ハイドロカルチャーにおすすめの観葉植物はどれ?管理方法や注意点とは

観葉植物を部屋に飾りたいけど、土汚れや虫の発生が気になるという方も多いのではないでしょうか。そんな方には、ハイドロカルチャーで観葉植物を育てるのがおすすめです。

見た目もおしゃれなハイドロカルチャーは、土を使用しないので衛生的で、インテリアのアクセントとしてもおすすめですよ。

この記事では、ハイドロカルチャーにぴったりの観葉植物やお世話のポイント、注意点などをご紹介します。

もちろん観葉植物初心者の方にもおすすめなので、植物を育てたいと考えている方は、ぜひ参考にしてくださいね。

 

ハイドロカルチャーとは

ハイドロカルチャーとは、ハイドロボールなどの人工的な土を使用して植物を育てる方法です。

水を意味する「ハイドロ」と、栽培を意味する「カルチャー」を組み合わせて作られた言葉ですが、水だけで育てる「水栽培」とは異なります。

また、水に肥料を混ぜて育てる「水耕栽培」とも混同されやすいので注意が必要です。

土を使用しないという点では共通しているのですが、ハイドロカルチャーでは人工的な土を使用して植物を育てるのです。

見た目もすっきりとしていて管理がしやすいので、インテリアとして観葉植物を取り入れたいけど、土汚れや害虫が気になる方におすすめの育て方です。

 

ハイドロカルチャーの種類

ハイドロカルチャーで使用する土には、定番であるハイドロボールのほかに、ゼオライトやジェルポリマーなどがあり、それぞれ形状や性質が異なります。

そのため、相性の良い観葉植物も違ってくるでしょう。管理方法や見た目、飾りたい観葉植物からお好みのものを選んでみてくださいね。

 

ハイドロボール

ハイドロカルチャーで使用されることの多いハイドロボールは、粘土を高温で焼いたもので、粒には細かい穴が無数に空いています。

植物は、その穴から酸素を取り入れ、水とともに吸収して育つのです。

ハイドロボールは無菌なので衛生的なうえに、色も茶色で見た目もナチュラルなのが魅力ですよ。

ただし、ハイドロボールには、根から排出された老廃物を分解する力はないので、根腐れを起こしやすいと言われています。その際には、根腐れ防止剤を一緒に容器に入れておくと安心です。

ハイドロボールは粒が大きいので、幹が太めの観葉植物であれば固定しやすくなるでしょう。

 

ゼオライト

ゼオライトもハイドロボールと同じように、粒に穴が空いていることで酸素を取り込めるものなのですが、その粒の大きさはハイドロボールよりも小さく、カラーバリエーションも豊富なのが特徴です。

また、ゼオライトには保肥力もあるので、水耕栽培や土に混ぜて土壌改善にも使用されています。

ゼオライトは根腐れ防止剤としても利用できるので、観葉植物を清潔に育てることができますよ。

さらに、ゼオライトの粒は細かいため、サイズの小さな観葉植物やサボテンなどの栽培に向いています。

 

ジェルポリマー

ジェルポリマーは、高吸水性樹脂でできているジェル状のボール。

半透明のジェルボールは清潔感があり、涼し気な見た目も人気です。ジェルポリマーの95%は水分なので、水やりの頻度も少なくなるだけでなく、肥料成分が含まれているものもあるので初心者でも育てやすいと言われています。

一般的な半透明のもの以外にもカラーバリエーションが豊富なので、グラデーションのようにしても美しく飾れますよ。

ジェルポリマーはぷるぷるとして動きやすいので、軽くてサイズの小さい観葉植物がおすすめです。

しかし、水分が多くなりやすいので、少しの水分しか必要としない多肉植物には向いていません。

ハイドロカルチャーで観葉植物を育てるメリット

土を使わずに観葉植物を育てられるハイドロカルチャーには、衛生的であることや管理がしやすいことなど、植物を育てるうえで便利なことがたくさんあります。

鉢と土で育てる場合との違いとともに、ハイドロカルチャーの利点を3つ見ていきましょう。

 

清潔で衛生的

一般的な観葉植物に使われる土には、堆肥や腐葉土などの有機物が含まれていることがあります。

これらは植物が育つうえで大切な養分なのですが、同時に害虫を発生させる原因にもなるのです。

対してハイドロボールなどは無菌なので、安全・清潔に植物を育てることができるでしょう。また、ハイドロボールには匂いもないので、土の匂いが気になるという方も安心ですよ。

 

水やりなどの管理がしやすい

観葉植物を育てるうえでポイントとなるのが「適切な水やり」です。

水が過剰になると根腐れを起こし、足りないと水分不足で枯れる原因にもなりますよね。

ハイドロカルチャーで育てる場合は透明な容器であることが多いので、水の残量や水やりのタイミングが分かりやすいのです。

また、水分を多く含むジェルポリマーであれば、水やりの頻度もぐっと減ります。

 

経済的でおしゃれなインテリアになる

高温で焼かれたハイドロボールは、丈夫で劣化しにくい特性があります。

汚れてきたら、水で洗い流せば繰り返し使えるのでとても経済的ですよ。

また、ハイドロカルチャーで使う土は、石状やゼリー状など、形状や色のバリエーションが豊かで、容器も底に穴が空いていないものであればなんでも良いというメリットがあります。

植物としてだけでなく、インテリアのアクセントとして自由に楽しむことができるのです。

 

ハイドロカルチャーで観葉植物を育てるデメリット

便利で衛生的なハイドロカルチャーですが、いくつかデメリットも存在します。

ハイドロカルチャーで観葉植物を育てる際には、以下の点を留意しておきましょう。場合によっては、通常の「土」で植物を育てることも必要になるかもしれません。

 

根腐れしやすい

ハイドロカルチャーで観葉植物を育てると、根腐れを起こしやすくなってしまいます。

ハイドロカルチャーの場合、容器の底に水をためて育てますが、その水が多すぎたり、水中で微生物が繁殖したりして、根が弱ってしまうのです。

また、植物の根から排出される老廃物が容器内に蓄積してしまうことも根腐れにつながります。

通常の土の中には、老廃物を分解する微生物が生きていますが、無菌状態のハイドロボールなどには老廃物を分解する働きがないのです。

 

大きく育ちにくい

ハイドロカルチャーで観葉植物を育てると、その成長度合いは緩やかになります。

そのため、インテリアとして観葉植物を楽しみたい方にはおすすめですが、植物の成長していく過程を楽しみたいという方には物足りないかもしれません。

植物をしっかり大きく育てたい場合には、通常の土で育てる方が良い場合もあるでしょう。

 

ハイドロカルチャーに向いている観葉植物

ハイドロカルチャーに使われるハイドロボールなどは、日光に当たりすぎると苔や藻が発生して見た目が悪くなることがあります。

また、日光の影響で容器内の水温も上がり、根が弱る原因にもなりかねません。

そのため、ハイドロカルチャーで育てる場合には、少しの日光でも育つことができて丈夫な観葉植物がおすすめです。

ここからは、ハイドロカルチャーに向いているおすすめの観葉植物を5つご紹介します。どの植物も丈夫で育てやすく、初心者にもおすすめなので、ぜひ挑戦してみてくださいね。

 

パキラ

パキラはホームセンターや100円ショップなどでも購入できる人気の観葉植物です。

サイズもコンパクトなものから大型のものまでさまざまなので、どんな場所にも飾りやすいのが魅力です。

パキラは日光を好む植物ですが、明るめの室内でも十分に育ちますよ。

また、根があまり張らないため、ハイドロカルチャーにも適しており、初心者にもおすすめの観葉植物です。

 

サンスベリア

サンスベリアは乾燥に強く、耐陰性や耐寒性にも優れているので、初心者の方でも育てやすい観葉植物です。

また、サンスベリアは水耕栽培でも育てられるくらいなので、ハイドロカルチャーにも適しています。

濃い緑色が特徴のサンスベリアなので、ハイドロカルチャーに使う土は、白いものや透明のものだとよく映えますよ。

 

ポトス

存在感のある葉に不規則に混じる白い模様が美しいポトスも、人気のある定番の観葉植物です。

鉢植えの土で育てるイメージの強いポトスですが、ハイドロカルチャーでも育てることが可能です。

ポトスはある程度の耐陰性があるので日陰でも育ちますが、あまり日光に当たらないと葉の斑が少なくなってしまうなど、見た目に変化が現れる可能性もあります。

そのため、ハイドロカルチャーで育てる場合も、定期的に日光浴させてあげるのがおすすめです。

 

アイビー

長いツルと、もみじのような小さな葉が可愛らしいアイビーも、室内で育てられる人気の観葉植物です。

ツルが伸びて成長していく様子を利用し、壁面に飾ったり吊るしたりして楽しむのが一般的ですが、ハイドロカルチャーでも同様に育てることができます。

アイビーは暑さや寒さに強く、丈夫で枯れにくいので、初心者の方でも育てやすいおすすめの観葉植物です。

 

ガジュマル

ガジュマルは「気根(きこん)」と呼ばれる、土の表面から露出した根が特徴的な観葉植物です。

ガジュマルも耐陰性が強く丈夫な植物なので、ハイドロカルチャーで育てることが可能ですよ。

植え替えの際は、上部の大きな根の部分に隙間ができやすいので、その部分にハイドロボールなどをしっかりと敷き詰めるのがポイントです。

ガジュマルはもともと日光を好む植物なので、定期的に短時間だけでも日光浴させてあげると元気に育つでしょう。

ハイドロカルチャーへの植え替え方法

ハイドロカルチャーで育てたい観葉植物が決まったら、必要なものを用意して、植え替えに取り掛かりましょう。

植え替えにおすすめの時期は、春から夏の観葉植物がよく育つ時期です。

植え替えを行ってもダメージが少なく、根がすぐに張るので、ハイドロカルチャーにもなじみやすくなりますよ。

 

必要なものを準備する

ハイドロカルチャーへの植え替えには、以下のようなものが必要です。

  • 観葉植物
  • 容器(底穴がないもの)
  • ハイドロボールなど
  • 根腐れ防止剤(ミリオンAゼオライトなど)

 

容器は、底に穴が空いていないものであれば、どんなものでも構いません。

ガラスなどの透明な容器にすると、植物だけでなくハイドロボールなどもきれいに見えるうえに、水やりの調整もしやすいのでおすすめです。

また、割り箸やピンセットなどがあると、植え替えの際に便利ですよ。

 

植物の根をきれいに洗う

まずは、観葉植物をポットや鉢から取り出して、根を傷つけないように土をほぐします。

水を張ったバケツなどに根を入れ、しずかにゆすって土を落としていきましょう。

根が細かく絡んでいると、土が落ちにくいこともありますが、その際はホースなどからの水圧で洗うと根が傷つきにくいのでおすすめです。

ハイドロカルチャーは無菌状態で育てるので、微生物が含まれる土が残らないように丁寧に洗いましょう。

 

根腐れ防止剤とハイドロボールなどを入れる

まずは、根腐れ防止剤を容器の底が隠れる程度に敷き詰めます。

次に、ハイドロボールなどの人工培土を容器の3分の1程度まで入れましょう。

このとき、新しいハイドロボールを使用する際には、事前に1度水洗いをして表面の汚れを落として乾燥させておくと、容器内の水が濁るのを防げます。

 

植物を入れて隙間を埋めていく

植物の位置や向きを決めたら、周りにハイドロボールなどを足していきます。

ピンセットや割りばしなどを利用し、植物の周りに隙間ができないように敷き詰めるのがポイントです。

このとき、植物の根が容器の側面に接触している状態になると根腐れの原因になるので、ハイドロボールの中に根を完全に入れ込むようにしましょう。

 

水を入れる

植物がしっかり固定できたら、容器の1/5〜1/4程度まで水を注ぎます。このとき、液体肥料を使う際には水に溶かして与えるようにしましょう。

植え替えが完了したら、明るい日陰に置いて管理します。

直射日光が当たる場所だと、ハイドロボールが劣化して苔が生えたり、植物が葉焼けを起こしたりする可能性があるので注意してください。

 

ハイドロカルチャーの管理方法

ハイドロカルチャーで育てる場合、土で育てる方法とそれほど違いはありませんが、ちょっとしたコツが必要になります。

土よりも育ちにくいと言われるハイドロカルチャーも、適切なお世話をすることで長く楽しむことができるのです。

ここからは、ハイドロカルチャーで観葉植物を育てる時のポイントを見ていきましょう。

 

置き場所

ハイドロカルチャーの観葉植物は、基本的には室内の明るい場所に置いてください。

具体的には、レースカーテン越しの明るい窓際がおすすめです。

直射日光が当たりすぎると、ハイドロボールの劣化が進むだけでなく、植物自体の葉焼けの原因にもなるので注意しましょう。

植物が弱らないために、空調の風が直接当たらない場所にすることも大切です。

寒さが厳しくなる冬場は、窓際の温度が下がりやすいため、あたたかい場所にうつしてあげてくださいね。

 

水やりの方法

ハイドロカルチャーでの水やりは、容器の底に水がなくなってから2〜3日後がベストタイミング。

根が水に浸かったままの状態が続くと、呼吸ができなくなり、酸素不足による根腐れの原因になるので、必ず水のない期間を作るのが大切です。

水の量の目安は容器の1/4〜1/5程度で、15℃くらいの常温の水だと根への負担も少なくなります。ただし、植物の生長が緩やかになる冬場の水やりは、週に1度程度の最小限にとどめましょう。

 

肥料のやり方

土を使用しないハイドロカルチャーは、土壌から養分を吸収できない分、液肥で栄養を与える必要があります。

液肥を与える時期はハイドロカルチャーへの植え替えを行ってから2〜3週間後の、根が定着しはじめた時期がおすすめです。

土植え用の肥料は、ハイドロカルチャーには強すぎて根腐れを起こす原因になるので、水耕栽培用やハイドロカルチャー用の液体肥料を選びましょう。

春から秋にかけては週に1度を目安に液肥を与えますが、植物の生長が緩やかになる冬場は必要ありません。

また、植え替えの際に「イオン交換栄養剤」を使用している場合は、この中に肥料成分が含まれているため、追肥は必要ないでしょう。

 

冬越しさせる

観葉植物の多くは、もともと暖かい地域で生息しているものが多いため、冬の寒さには弱い性質があります。

さらに、ハイドロカルチャーで育てる場合は、土植えよりも根が外気の影響を受けやすくなるので、温度管理には注意が必要です。

冬になり気温が下がってきたら、日中はできるだけ明るい窓際に置いて日光に当てましょう。

ただし、夜になると窓際は気温が下がるので、部屋の奥の暖かい場所に移動させます。

また、冬場は多くの観葉植物が休眠期に入るので、水やりは最小限にとどめ、肥料も与えないようにしてください。

 

ハイドロカルチャーの注意点

清潔で管理しやすい印象のハイドロカルチャーですが、それでもこまめに様子を観察することは大切です。

害虫が発生しないからと油断していると、気付けば思わぬトラブルに見舞われるケースもあります。ハイドロカルチャーで植物を育てる場合の注意点を留意しておきましょう。

カビの発生

ハイドロボールに、まれに白っぽいものが付着していることがあります。

この白っぽいものがふわふわしている場合は、カビが発生している可能性が高いです。

カビは、水のやりすぎが原因で発生するので、ハイドロボールを水洗いして乾燥させましょう。

その後、木作酢を薄めたものをスプレーすると、カビの発生を防止できる効果が期待できます。

ただし、ハイドロボールに付着しているものがふわふわしていなければ、水道水のミネラルが結晶化したものや肥料の塩分である場合もあるでしょう。

 

根腐れ

ハイドロカルチャーでの栽培で最も起きやすいトラブルが根腐れです。

根腐れは水のやりすぎによる酸素不足か、根から排出された老廃物の蓄積によって起こります。根腐れを防ぐために、水やりは必ず容器の水がなくなってから2〜3日経過してからにしましょう。

また、老廃物を洗い流すため、半年〜1年を目安にハイドロボールの洗浄や根腐れ防止剤の入れ替えを行ってください。

もし根腐れを起こしてしまったら、その部分を丁寧に取り除き、清潔な新しい容器へ植え替えましょう。

 

おしゃれで育てやすいハイドロカルチャーを取り入れよう

今回は、おしゃれに観葉植物を育てることができる「ハイドロカルチャー」についてご紹介しました。

土を使用しないハイドロカルチャーは、清潔でお手入れも比較的簡単です。

害虫がつきにくく匂いもないため、室内にも安心して飾れるだけでなく、インテリア性も高いのが魅力ですよ。

容器や人工培土も自由に組み合わせて、オリジナルの観葉植物を部屋に取り入れてみてください。きっと愛着の湧く特別な植物になるはずでしょう。

この記事を参考に、ハイドロカルチャーで気軽にインテリアグリーンを楽しんでくださいね。

 

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