名作映画の名脇役!アグラオネマの魅力や育て方、特徴などをご紹介
アグラオネマという観葉植物の名前をご存知ですか?
まるで迷彩柄のような葉の模様が個性的で、大変人気の高い品種です。見た目もスタイリッシュで格好良いため、インテリアグリーンとしても人気があるアグラオネマですが、いったいどんな観葉植物なのでしょうか。
今回は、クールな迷彩模様を持つアグラオネマについて、特徴や育て方、さらにアグラオネマの人気の火付け役ともなった名作映画の話も交えて、詳しくご紹介していきます。
アグラオネマの基本情報
まずはアグラオネマの基本情報を見ていきましょう。
科・属 | サトイモ科・アグラオネマ属 |
和名 | 緑竹(りょくちく) |
英名 | Aglaonema |
学名 | Aglaonema |
原産地 | 東南アジア、インド |
アグラオネマの特徴
アグラオネマは、東南アジアやインドなどの熱帯地域に自生する植物です。
直立性タイプは、立ち上げた茎が1m以上にもなります。ほふく性で、横広がりに生長していくタイプもありますよ。
直立性の種類は、株分けで増やしていきますが、ほふく性の種類は茎が成長に伴い剪定をして、仕立て直していきます。
葉はつやつやと光沢を持っており、迷彩模様のような独特な葉を持っているのが特徴です。
その人気から品種改良が重ねられ、園芸用の改良品種を含めれば数百種類以上もの品種数になると言われます。
品種によってバリエーションに富んだ葉模様を持っていますので、かなり熱心にアグラオネマを集めるコレクターも多くいますよ。
耐陰性にすぐれているため、室内で育てるインドアグリーンとして向いています。
熱帯地域を原産とするため寒さには強くありませんので、日本の冬には充分注意して管理することが必要です。
近年では、空気清浄効果の高いエコ・プラントとしても注目されています。
空気中に含まれるホルムアルデヒドなどを吸着してくれるので、お部屋に飾ることで清浄効果を得られますよ。
アグラオネマの名前の由来
アグラオネマの持っている美しい光沢のある葉から、ギリシャ語で「輝く」という意味の「アグオス」と「ネーマ(糸)」を組み合わせ、アグラオネマという名前が付けられました。
タイではアグラオネマはポピュラーな観葉植物で、「飾ると幸せを呼びこむことができる」という言い伝えのある縁起物です。
「幸せを招く宝石」とも呼ばれており、特に富裕層の間で人気があります。
アグラオネマの花言葉
アグラオネマは、サトイモ科特有の「肉穂花序(にくすいかじょ)」と呼ばれる花を咲かせます。
肉穂花序は、小花がぎっしりと密集した花軸が苞で包まれているのが特徴です。
花姿は、白い稲穂のようでミズバショウの花にも似ていて、8〜9月頃の真夏に花を咲かせますよ。
しかし、開花にはかなりのエネルギーを要するため、開花のために葉が縮んでしまったり、しわしわと縮んでしまう場合もあります。
葉の観賞を優先させたい人は、花芽は早いうちに摘み取ることが多いようです。小さくて見落としやすい花なので、注意深く観察してみてくださいね。
さて、そんなアグラオネマの花言葉は、「青春の輝き」「スマート」です。
おしゃれな容姿でインテリア性の高いアグラオネマらしい、魅力的な花言葉ですね。
サトイモ科の樹液
アグラオネマはサトイモ科の植物ですので、樹液には毒性があります。
シュウ酸カルシウムという成分が含まれていますので、剪定などのお手入れをする際には、必ず手袋を着用して作業してくださいね。
直接皮膚に触れてしまうと、かぶれたり炎症を起こしたりする恐れがあります。
小さい子どもやペットを飼っているお家では、舐めたり誤食したりしないよう、安全な場所で管理するのがおすすめです。
映画「LEON」で脚光を浴びたアグラオネマ
おしゃれな見た目で人気の高いアグラオネマですが、その人気の理由はもうひとつ。
アグラオネマの名前でピンと来ない方でも、リュック・べッソン監督の名作映画『LEON』に出てきた観葉植物と聞けば、あの植物か!と思い当たるでしょう。
当時12歳だったナタリー・ポートマン演じる、少女マチルダの小悪魔っぷりが見所のひとつでもある映画です。
ジャン・レノ演じる、殺し屋・レオンが唯一の親友として愛情を込めて育てていたのが、アグラオネマ・オブロンギフォリウム ・カーティシーという品種です。
「無口で自分と同じように根を張らずに生きている」「最高の友さ」と言いながら、丁寧にアグラオネマを世話するレオンの姿は印象的ですよね。
このアグラオネマは、作中でもエンディングまで登場する重要なキーパーソンです。
レオン、マチルダの主人公に並ぶ、とても大切な役割を果たしています。
小さなマチルダがレオンの大切にしている鉢植えを抱えて、必死に逃げるシーンは、とても切なく強く印象に残りますね。
「もう大丈夫よ」とアグラオネマの鉢植えを地面に植えるとエンドロールが流れ出します。
カーティシーはアグラオネマの中でも、取り分け珍しい希少な品種というわけではありません。しかし、映画が公開後からは人気が上がり、入手が難しい品薄の品種となっているようです。
現在ではなかなか見かけることのできない品種ですので、LEONファンの方はカーティシーを見かけたら、ぜひ入手してみてくださいね。
アグラオネマの人気品種をご紹介
アグラオネマの品種は、約50種類以上も存在しています。
品種によって、葉の形や模様、葉色などが異なるのも魅力のひとつです。バリエーション豊富なアグラオネマに熱心なコレクターがいるのも頷けますね。
ここからは、人気のあるアグラオネマの品種をいくつかご紹介しましょう。
アグラオネマ・コンムタツム・シルバークイーン
アグラオネマ・コンムタツム・シルバークイーンは、アグラオネマの代表的品種と言えます。
流通数も多く、園芸店でもよく見かけますし、ネットショップでも簡単に購入できますよ。
コンムタツム・シルバークイーンは直立性タイプで、草丈は70cmにまで育つこともあります。
葉は細長く楕円形をしており、ベースカラーの美しい緑色に、シルバーグリーンの斑模様がに入っている美しい葉を持ちます。
日光が不足すると株が弱々しくひょろひょろと育つため、定期的に日光浴をさせましょう。
コンムタツム・シルバークイーンとよく似ている品種に、アグラオネマ・コンムタツム・シルバーキングという種類があります。
アグラオネマ・オブロンギフォリウム ・カーティシー
オブロンギフォリウム ・カーティシーは、映画『LEON』に登場し、アグラオネマが脚光を浴びる火付け役となった品種です。
ほふく性タイプで、生長していくにつれ茎が間延びしてしまうので、時折剪定で仕立て直す必要があるでしょう。
緑色の葉は細長く、シルバーホワイトカラーの矢羽根模様が入っています。
映画の人気からか現在は流通数が少なく、ネットショップなどでも入手が難しくなっている品種です。
アグラオネマ・ピクタム・トリカラー
ピクタム・トリカラーも大変希少価値の高い品種です。
名前の「トリカラー」は3色を表しており、葉に3色の斑状の迷彩模様が入るのが最大の特徴です。
この斑の入り具合は、原産地によって微妙に変わり、呼び方も異なっています。
「ニルヴァーシュ」や「アンダマン」「エウレカ」は、熱心なコレクターが多くいる品種です。
暖かい場所と湿度が高めの環境、さらに乾燥が苦手なので、育て方ではやや上級者向きの品種かもしれません。
アグラオネマの育て方
さて、続いてはアグラオネマの育て方についてご紹介していきましょう。
アグラオネマは、コツさえ抑えておけば育て方は難しくありません。
映画でレオンが唯一の友として心を込めてお世話していたように、アグラオネマを元気に育ててみてくださいね。
置き場所
アグラオネマは熱帯地域で育つ植物なので、強い耐陰性のある植物です。
うっそうとしたジャングルの中のような、高温多湿な環境が好きなので、強い日光や直射日光には弱いため、日の当て方には注意しましょう。
強い日光にさらされ続けると、葉が黄色く変色して、やがて枯れてしまいます。
明るい半日陰で、適度に日光に当てて育てれば、株が元気に育ってくれますよ。
水やり
アグラオネマの水やりは、基本的には鉢土がしっかり乾いてから、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。
ただし、梅雨から夏の間の水やりは、土が乾き切る前に与えるのがポイントです。
気温が下がる秋から冬にかけては、耐乾性を上げるために、水やりの頻度を徐々に減らしていきます。
特に冬場は、鉢土が乾燥してから2〜3日後に水やりをするくらいでちょうど良いでしょう。
どの季節でも、水やり後に受け皿に溜まっている水は、必ず捨てて清潔に保ってくださいね。
放置しておくと、鉢土の湿度が上がってしまい根腐れを起こす原因になります。
肥料
アグラオネマに使う肥料では、緩効性の肥料がおすすめです。
生育期である5〜9月の間に1ヶ月半〜2ヶ月の間隔を空けて、肥料を与えます。
冬季はアグラオネマの株が休眠するため、肥料は不要です。
液体肥料を与える場合は、10日に1回のペースで与えると良いでしょう。
注意したい病気や害虫
アグラオネマを育てるうえで注意したい害虫が、カイガラムシやハダニです。
カイガラムシなどは、アグラオネマに寄生して植物の液を吸い取り、栄養分を奪っていきます。
早いうちに発見できれば被害は少なく済みますが、発見が遅れてかなり増殖してしまうと、株全体の健康が損なわれ、最悪の場合枯れてしまうこともあります。
こういった害虫は葉裏などを好んで寄生するので、日頃からアグラオネマをよく観察しておきましょう。
ハダニは水に弱いので、葉水をこまめに行なって保湿すると害虫対策になります。
かかりやすい病気としては、灰色かび病があります。
これは、灰色のかびで茎や葉が腐っていく病気です。低温で高湿の環境下だと発生しやすいため、通気性の良いところで管理して対策をしましょう。
剪定
アグラオネマが元気に生長してくると、枝や葉が伸びて株のバランスが崩れてきます。
また、鉢土付近の下葉が黄色く枯れてきた頃も、剪定のサインです。
アグラオネマは、切り口からサトイモ科特有の樹液が出てくるため、剪定時には必ず手袋を着用してください。
人によっては、皮膚に触れるとかぶれや湿疹などを引き起こします。
また、必ず清潔なハサミを使用して行ってください。そうすることで切り口から雑菌が繁殖するのを防ぐことができます。
枯れた葉や古くなった葉は、根元からすっぱりと思いきり切ることがアグラオネマの剪定のコツです。
剪定後は、ゆるやかに生長する特性から、すぐに新芽が出てこずにちょっと寂しい姿になりますが、のんびりと生長を待ちましょう。
枯れた葉や古くなった葉は、根元からすっぱりと切ることが剪定のコツです。
冬越し
熱帯地域原産ですから、アグラオネマが好む適温としては20〜30℃で、日本の寒さには弱い観葉植物です。
冬場は最低でも10℃以上になるよう温度管理を心がけましょう。
防寒対策として、冬の夜などはアグラオネマの鉢に段ボールを被せたり、毛布などでくるむのも効果的です。
暗く冷え込む廊下や、冷たい外気が入る窓際を避け、部屋の奥や中ほど辺りに置いて管理してください。
また、冷暖房を使用する時期は部屋の湿度が下がり乾燥しますので、アグラオネマの葉に霧吹きなどで水を吹きかけて、葉水を行なうと保湿できます。
きちんと防寒対策を施して、アグラオネマを安全に冬越しさせましょう。
植え替え
アグラオネマの生長スピードは、比較的ゆったりとしていますが、根の生長は早いです。
葉が垂れてきたり小さくなってきたりしたら、鉢の中で根が詰まっており、養分が行き渡っていない状態かもしれません。
活力剤などを与えても改善されないようなら、根詰まりや根腐れを防ぐためにも、なるべく早く一回り大きな鉢へと植え替えましょう。
鉢から根を丁寧に抜き取り、根が3分の1から半分ほどの大きさになるよう、清潔なハサミで根を切り落として調節していきます。
アグラオネマの根は太いので、大きめのハサミや刃物を使うのがおすすめです。
アグラオネマの増やし方
アグラオネマの育て方に慣れてきたら、株を増やして育ててみましょう。
増やし方には、「挿し木」「水挿し」「株分け」の3つの方法で増やすことができます。
どの方法でも、気温が20℃前後ある5〜7月の時期が適期です。
それでは、それぞれの手順や注意点について、ひとつずつご紹介しましょう。
挿し木
挿し木に使う枝は、葉が多く茂っている元気な若い枝を選びましょう。
良さそうな枝を選んだら、枝に生えている葉を減らし、葉を半分にカットしておきます。
これは、葉の面積を減らして、水分が蒸発していくのを防ぐためです。
葉がまったくない状態では光合成ができず、発根しませんので、必ず少し残しておくよう注意してくださいね。
用意した鉢やポットに水はけの良い土を入れ、枝の半分ほどまで挿し込みましょう。
明るく涼しい日陰で、土が乾き切らないように注意深く管理していれば、1ヶ月ほどで発根してくれます。
水挿し
アグラオネマは、水挿しで増やすこともできます。
挿し木で用意したような元気な枝を、水を張ったコップなどの容器に挿すというとてもお手軽な方法です。
やり方は、水挿しをして発根を確認できたら、鉢などに植え替えていきます。
とても簡単な方法ですが、あまり長く水挿しをしていると、土へ植え替えた後に、茎から水分を吸収しにくくなり早くに枯れてしまう危険があるので注意してください。
発根を確認したらなるべく早く土に植え替えるのが成功のコツです。
挿し木も水挿しも、剪定で切り落とした枝などを活用すると良いでしょう。
株分け
上へと枝が伸びていく直立性タイプのアグラオネマは、株分けでも増やせます。
株が大きくなり過ぎて植え替え作業を行なうついでに、株分けをするのがおすすめです。
まずは、株を鉢から取り出して、土を優しく落としていきます。
清潔なハサミや刃物で、株を2〜3個に切り分けていきます。
このとき、切り分けたすべての株に発根している部分が残るように分けてください。
伸びすぎた根はカットして調節し、古く黒ずんだ部分や傷ついた部分も切り落としておきます。
根元に近い葉は切り落として、水はけの良い土に植え付けましょう。
新しい土に植え付けたら、1週間ほどは明るく涼しい日陰で管理して、水を与えます。
乾燥させないよう、定期的に葉水をしてあげるのも効果的です。
新しい株から新芽が出てきたら、いつもどおりの水やりやお世話方法で育てていきましょう。
まとめ
今回は、個性的で格好いい葉が魅力的な、アグラオネマについてご紹介してきました。
名作映画で一躍脚光を浴びた品種は、ネットショップなどでも品薄状態ですが、映画ファンの方は入手して育ててみる価値がありますよ。
品種によって、葉の色や模様が異なるのも、収集家に人気が高い理由のひとつです。
冬の寒さに注意していれば、アグラオネマの育て方は特別難しくはありません。
高い空気清浄効果を持つアグアオネマを、ぜひインテリアとして取り入れて育ててみてくださいね。