幸福をもたらすツピダンサス|特徴や育て方

「幸せを呼ぶ」と言われているツピダンサスは、手の平を広げたような個性的な形の葉と、曲がった幹の個性的なデザインを楽しめるのが魅力の観葉植物です。

そのおしゃれな見た目とあわせて育てやすい性質を持っている観葉植物なので、高い人気を持つ品種になります。

そんな人気のあるツピダンサスですが、いったいどのような特徴を持っているのでしょうか。

基本的な育て方などについても、詳しくご紹介していきましょう。

ツピダンサスの基本情報

科・属 ウコギ科・シェフレラ属

(旧ツピタンサス属)

和名・別名 ツピダンサス、ツピタンサス、チュピタンサス、カリプトラツス、シェフレラ・ピュックレリ
英名 Umbrella Tree
学名 Schefflera pueckleri

Syn. Tupidanthus calyptratus

原産地 熱帯アジア

 

ツピダンサスの特徴

ツピダンサスは、熱帯アジア地域のインドやマレー半島などが原産地の常緑小高木です。

光沢のある葉が魅力的なシェフレラ属の仲間で、シェフレラ特有の手のひらを広げたような葉の形である掌状葉を持っています。

大きめの葉にはやや厚みがあり、鮮やかな濃い緑色をしているのが魅力で、アジアンテイストでありながらトロピカルで南国チックな雰囲気もあります。

耐陰性に優れているため、室内で育てやすい観葉植物です。

常緑性のツピダンサスは葉が落ちにくいので、どの季節でも美しい葉を楽しめますよ。

見た目はシェフレラに大変よく似ていますが、シェフレラよりも樹高が高く育ちます。

高い樹高を活かして、室内のシンボルツリーとして飾るのもおすすめです。

幹が柔らかいので曲がりやすい性質があり、その柔らかさを活かして曲がり幹を楽しむことができます。

デザイン性に優れているのも、ツピダンサスがインテリアグリーンとして高い人気を誇っている理由でしょう。

流通数が多いため、生花店や園芸店、ホームセンターなどでもよく見かけるため、買い求めやすい観葉植物です。

白や黄色などの斑模様が入る品種も存在しますが、育て方の難易度が少々上がるので、観葉植物の扱いに慣れてきた頃に育ててみましょう。

ツピダンサスの名前の由来

ツピダンサスは、かつてはウコギ科ツピタンサス属カリプトラタスとして、一属一種を構成している植物でした。現在はシェフレラ属に分類され、シェフレラ属ピュックレリに属しています。そのため流通名は、旧属名である「ツピダンサス」もしくは「ツピタンサス」として定着しています。すでに旧名での認識が浸透しているため、分かりやすく旧名で流通しているという実情です。

しかし最近では、シェフレラ・ピュックレリ(プエクレリ)の名でも販売されています。

いくつも呼び名があると混乱してしまいますが、ツピダンサスにあるいくつかの呼び方にはこのような事情があるのです。

ツピダンサスは、掌状葉の形が傘にも例えられ、英名では「Umbrella Tree(アンブレラツリー)」とも呼ばれています。

ツピダンサスの花言葉

花言葉は、実は観葉植物にも付けられていることをご存知でしょうか。ツピダンサスにも、「幸福」という縁起の良い花言葉があります。

ツピダンサスの自生地では、大きく厚みのある葉が強風などから人や家を守る、守護神のような存在の木として皆に愛されているのです。

家族を守り、家を守ってくれるツピダンサスには、「幸福」の花言葉がしっくりきますね。

ツピダンサスの基本的な育て方

ツピダンサスは寒さに強く日陰でも育つため、インドアグリーンとして優れています。

もともと丈夫な植物ですから、観葉植物初心者の方にも難しくなく、育てやすい品種です。

これからツピダンサスを育ててみたいと検討している方は、基本的な育て方をチェックして参考にしてみてくださいね。

置き場所

ツピダンサスは、風通しの良い明るい場所に置いて、適度に太陽の光を浴びせて管理しましょう。耐陰性に優れているとはいえ、ずっと日陰で育てていては、せっかくの美しい葉がつやを失ってしまいます。

窓際に置く際はレースカーテン越しにするなど、強すぎる日光を当てないよう工夫が必要です。

また、ツピダンサスの置き場所をころころと変えることは、株に大きな負荷がかかります。

環境の変化に敏感な品種なので、あまり頻繁に置き場所を変えていると、適応しきれずにストレスを感じて葉を落としてしまうことがあるでしょう。

良い置き場所を見つけたら、できるだけ動かさずに固定位置で管理してください。

たまにくるくると鉢を回して、株全体にまんべんなく日が当たるようにするのも、元気に育てていくコツですよ。

水やり

ツピダンサスの水やりは、一般的な観葉植物と同じように、土が乾いてから鉢底から水が流れ出てくるまでたっぷりと与えます。

水やりの後、受け皿に溜まっている水を放置しておくと、鉢内が蒸れて根腐れの原因になってしまうので、水やりの都度捨てて清潔に保ってくださいね。

ツピダンサスの自生地は多湿環境なので、霧吹きなどで葉に水を吹きかける「葉水」をこまめに行って保湿してあげると、葉が活き活きと育ちます。

植え替え

ツピダンサスは、2年に1回を目安にして、一回り大きな鉢へ株を植え替えます。

植え替え作業は、生育期である5〜9月頃に行なうのがベストです。

夏季に植え替えをする場合は、炎天下や猛暑日を避けて行なってください。

 

もし、前回の植え替えから2年が経過していなくても、鉢底や鉢土の表面から根が飛び出ていたり、水やりの後に鉢底から水がなかなか流れ出てこなくなったりしたら、鉢内で根が詰まっているかもしれません。

なるべく早く植え替え作業をして、生育環境を整えてあげましょう。

 

株を鉢から丁寧に取り出したら、根を優しくほぐしつつ、古い土を落とします。

根をじっくりと観察して、腐っている部分や傷んでいる部分などは、消毒した清潔なハサミで切り落としましょう。

植物にとって、根はいちばんデリケートかつ重要な部分です。

清潔なハサミを使って、切り口から雑菌が繁殖するのを防ぎましょう。

もし、これ以上株のサイズを大きくしたくない場合には、取り出した根の3分の1ほどを切り落として調節してください。

 

根の整理が終わって、一回り大きな鉢に株を置いたら、周りに新しい土を隙間なく入れて埋めていきます。

株を固定させたら、たっぷりとお水を与えて、涼しく風通しの良い日陰に置いて、しばらく注意して管理しましょう。

剪定

ツピダンサスが生長して、大きくなりすぎたと感じたら、剪定で切り戻しましょう。

コンパクトなサイズで育てて生きたい場合は、定期的な剪定での調節が必須です。

剪定作業も植え替えと同様に、炎天下や猛暑日を避け、生育期の5〜9月頃に行なってください。

 

春先に剪定で整えておくと、夏には樹形が美しく整います。

葉の密集している部分なども、風通しを良くするために剪定でボリュームを調節しましょう。

株の通気性を上げることで、病気や害虫を予防する効果があります。

 

剪定の際は、枝の節目から2cmほど上でカットしましょう。

節目を残しておくことで、そこから脇芽が発芽して増えていきますよ。

肥料

ツピダンサスは大きくなりやすい品種なので、コンパクトなサイズで留まらせたい場合には、肥料を与えなくても構いません。

肥料を与えることで、葉の光沢や美しさも増しますが、なくても充分に育ってくれます。

 

肥料を与える場合には、春から秋にかけての生育期の間に与えると効果的です。

緩効性の置き肥は2ヵ月に1回のペース、液体肥料は10日に1回のペースで与えていきます。

夏は養分を吸収しづらく、冬は休眠期を迎えるので、夏と冬には肥料を与えません。

かえって肥料焼けを起こして、株の健康が損なわれる可能性があります。

鉢植えを室内で育てている場合は、化成肥料を使えば、肥料特有の匂いやコバエの発生を防げます。

冬越し

秋以降はだんだんと生長速度が落ちていきますので、それにあわせて水やりの頻度も徐々に減らしていきましょう。

乾燥気味に育てていくことで、樹液の濃度が高まっていき、寒さに強い株を作ることができますよ。

冬の間は、土が乾いたのを確認してから2〜3日後に水やりをしましょう。

冷たい水道水をそのまま与えると、根が凍ってしまう可能性もあるので、水やりの前に常温に戻しておき、できるだけ暖かい日中のうちに水やりをしてください。

乾燥気味に育てて耐寒性を高めていけば、5℃以上あれば冬を越せます。

普段は鉢植えを外で管理している場合も、寒い冬には室内に入れてあげましょう。

冬の日中は、よく日の光が入る窓際などに置いて日光浴をさせます。

外に出したままで霜に当たったり、雪が積もったりすると、株が凍ってしまい枯れる恐れがありますので注意が必要です。

冬も引き続き屋外で管理するときは、鉢の下にブロックなどを置くのも防寒対策になります

ツピダンサスの増やし方

ツピダンサスの増やし方には、「挿し木」「取り木」「茎伏せ」の3つの方法があります。

再生力がとても強い植物なので、簡単に増やしていくことができますよ。

ツピダンサスの種子は入手が大変難しいのですが、もし入手できることがあれば、種まきから増やしていくことも可能です。

観葉植物を育てるうえでは、株を増やすのも醍醐味のひとつです。

お世話に慣れてきたら、ぜひツピダンサスの増やし方にチャレンジしてみてくださいね。

挿し木

まず挿し木は、生長した枝を約10cmの長さで切り取ります。

挿し木用のポットや鉢に、新しい土を用意しておき、切り口を土に挿します。

挿し木で用意する土には、肥料を入れると発根がうまく行かないため、混ぜ込まないように注意してください。

発根してくるまでは、明るく風通しの良い日陰で管理して、挿し穂が乾燥しないようにこまめに観察しましょう。

取り木

また、取り木という方法を使っても増やすことができます。

取り木での増やし方は、特に葉に斑が入っている品種におすすめの方法です。

斑入りの品種は、挿し木だと発根しにくいため、挿し木よりもやや手間が掛かりはしますが、定着すると可能性がぐっと高まる取り木で増やしていきましょう。

 

まずは、発根させたい箇所の樹皮を、だいたい5cmの幅で、ぐるりと一周分剥ぎ取りましょう。

皮を剥いて、つるりとした木質が見えたら、しっかりと湿らせた水苔を周りに巻き付けましょう。

水苔の水分が蒸発しないよう、ビニールを二重に巻いていきます。

このとき、発根の様子を確認できるように透明なビニールを使うと良いでしょう。

発根して根がいくつも見えてくるようになったら、発根している下側の部分から切り離して、鉢に植え付けましょう。

挿し木とは異なり、大きめの株が育つ特徴があります。

茎伏せ

もしくは、「茎伏せ」という方法でも増やすことができます。

茎伏せに使う挿し穂は、挿し木のときよりも短く切り落とした、そこそこ太さのある茎を使います。

節の下から出てくる新芽を利用する方法ですので、節の部分がある挿し穂を使ってくださいね。

用意した土の上へ、茎が横向きになるように置き、茎の表面が出るように、うっすらと軽く土を被せます。

茎伏せでは、小さな株になりますので、ミニ鉢やハイドロカルチャーで育てる用の株向きです。

節の数だけ新芽が出るため、多く増やすこともできます。

病気や害虫に注意

ツピダンサスには、カイガラムシの害虫がつきやすいので注意が必要です。

ツピダンサスの茎や葉に寄生して、株を吸汁して養分を奪っていきます。

カイガラムシの排泄物はべたべたとしているので、放置しておくとカビの発生にも繋がります。

見つけたら、すぐに駆除しましょう。

 

カイガラムシの成虫は、固い殻のようなもので体を覆っているため、駆除剤などの薬物が浸透しないのが難点です。

成虫になっていたら、歯ブラシなどの柔らかい毛を持つブラシで、葉を傷つけないよう注意しながら、カイガラムシを擦り落としましょう。

 

春先にはアブラムシが発生することもあり、アブラムシは「すす病」のウイルスの媒体でもあるので、見つけ次第早急に駆除しておきたい厄介な虫です。

アブラムシがツピダンサスを吸汁すると、吸い口を通してウイルスが侵入してしまい、すす病が発症します。

落葉トラブルに注意

新しいツピダンサスの鉢を迎え入れて、いざ育て始めようという頃に、次々と葉が落ちてしまうトラブルがよく起こります。

これは、ツピダンサスが新しく訪れた場所の環境に適応しようとして、不慣れな環境でストレスを感じている証拠です。

購入したばかりの鉢に限らず、置き場所を頻繁に変えて管理している場合にも、同様に落葉トラブルがあります。

 

鉢の管理場所はコロコロと変えずに、なるべく定位置で育てましょう。

ただし、薄暗い室内でずっと管理していると、日照不足によって栄養が足りずに落葉する可能性もあります。

置き場所は直射日光を避けた明るい場所を選び、適度に日光浴をさせるのも忘れずに行ってくださいね。

ツピダンサスは幹の曲がりが楽しい

店頭やオンラインショップなどで見かけるツピダンサスは、おしゃれに曲がった樹形のものを見かける機会が多くあります。

ツピダンサスの幹は、柔らかい性質を持っているので、生長して幹が伸びるにつれ、徐々に胸腺を描いていくという特徴があるのです。

 

この幹が曲がる性質を活かして、さらにインテリアや観賞用としてのデザイン性を高めるために、人工的に手が加えられた幹も多く出回っています。

ツピダンサスを自宅で育てつつ、自分好みの樹形に幹を曲げていく楽しみもある観葉植物なのです。

自分で幹のデザインをしていくと、より愛情を込めてお世話もできます。

幹曲げにチャレンジしてみよう

ツピタンサスの幹を曲げていくのは、実はとても簡単です。

まだ若く柔らかい状態の幹に、麻ひもやワイヤーなどを巻き付けていきます。

幼木の頃に作業したり、無理やり曲げたりすると幹が折れてしまいますので気を付けてください。

手で支えつつ、ゆっくりと慎重に幹を曲げたい方向に固定したら、数週間以上そのままで固定しておきましょう。

完全に曲がり癖が付いて幹が安定するまでは、麻ひもやワイヤーを外さずに放置しておきます。

固定したひもを外して様子を見ながら、もう少し曲げていきたいと思ったら、さらにカーブを加えて数週間以上固定する…という工程を繰り返しましょう。

まとめ

今回は、曲がり幹でおしゃれな樹形デザインを楽しめる、ツピダンサスについてご紹介してきました。

「幸福」の花言葉を持つツピダンサスの魅力は、美しい葉と育てやすい丈夫さです。

特別に難しい育て方ではありませんので、誰でも気軽に育て始められる品種になります。のんびりと生長していくので、インドアグリーン向きでもあります。

お世話に慣れてきたら、株を増やしたり幹曲げにチャレンジしてみたり、ツピダンサスを楽しみながら育ててみてくださいね。

大切なあの人にお花を送ってみませんか?