蝶蘭には「幸せが飛んでくる」というとても縁起の良い言葉があるので、当選を願って贈る選挙の出陣式のお祝いには最適なお花です。
お手入れが簡単で、尚且つお花が開いた状態を1~2カ月という長い期間楽しめるのも胡蝶蘭ならではのメリットです。
胡蝶蘭のお花がとても長持ちすることから「議員生命が長く続くように」という縁起を担いで選ばれることもあります。
期間の長い選挙であれば、告示日から開票日まで2週間ほどかかる場合もあります。お祝いに胡蝶蘭を選べば、その期間中枯れることなく開票後まで美しい状態を保てるはずです。
生花のフラワーアレンジメントを贈るケースも
出陣式には、花瓶がなくても飾ることができる、生花のフラワーアレンジメントを贈るケースもあります。
フラワーアレンジメントとは、かごなどの器にセットされたオアシスと呼ばれる吸水性のあるスポンジにお花をさし、アレンジしたお花のことです。
花瓶が必要なく、そのままの状態で飾ることができます。またスポンジにお水をさして管理するため、花束よりも手間がかからないので忙しい選挙期間中にはフラワーアレンジメントがおすすめです。
出陣式から選挙戦が始まり、開票日までは数日~長い選挙では数週間かかるので、なるべく日持ちの良いお花で手配してもらいましょう。
出陣式に贈るお花の予算
お花の予算は、候補者との間柄を考慮して決定します。
一般的なお祝いの予算は1万円〜3万円、親しい間柄であれば5万円以上の高級なお祝い花を手配するケースもあるようです。
候補者が選挙期間中に受け取った品物に関してはすべて寄付と見なされ、金額に換算され選挙が終わった後で、収支報告書に記載されます。5万円以上の品物を贈った場合は、寄付した人の氏名、住所、寄付金額が官報に掲載されることも知っておきましょう。
胡蝶蘭は大輪、3・5・7本立てを選ぶ
胡蝶蘭であれば、大輪(お花の直径が10cm以上のもの)で3、5、7本立ての物がおすすめです。
胡蝶蘭は一鉢に植えこまれている茎の本数に種類があり、その本数を立て数と呼びます。
当選を願って贈るため、4(死)、9(苦)の縁起の悪い立て数は避け、吉数である奇数の3、5、7本を選ぶのがマナーです。
また胡蝶蘭は、お花のサイズによってミディ、中大輪、大輪と分かれています。選挙の出陣式に贈られるのはほとんどが大輪の胡蝶蘭です。
他の支援者からの胡蝶蘭と並んだときに見劣りすることのないように、大輪で花数が多く、見栄えのするものを選ぶと良いでしょう。
フラワーアレンジメントは華やかなものを
フラワーアレンジメントであれば、1万円以上、予算に合わせて見栄えのするお花で依頼するのが良いでしょう。また、より高さがあり、豪華に見えるスタンド花が手配されるケースもあります。
ただし選挙期間中は慌ただしいことが予想され、事務所のお花の管理をしている時間はなかなかありません。そのため、選挙の出陣式にはフラワーアレンジメントよりお手入れが簡単な胡蝶蘭が選ばれるケースが多くなります。
また開催される選挙の種類によっても、選挙戦の期間が異なります。
2週間ほどの長丁場になる選挙戦においては、フラワーアレンジメントの日持ちがしない可能性が高いので、選挙期間が短い場合や花持ちの良い時期の選挙戦に贈るのがベストと言えるでしょう。
お花と一緒に現金を贈る場合は、選挙期間中に手配する
選挙期間中以外の事務所開設祝い、当選祝いなどに現金を贈ることはできません。
お花と一緒にお祝いを現金で手配する場合は、金額にふさわしいのし袋に入れ、表書きは「御祝」「陣中見舞い」とするのが一般的です。
使用する水引は、紅白の蝶結びのものが望ましいですが、あくまでも寄付に該当するので白無地の封筒を使用しても問題ないとされています。
出陣式に贈るお花の色はどう選ぶ?
出陣式は、候補者や関係者、支援者の士気を高めるためのイベントなので明るく元気の出る色味のお花がおすすめです。
胡蝶蘭であれば、選挙の出陣式には明るく誠意のあるイメージの白色の胡蝶蘭が特に人気があります。フラワーアレンジメントであれば、その時期の季節のお花を使用した明るい雰囲気のアレンジメントがおすすめです。
出陣式の花贈りに選びたい胡蝶蘭の色
候補者の誠実なイメージを高める効果もあることから、一番人気があるのは白色の胡蝶蘭です。
ラッピングで候補者のイメージカラーを選んだり、華やかに見える赤やピンク色、あるいは誠実さが感じられるブルー系のラッピングを選んだりすればより豪華に見せることができます。
他にも白より優しいイメージのあるピンク色、縁起を担いで贈る赤リップ(白色の花びらで、中央のリップと言われる部分が赤い胡蝶蘭)もよく選ばれています。
ただし、選挙の出陣式のお祝いには、金銭をイメージさせる黄色の胡蝶蘭や黄色、金色のラッピングを選ぶのは避けましょう。
選挙戦において、金銭のイメージがあるのは候補者のイメージダウンにつながります。金色は華やかに見え、お祝いにもふさわしいとされることも多い色ですが、選挙の出陣式にはふさわしくないことを覚えておきましょう。
出陣式の花贈りに選びたいフラワーアレンジメントの色
フラワーアレンジメントでは、季節のお花を取り入れた明るい色を選びます。
当日は他の支援者や関係者からも数多くのお花が届くので、見劣りしないように華やかに見えるアレンジメントを依頼するとよいでしょう。
事務所の規模が大きい場合には、スタンド花を手配することができます。ただしスタンド花を依頼する場合は、後日スタンドの回収などお花屋さんと事務所とのスケジュール調整も必要です。候補者や選挙スタッフの負担とならない方法で手配しましょう
また選挙の候補者はそれぞれ、自身のイメージカラーを掲げて選挙運動を行うケースも多いです。
その場合は候補者のイメージカラーに似合った色のお花を選ぶと喜ばれます。
それぞれが掲げるイメージに合わせて、白色(清純)、青色(誠実)、ピンク(親しみやすさ)、赤色(情熱的)など、候補者の人柄や政策に見合った色選びをするのもおすすめです。
出陣式のお花には立て札を付けて贈る
選挙の出陣式のお花には、立て札を付けて贈るのがマナーです。
当日はたくさんの関係者、支援者からのお花が届くため、贈り主をはっきりさせるためにも立て札は必ず付けて手配しましょう。
立て札には「お祝いの文言・贈り主の名前・贈り先の名前(省略することも可)」を記載します。また選挙の出陣式に贈るお花には、紙札ではなく木札を使用するのが一般的です。
立て札の表書き
立て札の表書きには「陣中見舞い」「必勝」「祈念必勝」などの文言を赤文字で記します。
事務所に並ぶ胡蝶蘭には、候補者の人脈の広さを示す役割もあるため「表書き+贈り主の名前」を記載するのが一般的です。
立て札を手配する際も、必ず個人名で記載し「~一同」のような組合と認識される恐れのある表現は極力避けるのが望ましいでしょう。
メッセージカードを添える場合は忌み言葉に注意
より応援の気持ちが伝わるように、候補者に向けたメッセージカードを添えると喜ばれます。
その場合は選挙活動の先行きを曇らせるような「落ちる」「滑る」「負ける」「倒れる」などの忌み言葉は避けるよう配慮しましょう。
立て札を立てた場合にも、メッセージカードを添えることが可能です。今後の選挙戦を鼓舞するような、明るい応援のメッセージが好まれます。
他にもある、選挙関連の花贈りのタイミング
選挙に関する花贈りには、出陣式以外にも、お花を贈ることができるタイミングがあります。
事務所の開設が行われた際は、開設祝いを、無事当選した際には当選祝いをそれぞれ適切なタイミングで手配しましょう。
それぞれのお祝いのタイミングで、お祝いに贈ることができる品物が異なります。
少しでも不安なことがあれば、事前に選挙事務所に確認し候補者の選挙戦の妨げになることのないように配慮しましょう。
事務所開設祝い
選挙の事務所開きが行われる際にもお花を贈ることができます。
事務所開きが行われるタイミングでは、まだ必要最低限の品物しかそろっていないことがほとんどなので、事務所を華やかに彩ってくれる胡蝶蘭やフラワーアレンジメントを贈ると喜ばれます。
選挙においては縁起を担ぐことを考慮して、事務所開きは大安に行われることが多いです。
事務所祝いに訪れるようであれば、当日持参するとよいでしょう。配送で贈る場合、当日が大安でない場合は一番近い大安の日を選んで手配するのが望ましいです。
また事務所の開設は選挙の公示日(国民に公式に選挙の日程や候補者が知らされる日、選挙活動の開始日)以前に行われることもあります。
選挙期間中以外の候補者への金銭を寄付することは禁止されているので、胡蝶蘭と一緒に金銭の寄付をしたい場合は、必ず「公示日以降~開票日の前日まで」に手配するように気を付けましょう。
当選祝い
当選祝いにも、お祝いムードを盛り上げる華やかな胡蝶蘭やフラワーアレンジメントが並びます。
当選が確定したら、まずは電話などでお祝いの気持ちを伝え、当選から一週間以内に配送でお花を手配するとよいでしょう。速報などで当選確実の表示が出ていても結果が覆ることも考えられます。必ず正式に当選が決まってからお祝いを贈りましょう。
臨時の事務所を構えていた場合は、選挙の開票後は事務所をたたんでしまうこともあるので、事前に贈り先を確認しておくと安心です。
特に生花の配送は、当日の受け取りができない場合お花屋さんに持ち戻ってしまうケースがあります。再度配送料がかかる可能性もあるので、事前にお祝いを贈りたい旨を伝え、日程を調整しておく方が安心です。
また、当選祝いに現金を贈ることはできません。お花、食べ物、お酒などを含む品物を贈ることはできるので、お祝いの気持ちが直接伝わる胡蝶蘭が数多く選ばれています。自宅に配送する場合であれば、飾りやすいサイズのフラワーアレンジメントも喜ばれるはずです。
法律やマナーを守って、喜ばれる出陣式の花贈りをしよう
選挙の出陣式には、これからの選挙戦を盛り上げてくれる胡蝶蘭やフラワーアレンジメントを贈って応援の気持ちを候補者に届けましょう。
他のお祝いと違って、選挙に関連する贈り物には守らなければいけない法律があります。
心を込めて贈ったお祝いが候補者の選挙戦の妨げとなることがないように、法律やマナーを守って、喜ばれる出陣式の花贈りをしていきましょう。