お誕生日祝いには胡蝶蘭を贈ろう

大切な人のお誕生日祝いに、花束やアレンジメントを贈ったことがある方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。ビジネスシーンなどで大輪胡蝶蘭が贈られているのを良くみかけると思いますが、実はお誕生日祝いにも大変オススメです。

 

胡蝶蘭とはどんなお花?

胡蝶蘭は、もともとは東南アジア原産の着生ランです。自然界では熱帯雨林などの大きな樹木や岩などに根を張り、空気中から水分をとって生きています。

花の形が蝶が舞っているような姿をしているというところから和名では胡蝶蘭と呼ばれていますが、学名は「ファレノプシス」といいます。これは「蛾のような」という意味で、胡蝶蘭の原種は茶色などの花色が多かったことからこの名前がつけられました。

原種のなかでは1割程度しかなかった白い胡蝶蘭を中心に品種改良していったことで、今の私たちが知るような上品で美しい姿へと変わっていったのです。現在では沢山の品種改良が行われ、日本でも年間を通してハウス内で品質の高い胡蝶蘭が沢山生産されています。

 

胡蝶蘭がお誕生日祝いにオススメな理由

①お誕生日祝いにぴったりな縁起の良い花言葉

胡蝶蘭の花言葉は「幸福が飛んでくる」「尊敬」「純粋な愛」などがあります。このことからお母さんへの感謝と幸せを願う気持ちにぴったりな贈り物といえます。

「純粋な愛」の花言葉は、胡蝶蘭の学名「ファノレプシスアフロディテ」から由来するもので、この「アフロディテ」はギリシャ神話の愛と豊穣の女神・アプロディーテーから付けられた名称です。

②花もちが良い

胡蝶蘭は比較的に長く花を楽しむことのできる植物です。環境にもよりますが1ヶ月~2ヶ月間は花が咲き続けることが多いのでアレンジメントや花束と比べても長く楽しんでもらうことができます。

上手くいけばお花が枯れても、もう一度花を咲かせることもあります。実は胡蝶蘭の寿命は50年ほどあるそうなので、正しい管理と環境さえあれば、何度でもお花を咲かせてもらうことができます。

③育てやすい、お世話が簡単

胡蝶蘭は比較的育てやすいので忙しい方にもぴったりです。胡蝶蘭は人間が快適だと感じる環境を好みます。

胡蝶蘭の育て方のコツは水やりをしすぎないことです。また一度置き場所を決めたら場所をあまり動かさないであげるのもポイントです。

 

④お部屋の空気を綺麗にしてくれる

胡蝶蘭は化学物質の高い除去率を持つ事から「エコプラント」としてアメリカNASAから認められています。お母さんの身体を気遣うのにぴったりな植物といえます。

胡蝶蘭はサンスベリアやサボテンなどと同じCAM型植物とされています。 CAM型植物とはCAM型光合成をする植物のことで、砂漠の多肉植物や、水分の取りにくい環境に生息する着生植物に多くみられる光合成の形態です。

通常の植物は昼間に光合成を行っていますが、胡蝶蘭などのCAM型植物は夜間に二酸化炭素の取り込みを行います。私達が寝ている間に二酸化炭素を取り込み、空気を綺麗にしてくれるのです。

胡蝶蘭はお花のサイズが大きく分けて3種類ある

大輪胡蝶蘭

よく開店祝いや当選祝いなどのビジネスシーンで一番贈られているのを見かけるのがこの大輪胡蝶蘭です。品種にもよりますが花弁の大きさが10~15cm程度あり、とても存在感があります。株自体も大きくなりますので全体的に大きく仕立てられているものが多いです。

ミディ胡蝶蘭

中輪胡蝶蘭はピンクや黄色などカラフルな色合いが多く、花弁の大きさは品種によりますが6~12㎝程度あります。大輪胡蝶蘭より一回り小さいサイズですが、鮮やかな色合いの品種も多く、大輪胡蝶蘭にも見劣りしない華やかさがあります。

大輪胡蝶蘭にくらべて株自体も少し小さいものが多いので、ご自宅など限られた空間でも飾りやすいサイズといえます。

ミディ胡蝶蘭

ミディ胡蝶蘭は品種にもよりますが花弁の大きさが3~6cm程あります。こちらも大輪胡蝶蘭と比べて鮮やかな色や個性的な形の品種が多く、寄せ植えされた鉢なども販売されています。株自体の大きさも比較的コンパクトなものが多く、ご自宅のリビングやキッチンなどでも飾りやすいサイズで、ちょっとした手土産などにも持っていきやすい価格帯とサイズが多いです。またこの中から分類すると更に小さいマイクロ胡蝶蘭があります。

 

この大輪や中輪の分類に関しては、生産者やお店などで大きさの区別や分類の認識が異なりますので、あくまで参考程度に考えてください。

 

胡蝶蘭の育て方のポイント

置き場所

風通しの良い場所に置き、カーテン越しなどの直射日光が当たらない日当たりのよい環境で育ててください。人間が快適だと感じる温度、だいたい15~22度くらいを保つと良いでしょう。胡蝶蘭は環境の変化を嫌いますので置き場所を決めたらあまり移動させないようにしてください。

水やり

胡蝶蘭の水やりは控えめで大丈夫です。鉢のなかの水苔やバークチップが乾いていることを確認してから水やりをしてください。適度な湿度は必要なので乾燥している時期は霧吹きなどで水分を補ってあげてください。

 

胡蝶蘭の色別花言葉

胡蝶蘭には色別に花言葉がつけられています。相手の方の好みの色で選ぶのも良いかもしれませんが、花言葉に合わせて贈ってみるのもおすすめです。

共通 「幸福が飛んでくる」
白色 「純潔」「清純」
ピンク 「あなたを愛しています」
黄色 「進出」「活発」「商売繁盛」
紫色・青色 「誠実」「尊敬」

 

胡蝶蘭はいつから日本で楽しまれている?

胡蝶蘭は19世紀にヨーロッパで「蘭ブーム」が起きたことにより発見されました。

胡蝶蘭はその美しい姿から王侯貴族や富裕階級の人々を虜にし楽しまれ、彼らはもっと珍しい蘭やまだ見たこともない蘭を求めて世界各地に蘭ハンターを派遣し、東南アジアの熱帯ジャングルの中で初めて胡蝶蘭の原種が発見されました。

胡蝶蘭が初めて日本に持ち込まれたのは明治時代と言われています。まだ栽培環境が整っておらず、栽培が非常に難しかったので、胡蝶蘭を扱う農家はごくわずかでした。そのため非常に高価で、裕福な人々だけが楽しんでいましたが、徐々に安定した栽培設備、技術が発達していき、胡蝶蘭を栽培する農家が増えていきました。

そして日本国内での胡蝶蘭の栽培量と流通量は一気に増え、徐々に一般市民でも楽しめるようになっていったと言います。

 

胡蝶蘭の品種

アマビリス

アマビリスは大輪胡蝶蘭よりもひと回りかふた回りくらい小さい、4cmから6cmくらいの大きさの花弁で、中輪胡蝶蘭に分類されます。白の大輪胡蝶蘭の原種となった品種です。他の個性的な形や色のミディ胡蝶蘭よりもスタンダードな印象で、小ぶりながらも気品のあるアマビリスは、母の日やお誕生日祝い、開店祝いなどのギフトに喜ばれています。胡蝶蘭の中でも花持ちが良く乾燥に強い品種です。

パプリカ

鮮やかなオレンジの花弁にピンクのリップが美しい、そしてほのかに甘い香りのする胡蝶蘭です。特に午前中に甘い香りのを発するそうです。こちらはミディ胡蝶蘭に分類されます。

フォーチュンザルツマン

グリーンの花弁に対比するに赤リップが美しい胡蝶蘭です。40年ほど前に生み出された品種で、こちらは中輪サイズに分類されます。名前に含まれる英語の「フォーチュン」には、幸運や運命といった意味があるので、お祝いシーンの贈り物にぴったりです。中輪サイズではあるものの、花弁が鮮やかで存在感があるので、個性的な存在感を放ってくれます。

 

今までなかった青い胡蝶蘭

ピンクや黄色だけでなく、青い胡蝶蘭が存在するのはご存じでしょうか?

青い胡蝶蘭には2種類あります。ひとつが白色の胡蝶蘭を青く染色した品種、もうひとつが品種改良で作られた青い胡蝶蘭です。胡蝶蘭も長らく青い品種を作ろうと試みが続けられてきました。

通常、胡蝶蘭の品種改良は異なる色・品質の胡蝶蘭の花粉をめしべにつけ、種を採取して育てる交配で進めていましたが、青色色素の遺伝子である「デルフィニジン」をそもそも胡蝶蘭が持っていないため、単なる交配では青い胡蝶蘭を生み出すことが出来ませんでした。

このため、まず取られたのが染色技術による青い胡蝶蘭を生み出す方法でした。この技術は特殊な染色液を注射器で花茎に注入するか、染色液を花びらに直接吹きつけるか、どちらかの方法が取られているそうです。

のちに千葉大学の教授らと大阪の石原産業の共同開発により、染色が必要ない遺伝子組み換えによる青い胡蝶蘭も誕生しました。この青色遺伝子はツユクサ由来の植物から取り出したものでした。

ツユクサは、日本全国にある小さな青い花を咲かせる身近な植物です。ツユクサの栽培品種「アオバナ」が鮮やかな青色を持っており、以前友禅染の下絵書きに利用されていた事をヒントに、研究に用いたそうです。

もともとピンク色の花を咲かせる品種に、このツユクサの遺伝子を入れたことにより、ツユクサに似た美しい青色の花を咲かせたそうです。そしてついに2022年の6月頃から一般向けにも販売が開始されました。

 

胡蝶蘭の本来の姿

冒頭でも少しご説明しましたが、胡蝶蘭は実は東南アジア原産の着生植物です。陶器鉢に植えられた上品な姿からはあまり想像できませんよね。

多くの植物は根を土の中に埋めて栄養や水分を吸収していますが着生植物である胡蝶蘭は土の中に根をはらず、木の幹や岩石の表面に根を張って、そこにくっ付いて暮らしています。

シダ類などもこの着生植物の仲間であり、空気中に含まれる水分を吸収して育つ特徴があります。自然界の胡蝶蘭は意外とワイルドな環境で暮らしているのです。

そして胡蝶蘭鉢には土を使わずバークや水苔を用いているのも、この自然の環境に近づけてあげるためです。土ではなくバークや水苔を使うことによって、胡蝶蘭の根に空気を触れさせ、適度な水分を保つことができます。

 

胡蝶蘭の植え替え方

比較的長く楽しめる胡蝶蘭ですが、また次もお花を咲かせることができるとよりうれしいですよね。胡蝶蘭を毎年楽しむには、数年に一度植え替えをすることが大切です。

最適な環境下であれば、胡蝶蘭は株自体の寿命は50年ほどあるそうですので適切に植替えをしてあげて、正しく育ててあげることができればご自宅でも長く胡蝶蘭を楽しむことができます。

基本的に胡蝶蘭が元気で調子のよさそうな時に植え替えを行う必要はありません。

何かの理由で株が弱ったりしたときに植え替えて環境を変えてあげることで、元気を取り戻してもらうことができます。たいたい頻度は2~5年に1回程度とされています。植え替えの時期は4月~9月あたりがベストだと言われています。

注意点は寒い時期を避け暖かい時期に行うことが大切です。寒い冬は成長を止めて、暖かくなる季節に備えてしっかりと栄養を蓄える時期です。ですが元気がないときは時期や頻度に関係なく植え替えてあげてください。

バークや水苔など、植え込み資材が腐敗して環境が悪くなってしまった場合は、植え込み材料を取り除いて新しいものに植え替えます。水苔を使って植え替えをする場合は、通気性のよい「素焼鉢」にしてください。素焼鉢は水分が蒸発しやすいため、水分をため込みやすい水苔を使った胡蝶蘭の栽培に向いています。

逆にバークを使って植え替えをする場合は、水分の蒸発しにくいプラッチックの鉢がおすすめです。バークは水苔より水はけがよいので、素焼鉢を使うと水切れを起こす可能性があります。実際に植え替えをする際は、鉢から株を取り出し、根についているバークや水苔を手でほぐしながら取り除きます。

この時、健康な根を傷付けてしまわないよう気をつけてください。健康な根は、緑色やクリーム色で、弾力があります。必要以上に触らないようにしましょう。傷んでいたり腐っている根があったらハサミで根本から切って取り除いてください。

傷んでいたり、腐っている根は、スカスカしている、ぶよぶよしている、黒く変色している、などの特徴があります。水苔で植え替えをする場合は、湿らせた新しい水苔を根に多めに、鉢より少し大きめになるように巻き付けます。

乾燥した状態で植え替えをしてしまうと上手く水を吸ってくれないこともありますので、植え替えをする前に水苔はしっかりと水に浸しておきましょう。

バークで植え替えする場合は鉢底にバークを敷き詰めてください。株を鉢に入れたらさらにバークを足して、割り箸などを使って、根と根の間の隙間を埋めるよう入れ込んでいきます。この時特に割り箸などで根を傷付けないように気を付けてください。

最後にたっぷり水やりをしたら完成です。ちなみに根腐れなどではなく、鉢に対して株が大きくなりすぎてしまった場合はひと回り大きい鉢に植え替えてあげると、大きく元気に育ってくれます。

放置すると菌が株全体に広がり枯れてしまうため、早めに対処する必要があります。普段から清潔にしておけば、灰色かび病を未然に防ぐことが可能です。

 

胡蝶蘭に肥料は必要?

胡蝶蘭は基本的にそれほど多くの肥料を必要としません。また、植え替えしたばかりの胡蝶蘭には肥料は必要ありません。

胡蝶蘭への肥料は弱っている株を元気にするためのものではありません。弱っている胡蝶蘭に肥料を与えてしまうと、余計に弱らせてしまう可能性もありますので、気をつけてください。

成長期の元気な時期にに肥料を与えることで、葉を十分に大きく成長させ更に丈夫な株に育ちますが、常にたくさんの肥料を与えてしまうと根を腐らせてしまいます。また、購入したばかりの胡蝶蘭は1~2年間は肥料を与える必要はほぼありません。水に含まれる栄養で十分育ってくれます。

胡蝶蘭へ肥料をあげる時期は「生育期」といわれる春から秋ごろが良いでしょう。 冬の寒い時期は胡蝶蘭の株が弱っている季節ですので その頃に肥料をあげてしまうと根っこが腐ってしまう可能性があります。気温的が15度以上を保てているときでしたら与えても大丈夫でしょう。

胡蝶蘭の開花時期は不定期です。環境が合えば年に2度花を咲かせてくれます。一般的には3月~5月に開花することが多いようです。適切に管理して適度な肥料をあげることで、年2回のお花が楽しめるかもしれません。

 

まとめ

胡蝶蘭は様々な楽しみ方ができ、大切な人にきっと喜んでいただけるギフトになります。ぜひお誕生日祝いには胡蝶蘭を贈ってみてはいかがでしょうか。

大切なあの人にお花を送ってみませんか?