水のいらない植物はあるの?乾燥に強い観葉植物たちをご紹介
観葉植物をこれから育てようとしている方や、育ててみたいけど購入に踏み切れていない方が心配なのは、「植物を枯らさないかどうか」だと思います。
お世話に慣れていないうちは、水やりの習慣が身に付かずに水を与え忘れてしまい、せっかくの観葉植物が枯れてしまうこともあるでしょう。
そんな心配を抱えている方の中には、「水のいらない観葉植物はないかな」と考えたことがある人もいるのではないでしょうか。
今回は、うっかり水やりを忘れてしまっても枯れるリスクの少ない観葉植物について、詳しくご紹介していきます。
水のいらない観葉植物は存在しない
結論から言うと、水をまったく必要としない植物というのは存在しません。
ただし、乾燥に強い観葉植物や、水やりの頻度が少なくて済む観葉植物は存在しますので、今回はそれらの観葉植物にフォーカスして、詳しくご紹介していきたいと思います。
乾燥に強い多肉植物
水分をまったく必要としない植物はありませんが、水やりの頻度が少なく済み、乾燥にも強いのが多肉植物です。
多肉植物が自生している環境の多くは乾燥地帯で、そんな過酷な環境下でも多肉質の葉に水分を蓄えることによって、乾燥している環境下でも生き延びることができます。そのため、多少水やりを忘れてしまったくらいでは、すぐに枯れる心配はありません。
そして多肉植物といえば、ぷっくりとしたかわいらしいフォルムが可愛らしいのも特徴です。品種改良によって観賞価値の高い品種もたくさん生まれていますので、お気に入りの多肉植物を見つけてみてくださいね。
多肉植物の中でも特に人気が高いものには、アロエ、グリーンネックレス、ハオルチア、セダムなどがあります。
つる性の多肉植物などは、つるを吊り下げて飾る楽しみ方もありますので、お部屋のインテリアにしても素敵ですよ。
100円ショップで安く手に入れることもできるので、金額的にも初心者さんにおすすめです。
土が要らないエアプランツ
エアプランツとは、パイナップル科・チランジア属に分類される植物を総称する呼び方であり、植物の品種名を指しているわけではありません。エアプランツと聞いてもピンと来ない方も多いでしょうが、砂漠をころころと転がっていく固まりのようなものを思い浮かべてみると分かりやすいかと思います。
エアプランツは根付くことがなく、土を必要としません。葉や茎に生えている「トリコーム」という長い毛から、空気中の水分を取り入れて生長していきます。
エアプランツも、先述した多肉植物のように過酷な環境下を自生地とする植物です。
土を必要としないので、土いじりが苦手な方でも育てやすいですし、飾り方のバリエーションも増えますので、近年インテリアグリーンとして注目されています。
こちらも、ホームセンターや100円ショップなどで気軽に入手できますよ。
水やりを忘れても枯れにくい観葉植物
多肉植物やエアプランツなどと比較すれば、観葉植物は普通に水分が必要になります。そんな中でも、比較的水やりの頻度が少なく済むものや、乾燥気味に育てていける種類などをピックアップしてみましたので、いくつかご紹介していきましょう。
丈夫ながらもデザイン性に優れている観葉植物が多いので、ぜひお気に入りの品種を見つけてみてくださいね。
パキラ
科・属 | アオイ科・パキラ属 |
和名 | パキラ、カイエンナッツ、発財樹(はつざいじゅ) |
英名 | Pachira, Guiana chestnut, Money tree |
学名 | Pachira |
原産地 | 中南米 |
花言葉 | 「快活」「勝利」 |
観葉植物の中でもトップクラスの人気を誇る「パキラ」は、乾燥に強いだけではなく、耐陰性や耐寒性にも優れている観葉植物です。
パキラの株を増やしていき、貧乏から抜け出したという逸話もあるほど、パキラは強い繁殖力を持っています。繁殖力が強いということは、生命力が強いということです。
少し水やりを怠ってしまったくらいでは、枯れる心配がありませんので、初めて観葉植物を育てる方に安心しておすすめできる品種ですよ。
ユッカ
科・属 | リュウゼツラン科・イトラン属 |
和名 | ユッカ、青年の木(せいねんのき) |
英名 | yucca |
学名 | Yucca gigantea, Syn. Yucca elephantipes var. gigantea |
原産地 | 中央アメリカ、北アメリカ |
花言葉 | 「勇壮」「偉大」 |
砂漠に近いような過酷な乾燥地帯でもたくましく育つのが、「ユッカ」です。
「青年の木」の和名でも流通していますが、一般的に「青年の木」と呼ばれているのは、「ユッカ・ギガンティア」という品種です。
ギガンティアは、それまでは「ユッカ・エレファンティペス」の品種名で呼ばれていたもので、象の足のように幹が太ましく育つ様子から名付けられました。
和名の「青年の木」は、まっすぐに幹を伸ばしてたくましく生長していく姿を、若者の力強さに重ねたことに由来します。
乾燥地帯で育つユッカは、水の与えすぎによる根腐れに注意が必要です。乾かし気味になるよう意識してお世話をしていきましょう。
ザミオクルカス
科・属 | サトイモ科・ザミオクルカス属 |
和名 | 蘇鉄葉海芋(そてつばかいう) |
英名 | Zamioculcas, Zanzibar gem |
学名 | Zamioculcas zamiifolia |
原産地 | アフリカ東部 |
花言葉 | 「輝く未来」 |
葉が何枚も重なって、連なりながら上へと伸びていく「ザミオクルカス」は、サトイモ科の観葉植物です。
葉には光沢があり、色つやのある美しいザミオクルカスは、近年人気が高まっている観葉植物でもあります。中には観葉植物では珍しい、黒っぽい葉の品種もあり、カラスの羽のような光沢を持つ葉は見応えがありますよ。
美しい葉とつやを持つザミオクルカスは、原産地では「ザンジバルの宝石」として愛されている植物です。生長スピードは早いのですが、水やりの頻度は少なく済みます。耐陰性もありますので、室内で育てやすいインドアグリーンです。
ポトス
科・属 | サトイモ科・エピプレムヌム属 |
和名 | 黄金葛(おうごんかずら) |
英名 | Pothos |
学名 | Epipremnum |
原産地 | ソロモン諸島 |
花言葉 | 「永遠の富」「華やかな明るさ」 |
つる性の観葉植物の代表格でもある「ポトス」は、ハート型の葉がとても可愛らしい植物です。かなり安価に入手できますし、取り扱っているお店も多いので、手軽に買い求められる観葉植物ですよ。
ポトスは明るいライトグリーンの爽やかな葉色が魅力的で、ハンギングなどで吊るしてお部屋に飾るのもおすすめです。
日光と水をたくさん与えることでぐんぐんと生長していきますが、耐陰性や乾燥への強さも持っていますので、水やりが少なくとも丈夫に育ってくれます。
ポトスは品種もたくさん存在しており、種類によって葉の色合いが模様が異なりますので、自分好みのポトスを見つけてみてくださいね。
サンスベリア
科・属 | キジカクシ科・サンスベリア属 |
和名 | 虎の尾(とらのお) |
英名 | Sansevieria |
学名 | Sansevieria trifasciata cv. Laurentii |
原産地 | 熱帯アフリカ |
花言葉 | 「永久」「不滅」 |
多肉質の葉を持つ「サンスベリア」は、水やりを忘れて数週間経っていても元気なので、作り物なのかと錯覚してしまうほどの乾燥への耐性を持っています。
その秘密は、和名で「虎の尾(とらのお)」とも言い表される、剣状に尖ってまっすぐに伸びた、多肉質の葉です。この葉に水分を蓄えているので、多少水が足りていないときでも枯れる心配がないのです。むしろ初心者の方は、水の与えすぎで根腐れを起こしてしまい株を枯らしてしまいがちなので、乾かし気味に育てるよう心がけましょう。
ペペロミア
科・属 | コショウ科・サダソウ属 |
和名 | 佐田草(さだそう) |
英名 | Peperomia |
学名 | Peperomia |
原産地 | 熱帯・亜熱帯地域に広く分布 |
花言葉 | 「艶のある」「可愛らしさ」「片思い」 |
「ペペロミア」の分布地域は広く、日本には「シマゴショウ(P. bonisimensis)」と「サダソウ(P. japonica)」の2種類が自生しています。 強い日光が苦手なので、基本的に室内で育てていくことに向いています。
肉厚の葉に水分を蓄えていますので、お世話もとても楽な植物です。小ぶりなサイズの鉢植えが多いので、飾る場所を選ばないのもおすすめポイントのひとつとなっています。
葉の色は、鮮やかな緑色の他にも、ライトグリーンやライムグリーン、紫色など葉色を持っている品種もありますよ。お部屋の雰囲気に合わせて色合いを選べるのが嬉しいですね。
ガジュマル
科・属 | クワ科・イチジク属 |
和名 | ガジュマル、多幸の木、幸せを呼ぶ木 |
英名 | Chinese Banyan, Malayan Banyan |
学名 | Ficus microcarpa |
原産地 | 沖縄、東南アジア、台湾、オーストラリアなど |
花言葉 | 「健康」 |
沖縄県に自生している「ガジュマル」は、沖縄では、聖霊・キジムナーが宿る神聖な木だとして、人々に愛されている植物です。自生地では数十メートル以上にも生長しますが、観賞用の観葉植物としてのガジュマルはそこまで大きくなることはありません。
気根(きこん)という特徴的な根を伸ばして生長していく姿が、足の生えた小人のようにも見えて、今にも歩き出しそうなチャーミングな姿が人気の理由のひとつです。
個体ごとに幹の形が違うため、おしゃれながらもユニークさが欲しいときや、一味違った観葉植物を育ててみたいときには、ガジュマルを選んでみましょう。
ドラセナ・マッサンゲアナ
科・属 | リュウゼツラン科・ドラセナ属 |
和名 | 幸福の木、縞千年木シマセンネンボク |
英名 | Dracaena, Goodluck plant, Corn stalk plant |
学名 | Dracaena fragrans “Massangeana” |
原産地 | 熱帯アジア、熱帯アフリカ |
花言葉 | 「幸福」「永遠の愛」 |
コルジリネと見た目がよく似ている「ドラセナ・マッサンゲアナ」も、乾燥には強い観葉植物です。コルジリネとの見分け方としては、根茎を形成するかしないかがポイントになります。根茎を形成せず、地面から生えているような形をしているのが、ドラセナ・マッサンゲアナです。
ハワイでは「魔除けの木」として家庭の庭に植えられている馴染み深い木で、「幸福の木」という縁起の良い別名でも呼ばれています。
オーガスタ
科・属 | バショウ科・ゴクラクチョウカ属 |
和名 | 瑠璃極楽鳥花(るりごくらくちょうか)、扇芭蕉擬(おうぎばしょうもどき) |
英名 | bird of paradise tree |
学名 | Strelitzia nicolai |
原産地 | マダガスカル |
花言葉 | 「輝かしい未来」「あたたかい心」 |
「オーガスタ」は、バナナに似た大きな葉が特徴的な観葉植物で、モンステラのように南国ムードを味わえるエキゾチックな雰囲気がある観葉植物です。学名である「ストレリチア」や「ニコライ」などの名称でも流通していることが多いですが、どれもオーガスタのことを指しています。
ゆったりとした雰囲気を持つオーガスタを飾って、お部屋にリラックスムードを取り入れてみてはいかがでしょうか。
忙しい人におすすめ!エアプランツの育て方
日々の忙しさに追われていて、いつの間にか観葉植物を枯らしてしまった……。
そんな苦い経験があって、なかなか次の鉢植えに手が伸びない方もいらっしゃるかもしれません。そんな方におすすめしたいのが、エアプランツです。
土が不要なエアプランツは、茎や葉から水分を吸収して生きていくため、通常の観葉植物よりも水切れを起こしにくいというメリットがあります。
続いては、エアプランツの育て方について、基本的な部分をご紹介しましょう。
置き場所
エアプランツは直射日光に当てすぎたり、真夏の強い日差しを浴び続けたりしてしまうのは好ましくありませんので、午前中のうちに日光浴をさせることや、レースカーテン越しやブラインド越しの柔らかい光になるようにする工夫が必要になります。
高い湿度や蒸れには弱いので、通気性を意識した風通しの良い場所で管理するようにしましょう。
水やり
いくら空気中の水分を吸収するエアプランツといっても、まったく水やりのない状態では枯れてしまいます。というのも、エアプランツの自生環境は湿度の高い森林や、霧などの発生する地帯であるためです。
日本の環境下、しかも室内で育てていくとなれば、エアプランツの自生環境には到底程遠いですから、水やりが必要になります。ただしその頻度はかなり少なめとなっています。
自生しているエアプランツは、夜に葉の気孔を開いて水分を吸収しています。この性質を利用して、夜に水やりをするのが効果的です。
エアプランツの水やりは一般的な観葉植物と比べるとちょっと変わっていて、2つの方法があります。エアプランツの水やり方法、「ミスティング」と「ソーキング」について詳しくご紹介します。
【ミスティング】
観葉植物の水やりにはジョウロなどで水を与えますが、エアプランツには霧吹きなどを使って、葉が軽く湿るぐらいに水を与えていきます。3日に1回ほどのペースで構いませんので、夜に霧吹きで葉に水をかけていきましょう。
乾燥する季節はミスティングの回数を増やしたり、湿度の高い梅雨の間や冬季には、やや頻度を控えるなどして調整してください。
【ソーキング】
ソーキングとは、水を溜めた容器にエアプランツの株を沈めて、数時間ほど水に浸けておく水やりの方法です。株が水に浸かっている間は呼吸ができませんので、水に漬ける時間は4〜5時間ほどにしましょう。ソーキングも夜間に行うようにして、1ヶ月に1回ほどのペースで浸けていきます。
冬季にソーキングを行う際には、水道の水をそのまま使うと、水が冷たすぎて株にダメージが及んでしまいますので、必ず常温に戻してから浸けるよう注意しましょう。
水に浸した後には、エアプランツの株を逆さにして吊るしておくことで、株に水が溜まって腐ることがなく、乾燥してくれます。
肥料
エアプランツは、春と秋に株が生育期を迎えます。肥料を与える場合には、この生育期の間に希釈した液体肥料をミスティングの要領で水やりも兼ねて、夜間に与えましょう。
夏と冬には肥料は不要です。特に冬には株の生育が大変ゆっくりになりますから、そんなときに肥料を与えてしまうと栄養過多によって株がダメージを受ける恐れもあります。
まとめ
今回は、頻繁に水やりのいらない観葉植物についてご紹介してきました。
完全に水やりが要らない植物というのは存在しませんが、水やりの回数が少なく、乾燥への耐性が強い植物はたくさんあります。
一度水やりを忘れて枯らしてしまった経験のある方は、こういった乾燥に強い観葉植物を選んで、再度お世話に挑戦してみてくださいね。もちろん、まだ観葉植物のお手入れに不慣れな初心者の方にもおすすめです。
お世話を忘れないことが肝心ではありますが、もしもの保険として丈夫で強い観葉植物を選んでおくことにより、安心して育てていけますよね。
一般的な観葉植物以外にも、多肉植物やエアプランツといった、特に乾燥に強い植物たちもおすすめです。エアプランツのお世話は、通常の植物とはやや異なりますが、慣れてしまえばとても簡単に行えますよ。