希少な青い胡蝶蘭|天然色とブルーエレガンス
皆さんは、胡蝶蘭に青色のものが存在していることをご存知でしょうか。
胡蝶蘭といえば白、もしくはピンクや紅白のリップカラーが定番ですから、青色の品種があると知らない方もいるかもしれません。
青い胡蝶蘭には、白とは違った気品があり、幻想的な雰囲気さえ漂います。
贈られた方は、珍しい花色に驚き、印象深く残る贈り物となるでしょう。
今回は、青色の胡蝶蘭について、どんな種類があるのか、どのように作られるかなどを詳しくご紹介していきます。
青い胡蝶蘭は2種類
まず初めに、青い胡蝶蘭には大きく分けて2種類あります。
これは、作り方によって種類が分けられています。
ひとつが白色の胡蝶蘭を青く染色した品種、もうひとつが品種改良で作られた青い胡蝶蘭になります。
そもそも自然界には青い花の存在が少ないのですから、胡蝶蘭の色の中でも青色は最も珍しい色と言えるでしょう。
それではさっそく、2種類の青い胡蝶蘭について、それぞれの特徴や誕生した経緯などをご紹介していきます。
青く染色した「ブルーエレガンス」
ブルーエレガンスは、もともと白い胡蝶蘭を青い染料によって染色して、青色に仕上げた品種になります。
染色には大変高度な技術が必要であり、その技術は特許を取得しています。
日本を含む世界4ヵ国でしか作ることができないブルーエレガンスは、大変希少な品種なのです。
染色方法には2通りあり、いずれかの染め方を用いられて青色に染められます。
①特殊な染色液を注射器で花茎に注入する
②染色液を花びらに直接吹きつける
ちなみに、染色によってお花の品質には影響しないよう栽培されているので、早く枯れるなどといった心配はありません。
白い胡蝶蘭同様に長く楽しめますし、花びらに触れて塗料が付着することもありません。
品種改良により誕生した「天然色」
一方、染色をせずに品種改良によって誕生した、青い胡蝶蘭も存在します。
「青い胡蝶蘭」と呼ばれているこちらの品種は、2013年に遺伝子組み換えで生まれた、染色不要の胡蝶蘭です。
つまり、二度目以降に咲くお花も、青色の花びらになります。
染色によるブルーエレガンスは、鮮やかな青色ですが、品種改良による青い胡蝶蘭は、深みのある青さで、瑠璃色のような発色です。
花びらの質感はシルクのようで高級感があり、ブルーエレガンスとは違った魅力を持つ青色の胡蝶蘭です。
胡蝶蘭の品種改良というと、通常は異なる品種同士の交配によって行なわれます。
ですが胡蝶蘭は、もともと「デルフィニジン」という青い色素の遺伝子を持っていません。
交配だけで青い胡蝶蘭は開発できないので、まずは染色技術によるブルーエレガンスが作られました。
それでも青い胡蝶蘭の夢を諦めなかった研究チームは、遺伝子組み換えの技術によって、とうとう青色の開発に成功します。
遺伝子組み換えが難しいと言われる胡蝶蘭を、10年以上もの歳月を費やして研究し、世にも美しい瑠璃色の胡蝶蘭が誕生したのです。
青い胡蝶蘭が希少である理由
2種類の青い胡蝶蘭について、それぞれの違いや特徴、作られた背景などをご紹介しました。
なぜ青い胡蝶蘭が希少であるか、流通数が少ないかということがお分かりいただけたかと思います。
ここからは、その希少さについてもう少し深く掘り下げていきましょう。
世界で4ヵ国しか生産されない
染色によって作るブルーエレガンスには、特殊な特許技術が必要であることはお話ししました。
この特許技術ですが、現在は日本を含めた、アメリカ、オランダ、ブラジルの4ヵ国でしか生産が行なわれていません。
日本では、愛知県にある農家が唯一、ブルーエレガンスを生産できる生産者になります。
生産者が少なければ、当然流通数も少なくなります。
希少性が上がり、入手が難しくなるのです。
天然の青い花は少ない
世界中に存在するさまざまな花の中でも、青色の花を咲かせる品種は10%にも満たないと言われています。
なぜ青い花が少ないのかという理由については、未だはっきりと解明されてはいません。
一説では、青色が虫や動物にとって美味しそうに見える色ではないからだと推察されています。
人間に置き換えて考えてみれば、確かに青い食べ物や、青いケーキ、お菓子などは、いまいち食欲をそそられない気がします。
被子植物は、虫や動物に花を食べてもらい繁殖しなければなりません。
彼らにとって美味しそうな色に見える花の色が増えていき、生き残るためには不利になる青色が少ないのではないでしょうか。
現在では、遺伝子組み換えなどの技術によって、新しく青色の花や品種が生まれていますが、そもそも自然界では青い花は数が少なく、青色自体が希少なのです。
品種改良の青い胡蝶蘭は流通していない
さて、青い胡蝶蘭には、染色されたブルーエレガンスと、品種改良による2種類があるとお話ししました。
実は胡蝶蘭の市場には、ブルーエレガンスしか出回っていません。
遺伝子組み換えの胡蝶蘭は、安全性についての確認や、花が咲くまでに年数が必要であるため、まだ流通していないのです。
2種類のうちの片方しか流通していないのですから、当然希少価値は上がってしまいます。
ブルーエレガンスの生産も、特殊な技術を用いるために大量生産はできません。
これが、青い胡蝶蘭のレアリティが高く、入手が難しい理由です。
ちなみに、品種改良による青い胡蝶蘭ですが、流通していないものの、展覧会などの会場で見ることができますよ。
機会がある方は、ぜひ一度足を運んで、美しい瑠璃色をご覧になってはいかがでしょうか。
青い胡蝶蘭の花言葉
ブルーエレガンスは流通が少ないながらも、出会うチャンスがないわけではありません。
もし特別なギフトとして青い胡蝶蘭を選ぼうとお考えでしたら、花言葉についても知っておくと良いでしょう。
色別にも存在している花言葉ですが、青色の胡蝶蘭にも花言葉があるのでしょうか?
胡蝶蘭の花言葉は?
まず、胡蝶蘭の全体として付けられている花言葉ですが、「幸福が飛んでくる」「純粋な愛」があります。
名前の由来にもなっている蝶が舞うイメージから、「幸福が飛んでくる」の花言葉が付いており、もうひとつの「純粋な愛」は、胡蝶蘭の学名に含まれる「アフロディーテ」が由来です。
アフロディーテとは、ギリシャ神話において愛と豊穣を司る女神。
ヴィーナスの別名でも呼ばれる愛の女神から、愛にまつわる花言葉が添えられました。
青い胡蝶蘭の花言葉
それでは、青い胡蝶蘭には個別の花言葉があるのでしょうか。
日本では、新しく誕生した品種などの花言葉は、生産者や開発者によって付けられることがあります。
青い胡蝶蘭が誕生してからは、「愛」「尊敬」の花言葉が付けられました。
これは、青色の胡蝶蘭が、ツユクサの持つ青色の色素と、ピンク色の胡蝶蘭を掛け合わせて作られたためです。
ピンク色の胡蝶蘭の花言葉は「あなたを愛する」、ツユクサには「尊敬」の花言葉があります。
この2つの花言葉から、青い胡蝶蘭には愛と尊敬という言葉が添えられました。
ちなみにこの花言葉ですが、遺伝子組み換えによる青い胡蝶蘭のみならず、それ以前に染色で生まれているブルーエレガンスにも適用される言葉です。
その他の色の花言葉
胡蝶蘭には、白、ピンク、青に色別の花言葉がありますが、残念ながらその他の色には、まだ花言葉がありません。
色別の花言葉がない胡蝶蘭に関しては、胡蝶蘭全体での「幸福が飛んでくる」「純粋な愛」の花言葉を当てはめて問題ありません。
紫色などは、比較的新しい品種ですから、これから花言葉が付けられるかもしれませんね。
青い胡蝶蘭がもたらす色の効果
さて、青色は私たちの生活に馴染み深く、空や海などの自然色としても親しまれる色です。
色にはそれぞれが与える印象や効果というものがありますが、青色にはどのような色の効果があるのでしょう。
色が与える印象は、お花の種類そのものがもたらす印象より上回る場合もあります。
次は、青い胡蝶蘭が与える色の心理的な効果などについて、詳しくご紹介します。
青色のイメージ
青色の持つイメージや印象は、誠実、清潔、信頼などが挙げられます。
知性などを象徴する色としても馴染み深いですよね。
また、海外において青色は、「青い鳥」などの童話で描かれるように幸運を招くシンボルカラーです。
聖母マリアのシンボルカラーとしても親しまれます。
青色の心理的効果
青色は、心理学の観点から見ると、鎮静・抑制の色であり、集中力を上げる効果があります。
これは、青色が副交感神経を刺激する色であることから、脈拍などを下げて呼吸を深くするためです。
勉強運をアップさせる色として青が有名なのは、こういった理由からなのですね。
心を落ち着かせる青色は、どんなシーンにも贈りやすく、老若男女問わず好まれる色です。
青い胡蝶蘭を選ぶメリットは?
では、あえて定番の白以外の青い胡蝶蘭を選ぶことによって、どのようなメリットが生まれるのでしょうか。
ここからは、ビジネス・プライベートシーンなど、各シーン別に分けて、青い胡蝶蘭を贈ることで得られるメリットをお伝えしていきます。
ビジネスシーンでのメリット
ビジネスシーンでのメリットですが、青い胡蝶蘭は先述したように流通が少ない希少な色です。
まずご自身で青い胡蝶蘭をご覧になった方や、贈答品として受け取ったことがある方は稀でしょう。
その希少さから、値段相場もお高めにはなりますが、相手への特別な贈り物として選ぶには特別感を充分に印象付けられます。
白やピンクばかりが並ぶ胡蝶蘭の中に、美しい青色があるといちばん目を惹きますよね。
多くのお祝い品が立ち並ぶ中で、自分の贈り物が埋もれるのを避け、アピールにも繋がります。
このように、周りとの差をつけたいときや、一味違う演出、サプライズギフトなどにも、青い胡蝶蘭はおすすめです。
また、企業のイメージカラーには、清潔感があり真面目な印象のある青色がよく使われますが、青色をイメージカラーにしている取引先へ贈ると、気の利いた品として喜ばれるでしょう。
プライベートシーンでのメリット
続いてプライベートシーンでのメリットはというと、やはりその希少さです。
青色の胡蝶蘭は、まず店頭で見かけることはありませんので、受け取られた方はとても驚き、色濃く思い出に残るでしょう。
節目の誕生日や、大切な記念日など、人生で何度も訪れない特別な日の演出に、青い胡蝶蘭を選んでみてはいかがでしょうか。
青い胡蝶蘭を贈るうえでの注意点
希少な青い胡蝶蘭を贈るメリットについてお伝えしてきました。
それでは、実際に青い胡蝶蘭をギフトとして検討している方向けに、贈るうえでの注意点や確認ポイントをご紹介していきます。
喜んでいただくためのギフトが、かえってご迷惑にならないよう、配慮やマナーを心がけて贈りましょう。
生花が受け取り可能か確認する
もし、送り先が飲食店や病院であれば、衛生上の観点から生花を受け取らない方針を取っている場合もあります。
飾れないものをお贈りしては相手へご迷惑になりますし、不快な思いをさせる恐れもあります。
せっかくのお祝い事であり贈り物ですから、お相手に喜んでもらえるよう、生花の受け取りが可能かどうかを事前に確認してから手配しましょう。
受け取り可能な時間を確認する
開店・開業のお祝いに胡蝶蘭を贈る際には、手配して届ける時間にも配慮が必要です。
オープン初日は、お客様に初めてお店をお披露目する重要な日であり、いちばん忙しくされている日でしょう。
時間帯によっては受け取りが難しく、受け取りのためにお客様への対応が後回しになってしまってはいけません。
事前に受け取りやすい時間帯を聞いておき、手配はその時間帯に合わせましょう。
特に、式典会場などでのお祝い事では、会場で受け取り時間を定めている場合があります。
確認せずに送ると失礼にあたりますので、事前に確認しましょう。
飾る場所を考慮する
お祝い事ですから、豪華で大きな胡蝶蘭を用意して、お祝いの気持ちを伝えたいところですが、飾る場所に対して大きすぎる胡蝶蘭を受け取ると、置き場所に困ってしまいます。
特に、小さめの店舗などでは、お店のスペースに対して大きすぎる胡蝶蘭は店内に圧迫感を生み、お店に対する印象にも響いてしまいます。
送り先のスペースを考慮したサイズを贈りましょう。
小さいサイズで豪華さを出したい場合には、大輪サイズの花を選べば存在感がありますよ。
贈る本数は奇数にする
日本では昔から、お祝い事などでの贈答品には奇数が縁起が良いものとして考えられています。
胡蝶蘭は、株を寄せ植えすることでボリュームアップさせますが、奇数本である3本立てや5本立てが贈り物として一般的です。
また数字に関しては、4や9は「死」「苦」などを思い浮かべるため、避けておくのが無難です。
赤い色やラッピングを避ける
開店・開業祝いや、新築祝いなどでは、赤いラッピングを避けて贈るのがマナーです。
赤色は「火事」や「赤字」を連想させる色とされているため、赤が強調された贈り物は縁起が悪く、失礼にあたる場合があります。
赤一色のお花のアレンジメントも避け、もし取り入れるならば、赤以外の花材も使って、赤の印象を和らげれば問題ありません。
白い花材を取り入れれば、紅白カラーとなり縁起の良さも増すのでおすすめですよ。
ブルーエレガンスの注意点
ここまでは、胡蝶蘭を贈るうえでのマナーについてお伝えしてきました。
次は、胡蝶蘭全般ではなく、ブルーエレガンスを相手先へ贈るうえで把握しておいたほうがいい、ブルーエレガンスならではの注意点をご紹介します。
なかなか流通しない品種であるために知られていないことも多いですから、事前に送り先へ伝えておくと親切かもしれません。
色むらが生じることもある
ブルーエレガンスは、特殊な染色方法により花びらが染められています。
もともと青い色の花びらではないため、染色作業による発色の差が生まれるのです。
例えば、つぼみの状態で作業を行うと染まりにくいために、先端に向かうにつれ色が薄くなる場合があります。
染まりきっていないつぼみが開花すると、白い花びらのままであるケースもあるようです。
その濃淡を楽しむのがブルーエレガンスの醍醐味とも言えるかもしれませんが、どのように生まれた花なのか知らないとびっくりされてしまうかもしれません。
少しずつ色が抜けることもある
ブルーエレガンスは、日々のお世話での水やりで、徐々に色素が抜けていくこともあります。
株による個体差があるので、すべてのブルーエレガンスの色素が落ちるわけではありませんが、受け取った方はお花の調子が悪く、何かの病気なのかと不安に思われるかもしれません。
品質には問題がないことを伝えておくと親切でしょう。
二度咲きの花は白くなる
胡蝶蘭は、すべてのお花が咲き終えた後も、お手入れをして二度咲きを楽しむことができますが、ブルーエレガンスが二度咲きをした場合、二度目以降は本来の花色に戻り、白い花が咲きます。
残念ながら、青色が楽しめるのは一度きりですが、白色とあわせて二度楽しめると思えば楽しみですよね。
お世話は白い胡蝶蘭と同じ
珍しい品種の胡蝶蘭だと、お手入れ方法が難しいのでは…と心配に思う方もいるかもしれません。
ですが、ブルーエレガンスはもともとは白い胡蝶蘭を染色しているだけですので、お世話の方法やお手入れは通常の胡蝶蘭と変わりません。
丈夫で長持ちする、生命力の強い胡蝶蘭であることに変わりはないので、その点も伝えておくと、受け取った方が安心して育てられるでしょう。
青い胡蝶蘭の相場価格は?
希少な青い胡蝶蘭ですが、いざ購入するとなると気になるのがその価格。
胡蝶蘭の価格は、基本的にはお花の大きさや寄せ植えの株の本数が影響します。
先述したように、市場に贈答用として出回っている青色の胡蝶蘭はブルーエレガンスで、遺伝子組み換えによる青い胡蝶蘭は、市場には出ていません。
種類が限られ流通数が少ないとなれば、価格もある程度上昇します。
次は、気になる青い胡蝶蘭の相場価格について見ていきましょう。
白よりも高価にはなる
ブルーエレガンスの相場は、2本立てで18,000~20,000円ほど、3本立てで30,000円台、5本立てでは40,000円台がおおよその相場価格です。
一般的な白い胡蝶蘭と比べると、1本あたり2,000~3,000円ほど価格が上がります。
白色と同じ本数立やサイズであっても、その希少さからやはり青色は高価になってしまいます。
ただし、これは大輪の青い胡蝶蘭での相場であり、ミディサイズなどでは2本立てだと10,000円台前半になります。
青い胡蝶蘭を購入したいけれど、大輪での予算は少し厳しい…というときには、ミディサイズの青い胡蝶蘭を選んではいかがでしょうか。
青い胡蝶蘭は通販購入がおすすめ
青色の胡蝶蘭は、ほとんど店頭では扱われていませんから、購入を検討されている方には通販サイトのご利用がおすすめです。
ネットショップであれば、ちょっとした隙間の時間を利用して、24時間いつでも好きなタイミングで注文できるのも魅力的です。
また、ブルーエレガンスの青色は染色による色ですから、商品によっては若干の色の差が生じます。
掲載されている見本写真の色味と異なるのでは…と心配な方は、お店によっては実際の商品写真を事前に送ってくれるサービスも行っていますので、利用すると良いでしょう。
まとめ
今回は、珍しい青色の胡蝶蘭の魅力や種類をご紹介しましたが、いかがでしたか?
長年の品種改良によって、やっと誕生した悲願の青色胡蝶蘭は、まだ市場には出回っていません。
買い求められるのは、染色技術によって青色に染められたブルーエレガンスのみになります。
二度目以降に咲く花色は、もともとの白に戻ってしまいますが、青と白を二度楽しめる品種とも言えるでしょう。
サプライズを演出したいとき、周りの贈り物と差をつけたいときには、希少価値の高い青い胡蝶蘭を選んでみてはいかがでしょうか。