精霊の宿る木ガジュマル|特徴や花言葉、風水効果をご紹介
ガジュマルは沖縄では精霊の宿る木として愛されています。大きく生命力に溢れるガジュマルの樹は有名ですが、観葉植物としても育てやすく、個性的なインテリアプランツとして愛されている植物です。
今回は、人気の観葉植物であるガジュマルの特徴や花言葉、名前の由来や逸話、品種や育て方などについて、ご紹介していきたいと思います。
ガジュマルの基本情報
まずはガジュマルの基本情報をご紹介します。
科・属 | クワ科・イチジク属(フィカス属) |
和名 | ガジュマル |
英名 | Indian laurel、Chinese Banyan、Malayan Banyan |
学名 | Ficus microcarpa |
別名 | ベンガルボダイジュ、幸せを呼ぶ木、絞め殺しの木 |
原産地 | 東南アジア、台湾、日本、インド、オーストラリア |
日本では主に沖縄のような暖かい地域、海外ではインドなどの熱帯〜亜熱帯地方に分布する常緑高木です。
ガジュマルの特徴
ガジュマルは、人気の観葉植物でお馴染みのウンベラータやベンジャミンと同じく、フィカス属の仲間です。
熱帯、亜熱帯地方に自生しており、日本では沖縄地方をはじめ、屋久島や種子島などで自生するガジュマルを見ることができます。
海外では台湾やマレーシア、オーストラリアやハワイなどにも自生しています。
日本には明治時代に持ち込まれ、防風林として植えられていました。常緑高木で、暑さや寒さ、乾燥にも強い丈夫さを持ち、とてもタフな樹木です。
独特な幹の形
ガジュマルの幹は太い独特の形になるのが特徴的ですよね。ガジュマルは幹に水分を蓄え、暖かく乾燥した環境に対応しています。
気根や葉、樹皮には薬効があり、のどの痛みや腫れ、神経痛や関節痛に効くといわれています。
また、ガジュマルは熱帯〜亜熱帯地方に分布する常緑高木なので、暖かくて日光のある場所を好みます。日光にあてることと、水のやり方には気を配る必要がありますが、基本的には育てやすい観葉植物です。
他の植物に寄生するガジュマル
ガジュマルの生命力はかなり強く、驚きのエピソードがたくさんあります。
ガジュマルはそもそも、幹から気根(きこん)という根を出して、周りにある植物に巻き付いて寄生し、ぐんぐん生長していく植物です。
寄生するものは小さい植物に限らず、大きなヤシの木や大きな岩などでも発芽します。
ガジュマルの実を食べた鳥の糞によって運ばれたガジュマルの種は、落ちた先がコンクリートであったとしても、そのコンクリートを突き破るほどの力強さを持ちます。
20mもの樹高にもなることを考えると、建物でさえもあっという間に取り囲んでしまいそうですよね。
ガジュマルの別名
先述したように、ガジュマルには驚きの生命力が備わっています。
幸福をもたらす縁起の良い木として親しまれながらも、その強すぎる生命力から「絞め殺しの木」とも呼ばれているのです。
ガジュマルは、巻き付いた他の植物などの栄養を吸い取って生長していくため、宿主になった植物は最後には枯れていきます。
宿主に寄生しつつ、ゆっくりゆっくりと地面へ根を伸ばしていくのです。
そのガジュマルの圧倒的なパワーは、カンボジアにあるアンコールワット遺跡内の「タ・プローム」で確認することができます。
アンコールワットは「天空の城ラピュタ」のモデルになった遺跡としても知られていますが、大きなガジュマルが遺跡を覆っているのです。
その様子を例えるのならば、どろりとした液体が空から垂れてきて、大きく遺跡を覆っているようでもあります。
ガジュマルの気根の凄まじいパワーは、時には岩を砕き、人が見上げるほどの大きな木を枯らすほどの勢いにもなります。
自然の力、生命の力を目の当たりにする圧巻の光景ですね。
ガジュマルの花
ガジュマルにはあまり花のイメージがありませんが、春になると淡い黄色の小花を咲かせてくれます。
その大きさは1cmほどととても小さく可愛らしいのですが、残念ながらその小花を外側からは確認できません。ガジュマルの花は、同じフィカス属であるイチジク同様に、実の中で開花するため外からは見えないのです。
精霊キジムナーが宿る木
沖縄地方では、ガジュマルには子どもの精霊「キジムナー」が宿っていると考えられています。キジムナーは赤髪の子どもの姿をしていて、ガジュマルの木を住処にしています。
人間と同じように結婚して子を産んだり、人間と共に漁に出るなど、人間との距離感がとても近い精霊です。
住処であるガジュマルの木を粗末にして大切に扱わないと、キジムナーが怒り、粗末に扱った人間には不幸が訪れると言い伝えられています。
ただし、キジムナーの家であるガジュマルの木を大切に扱い育てる人には幸せが訪れるそうです。また、きれいな心を持つ人がガジュマルの木の前で願い事を伝えると、精霊であるキジムナーがお願い事を叶えてくれるのだという言い伝えもあります。
ひとつ注意点として、ガジュマルに願い事をするときは夜になる前にしましょう。夜になると子どものキジムナーは眠ってしまうので、願いを聞き届けてもらえないのです。
他にも、大きなガジュマルの気根の間をくぐった2人は幸せになるという素敵な言い伝えもあります。
ガジュマルの名前の由来
ガジュマルの名前の由来には諸説あります。
ひとつは、ガジュマルの特徴でもある気根を、他の木などに絡ませて育っていく様子から、「絡まる」が語源になったのではないかというものです。
もうひとつは、日本にやってきたガジュマルが、防風林として植えられていたため、「風を守る」が語源になったのではないかと言われています。
「絡まる」「風を守る」が転訛した結果、「ガジュマル」の名前になったという説が最も濃厚です。
ガジュマルの花言葉
ガジュマルの花言葉は「健康」「たくさんの幸せ」です。
ガジュマルの特徴として、驚異的な生命力があることを先ほどお伝えしました。「健康」という花言葉もは、そのタフな性質に由来します。
「たくさんの幸せ」は、キジムナーが願い事を叶えてくれる言い伝えが由来です。
ガジュマルの木を愛する人が木に幸せを願い、その願い事を叶えるキジムナーの姿を思い浮かべると微笑ましさを感じますね。
ガジュマルの風水効果
ガジュマルは、丸みのある葉を下向きにつけていきます。
風水において、下向きに生える葉は、悪い気を調和し、気を落ち着かせて和やかにするリラックス効果があるそうです。
家族が集まる場所に置き、寝室での癒し空間づくりにガジュマルを飾るのも良さそうです。
また、火と水を使うキッチンは、風水的に気が乱れやすい場所であるとされています。キッチンにガジュマルを飾れば、乱れた気をうまく調和させてくれるかもしれません。
最近疲れている、気が立っているなと感じている人は、お部屋にガジュマルの木を迎えてみてはいかがでしょうか。
疲れているときにガジュマルのユニークな気根を眺めれば、きっと心がほっこりしますよ。
ガジュマルの種類・品種
ガジュマルは、約800種類もの品種があると言われています。
日本だけでも約20種類にもなる品種が流通しています。
中でも人気のある品種をピックアップして、いくつかご紹介していきましょう。
主に流通しているのはテーブルサイズなど扱いやすいサイズ感ですから、気軽に購入できるでしょう。
それではさっそく、人気のあるガジュマルの品種や特徴についてご紹介します。
ガジュマル(ニンジンガジュマル)
一般的にガジュマルの名称で流通しているのは、ニンジンガジュマルです。
名前のとおり、気根の形がぷっくりと丸みのあるニンジンのようで、とてもチャーミングな樹形です。このぷっくりとした気根は、生長の途中でわざと根を引き抜き観賞用として根を太らせて育てています。
卓上サイズが多く流通しているので、会社の自分のデスクや棚の上、リビングテーブルの上など、ちょっとしたアクセントとして飾れる大きさですよ。
センカクガジュマル
センカクガジュマルは、尖閣諸島や石垣島に自生している品種です。
自生するセンカクガジュマルは、這うようにして枝を伸ばす匍匐性(ほふくせい)がありますが、販売用に流通しているのは、オーソドックスなガジュマルにセンカクガジュマルを接ぎ木して出荷されています。
通常のガジュマルと比較すると枝は真っすぐ垂直に伸び、葉は小さめで、ひし形で光沢感があり肉厚です。大変希少性の高い、珍しい品種になります。
パンダガジュマル
パンダガジュマルは、先ほどご紹介したセンカクガジュマルの突然変異種です。
パンダガジュマルの葉も肉厚ですが、ひし形のセンカクガジュマルの葉よりもやや丸みを帯びているので優しい印象です。
幹はごつごつとした質感で、年数の経っている株ほど高い人気があります。
センカクガジュマルよりもさらに希少性が高いため、なかなかお目にかかれない高価な品種です。
黄金ガジュマル
黄金ガジュマルは、台湾で品種改良された園芸品種になります。日光によく当てて育てると、葉が美しい黄緑色になり、新芽も黄緑色をしています。
発色の美しさから、黄金ガジュマルと名付けられました。
沖縄県内の公園や街路樹として、よく見かける品種で、台湾でも街路樹として多く植えられています。
シダレガジュマル
シダレガジュマルは、「ベンジャミンツリー」の別名のほうが伝わりやすいかもしれません。白ガジュマルと呼ばれることもあるシダレガジュマルは、白っぽい色の幹が特徴的な品種です。
柔らかい幹の性質を利用して、幹をねじったり編み込んだりしてデザインを楽しみます。
もし自分で幹の編み込みにチャレンジする場合には、若い苗木のうちに編み込まないと、幹が傷つき編み込みが困難になってしまうので注意が必要です。
他にあるガジュマルの品種
「マルバガジュマル」も台湾が原産のガジュマルです。
魅力的なつやつやとした肉厚の丸い葉から、丸葉ガジュマルと名付けられました。
「フィカス・シャングリラ」は、つる性ガジュマルの別名でも呼ばれている品種です。
這うようにして気根を伸ばしていくので、ハンギングで飾るインテリアグリーンとしてもおすすめですよ。
ユニークなガジュマルを育てよう!
個性的な樹形で人気のガジュマルは、生命力が強く育てやすい観葉植物です。
気根の伸び方によって木全体の印象が変わりますから、株それぞれで異なる表情が生まれるのも楽しいですよね。
観葉植物に個性やユニークさを求めている人には、ガジュマルはぴったりな植物です。
お世話の手間がかからない観葉植物なので、初心者の方でも安心して育て始められますよ。
次は、ガジュマルの育て方について、抑えておきたいポイントをご紹介します。
置き場所
ガジュマルには耐陰性がありますので、通年室内で育てることも可能です。
ただし、風通しが良く日当たりの良い場所を好みますので、春から秋の間は屋内で育ててもいいでしょう。
強すぎる日光は葉焼けを起こしてしまいますので、レースのカーテンやブラインド越しなど、やわらかく差し込む程度の日光が最適です。
冬季は暖かい室内に入れて管理してあげましょう。
水やり
幹にたっぷりと水分を蓄えておけるガジュマルは、ほんの少し水やりを忘れてしまった程度では枯れることがありません。
反対に、お水を与え過ぎて根腐れを起こして枯らしてしまう失敗のほうが多いため、ガジュマルの水やりは鉢土がしっかり乾いてから行ないよう心がけましょう。
水やりの際には、鉢底からお水が流れ出るほどにたっぷりと与えます。鉢の受け皿に溜まったお水は、水やりの都度に捨てて、通気性や清潔さを保ってくださいね。
乾燥を感じる時期には、霧吹きなどで葉に水を吹きかける「葉水」を行なうと、葉からも水分を吸収できるためガジュマルが喜びます。
生長スピードがぐっと落ちる冬季には、土の表面が乾いてから2〜3日後を目安にしてお水を与えましょう。
肥料
本来ガジュマルは生命力が強い植物ですので、肥料がなくても順調に育ちます。
肥料を与えすぎるとガジュマルが育ちすぎてしまう場合もありますし、過度な肥料によって根が詰まり、根腐れに至ることもあります。
もし肥料を与えるのであれば、春から夏の間、月に1回のペースで固形タイプの遅効性肥料を与えるとよいでしょう。
植え替え
ガジュマルの生長速度は早いので、根が育ちすぎると鉢が窮屈になってしまいます。
鉢底から根が見える、水やりの際に水が流れ出にくくなってくるといった様子が見受けられたら、植え替えのサインです。
根が詰まっている状態を放置すると、栄養が行き渡りにくくなり、根腐れから株全体が枯れてしまう恐れもあります。
植え替えの目安は2〜3年に1回ほどですが、植え替える必要があるサインを確認したら、早めに一回り大きな鉢へ植え替えてガジュマルを快適な生育環境へ戻してあげましょう。
剪定
ガジュマルの剪定作業を行なう場合には、4〜6月頃の本格的な夏の暑さを迎える前がおすすめです。すでに枯れている枝はばっさり根元から切り戻してしまって問題ありません。
枝や葉が混み合って、風通しが悪くなっていそうな場所も、剪定で調節してすっきりさせましょう。
剪定した切り口からは、1週間〜10日前後で新芽が生えてきます。
剪定時の注意点として、ガジュマルは切り口からは白い樹液が出てきます。
皮膚につくと痒みやかぶれを引き起こす可能性がありますので、作業時は手袋などを着用してください。
万が一、皮膚に付着した場合はすみやかに洗い流しましょう。
増やし方
ガジュマルはすぐに新しい芽を発芽させる生命力がありますので、「挿し木」によって簡単に増やしていけます。
使う枝は、剪定の際に切り落とした枝などを使っても構いません。
10cmほどに切った枝の葉を1〜2枚だけ残して、あとの葉はすべて摘み取ります。
枝先の樹液を軽く洗い流して、水を入れた容器に数時間ほど挿しておき、枝にたっぷりと吸水させたら、土を入れたポットなどに剪定用の枝を挿しましょう。
しばらく日陰で管理すれば、切り口から発根しやすくなりますよ。
まとめ
今回はガジュマルについて紹介しました。個性的な姿が愛らしいガジュマルは、観葉植物として近年では大変高い人気を持っています。
神聖な木として親しまれ、大切にされる木でありながら、コンクリートを突き破るほどのタフな生命力に、自然の驚異を感じる樹木でもありましたね。
しかしその丈夫さは、育てやすい観葉植物として強いメリットです。
足が生えたようなチャーミングなガジュマルたち。その中から、あなたのお気に入りのひとつを見つけ出して、ぜひお家へ連れ帰って育ててみるのはいかがでしょうか?生命力に溢れたガジュマルは、お部屋の雰囲気も明るくしてくれるはずです。