スモークリーの育て方!鉢植えや室内で育てられる?
もこもこした花穂が特徴的なスモークツリー。そのユニークな姿と豊富なカラーバリエーションが庭のアクセントになり、ガーデニングファンから人気を集めています。
そこでこの記事では、スモークツリーの基本的な情報から育て方のポイント、主な品種や育てるときの注意点などを解説します。スモークツリーに関して寄せられる質問についても解説しているので、これからスモークツリーを育ててみたい方は参考にしてみてください。
スモークツリーの基本データ
まずはスモークツリーの基本的な情報から解説します。名前の由来から、意外と知られていない花言葉についても紹介しているので、前知識として抑えておきましょう。
科名:ウルシ科
属名:ハグマノキ属
学名:Cotinus coggygria
和名:ケムリノキ(煙の木)
原産地:ヨーロッパ、ヒマラヤ地域、中国
開花期:6月~8月
特徴
スモークツリーはウルシ科ハグマノキ属の高木で、暑さにも寒さにも強い丈夫な植物です。放っておいてもどんどん茂って大きく育つほど生命力が高く、人の手で管理する場合は適度な剪定が必要になります。
6〜8月になると3mm程度の小さな花を咲かせ、その後は花茎を長く伸ばしてふわふわとした綿毛のようになるのが特徴的です。花の色は赤、ピンク、白など豊富で、葉の色も品種や季節によってさまざまなので、庭木としても人気があります。
名前の由来
スモークツリーという名前の由来は、もこもことした花穂が煙に見えることに由来しています。ほかにも「ケムリノキ」や「カスミノキ」という別名もありますが、これらも同じ理由で付けられました。近くで見るとそうでもありませんが、少し遠目から見ると確かに煙が漂っているように見えるユニークな植物です。
花言葉
スモークツリーには「煙に巻く」「賢明」「儚い青春」「賑やかな家庭」などの花言葉があります。実は、名前の由来だけでなく、花言葉もスモークツリーの見た目が関係しているのです。
まず、「煙に巻く」や「賢明」は相手を煙に巻くような姿から、「儚い青春」は短い青春時代を、すぐに消えてしまう煙に例えたことに由来しています。また、「賑やかな家庭」はスモークツリーの花が密集して咲く様子から付けられました。
スモークツリーを育てる準備
スモークツリーを育てる前に、まずは苗を購入したり土を用意したりしましょう。苗の選び方や用土について解説します。
苗の選び方
スモークツリーの苗を購入するときは、株元から幹がしっかりと伸びているものを選びましょう。枝に勢いがあって葉がよく茂っているかどうかもポイントです。
また、変色した葉はないか、害虫が付いていないかもチェックしてみましょう。品種によって葉や花の色合いが異なるので、好みのものを探してみてください。
用土
スモークツリーは湿気を嫌うので、水はけの良い土を用意しましょう。自分で土を配合する場合は、赤玉土・腐葉土・川砂を5:3:2の割合で混ぜるのを目安にしてください。特に、庭の土が湿りやすい性質の場合は、川砂を混ぜることで水はけが良くなります。
鉢植えの場合は、一般的な培養土でも問題ありません。
植え付け
植え付ける1週間ほど前に、植える予定の場所に50cmほどの穴を掘り、掘り出した土に上記のような赤玉や腐葉土、川砂などを混ぜ込んでなじませておきましょう。
植え付けるときは、土を半分ほど戻してスモークツリーの根鉢を置き、隙間に残りの土を入れ込みます。その後たっぷりと水をやりましょう。
鉢植えの場合は、10号以上の大きな鉢を用意し、鉢底ネットを敷いて軽石を少し入れてから市販の培養土を用いて植え付けます。土の量は、鉢の縁から2〜3cm下の高さまでにして、水やりの際に水が溜まるようにしておいてください。
スモークツリーの育て方
スモークツリーは育成旺盛で生命力も高いので、初心者の方でも育てやすい植物です。地植えの場合は基本的に放っておいて構いません。ただ、成長速度が早いので適度な剪定は必要になります。スモークツリーの育て方のポイントをまとめてみました。
置き場所
スモークツリーは日当たりを好むので、できるだけ明るい場所に植えましょう。暑さにも寒さにも強いので、日当たり以外は気にする必要はありません。ただ、スモークツリーは根を浅く張る性質があり、強い風が吹き込む場所だと倒れてしまうこともあります。風通しをよくすることは大切なことなのですが、強風が吹きやすい環境であれば支柱で固定すると安心です。
また、スモークツリーは成長速度が非常に早く、短期間でもどんどん茂っていくので、ある程度スペースが広い場所に植えることをおすすめします。
水やり
スモークツリーを植え付けてからしっかり根を張り出すまでは、土が乾いたら水をやりましょう。茎葉をどんどん伸ばすようになったら、根付いたサインです。スモークツリーは乾燥を好むので、地植えの場合は降雨や地面から吸い上げた水だけで足ります。乾燥しやすい時期によほど雨が振らない時期などには、様子を見て適度に水をやりましょう。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたタイミングで水をたっぷりやることを続けます。夏場は気温が上がって土が乾燥しやすくなるので、朝と夕方の2回水をやると良いでしょう。逆に冬場はスモークツリーの成長が緩やかになるので水やりは控えて乾燥気味に管理します。
肥料
生命力が高いスモークツリーは、肥料をやらなくても元気に大きく育ちます。むしろ、必要以上に肥料をやると栄養分が余ってしまい、逆に根に負担をかけてしまいます。地植えの場合は、基本的に肥料は不要と考えて良いでしょう。
鉢植えの場合は、秋から冬にかけて肥料を少し施すことで、春からの成長を促進できます。スモークツリーの育ちが悪いなと感じるときは、適度な肥料を与えてみてください。
剪定
スモークツリーは成長速度が早く樹形が乱れやすいので、年に1度は剪定しましょう。剪定に適している時期は、葉が落ちる11~2月頃の冬場です。伸びすぎた枝や重なっている部分、勢いが弱い細い枝などを切り落として樹形を整えてください。古い枝を切ることで新しい枝葉が出るようになり、株が若返ることで花付きも良くなります。
切り落とす場所は特に決まりはなく、どこを切っても新芽が出てきます。
しかし、あまり強く剪定しすぎると春の花付きが悪くなってしまうので、あくまで樹形を整える程度にとどめておきましょう。
植え替え
スモークツリーを地植えしている場合は、植え替える必要はありません。幼木を鉢で育てている場合は、1〜2年に1度はそれまでより一回り大きな鉢に植え替えましょう。
植え替えに適している時期は、スモークツリーの葉が落ちる11〜3月です。上記で解説した「植え付け」の手順に従って、同じように植え替え作業を行いましょう。
しかし、最終的には地植えするのがおすすめです。
病害虫
スモークツリーは丈夫な植物なので、病気や害虫の被害にあうことはそれほど多くありません。しかし、風通しが悪いと以下のようなトラブルが起こることがあります。
- うどんこ病
- ハダニ
- カイガラムシ
それぞれの対処法を見ていきましょう。
うどんこ病
スモークツリーの葉に白い粉のような斑点が見られたら「うどんこ病」にかかっている可能性があります。そのままにしていると、次第に生育を悪くしてしまうので、見つけたら早めに対処しましょう。悪くなっている葉を切り取るか、被害が大きい場合は市販の薬剤を噴霧します。風通しが良ければかかりにくい病気なので、植え付け場所の環境を見直してみましょう。
ハダニ・カイガラムシ
水はけや日当たりが悪いとハダニやカイガラムシなどの害虫が付くことがあります。これらの害虫はスモークツリーの樹液を吸って株を弱らせてしまうので、見つけたら速やかに駆除しましょう。数が少なければブラシなどで払い落とせば良いですが、大量発生している場合は樹木用の殺虫剤を用いた方が効率的です。
夏越し
スモークツリーは暑さには強いのですが、湿度には弱い性質があります。地植えの場合、植え付け時に水をやったら、あとは降雨のみでほとんど水やりは必要ありません。気温が高くて雨がなかなか降らないときは乾燥しすぎてしまうので、適度に水をやります。
鉢植えの場合、梅雨時期は雨に当たりすぎないように、軒先や玄関など屋根があるところに移動させましょう。
冬越し
スモークツリーは寒さにも強いので、屋外でも冬越しができます。寒さによって枯れることはあまりありませんが、雪が積もると重みで枝が折れてしまうことがあります。そのため、雪が多い地域では対策をしておいた方が安心です。
この時期はスモークツリーの成長が緩やかになるので、水やりは特に必要ありません。乾燥気味に育てて春を待ちましょう。
スモークツリーの増やし方
スモークツリーは、種まきと株分けによって増やすことができます。
新たな苗を購入するよりも費用がかからないので、スモークツリーの管理に慣れてきたら挑戦してみてください。
種から育てる
夏の終わりにスモークツリーの花が咲き終わったら、9〜10月頃に種子を採取できることがあります。ポットに培養土を入れてよく湿らせたら、スモークツリーの種をまいてうっすら土を被せましょう。
目が出るまでは明るい日陰で、発芽後は日当たりの良い場所で管理します。本葉が3〜4本出てきたら、最も元気が良い芽を残してあとは間引きましょう。根がしっかり張ったら、鉢や庭に植え付けて完了です。
株分けで増やす
スモークツリーの株が若いうちは、根元から上に向かって真っすぐ生えた枝(ひこばえ)が出てきます。本来であれば剪定の際にカットするものですが、このひこばえを利用して株を増やすこともできるのです。
ひこばえを根を残したまま親株から切り取り、そのまま庭や鉢に植え付けるだけなので難しくありません。
スモークツリーの主な品種
スモークツリーは品種によって花の付き方や葉の色が変わります。色はスモークツリーの印象を大きく左右するものなので、好みのものを探してみてください。
グレース
グレースは、赤紫色の葉が美しい品種です。夏になると赤みが強くなり、秋になるとオレンジになるので季節で色の変化を楽しめます。春から夏にかけてピンク色の可愛らしい花を咲かせ、花付きが良いのも魅力です。
丈夫で育てやすいので、初心者の方にもおすすめの品種です。
ロイヤルパープル
ロイヤルパープルの葉は濃い紫色ですが、温かい地域では夏になると緑色へと変化することもあります。そのため、カラーリーフとして親しまれていることが多いのですが、ふわふわとした赤い花も魅力的です。
樹高が3m以上になることもあるほど大きく成長するので、スペースに余裕がある場所に植えると良いでしょう。
ゴールデンスピリット
夏ごろに可愛らしいピンク色の花を咲かせるゴールデンスピリット。葉の色は爽やかな黄緑色で、秋になるとオレンジや赤色に紅葉していきます。
スモークツリーの中では小型の品種なので、花壇や庭先で育てやすいでしょう。
ヤングレディ
ヤングレディは淡い緑色の花を咲かせる品種で、季節によっては白やピンク色に変化することもあります。こちらもスモークツリーの中では小型の品種で、株が若いときから花付きが良いのが特徴です。
葉の色も明るいグリーンですが、秋になるとオレンジや赤色に紅葉していきます。
リトルルビー
リトルルビーは葉がルビーのような美しい赤色をしている品種で、秋になると徐々に紫色へと変化していきます。上品で華やかな色合いなので、ガーデニングファンに人気です。
樹高は2m以下で、スモークツリーの中ではコンパクトに育てられるので、あまりスペースを確保できなくても育てられます。
スモークツリーを育てるときの注意点
スモークツリーは丈夫で育てやすく、大きく育つ植物なので初心者の方にもおすすめです。しかし、2点ほど注意点があるので、育て方のポイントとして覚えておきましょう。特に、スモークツリーの樹液については十分気を付ける必要があります。
樹液でかぶれることがある
スモークツリーはウルシ科の植物です。肌の弱い方やアレルギーを持っている方は、枝に触れただけでもかぶれてしまうことがあるので注意しましょう。枝の切り口からも、肌荒れの原因になる樹液が出てくるので、剪定の際には必ず園芸用の手袋を着用してください。
剪定のメリハリを
スモークツリーはよく茂り、いつの間にか大きく育つ植物です。植え付けたまま放置していても育つ生命力を持っていますが、そのままにしていると枝葉が込み合って風通しが悪く、樹形も乱れてしまいます。
手間はかかってしまいますが、最低でも1年に1回は剪定を行うようにしましょう。しかし、強く切り込みすぎると春に花が少なくなってしまうため、メリハリが大切です。
スモークツリーについてよくある質問
最後に、スモークツリーの育て方に関してよく寄せられる質問について解説します。
スモークツリーを育てる前に、不明点をなくしておきましょう。鉢植えや室内で育ててみたい方も参考にしてみてください。
鉢植えで育てることはできる?
スモークツリーは生育が旺盛でどんどん大きくなるので、基本的には鉢植えではなく地植えがおすすめです。
しかし、こまめに剪定してコンパクトに育てられるのであれば鉢植えでも育たないわけではありません。小さめに育てると花付きが良くなるというメリットもあるので、地植えが難しい場合は鉢植えで育ててみてください。
成長速度はどのくらい?
スモークツリーは成長速度が早いのですが、特に若木のうちは生育が旺盛です。庭に植え付けると、1年後には2mほどの高さになっていることもあります。あまり高くなってしまうと手入れが届きにくくなるので、成長スピードが落ち着いてくるまでは適度に剪定して大きさを整えておきましょう。
植物の成長を早く感じたいという方にはぴったりの植物です。
室内で育てることはできる?
スモークツリーは日当たりを好む植物なので、可能な限り室内ではなく屋外で育てましょう。日照不足になると花が咲かなくなったり病気にかかったりしてしまいます。鉢植えで育てる場合も、玄関先やベランダなど日がよく当たる場所で管理すると良いでしょう。
どうしても室内にスモークツリーを置きたい場合は、スモークツリーのフェイクグリーンやドライフラワーを飾るのもおすすめです。
まとめ
スモークツリーは、他の植物にはないような独特の雰囲気を楽しめます。丈夫で育てやすく、大きく成長するので初心者の方にもおすすめです。
スモークツリーを育てるときは、乾燥気味の環境と適度な剪定をポイントにしましょう。季節によって色合いも移り変わっていくので、1年を通して変化を楽しめます。ぜひ、お庭や花壇のシンボルツリーとして取り入れてみてはいかがでしょうか。