花束とブーケに違いはある?それぞれの特徴を詳しく解説
普段、花屋さんで注文するときに何気なく使っている花束やブーケという言葉。みなさんは使い分けていますか?
花束とブーケは、どちらも切り花を美しく束ねたもののことをいいます。
日本では花束というと、発表会や誕生日などの贈り物に使われることが多いのに対し、ブーケはウェディングシーンで使われることが多い言葉ではないでしょうか。
実はブーケ(Bouquet)とは、フランス語で花束を意味する言葉です。
そのため本来、花束とブーケは同じものを指しているのですが、日本では使われるシーンや束ねた花の形状によって使い分けられることが多いのが現状となっています。
この記事では、花束とブーケそれぞれを選ぶのにふさわしいシーンや、注文するときのポイントを解説します。
花束とブーケの違い
花束とブーケは本来は同じものを指す言葉ですが、日本ではシーンや束ねた花の形によって使い分けられます。
花束は、誕生日、発表会、入学、卒業などのお祝いごとや、葬儀やお悔やみのシーンに贈られることが多いです。
ブーケは、結婚式やイベント、パーティーなどで贈られるものを指すことが多くなっています。
花束は、お祝いのシーン以外にも、葬儀や法事などお悔やみの花にも使われるのが特徴です。
それに対し、ブーケは主に結婚式の花嫁の持つブーケや、パーティーシーンで使われることが多く、お悔やみのシーンには適さないと考えるのが一般的です。
花束とブーケの形状の違い
花屋さんで厳密なルールが決まっているわけではありませんが、花束とブーケは、束ねた花の形状によっても使い分けられています。
花束は、花を束ねたもの全般のことをいい、切り花の丈を長く残して束ねた縦長のスタイルを指すことが多いです。形は縦長で、ブーケに比べるとボリュームがあるのが特徴でしょう。見栄えがするので、贈答用として発表会や舞台の公演など、人前で渡すようなシーンに適しています。
切り花の丈を長く残した花束は、ブーケとは区別して花屋さんによってはロングブーケやロングタイプ、などと呼ばれることもあります。
ボリューム良く、正面から見たときに美しく見えるように束ねたスタイルなので、お披露目や写真撮影など、見栄えが求められるようなシーンに向いているスタイルです。
ブーケは切り花の丈を短く切りそろえ、丸くアレンジした花束のスタイルであることが多いです。
丈の長い花束と区別して、ショートブーケやラウンドブーケ、と呼ばれることも多いです。
ブーケは花の頭をぎゅっと揃え、全体的にコンパクトに束ねるため、ロングの花束に比べると同じ本数の花を使っても小ぶりになるのが特徴です。
その代わり、全体をラウンド型に束ねるので、結婚式をはじめとするパーティーシーンなどで、どこから見ても美しく見せたいシーンには適しています。
花束とブーケ、それぞれにおすすめのシーン
花束とブーケ、それぞれの言葉の使われ方の特徴を知っておくと、シーンにふさわしい花のスタイルを選ぶことができます。
この項目では、花束とブーケ、それぞれのメリットを紹介していきましょう。
花束(ロングタイプ)のメリット
花束の中でも、ロングタイプと呼ばれる切り花の丈を長く残したスタイルには、以下のようなメリットがあります。
- ブーケと同じ花の本数で作っても、ブーケよりボリュームが出る
- 丈を長く残すので、サイズが大きくなり豪華に見える
- 丈が長いので貰ったあと、自由に生けやすい(花が好きな人におすすめ)
花と花の間に空間を作りながら束ねるので、ブーケと同じ本数で作っても大きく仕上がるのが特徴です。
そのため、舞台上で渡すなどの見栄えの良さが求められるようなシーンや、写真撮影のあるような場面にはロングタイプの花束が向いています。
かわいらしい雰囲気のブーケに比べると、ナチュラルで大人っぽい仕上がりで、草花をふんだんに使った花束や、ラインの美しい花や葉、大きな枝ものを使うときにおすすめしたいスタイルです。
式典のようなフォーマルなシーンとカジュアルなギフトシーン、どちらにも選ぶことができるのもロングタイプの花束の特徴といえます。
ブーケのメリット
ロングタイプの花束に対し、ブーケのメリットは以下の通りです。
- 花の頭をぎゅっと集めて束ねるので、見た目が贅沢に感じられる
- 丈が短いので、コンパクトで持ちやすい
- どの角度から見ても花が美しく見える
花と花をぎゅっと集めて束ねていくのがブーケのスタイルです。
使用する花にもよりますが、全体を丸く、ラウンド型に束ねていくのが特徴なので、コロンとしたかわいらしい雰囲気の花束に仕上がります。
ブーケが選ばれる場面で一番多いのは、ウェディングシーンです。
花嫁さんが持つウェディングブーケは、丈を短くカットしているので持ちやすく、結婚式でさまざまな角度から見られても美しいのが特徴です。
また、切り花の丈を短くカットしコンパクトに束ねるので、ロングの花束と同じ本数で束ねても仕上がりが小さくなります。
持ち帰りやすいサイズ感なので、外出先で渡すようなシーンであれば紙袋で持ち帰りやすいブーケタイプの花束がおすすめです。
フラワーアレンジメントとは?
花束やブーケと並んで良く使われる花のスタイルに、フラワーアレンジメントがあります。
花束とブーケも、花を美しくアレンジしたスタイルなので、どちらもアレンジメントと呼べるのではと思う人もいるかもしれません。
しかし花屋さんでフラワーアレンジメントといったときには、器に給水させたスポンジをセットし、切り花の丈を短くカットした花を挿してアレンジしたものを指します。
フラワーアレンジメントの特徴やメリット
フラワーアレンジメントは、かごや陶器などの器に、吸水させたスポンジをセットし、そこに短く切った花を挿してアレンジします。
フラワーアレンジメントの特徴は以下の通りです。
- 花瓶が必要なく、そのまま飾れる
- 水が漏れる心配がなく、持ち運びやすい
- デザイン性が高い
フラワーアレンジメントの1番のメリットは、花瓶が必要ないこと。受け取ったら蒸れないようにラッピングを外して、そのまま飾ることができます。そのため、花瓶を持っているかわからない人に贈る場合や、普段花を飾る習慣がなく、水替えなどを手間に感じる人にはフラワーアレンジメントがおすすめです。
また、スポンジに給水させるので安定感があり、持ち運びやすいのもメリットといえます。
開店祝いや公演祝い、昇進祝いなど、札を立てて贈るフォーマルなシーンに選ばれることが多いのも特徴です。
そのまま飾ることができ、管理に手間がかからないので、会社に飾るビジネス関係の贈り物にもフラワーアレンジメントが選ばれています。
結婚式での花束とブーケの扱われ方
結婚式に使うブーケを注文したときに、普段注文する花束やブーケとの値段の違いに驚いたという人もいるのではないでしょうか。
花嫁の持つ花としてブーケスタイルが選ばれることも多い結婚式のシーンでは、普段の花束、ブーケとは少し違った特徴があります。
花嫁が持つウェディングブーケ
結婚式では、花束とブーケはそれぞれ以下のように使い分けられています。
- 花束 両親や親族への贈答用
- ブーケ 花嫁が持つ花(ウェディングブーケ)、ブーケトスで花嫁が投げる花
最近は、花嫁が持つ花のスタイルも、ラウンド型のブーケ以外に、ナチュラルな雰囲気のクラッチブーケや、花のラインを生かしたキャスケードブーケなどさまざまな形が選ばれるようになりました。
ドレスのデザインや結婚式の雰囲気、使いたい花の種類に合わせて好みのスタイルを自由に選ぶ花嫁が増えています。
また「幸せのおすそ分け」として、ブーケトスで花嫁が投げる花束にもブーケスタイルが選ばれます。
ある程度ぎゅっと束ねてあるコンパクトなラウンドブーケなら、投げたときに花が折れてしまう心配が少なく投げやすいというのが選ばれる理由です。
逆に式の最後に両親へ贈られることの多い感謝の花では、花束が選ばれることが多いです。
新郎新婦から両親へ、花束を抱えるようにして腕から腕へと手渡されるので、気持ちがより伝わりやすいこともあり、多くの結婚式で選ばれているスタイルです。
ウェディングブーケと普通のブーケの違いは?
結婚式を挙げたことがある人なら気になったこともある、ブーケの値段。
普段花屋さんに注文するブーケと、ウェディング用のブーケでは金額にかなり差があるので驚きますよね。
結婚式のブーケが高額なのには、きちんと理由があります。
普段注文するブーケは、花屋さんに仕入れた花の中から選び、束ねて作るのに対し、ウェディングブーケは、結婚式のためだけに仕入れの段階から準備されたものです。
たとえばバラやユリを使う場合、結婚式当日に最も美しい状態で咲いた花を選ぶ必要があります。そのために普段より少し花を多めに仕入れ、その中から厳選した数本だけがブーケに使われます。
また、生花で作るブーケは直前になって希望の花が入荷できないという最悪の事態を避けるために、早い段階で予約をしておく必要もあります。
万が一、仕入れ先の天候状況など不測の事態で花の用意が難しい場合は、高額であっても他の仕入れ先から替わりの花を仕入れるなどの対処も必要です。
結婚式から披露宴、二次会など、長い時間美しい状態を保つためには、品質の良い花を準備し、ブーケの製作にも普段より時間をかける必要があります。
人生の大切なシーン、結婚式で使うブーケに万が一の不都合があっては大変です。普段注文するブーケに比べて念入りな準備が必要であり、制作に労力がかかるからこそ、高額になるという理由があるのです。
花束とブーケ、それぞれに適した花の種類
花や使う葉、枝によっては、ロングタイプの花束、あるいはブーケが向いているという種類があります。
また、同じ花を使っても、花束とブーケで雰囲気が変わる花も多いです。
花束やブーケに使われることの多い花を、それぞれのスタイルで束ねたときの特徴を見ていきましょう。
花束(ロングタイプ)に向いている花
花のラインが美しいカラーやラン、花びらが大きく開くユリ、ナチュラルな雰囲気が魅力の草花などは、空間を作りながら束ねるロングタイプの花束に向いている花です。
また大きな枝ものや大ぶりの葉物、個性的なネイティブフラワーを取り入れた花束も、ロングタイプならスタイリッシュに仕上がります。
束ねたい花や、イメージする仕上がりの雰囲気に合わせて、選ぶ花束のスタイルを選びましょう。
バラやトルコキキョウ(リシアンサス)、カーネーションなどの定番の花も、ロングタイプの花束で作るのと、ブーケタイプに束ねるのでは花の印象が変わります。
夏の定番のひまわりも、表情を生かしたロングタイプの花束と、花の正面を見せるように束ねたブーケタイプで、表情がガラリと変わる花です。
ロングタイプの花束は、ブーケに比べると比較的スタイリッシュで大人っぽい印象の花束に仕上がるのが特徴といえます。
ブーケに向いている花
ブーケは、花の高さを揃えてラウンド型に丸く花を束ねていくスタイルです。
どの方向から見ても花が正面を向くように作るのが特徴で、ロングタイプの花束に比べると、全体的にコンパクトでかわいらしい雰囲気の花束に仕上がります。
花束は抱えるように持つのに対し、茎を短くカットしたブーケは片手、あるいは両手で握るように持つことができるサイズ感になります。
同じ種類のバラだけで作るブーケや、バラやラナンキュラス、ガーベラなど、花の頭が丸い花を集めて束ねるのにも最適なスタイルです。
大きな花がメインならゴージャスな印象に、カスミソウなどの小花や葉物を取り入れるとナチュラルでかわいらしい印象のブーケに仕上がります。
花束とブーケの予算はどのくらい?
花屋さんでは、予算に合わせて花束やブーケをオーダーすることができます。
花束とブーケで予算に違いはありませんが、同じ金額であればロングタイプの花束の方がボリューム良く仕上がります。
渡すシーンや希望のサイズによって、好みのスタイルを選んでオーダーしましょう。
子どもの贈り物なら1,500円~2,000円
子どもが発表会で渡す花束やブーケ、誕生日の贈り物の相場は、1,500円〜2,000円です。
小学生くらいまでの子どもが渡すのにちょうど良い、少し小ぶりな花束に仕上がります。
子どもが渡すなら、かわいらしい雰囲気のブーケタイプの花束がおすすめです。
他のプレゼントに添えたり、ちょっとした贈り物なら生活の小さなスペースに飾ることのできる、ワンコインブーケやグラスサイズのブーケの販売もあります。
こちらはブーケと名は付いていますが、メインになる花に小花を添えた小さな花束です。
サイズは小ぶりですが、キッチンや洗面台など、手持ちのグラスに飾ることができるので手軽に贈れる花のギフトとして人気があります。
誕生日など、贈り物の相場は3,000円程度
誕生日や送別会、個人的な発表会などイベントに贈る花束、ブーケの相場は3,000円程度です。
花屋さんにもよりますが、3,000円以上であれば、ある程度ボリュームがあり、花束やブーケのみで渡しても見栄えのするフラワーギフトに仕上がります。
ボリューム感を重視したい場合は、花の内容はお任せで、ロングタイプの花束でオーダーすると良いでしょう。
花屋さんには旬があり、仕入れの値段に変動があります。その時々の季節の花でフローリストにお任せすると、ボリュームの良い花束に仕上げてくれるはずです。
外出先で渡すなど、紙袋に入れて持ち帰りやすいサイズ感を希望する場合は、丈を短くカットしたブーケタイプでオーダーするのが良いでしょう。
舞台で渡すなら5,000円~10,000円
舞台公演や講演会など、舞台上で贈呈するようなシーンの花束、ブーケの予算は5,000円〜10,000円です。
舞台や講演会では写真撮影があることも考慮し、見栄えの良い花束を選ぶ必要があります。そのため丈を長く残したロングタイプの花束が人気です。
ただし10,000円以上の花束やブーケは、持ち帰りのサイズ感がかなり大きくなります。
電車で持ち運んだり、外出先で渡す場合は、持ち帰りのしやすさも考慮して予算を考えることも大切です。
まとめ
今回の記事では、花束とブーケ、それぞれのスタイルや使われるシーンについて解説しました。似たようなニュアンスで使われる言葉ですが、それぞれの違いを知っておけば、注文したあとにイメージ違いで残念な思いをする心配もありません。
感謝や大好きな気持ちを伝えたり、お祝いの雰囲気をぐっと盛り上げてくれる花束やブーケ。渡すシーンや用途に合わせて、ふさわしいスタイルを選べると良いですね。