シャープな樹形のコルジリネ・オーストラリス|特徴や育て方は?
コルジリネ・オーストラリスは、放射状に細長い葉を伸ばしていく、スタイリッシュな見た目の観葉植物。細い葉が風にそよぐ様子は、涼しげで南国ムードが漂います。
お庭に植えれば、ガーデニングデザインを引き締めて、モダンな雰囲気を作ってくれますよ。近年人気の高い、ドライガーデンスタイルにもぴったりです。
寄せ植えの素材としても人気がある観葉植物で、さまざまな楽しみ方ができます。
今回は、そんなコルジリネ・オーストラリスについて、植物の特徴や育て方、人気の品種などをご紹介していきましょう。
コルジリネ・オーストラリスの基本情報
まずは、コルジリネ・オーストラリスの基本情報を見ていきましょう。
科・属 | リュウゼツラン科・コルジリネ属 |
和名 | 匂棕櫚蘭(においしゅろらん)
千年木(せんねんぼく) |
英名 | Cabbage tree, Cabbage palm |
学名 | Cordyline australis |
原産地 | ニュージーランド |
コルジリネ・オーストラリスの特徴
原産地をニュージーランドとするコルジリネ・オーストラリスは、1700年代後半にイギリスのプラントハンターである、ジョゼフ・バンクスらによって発見されました。
乾燥している土地や水はけの良い岩場などに分布しています。
ニュージーランドの原住民であるマオリ族の人々には、コルジリネ・オーストラリスの葉でゴザやロープを編むほど、親しみ深い植物です。
樹高は主に3〜6mくらいですが、自生している最大サイズのものでは、20mに達するほど生長します。
茨城県つくば市にある「つくば植物園」で、大きく成長しているコルジリネ・オーストラリスの姿を見ることができますよ。
温帯地域に自生する植物ですが、耐寒性は強い品種ですので、暖かい地域であれば地植えで育てることもできます。
多少の雪や霜に当たっても、無事に冬を越せるほどの強さを持ち、場所によっては関東で育てることも可能です。
観葉植物として鉢植えで育ててから、庭に植え付けるという楽しみ方もあります。
コルジリネ・オーストラリスは、太い茎状の根を地中へ伸ばしていく植物です。
細長く尖った剣状の葉は長く伸びていて、放射状に広がっています。
触るとやや硬い質感を持つ葉ですが、肌に刺さって痛さを感じるほどの硬さではありません。
株が大きく育っていくと、5月頃に複数の花が集まった大きな花序をつけることがあり、花からは良い香りも漂いますよ。
ただし、改良されている園芸品種では、花序をつけるほどには生長させず、適度なサイズ感で育てます。
コルジリネとドラセナは間違われやすい
お店の園芸エリアなどでは、「ドラセナ コルジリネ」と表記されて販売している場合もありますが、コルジリネとドラセナは全く異なる種類の植物です。
この2種類は見た目がとても似ているので、間違われやすいのです。
コルジリネは以前はドラセナ属に分類されていたので、いまだにドラセナと表記されているという事情もあります。
以前はドラセナ=コルジリネのことを指すのが一般的でもあったので、余計にややこしいのですね。
ドラセナとの見分け方は簡単で、根茎があるものがコルジリネであり、根茎を持たないものがドラセナになります。
コルジリネは、地中で地下茎がだんだんと肥大化していき、根茎が形成されていきます。
コルジリネ・オーストラリスの名前の由来
コルジリネ・オーストラリスは、和名では「ニオイシュロラン」や「千年木(せんねんぼく)」と呼ばれます。
コルジリネ・オーストラリスの花が、シュロの花によく似ていて、香りもすることから呼ばれている名前です。
コルジリネ・オーストラリスという名前から、オーストラリアが原産の植物だと思われやすいです。
学名のオーストラリス(australis)は、ラテン語で「南の」を意味する言葉で、原産地は南半球にあるニュージーランドになります。
コルジリネ・オーストラリスの飾り方
コルジリネ・オーストラリスは、室内に飾る観葉植物以外にも、ガーデニンググリーンとしても人気です。
品種によって葉色が異なるコルジリネは、赤茶色やピンク、斑入りのものなどカラーバリエーションが豊富ですから、お庭を華やかに彩ってくれます。
南国ムードが漂う姿でありながらも、モダンなテイストやクールな雰囲気にも合わせやすい植物です。
他の植物とのコントラストを楽しむ
近年、ガーデナーの間では「ブラックプランツ」という言葉が注目されています。
明度の低い赤や紫、黒に近い葉色の植物のことを指しています。
黒色は、大人っぽい印象やクールな雰囲気、上品さ、エレガントさなどを感じる色です。
コルジリネの中でも、入手しやすい品種は、赤茶色のアンティークな色合いの葉が魅力的な「コルジリネ・オーストラリス・レッドスター」です。
煉瓦色のように明るい赤茶色ではなく、褪せた色合いの赤茶色なので、目立ちすぎずに他の植物の色を引き立てることができます。
明るい色合いの植物と組み合わせて、色のコントラストが生まれることにより、見慣れていたお庭の風景が引き締まり、良い色彩効果が生まれます。
寄せ植えで楽しむ
コルジリネ・オーストラリスは、合わせる花の雰囲気によって、トロピカルな雰囲気にもなり、スタイリッシュで格好よくもなり、モダンでおしゃれな印象にもなります。
また、コルジリネ・オーストラリスの特徴と言える、細長く放射状の伸びやかな葉は、動きを出してくれます。
周りにある草花がふんわりとしていたり、柔らかな印象であれば、より一層コルジリネ・オーストラリスのシャープなフォルムが引き立てられるのです。
空間に動きが生まれることで、立体感も演出できます。
アイビーなどのつる性植物と一緒に寄せ植えをするのもおすすめですよ。
つる性植物のように曲線的な植物と組み合わせればボリュームが増して、少ない種類でも豪華な寄せ植えになるでしょう。
カラーリーフでまとめてみたり、赤をベースカラーにして同系色の植物でまとめてみたりと、組み合わせ方によってさまざまなテイストの寄せ植えを作り上げることができます。
コルジリネの人気の品種
コルジリネは品種によって葉の色合いが異なるので、さまざまなカラーバリエーションを楽しめるのが人気の理由です。
中でも特に人気のある品種についてまとめましたので、コルジリネの購入を検討している方は、ぜひお気に入りの品種を見つけてみてくださいね。
コルジリネ・オーストラリス・レッドスター
コルジリネ・オーストラリス・レッドスターは多く流通している品種で、コルジリネ・オーストラリスというと、まずこの品種が出てくるかもしれません。
赤茶色というよりも、赤銅色のほうがイメージしやすいでしょう。煉瓦のような明るい色合いではなく、色褪せた銅のような赤味を持っており、赤銅色の葉には、よく見ると深い赤色の斑模様が入っています。
コルジリネ・フルティコーサ・レッドスターという品種も、同じく「レッドスター」として表記されている場合がありますが、これは別種になります。
コルジリネ・オーストラリス・ターベイダズラー
緑色の葉にクリーム色の斑模様が入る、明るい雰囲気の品種は、コルジリネ・オーストラリス・ターベイダズラーです。
とても優れた耐寒性を持ち、マイナス5℃までなら耐えられるので、屋外や地植えで育てることもできますよ。
寒さだけではなく暑さにも強いので、育てやすい品種です。
コルジリネ・エレクトリックスター
コルジリネ・エレクトリックスターは、緑色と赤茶色の葉の2トーンカラーを楽しめる品種です。
株の根元から葉がたくさん生えていくので、葉の密度が高く、他のコルジリネとはまた少し違った印象のある品種になります。
コルジリネ・エレクトリッククラッシュ
コルジリネ・エレクトリッククラッシュは、先ほどご紹介したエレクトリックスターと同様に、赤茶色と緑色の2色の葉色を楽しめますよ。
エレクトリックスターよりも明るめの緑色を持つため、赤茶色との対比がよりくっきりとしています。
コルジリネ・エレクトリックピンク
コルジリネ・エレクトリックピンクも赤茶色の葉を持つ品種ですが、葉はピンク色で縁取られており、雰囲気が柔らかく可愛らしい印象のあるコルジリネです。
このピンク色の部分は日光に当たるときらきらと輝いて、見る人の心を和ませてくれます。
ピンク系統の色合いのお花と一緒に寄せ植えをして、ファンシーな雰囲気に仕上げるのも良いですね。
コルジリネ・ストリクタ
コルディリネ・ストリクタも大変人気のある品種です。
「青ドラセナ」や「青ドラ」とも呼ばれていますが、ドラセナの仲間ではありません。珍しいものでは斑模様の入った種類もあります。
「ストリクタ」とは、ラテン語で「まっすぐ」という意味があります。
その名のとおりに、上へ上へとまっすぐに幹を伸ばしていき、コルジリネ特有の細長い葉が特徴です。
真上に幹を伸ばす性質から、樹形がコンパクトにまとまるため、すっきりとした印象のグリーンインテリアになります。狭い場所や限られたスペースでも飾りやすい観葉植物ですよ。
新芽のうちは明るく鮮やかな緑色をしていますが、生長していくにつれて葉の色が暗く変わっていくのも見所のひとつです。
コルジリネ・オーストラリスの基本の育て方
あなたが育ててみたいコルジリネ・オーストラリスの品種は見つかりましたか?
育てたい品種が決まったら、次は育て方の基本を知っておきましょう。
置き場所
コルジリネ・オーストラリスはとても乾燥に強い品種なので、少々お世話を怠ってしまっても、すぐに枯れるという心配はありません。
まだまだ観葉植物のお手入れに不慣れなうちは、こういった丈夫な性質を持つ観葉植物から育てていくことをおすすめします。
耐陰性にも優れているため室内でも元気に育てていくことができますが、適度に日光浴をさせることで元気な株になりますよ。
ただし強すぎる日光は、葉焼けを起こしてしまう恐れもあるので、直射日光の当たる場所を避けて、室内の半日陰になる場所で管理しましょう。
窓際に置く場合には、レースカーテン越しやブラインド越しになるように、日当たりを調節してください。
水やり
鉢植えのコルジリネ・オーストラリスは、土が乾いてからたっぷりと水を与えるのが基本です。
水やりの際は、鉢底から水が流れ出るほどに充分な量を与えましょう。
受け皿に溜まった水は、水やりの都度に捨てることを忘れないようにしてください。水が溜まったままだと、鉢内が蒸れて根腐れを起こしてしまいます。
夏場の間の水やりは、まだ気温が低い早朝や、涼しくなってきた夕方頃に行ないましょう。
気温の高い日中に水をやると、鉢内で水温が上昇して株を傷める原因になります。
反対に、冬場は気温が低い時間帯に水やりをすると凍ってしまう可能性もあるので、暖かい日中に水を与えてください。
水道水をそのまま与えると冷たいので、できればしばらく室内に置いて常温に戻してから与えます。
秋口からは、徐々に水やりの頻度を減らしていき、乾燥気味に育てましょう。株を乾燥気味にさせることで、樹液の濃度が高まり、耐寒性を上げることができます。
地植えで育てる場合には、特に水やりはせず、降雨に任せておけば問題ありません。
ただし、鉢植えでも地植えでも、霧吹きなどで葉に水を吹きかける葉水を行なうと良いでしょう。
肥料
コルジリネ・オーストラリスは、基本的には肥料がなくても元気に育ちます。
夏バテなどで株の元気がないときや、生長を早めて株を大きくしたい場合には、生育期である春から秋の間に肥料を与えましょう。緩効性の化成肥料がおすすめです。
冬は休眠期を迎えるので、肥料は与えないようにしましょう。休眠期に肥料を与えると、根に養分が詰まって肥料焼けを起こす場合があります。
室内で育てている鉢植えに肥料を与えるときは、化成肥料か有機肥料を使うと、肥料特有の臭いやコバエなどの発生を防ぐことができますよ。
植え替え
鉢植えのコルジリネ・オーストラリスは、2年に1回ほどのペースで植え替えを行ないましょう。
本来のコルジリネ・オーストラリスは大型植物なので、大きく生長していきます。
鉢内で根がぎゅうぎゅうに詰まると、根腐れを起こして枯れてしまう恐れもあるのです。定期的に一回り大きな鉢へ植え替えて、のびのびと育てましょう。
また、下のほうの葉が変色していたり、落葉がひどい場合なども、植え替えのサインです。
植え替えの前は水やりの頻度を減らして、乾燥させた状態で行なうと作業しやすいですよ。
鉢から根を取り出したら、根を優しくほぐしていきながら土を落とします。
このとき、根の状態をよく観察しておき、古い根や黒ずんでいる根などは、清潔なハサミでカットして、きれいに整理しておきましょう。
整えた根を新しい鉢土に植え替えたら、たっぷりと水やりをして風通しの良い涼しい日陰で管理します。
植え替えた直後は、しばらく葉が落ちてしまうこともありますが、落ち着いた頃にはきちんと新芽が出てきますよ。
剪定
コルジリネ・オーストラリスの剪定は、古い葉を取り除いて枝や茎を整えていく程度で充分です。
枯れている葉は、下に引っ張るようにして摘み取ると簡単に取れます。丁寧に剪定しすぎると、枝が出にくい性質から、回復までにかなり時間が掛かってしまいます。
光合成する葉が足りずに枯れてしまうこともあるので、ほどほどにしてください。
枝先を切る摘芯をすると、切り口から脇芽が出てきて枝を増やせますが、生長が遅いので適度に済ませましょう。
増やし方
コルジリネ・オーストラリスは、挿し木で増やしていくことができます。
真夏を避けて、暖かくなった5〜7月頃の暖かい日に行いましょう。
涼しくなってきた秋口に挿し木をしても良いですが、休眠期を迎える冬までに生長が追い付かず枯れてしまうので、次の春を待ってからの作業をおすすめします。
新しい葉が茂ってくると、茎の先端辺りに元気な芽が育ち出します。この天芽を新しく生長させる挿し穂に使い、切り取って子株に育てましょう。
ポットや鉢に入れた新しい土を充分湿らせておき、挿し穂を土に挿します。
たっぷりと水を与えたら、涼しく風通しの良い日陰でしばらく管理してください。
1ヶ月ほどで発根しますので、根が出たら明るい置き場所へ移しましょう。
まとめ
今回は、シャープですっきりとした樹形のコルジリネ・オーストラリスについて、育て方の基本や人気の品種などをご紹介してきました。
落ち着いたお部屋やシンプルなお部屋にも馴染みやすい観葉植物なので、近年インテリアグリーンとして大変人気が高まっています。
ガーデニングのアクセントとしても優秀で、最近注目されているドライガーデンを彩る植物としてもおすすめですよ。
コルジリネ・オーストラリスは丈夫で育てやすい品種なので、まだ観葉植物のお世話に不慣れな方へもおすすめです。
ぜひ栽培にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。