爽やかな香りが魅力のユーカリ|特徴や育て方、花言葉など

コアラが食べる葉として有名なユーカリの木。その香りの良さからアロマオイルやハーブティーとしても人気があります。

アンティークな葉色は観賞価値が高いため、お部屋を彩るインテリアアイテムとしても人気です。冬に葉が落ちることのない常緑樹であるユーカリは、冬のガーデニングの強い味方でもあります。

今回は、ユーカリの特徴や育て方、花言葉、おすすめの飾り方など、ユーカリの魅力についてたっぷりとご紹介していきます。

ユーカリの基本情報

 

科・属 フトモモ科・ユーカリ属
和名 白熊の木(はぐまのき)、霞の木(かすみのき)、煙の木(けむりのき)
英名 Gum tree、Blue tree、Blue gum
学名 Eucalyptus
原産地 オーストラリア、タスマニア島、ニュージーランド

ユーカリの特徴

光の加減で、シルバーやグリーンにも見える、美しい葉がユーカリの特徴です。

一般的にユーカリは、乾燥地帯に分布する植物ですので、暑さに強く寒さには弱い性質があります。乾燥した状態を好み、湿度の高い環境は苦手です。

小ぶりなものでは5m程度ですが、大きくなると50m以上までに育ちます。

原産地のオーストラリアは、頻繁に山火事が起きる乾燥地帯です。

ユーカリは、そんな過酷な環境下でも、発芽して繁殖してきた生命力の強さがあります。

乾燥地帯で水分は大変貴重ですので、吸水力がとても強く、元気に育っていきます。

日本の気候には不向きと思えるユーカリですが、寒さに強い品種を選べば、育てて楽しむことができます。

品種によって葉の形が異なるので、ぞれぞれの種類によって表情の違うユーカリを楽しむことができます。

コアラが食べないユーカリもある

ユーカリと言えば、コアラの大好物の葉でお馴染みですよね。

しかし、数百種類以上あるユーカリの品種の中でも、コアラが好んで食べるのは12種類だけだと言われているのです。

主にコアラが好んでいる品種には、カマルドレンシス、ロブスタ、プンクタータ、テレチコルニスなどがあります。

これらの品種は、香りがあまり強くなく、樹液に糖質が多く含まれているのが共通点です。

日本で人気のある品種でもあるグニーユーカリは、清涼感のある強い芳香があるためコアラが食べない品種になります。

さらに、ユーカリの若い木には毒性があり、特に若い枝や葉には強い毒性があります。

コアラはそれを学習しているので、そこそこ生長した安全なユーカリの葉だけを食べています。

ユーカリの名前の由来

ユーカリの名前は、学名である「Eucalyptus(ユーカリプタス)」が語源になっています。

「Eucalyptus」は本来はラテン語なのですが、「よく」「誠に」という意味の「eu」と、「覆った」という意味を持つ「Kalyptus」が組み合わさって成り立つ名称です。

直訳してみると「よく覆われた(包まれた)」という意味になります。

ユーカリの花のつぼみは、萼(がく)と花弁がくっつき、蓋で覆われたような独特な形状をしています。

この特徴的な花のつぼみの姿が、ユーカリの学名の由来となっています。

冬のユーカリの葉は紅葉する

シルバーグリーンの葉が魅力であるユーカリですが、冬になると葉が紅く色付くことがあります。

色付いても落葉しないので、もしかして何かの病気なのかと不安に思いますが、ご安心ください。

ユーカリは、気温が低くなると赤く紅葉することがあります。

ユーカリは常緑樹ですから、落葉樹と違って葉を落とすことがありません。

 

春を迎えて暖かくなってくると、通常のユーカリの葉色へと戻っていきます。

葉が赤く色付くのは自然現象ですから、心配は無用です。

季節を感じられるユーカリの葉を眺めながら、春の訪れを待ちましょう。

ユーカリの花言葉

ユーカリは、白やクリーム色、黄色、オレンジ、赤、ピンクなど、品種によってさまざまな色の花を咲かせます。細い花びらが密集したような、独特な咲き姿です。

そんなユニークな花を咲かせるユーカリの花言葉は、「新生」「再生」「思い出」「追憶」「慰め」などがあります。

乾燥地帯が多いオーストラリアでは、山火事が多く発生するため、火事が起きるたびにユーカリの森は焼けていきます。

そんな過酷な環境下で生き抜くユーカリの生存戦略として、山火事によって種が発芽するという性質があります。

ユーカリは、山火事の後に降り注ぐ雨によって種が芽吹き、焼けた野原からいちばんに芽を出すたくましい植物です。

こういった生命力の強さから、「再生」「新生」の花言葉が付けられました。

「思い出」「追憶」「慰め」の花言葉は、山火事の被害に遭い、大切な人や家などを失った人々の心を慰めるかのように、力強く芽吹くユーカリの姿から付けられたのかもしれません。

美しい品種がたくさん!ユーカリの種類

ユーカリは品種が多く、魅力的なものばかりですが、そのすべてが日本の気候に合うわけではありません。

ここからは、日本の気候でも育てやすい、人気のある品種をご紹介します。

ユーカリ・ポポラス

ユーカリ・ポポラス(ポリアンセモス)は、葉がハート形や丸型といった可愛らしいフォルムで、大変人気のある品種です。

ガーデニング以外にも、切り花やドライフラワーとしても人気があります。

ヨーロッパなどでは、つやつやとしており厚手の葉を持つものは「ユーカリポポラス」の名前で流通しています。

ユーカリ・グニー

ユーカリ・グニーは、シルバーグリーンの葉がアンティークな色合いで美しい品種です。

耐寒性があるので、日本の寒さにも耐えてくれる育てやすい品種になります。

自生するユーカリ・グニーは、20m以上もの高さまで立派に育ちます。

ユーカリ全般の共通点として、乾燥を好む性質がありますが、ユーカリ・グニーは中でも湿度にやや強い性質を持っています。

日本の夏は湿度が高くじめじめとしますが、なるべく風通しの良い涼しい場所で気を付けて管理すれば、無事に夏を乗り越えてくれるでしょう。

銀世界

銀世界はマルバユーカリの品種のひとつで、美しい名前のとおり、シルバーホワイトの葉が魅力的です。葉からは爽やかでとても良い香りがするので、切り花やドライフラワーとしてよく使われています。

フラワーアレンジメントのアクセントとしても用いられやすい素材です。

ある程度寒さにも強いので、日本でも育てやすい品種になります。

アロマとしても楽しめるユーカリ

ユーカリは、葉以外に花や果実にも香りがあり、さらにユーカリで作られたユーカリ油には、殺菌や解毒などの効果があります。

そのため、葉の主成分には、風邪予防や花粉症の症状緩和にも効果があるそうです。

さらには防虫効果もあるので、ユーカリのアロマスプレーを布団やラグに吹き付けておくと、ダニなどを抑制する効果があります。

爽やかな香りを漂わせるユーカリは、アロマオイルやハーブティーとしても楽しめますし、バスソルトや入浴剤などのリラックスアイテムとしても人気です。

チャーミングな葉の形と、アンティークな佇まいから、最近では切り花としても人気があります。

ユーカリを飾って楽しもう

生花店でも切り花として頻繁に見かけるようになったユーカリ。とても良い香りを楽しめますので、ぜひお部屋に飾ってみましょう。ここからは、インテリアアイテムとしてお部屋にユーカリを飾るアイディアをご紹介します。

フラワーベースに飾る

おしゃれなフラワーベースや、お気に入りのティーカップなどにユーカリを活けるだけで、素敵なインテリアになります。

ダイニングテーブルの上に置いたり棚に飾ったり、ナチュラルなインテリアアイテムとして楽しめます。切り花として楽しみながら、少量の水を入れて徐々に乾燥させていく「ドライインウォーター法」を使えば、簡単にユーカリのドライフラワーが完成しますよ。

スワッグを作る

スワッグとは、ドイツ語で「壁飾り」という意味になります。

ユーカリの束をひとつに結び、逆さに吊るしておくだけでおしゃれなスワッグの完成です。

スワッグの作り方はとても簡単で、吊るしたい分のユーカリを麻ひもなどでひとまとめに束ね、壁に吊り下げておくだけです。乾燥させていくと、茎が痩せて縮んでいくので、輪ゴムで束ねてから麻ひもを巻き付けるのがおすすめです。

壁に飾る際は、直射日光を避けて、風通しの良い場所を選ぶと、スワッグがきれいに長持ちしますよ。

リースを作ろう

100円ショップで販売されているリース土台を使えば、簡単に作ることができます。

きれいに見えるよう仕上がりを意識しながら、切り分けたユーカリの枝を土台に挿して、麻ひもで固定していきます。使用するユーカリの枝は、なるべく柔らかいものを使いましょう。少ないユーカリの枝でも充分おしゃれなリースになりますが、ふんだんにユーカリを使い、隙間を埋めるように側面にも枝を挿していくと立体感が生まれますよ。

好みでリボンや木の実の飾りなどを付けて、可愛く仕上げてみてくださいね。

ユーカリの基本的な育て方

ガーデニングの庭木や、ちょっとしたインテリアアイテムとしても人気のあるユーカリ。

乾燥に大変強い性質があるため、水やりを忘れてしまっても心配は要りません。

ただし、湿度は苦手な観葉植物なので、日本の気候で育てていくには注意が必要です。

次は、ユーカリの育て方について、各項目ごとに詳しくご説明していきましょう。

置き場所

ユーカリは風通しと日当たりの良い場所を好むので、じめじめと湿度の高い場所は避けて管理しましょう。

また、地植えでも鉢植えでも、ユーカリを育てる土は水はけの良いものを選ぶと良いです。

ユーカリの根は浅く伸びるため、強風などには弱い傾向にあるため、台風シーズンなどには倒木の危険が高まります。地植えするときは風が強く当たる場所は避けましょう。

また、品種によっては、地植えや屋外で冬を越せる種類もありますが、基本的に寒さには弱いので、鉢植えの場合は冬は必ず室内で管理してください。

水やり

ユーカリの水やりは、株元に与えるよう心がけてください。

乾燥気味の状態を好みますので、土が完全に乾いたのを確認してから、たっぷりと水をやります。

鉢底から水が流れ出てくるまで水やりをしたら、受け皿の水を忘れずに捨ててください。

受け皿に水が溜まったままだと、鉢内の湿度が上がって、根腐れを起こす原因になります。

てください。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると、水の温度が上がり木が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。反対に、真冬は気温が十分に上がった日中に行います。夕方に水やりすると凍結の原因になるので避けてください。

梅雨の時期や冬季は、なかなか土が乾かない季節です。

鉢土が乾いたのを確認して、2〜3日ほど経ってからを目安に水を与え、乾燥気味に育てましょう。

肥料

基本的にユーカリは、肥料は必要ではありません。

樹高が高く育ちやすいので、室内などでコンパクトに育てたい場合は、肥料を与えずに育てても良いでしょう。

ユーカリに元気がないなと感じたら、与える程度で充分です。

肥料を与える適期は、生育期である4〜8月の間に、緩効性タイプを使うのがおすすめです。

植え替え

鉢植えで育てているユーカリは、1〜2年を目安に定期的に植え替えます。

植え替えは、夏と冬を避けて、春か秋に作業すると、株への負担が最小限に抑えられます。

 

植え替えをする前は水やりを控えて、土を乾燥させておきましょう。

ユーカリの株を鉢から取り出し、根の状態をチェックしていきます。

根が黒ずんだり、萎びている部分は清潔なハサミや刃物でカットして整理します。

一回り大きな鉢と新しい土に植え替えたら、たっぷりと水やりをして涼しい半日陰で管理します。

剪定・摘心

ユーカリは生長が早い観葉植物なので、樹高や大きさを保てるよう、見栄えの良い剪定や摘心を行ないます。

植え替えと同じく、春や秋に行なえるのがベストです。

葉が密集していると蒸れてしまい、病気や害虫の発生リスクも上がるため、適度な剪定で枝の風通しを良くしておきましょう。

枝の向こう側が透けて見えてくるほどの量に剪定するとベターです。

葉の剪定は、葉の付け根の節でカットしていきます。

弱っている枝や、内側へと伸びた枝、はみ出ている枝などを剪定して、全体的にバランスを整えていきます。

好みの樹形でキープするためには、生長途中の枝を摘み取る「摘心」も行いましょう。

摘心で切った箇所からは、脇芽が出てきて枝分かれしていくので、ユーカリの枝が横広がりに生長します。

枝数を増やしていき、好みの大きさやデザインの樹形に仕立てることができるのです。

摘心を行なうことで、葉を丈夫にして大きく育てるというメリットもあります。

増やし方

ユーカリは、「挿し木」「種まき」の2つの方法で増やすことができます。

ただし、ユーカリの揷し木は発根率が低く成功しにくいため、複数の挿し穂を作っておくと安心です。

【挿し木】

挿し木では、剪定時に切り落とした枝を使用しても構いません。

10cmほどの枝の葉を、先のほうだけ2〜3枚残して、あとは取り除いておきます。

枝の切り口を水に浸けて、数時間以上水を吸わせておいたら、鉢やポットなどに充分湿らせた土を入れておき、枝を挿しましょう。

枝から発根するまでは、明るく涼しい日陰に置いて、土が乾燥しないよう注意深く管理します。

発根を確認できたら日当たりの良い場所に移動させて育てましょう。

【種まき】

ユーカリの発芽に最適な温度は20℃前後なので、種まきは暖かい5月頃に行ないましょう。

ポットなどに土を入れて、水で湿らせておきます。

そこにユーカリの種を数粒播いて、薄く土をかけましょう。

挿し木のときと同様に、明るく涼しい日陰でしばらく管理します。

1週間ほどで種が発芽するので、以降は日当たりの良い場所に移して管理していきます。

本葉が3、4枚生えたら、元気な苗を1本だけ残して、残りの苗は間引きましょう。

なかなか発芽してこないようでしたら、種に山火事が起きた状態を疑似体験させると良いです。

ユーカリの自生地のオーストラリアでは山火事が発生しやすく、火事の高熱や煙にさらされることで発芽する種もあるからです。

厳しい乾燥地帯で生き抜いてきた、ユーカリの生存戦略ですね。

 

種に火事の疑似体験をさせるには、3つの方法があります。

 

  1. 種に熱湯をかけて浸しておく方法
  2. フライパンで軽く炒める方法
  3. 種をティッシュや新聞紙に包んで、さっと燃やす方法

 

このうちのどれかお好みの方法を試してみたら、土に植えてみましょう。

うまく発芽が促進されていれば、1週間ほどで順調に発芽していくでしょう。

まとめ

今回は、美しい葉色と爽やかな香りを持つ、ユーカリについてご紹介しました。

見た目の美しさと香りの良さから、観葉植物として育てる以外にも、切り花やドライフラワーなどのインテリアアイテムとしても人気が高まっています。

生花店でも気軽に入手できるので、ユーカリを使ってスワッグを作って壁に掛けるのも素敵ですね。

さらにユーカリの葉には、殺菌や解毒、風邪予防や花粉症の症状を緩和させる成分が含まれているため、アロマやハーブティーとしても楽しまれています。

見る人の心を癒してくれるおしゃれなユーカリを、ぜひお部屋に飾ってみてはいかがでしょうか。

 

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