いい香りや匂いがする花の理由とは?もたらす効果なども紹介

いい香りや匂いを持つ花は、日常生活の中にさまざまな良い効果をもたらしてくれます。心地よい香りを感じることで私たちの気持ちは和み、リラックス効果を得ることができるのです。しかし、生活の中でどの花が自分に合っているのか分からない方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、花がいい香りや匂いを持つ理由や五感を満たすいい香りがする花、香りや匂いがもたらす効果をご紹介します。

花がいい香りや匂いを持つ理由

美しい花や植物は目で見て愛でるだけではなく、香りにも魅力があります。なぜ、花には香りがあるのでしょうか。以下では、花にいい香りや匂いがある理由を詳しく解説していきましょう。

子孫を増やすため

香りを出す花の多くは、いい香りや匂いを出すことで、虫を誘っています。つまり受粉をするために香りを活用しているのです。また、香りを発するタイミングにも植物ごとに工夫があります。例えば、月下美人やクジャクサボテンなどの他、沖縄地方に咲くサガリバナは夜になると強い香りがします。媒介者になる昆虫に合わせて夜に活動するためです。夕方から咲く花の多くは、夜でも見えやすいように白や黄色の花が多く強烈な芳香を持つ花が多いです。花の強い香りで媒介者となる虫を呼び、子孫を残すのです。強烈な芳香を持つ花の中には人間が嗅いでも心地よく感じるものがあるということになります。

虫を防ぐため

虫を誘う香りがある一方で、外敵から身を守るために香りを放つ花もあります。例えば、ゼラニウムやレモングラスなどのハーブは防虫効果があるため、蚊などの虫を寄せつけません。また、野生のヨモギやセリが持つ薬草のような爽やかな香りも虫が嫌いな香りとして知られています。さらに、針葉樹のヒノキの香り成分「テルペン」の中にも強い防虫効果があり、特にダニに有効とされているようです。

テルペンは、アロマテラピーなどにも広く活用されており、気持ちをリラックスさせる効果があると言われています。

香りや匂いの種類

香りや匂いはいくつかの種類に分類することができます。あなたが好きな香りはどのような香りでしょうか。以下では、香りや匂いの種類ごとに、代表的な花とその特徴をご紹介します。

フローラル系

Floral(フローラル)とは日本語では花のようなという意味です。そのため、花を感じさせる香りのことをフローラル系と言います。

香りの世界では、三大フローラル香調(ノート)があり、フレグランスとして基礎になる香りがあります。三大花香とも呼ばれており、バラ・ジャスミン・スズランで構成されています。三大フローラル香調には以下のような香りの特徴があります。

 

花の種類 香りの特徴 香りの効果
バラ 華やかな甘さの中に上品さがある ストレスを和らげてくれる効果
ジャスミン エキゾチックな香り 女性ホルモンのバランスを整える
スズラン 清楚で優しい香り 集中力アップの効果

 

ジャスミンはクレオパトラをこよなく愛したとされていることで有名です。彼女は、ジャスミンの香油を全身に塗り、その香りを漂わせていたと言われています。

シトラス(柑橘)系

オレンジやレモンなどの柑橘系の香りをシトラス系と呼びます。グレープフルーツなどをカットした際のフルーティーな匂いと言えば想像しやすいのではないでしょうか。シトラス系は柑橘系とも呼ばれ、年代を問わずに広く親しまれており、特に夏の蒸し暑い時季は、明るくフレッシュな香りとして人気があります。シトラス系の植物の仲間にはユズやシークヮーサーなどがあり、酸味の中に爽やかな清涼感を感じるのが特徴です。

エキゾチック系

エキゾチックな香りは、異国情緒や神秘性を感じさせるような独特な香りが特徴です。

オリエンタル系とも呼ばれ、イランイランやマヌカ、パチュリなどが該当します。東洋的でミステリアスな雰囲気を有するものが多く、甘美な香りがします。リラックス効果があり、気持ちを落ち着かせてくれる効果もあります。

スパイス系

スパイス系の香りは、刺激的で温かみのある香りが特徴です。カレーやスパイス料理に代表されるように、食欲をそそる効果があると言われています。例えば、シナモン、クローブ、コリアンダー、ブラックペッパーが該当します。また、ウォーターリリーとも呼ばれるスイレンは、八角のようなスパイス系と甘さが混在した香りを持ち、その気品ある芳香は男女ともに人気です。

スパイス系の香りは、エキゾチックやオリエンタルな雰囲気を演出する効果もあります。

ハーブ系

ハーブ系の香りは、ハーブのような薬草系の匂いと清々しいグリーン系の香りが魅力です。薬草が持つスパイシーな芳香だけではなく、すっきりとした爽やかさも持っています。

例えば、ユーカリ、バジル、ローズマリーなどが該当します。爽やかで凛とした香りが気分を爽快にするでしょう。

グリーン系

グリーン系の香りは、落ち着いた爽快感を感じることができます。まるで森林浴をしているように、緊張感が緩みリラックスした気分になるでしょう。例えば、ティーツリー、サイプレスなどが該当します。気分をリフレッシュさせたいときに有効です。

樹脂系

樹脂系の香りは、木の樹脂から採取される香りです。一般的に高粘度で重厚な甘めの香りが特徴で、温かみや落ち着き、高級感があります。古くから香水やアロマテラピー、宗教儀式などに用いられてきた歴史があり、近年ではフレグランスやコスメなど、さまざまな製品で人気が高まっています。例えば、フランキンセンスやミルラが該当します。

花と人の歴史的な背景

花や植物の香りが人々にとって重要なものであることは、古代から続く香りを楽しむ文化や、精油や香水の誕生からも明らかです。バラは、その代表格と言えるでしょう。紀元前数千年のメソポタミア文明で栽培されていた記録があり、紀元前1世紀にはクレオパトラがダマスク・ローズを愛し、部屋や風呂に香りを漂わせていたという逸話も残されています。

このように、花や植物の香りは、古くから人々を魅了し、心を豊かにする存在として親しまれてきました。しかし、現代のような香水が誕生したのは、中世ヨーロッパ時代のことです。それまでは、花や葉から抽出した液体を直接嗅いだり、焚いたりして香りを楽しんでいたようです。精油(エッセンシャルオイル)と呼ばれる芳香成分が発見され、アルコールや水と混ぜて香水を調合する技術が発展したのは、14世紀頃とされています。

それ以降、香水は貴族や王室の人々を中心に、贅沢品として広く普及しました。

近年では、アロマテラピーやフレグランスなど、さまざまな形で花や植物の香りが私たちの生活に溶け込んでいます。香りを楽しむ方法は、時代とともに変化していますが、人々が花や植物の香りに惹かれる気持ちは、いつの時代も変わらないようです。

花や植物の香りは心を癒し、元気づけ、創造性を高めてくれるものです。日々の生活の中で、ぜひお気に入りの香りを見つけて、豊かな香り体験を味わってみてください。

花のいい香りや匂いがもたらす効果

私たちは、日常の中で五感を通してさまざまことを味わっています。香りを感じる「臭覚」からも、色々な情報を受け取っているのです。鼻から入って来たいい香りや匂いは粘膜から脳へと伝わり、自律神経を触発するのです。

現代では、臭覚から得る情報量は視覚や聴覚と比較するとわずかですが、昔は匂いを嗅ぐことで危険を察知することもできたと言われています。

では、花が持ついい香りや匂いは私たちの心や身体にどのような効果をもたらすのでしょうか。花はそれぞれに香りが違いますが、季節の移り変わりを感じることもできます。以下では、花のいい香りや匂いがもたらす効果を詳しく解説します。ぜひ、参考にしてください。

リラックス効果

花のいい香りや匂いを感じることで、リラックス効果を感じ日常の疲れを癒す力があります。例えば、お風呂に入るときに入浴剤などに、いい香りや匂いを持つ花のアイテムを活用してみるのもおすすめです。また、好みの香りの精油をバスタブに取り入れることで、気持ちがリフレッシュするでしょう。

安眠効果

空気中に漂ういい香りや匂いには、私たちの精神や身体にさまざまな影響を与えています。

特にフローラル系の爽やかな香りには、快眠に繋がる効果が期待されており、海外では医療などでも採用されているのです。五感の中でも脳にダイレクトに伝達される臭覚は、いい香りや匂いを嗅ぐことで視床下部に伝わり、リラックス効果をもたらし安眠に繋げると言われています。

リフレッシュ効果

花の香りは脳の海馬と呼ばれる記憶や学習に関わる部位を刺激し、ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質の分泌を促進すると言われています。これらの神経伝達物質は、脳を活性化し、集中力や思考力を高める効果があります。勉強や仕事、創作活動など、集中力を必要とする場面で、花の香りを嗅ぐと、より良いパフォーマンスを発揮できることが期待できるでしょう。

活力向上効果

花の香りは、脳内麻薬と呼ばれるエンドルフィンの分泌を促進します。エンドルフィンは、幸福感や高揚感をもたらすホルモンです。花の香りを嗅ぐことで、気分がリフレッシュし、気持ちが明るく前向きになります。前向きな気持ちは、活力向上に繋がり、さまざまなことに積極的に取り組むことができるようになるでしょう。

プルースト効果

プルースト効果とは特定の香りを嗅いだ瞬間、その香りに関連する過去の記憶や感情が鮮明に蘇る現象のことを指します。

これはフランスの作家Marcel Proust(マルセル プルースト)の「失われたときを求めて」という小説の中で、主人公が紅茶の香りから幼少時代を思い出すシーンが由来になっているそうです。このように花が持つ香りは、私たちの中の失われた記憶を連れて来てくれる可能性を秘めています。

五感を満たすいい香りや匂いがする花

ふと感じる花のいい香りや匂いは、私たちに季節の変わり目を知らせてくれたり、癒しを与えてくれたりします。あなたはどんな花の香りが好きですか。最後に、五感を満たすおすすめのいい香りや匂いを持つ花をご紹介します。ただし、同じ花でも品種によって香りが異なったり、ほとんど匂わないこともあります。いい香りや匂いの花を選ぶときの参考にしてください。

フリージア

科/属名 アヤメ科フリージア属
英名 Freesia(フリージア)
和名/別名 浅黄水仙(アサギスイセン)/菖蒲水仙(アヤメスイセン)/香雪蘭(コウセツラン)
原産地 南アフリカ/ケープ地方
樹高/草丈 20~50cm
花の色 白/赤/黄/オレンジ/紫/ピンクなど
開花時期 12~4月
花言葉 親愛の情/感謝/友情/期待/純潔(全般)

 

フリージアは冬の寒い時期から咲き始める花で、ガーデニング愛好者の間で人気です。一重咲きから八重咲きの花びらを持つものまで、さまざまな種類が展開されています。フリージアの匂いは、甘いシトラス系ですが、すっきりとした瑞々しさもあり魅力的です。「親愛の情」「感謝」など、素敵な花言葉が多いので、春のフラワーギフトにもおすすめの花です。

ロウバイ

科/属名 ロウバイ科/ロウバイ属
英名 Wintersweet(ウィンタースウィート)/Japanese allspice(ジャパニーズ オールスパイス)
和名/別名 蝋梅(ロウバイ)/唐梅(カラウメ)
原産地 中国
樹高/草丈 300~400cm
花の色 クリーム色
開花時期 12月中旬~2月
花言葉 慈愛/奥ゆかしさ/慈しみ/先導/先見

 

ロウバイは12〜2月頃にかけて咲く落葉広葉樹の一つです。ロウバイには蝋(ロウ)のようなツヤがあり、鮮やかな黄色の花を咲かせます。ロウバイの香りは癖の少ない清涼感のある甘さがあり、多くの方に好まれています。ロウバイは「四大香木」とされる花木の一つで、いい香りがする花木として有名です。四大香木とは、春の沈丁花(ジンチョウゲ)、夏の梔子(クチナシ)、秋の金木犀(キンモクセイ)、冬の蝋梅(ロウバイ)の4つの花木を指します。

イランイラン 

科/属名 バンレイシ科/カナンガ(イランイランノキ )属
英名 YlangYlang(イランイラン)
和名/別名 イランイランノキ
原産地 熱帯アジア
樹高/草丈 50~150cm
花の色 白→緑→黄
開花時期 5~10月
花言葉 誘惑/乙女の香り

 

イランイランは、生長するごとに芳香が強くなっていく花と言われています。原産地の熱帯アジアでは、10m以上になり、ジャスミンに似た黄色の花を垂れ下がるように咲かせるのが特徴です。エキゾチック系の濃厚な甘い香りは、ロマンチックな気分を高めてくれる効果があります。

リューココリネ

科/属名 ヒガンバナ科/リューココリネ属
英名 Glory of the sun(グローリー オブ ザ サン)
和名/別名 リューココリーネ/レウココリネ
原産地 チリ
樹高/草丈 30~60cm
花の色 白/青/紫/複色
開花時期 3~4月
花言葉 温かい心/信じる心/貴婦人

 

リューココリネは繊細な魅力を持つ春の花です。茎はとても華奢で、放射状に咲く花はエレガントな雰囲気を持っています。リューココリネは、1990年に開催した「大阪国際花と緑の博覧会」で知名度がアップして人気が出ました。リューココリネの香りは、スパイシーで甘く、桜餅の匂いに似ています。このような芳ばしい花の香りは、リラックス効果があり不眠症を改善させる効果があるとも言われています。

ライラック

科/属名 モクセイ科 /ハシドイ属
英名 Lilac(ライラック)
和名/別名 紫丁香花(ムラサキハシドイ)/)lilas(リラ)
原産地 ヨーロッパ南東部
樹高/草丈 100~600cm
花の色 白/青/赤/紫
開花時期 4~5月
花言葉 友情/謙虚/青春の思い出/純潔(全般)

 

ライラックは、フランス語で「リラ」とも呼ばれます。春に咲く植物ですが、輸入された花は2月頃から店頭に並び始めます。ライラックの清々しく優しい香りは、アロマテラピーでも広く活用されており、香水も人気です。ライラックが持つ芳香の効能は、新陳代謝のアップやダイエット効果など女性にとって嬉しいものばかりです。ただし、切り花にすると香りの持続がなくなってしまうのが残念なポイントです。

スイレン

科/属名 スイレン科/スイレン属
英名 Water lily(ウォーター リリー)
和名/別名 睡蓮(スイレン)/太陽の花(タイヨウノハナ)
原産地 日本/北半球の温帯地域
樹高/草丈 10~30cm
花の色 赤/白/黄/紫/ピンク
開花時期 6~11月頃
花言葉 信仰/純粋な心/清浄/信頼(全般)

 

スイレンは、暑い夏でも水面に丸い葉を広げて涼しげに咲く花です。香りはそれほど強くはないものの、花に顔を近づけると爽やかさと甘さが混じり合ったようないい香りが漂います。清潔感がある匂いは、私たちの心を癒しストレスを軽減させてくれるでしょう。

スイレンはハスの花と似ていますが、咲き方に違いがあります。ハスは水面より高い場所に花を咲かせる一方、スイレンは水面に浮かぶように咲きます。

スズラン

科/属名 キジカクシ(クサスギカズラ)科/スズラン属
英名 Lily of the valley(リリィ オブ ザ ヴァリィ)/convallaria majalis(コンバラリア マジャリス)
和名/別名 鈴蘭(スズラン)君影草(キミカゲソウ)
原産地 ヨーロッパ/東アジア/北アジア
樹高/草丈 15~20cm
花の色 白/ピンク
開花時期 4~5月
花言葉 再び幸せが訪れる/純粋/純潔(全般)

 

スズランはフランス語で「ミュゲ」と呼ばれる純白の可愛らしい花を咲かせる花です。スズランは清楚なグリーン系のフレッシュないい香りが魅力です。先述した「三大フローラルノート」の一つで香水としても幅広い世代に人気があります。

チョコレートコスモス

科/属名 キク科/コスモス属
英名 Chocolate Cosmos(チョコレート コスモス)
和名/別名 Cosmos atrosanguines( コスモス アトロサンギネウス)
原産地 メキシコ
樹高/草丈 40~50cm
花の色 赤/茶/黒
開花時期 5~11月
花言葉 移り変わらぬ気持ち/恋の思い出/恋の終わり/新しい関係の始まり

 

チョコレートコスモスの匂いは、ほんのりとした甘さとカカオのほろ苦さが混じったような大人の魅力で溢れています。花びらの色もチョコレートを連想させるような茶褐色で、可愛らしい雰囲気の花を咲かせるのが特徴です。

この花はコスモスの仲間ではありますが、一年草ではなく多年草になります。冬の間、霜が当たらないように注意すれば地植えで育てることも可能です。またチョコレートが持つ甘い香りには集中力アップの効果があります。

まとめ

今回は、花がいい香りや匂いを持つ理由や五感を満たすいい香りがする花、香りや匂いがもたらす効果をご紹介しました。花がいい香りや匂いを持つ理由には、子孫を増やすため虫を誘う一方で、虫から身を守るため虫を遠ざけるという全く異なる理由があります。

芳香を持つ花の中には、人間が嗅ぐと心地よく感じるものがあり、以下のようなさまざまな効果をもたらします。

 

  • リラックス効果
  • 安眠効果
  • リフレッシュ効果
  • 活力向上効果
  • プルースト効果

 

香りの好みは個人差があり、体調次第でも香りの感じ方が変わります。あなたがそのときに心地よいと感じた香りが、今のあなたに必要なのかもしれません。だからこそ体調や気分に合ったものを選び、新しいお気に入りの花の香りや匂いを楽しんでみてください。

 

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