ザンジバルの宝石「ザミオクルカス」魅力や特徴、育て方など
ザミオクルカスは、シンプルでスタイリッシュな樹形がインテリアに合わせやすく、人気が高まっている観葉植物です。
肉厚の葉はつやつやと光沢を持っており、ツバキの葉にも似ています。
地面から枝を立ち上げる姿には生命力もあり、見る人に活力を与えてくれます。
今回は、美しい葉を持っている観葉植物、ザミオクルカスについて、その魅力や特徴、育て方などについてご紹介していきます。
ザミオクルカスの基本情報
科・属 | サトイモ科・ザミオクルカス属 |
和名 | ソテツバカイウ |
英名 | Zamioculcas、Zanzibar gem |
学名 | Zamioculcas zamiifolia |
原産地 | アフリカ東部 |
ザミオクルカスの特徴
ザミオクルカスの最大の特徴は、幹からいくつも枝分かれしていくのではなく、葉のついた枝が地面からいきなり立ち上がる姿にあります。上向きに活き活きと伸びていく姿はエネルギッシュで、部屋に飾ると元気を分けてもらえそうな観葉植物です。
原産地はアフリカ東部やタンザニアのザンジバル諸島で、タンザニアではザミオクルカスが湿布薬としても使われています。また、ザミオクルカスは芽の出し方も特徴的です。
10枚ほどの葉が花のつぼみのようにつぼんだままで伸び、一斉に葉が開いていくという性質があります。つやつやとした葉が一斉に開く姿はまるで開花したようで、とても爽やかですね。
乾燥した地域が原産のザミオクルカスは、乾燥に強く耐陰性もあるため、初心者でも育てやすい室内向きの観葉植物です。肉厚の葉に水分を蓄えているので、少々水やりを忘れてしまっても枯れる心配はありません。
ザミオクルカスの名前の由来
ザミオクルカスは、ソテツ科であるザミア(プミラ)という植物の葉に形が良く似ています。そのため、ザミアに似たサトイモという意味の名前が付けられました。
ザミオクルカスの原産地であるザンジバル諸島は、「インド洋の宝石」と呼ばれ、美しいサンゴ礁や遺跡がある地として知られています。
ザミオクルカスは、ザンジバルでは広く親しまれている植物で、その美しい葉を宝石に例えて、「ザンジバルの宝石」や「不滅の植物」「永遠の植物」などと呼ばれて愛されています。
ザミオクルカスの人気品種
ザミオクルカスというと、基本的には「ザミオクルカス・ザミフォーリア」という1種類の品種のみを指しています。
しかし、葉の持つ美しさや力強い姿から人気が高く、品種改良が多く進んでおり、新しい品種が登場しているため、ザミオクルカスの中でも、特に人気のある2種類をご紹介しましょう。
ザミオクルカス・レイヴン
中でも人気のある品種は、ザミオクルカス・レイヴンという新品種です。
ザミオクルカス・レイヴンは、葉の色が初めは緑色ですが、徐々に黒く色付いていきます。
黒くなる羽の色がカラスの羽に似ているため、「Raven(レイヴン)」の名が付けられました。艶のある黒光りする葉は、烏の濡れ羽色(からすのぬればいろ)のようですね。
葉が若いうちはまだ緑色の状態なので、緑の葉と黒い葉が混在しているコントラストも美しく、毎日眺めていても飽きない姿で、日々のお世話のモチベーションも上がります。
海外では、レイヴンの葉が持つ芸術性を高く評価しており、展示会などでも賞を受賞するほど、観賞価値が非常に高い品種です。残念ながら日本には流通が少ないため、現在は入手が難しいとされています。
寒さを苦手とするザミオクルカスの特性から、販売期が限られているのも入手困難の理由のひとつにあるでしょう。
ただし、日本国内の農家も生産に着手し始めているので、今後は日本の気候にも慣れてくれた苗を入手しやすくなるかもしれません。
ザミオクルカス・ドワーフ
ザミオクルカス・ドワーフは、「小人」や「小さきもの」の意味を指すドワーフと名前に入っているように、ザミオクルカス・ザミフォーリアが小形なままで成熟した矮性品種になります。ザミフォーリアをきゅっと小さいサイズにしたように葉の節間も詰まっていて、コンパクトな姿が可愛らしい品種です。
ザミオクルカスの花言葉
ザミオクルカスは、9〜10月頃にサトイモ科特有である、仏炎苞に包まれた棒状の肉穂花序を咲かせます。花はカラーに似ている白やクリーム色の花色で、その咲き方も枝葉のように特徴があり、土からひょっこりと顔を覗かせるように突き出して咲くのです。
花の後には、果皮が肉質で汁気を多く含む、液果という実がなりますが、日本の気候では開花するのはごく稀だと言われています。
そんなザミオクルカスの花言葉は「輝く未来」です。
ザミオクルカスの持っている、見る人を元気づけるようなフレッシュさ、エネルギッシュさからイメージされた、前向きで明るい花言葉ですね。
ザミオクルカスの風水効果
ザミオクルカスの葉は、小判状であることから、中国では「金銭樹」として親しまれています。
金運を上昇させる富貴植物として、風水効果があるとされています。
ザミオクルカスの開花は、金運上昇の吉兆だと言われています。
ポジティブな花言葉を持ち、風水効果もあるザミオクルカスは、グリーンギフトとしてもおすすめですよ。
お手入れの際は樹液に注意
ザミオクルカスはサトイモ科の観葉植物ですので、枝などの切り口からは樹液が出ます。
この樹液には、シュウ酸カルシウムなどの毒性がありますので、皮膚に付着すると、痒みやかぶれ、炎症などの症状を引き起こします。
剪定作業の際には必ず手袋を着用して、皮膚に直接樹液が付かないよう注意しましょう。
また、誤って小さい子どもやペットが口にすると危険です。
手が届かない高い場所や、ペットの入れない部屋などの安全な場所で管理することをおすすめします。
ザミオクルカスの育て方の基本
耐陰性があり、乾燥にも強いザミオクルカスは、育てやすいインドアグリーンです。
初心者の方でも比較的育てやすい丈夫さを持っていますので、観葉植物の扱いに慣れないうちでも、育成にチャレンジできますよ。
次は、ザミオクルカスの基本的な育て方についてご紹介していきます。
置き場所
ザミオクルカスは、強すぎる日光や直射日光を嫌います。
これは観葉植物全般に言えることですが、強すぎる日光は葉焼けを起こしますので、充分注意しつつ日光浴させましょう。
明るい場所を好むため、柔らかく日差しが当たるような場所に置いて管理してください。
窓際に置く場合は、レースカーテンやブラインド越しなど、ある程度遮光されたところに置きましょう。
乾燥には強いザミオクルカスですが、エアコンの風が直撃する場所や、暖房器具の近くは、葉を傷つける原因になるので避けて下さい。また、冷暖房の風が当たると、せっかく葉に蓄えている水分が奪われてしまいます。
水やり
ザミオクルカスは、乾燥した環境を好みます。
水やりは、土の表面が乾き切って、ぱらぱらとしてきた頃に行ないましょう。
水を与えるときは、鉢底から水が流れ出てくるまでの充分な量を与えます。
たっぷりと水を与えることで、根にまんべんなく水が届き、土に空気が入って柔らかくなるので良い生育環境となります。水やりの後は、受け皿に溜まっている水を捨てることも忘れないようにしましょう。水が溜まったままの状態だと、鉢内が蒸れてしまい根腐れを起こす原因となるので、注意が必要です。
ザミオクルカスの特徴ともいえる肉厚の葉は、水やりのサインを知らせてくれる役割もあります。
株の水分量が少なくなってくると、葉のつやが失われてきたり、厚みのある葉が薄くなってきたりします。葉のお手入れのついでに手で触れてみて、水分量を確認してみましょう。
水やりをすると、翌日には葉の厚みが戻り、つやつやとした光沢が戻りますよ。
ザミオクルカスの葉は、目に見えて分かりやすい健康のバロメーターでもあるので、日頃からよく観察して、お世話に役立ててください。
また、水やりとは少し異なりますが、乾燥する時期は霧吹きなどで葉に水を吹きかけて、葉水をしてあげましょう。
葉水を行うことで、害虫予防にも繋がりますし、ザミオクルカスの魅力でもあるふっくらとした肉厚の葉をキープできますよ。
葉に埃が付いていたら、ティッシュや柔らかい布で優しく拭き取り、光合成がしやすいようお手入れしましょう。気温が15℃を切ると、ザミオクルカスの成長速度はゆっくりになります。生育期ほど水は必要ではないので、徐々に水やりの頻度を減らしていってください。
こうして乾燥気味にして育てると、樹液の濃度が高まって耐寒性が上がり、冬の寒さに備えることができます。もし落葉が進んでしまうようなら、適度に水やりの頻度を増やして、少しずつ調整していきましょう。
剪定・切り戻し
ザミオクルカスの剪定は、こまめに行なう必要はありません。基本的には、枯れた葉を摘み取っておく程度で充分です。美しく並んでいる葉が最大の魅力でもあるので、なるべく葉軸にハサミを入れない育て方が望ましいでしょう。
葉が混み合い密集して、風通しが悪くなっているようなときには、剪定で調整しましょう。
剪定作業は、春から秋にかけての生育期に行なわれます。
剪定時は必ず、清潔で切れ味の鋭いハサミや刃物を使うようにしてください。
また、サトイモ科のザミオクルカスは、切り口から樹液が出ますので、直接皮膚に触れないよう、作業時は手袋の着用を忘れないようにしましょう。
肥料
ザミオクルカスは、肥料を与えなくても丈夫に育ってくれます。
もし与える場合には、生育期である春と秋に、緩効性の置き肥か液体肥料を与えましょう。
真夏と冬の時期には、ザミオクルカスの株は休眠するので、肥料は要りません。
植え付け・植え替え
ザミオクルカスの植え替えは、1〜2年おきに行ないましょう。
定期的に一回り大きな鉢へ植え替えることで、根詰まりや根腐れを防げます。
植え替え作業は、5月頃に行うのがベストです。
真夏や真冬の植え替え作業は、株への負担が大きく、回復するエネルギーが足りない時期なので避けましょう。
ザミオクルカスの植え替えを行うときは、深植えに注意してください。
植え替えの際に根を土に深く植え過ぎると、根が腐りやすくなってしまうため、植え替え前の高さに合わせておきます。
他にも、鉢底から根が飛び出てきたり、鉢土の表面から根が見えてきたら、鉢内で根が窮屈になっているサインです。
なるべく早く植え替え作業を行ってください。
注意したい病気・害虫
ザミオクルカスを育てるうえでは、カイガラムシやハダニなどの害虫に注意しましょう。
これらの害虫は繁殖力が強く、気を抜くと見る見るうちに増えてしまいます。
早く見つけられれば、被害を抑えられますが、かなり増えてしまった後では、葉の養分が吸収されて株が枯れてしまう原因にもなります。
害虫予防としては、こまめに葉水をしておくことと、日頃のお世話の際に、葉の裏などもしっかりと観察しておくことです。
ハダニなどは葉裏などに寄生しやすい特徴があるため、白い斑点や綿のようなものが見えないか、こまめにチェックしてみてください。
あまりにも増えているようなら、殺虫剤を使用して駆除しましょう。
カイガラムシの成虫は、固い殻に覆われており、薬剤が浸透していきません。
歯ブラシなどを使って、葉を傷つけないように擦り落としていく駆除方法が効果的です。
ザミオクルカスを増やして育てよう
ザミオクルカスは、少しの長さの茎を水に挿すだけで根を出すほど、強い生命力を持っています。そのため、「挿し木」「株分け」「葉挿し」など、いくつかの方法で増やして楽しむことができるでしょう。
どれも手軽にチャレンジできる増やし方ですので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
それでは、各方法の手順について詳しくご説明していきます。
挿し木
挿し木では、切り落とした枝の葉を上の部分の2〜3枚だけ残した挿し穂を使います。
株を土に埋めて挿すと、2ヶ月ほどで発根していきます。
剪定などで切り落とした枝を使っても良いでしょう。
水挿し
水挿しは、挿し木よりも発根の成功率を高める方法です。
初めに水挿しで発根させて、根が4〜5本ほど生えてきてから挿し木することで、根付く確率がぐっと上がります。
透明な容器に水挿しをすれば、切り口から芋が生えてくる様子を見ることもできます。
注意点としては、水に挿している状態に長く慣れすぎると、土に植え替えたときにうまく水分を吸い上げられなくなる可能性があります。
発根が確認できて、いくつかの根が数cmほどに伸びたら、なるべく早く土の環境へ移しましょう。
土に挿した後は、小まめに水やりをして乾燥させないようにします。
少しずつ水やりの頻度を緩めていき、土が乾いてから水を与えるまでに慣らしていきましょう。
葉挿し
葉挿しは、先述した挿し木や水挿しとは違い、ザミオクルカスの葉を付け根で切り、発根させていく増やし方になります。
この方法は、ザミオクルカスの株に元気がなくなり、茎が全体的に変色しているなど、健康でない状態の場合に有効な方法です。
まだ元気のある、つやつやとした緑の葉があれば、葉挿しでザミオクルカスを復活させましょう。
葉挿しも、挿し木と要領は変わらず、ちぎった部分を土に挿すだけです。
葉全体を水に浸けてしまわないよう、付け根の先だけを浸けるよう注意しましょう。
しかし、葉挿しの場合は初根に9ヶ月以上の長い時間が必要で、その間は25℃前後の温度管理が必要になるため、やや難しい増やし方かもしれません。
枝などに異変がない健康な状態であれば、挿し木、もしくは水挿しでの増やし方をおすすめします。
株分け
ザミオクルカスの株分けは、植え替え作業をあわせて行なうと、株への負担が少なく済むのでおすすめです。
ザミオクルカスはサトイモ科ですので、鉢から株を取り出してみると、根に芋が付いているのが分かると思います。
この根と芋を、手で少しずつ引き裂いていき、株を分けていきます。
茎が一本ずつになったら、それぞれの株を新しい鉢と土に植え付けましょう。
株分けでの増やし方は、挿し木とは異なり、生長した根を活かして植え付けるので、失敗も少なく、定着しやすいためおすすめの増やし方です。
また、定期的に株分けすることで、親株が大きく元気に育っていきます。
株分けをせずに育てていくと、葉の数が少しずつ減っていき、寂しい見た目になってしまいます。
植え替え作業とセットで株分けを行うと良いでしょう。
株分けをしないままだと、徐々に葉数が減って株が小さくなりますので注意してください。
まとめ
今回は、土からまっすぐ枝を伸ばしていく、つやつやした葉が魅力的なザミオクルカスの魅力や育て方について、詳しくご紹介してきました。
丈夫に育ちやすいザミオクルカスは、決してお世話が難しい品種ではありませんので、まだ観葉植物を育てるのに不慣れな方でもチャレンジしやすい植物です。
その生命力の強さから、増やし方も簡単ですので、株分けや挿し木で増やして楽しむこともできます。
美しい葉や樹形を楽しみながら、ザミオクルカスを元気に育てていってくださいね。