胡蝶蘭の寿命は?切り花と鉢植えそれぞれ解説。花芽をつけて2度咲きさせる方法とは

胡蝶蘭はお祝いで頂くことの多い花ですが、その花が咲き終わったら「枯れてしまった」と思い込んで処分する人も多いのではないでしょうか。

実は胡蝶蘭は、花が咲き終わってからも、正しい手入れをすることで2度、3度と再び花を咲かせることができるのです。

この記事では、胡蝶蘭の鉢植えの寿命や切り花にした際の寿命、胡蝶蘭を2度咲きさせる方法や注意点などをご紹介します。

胡蝶蘭の鉢植えの寿命

胡蝶蘭の花は開花期間が長く、咲き始めから1カ月以上、環境が適していれば2カ月ほども咲き続けます。

その後、花はしおれたり落ちたりしますが、胡蝶蘭が枯れているとは限りません。胡蝶蘭の株が元気である限り、その後も毎年のように花を咲かせ、適切な管理を続けていれば、その寿命は50年ほどにもなるのです。

また、条件がそろっていれば、1年に2度花を咲かせることも可能なので、花が咲き終わったら2度咲きに挑戦してみるのも良いかもしれません。

胡蝶蘭を切り花にしたときの寿命

胡蝶蘭は鉢に入れて育てるだけではなく、切り花としても楽しめる花です。胡蝶蘭の切り花としての寿命は、他の花よりも長いです。

胡蝶蘭はもともと水と栄養の少ない環境で育っている植物です。そのため切り花にしても、2~3週間程度、花を楽しむことができます。水切りや湯揚げをきちんと行うことで、より長い期間胡蝶蘭の切り花を楽しめるでしょう。

2度咲きのポイントは「花芽」

花が咲き終わり、花茎をカットされた胡蝶蘭は、次の花を咲かせるために栄養を蓄えて準備を始めます。

このとき、次の開花へ向けて、葉と葉の間に生えてくる芽が「花芽」です。この「花芽」が成長して「花茎」となり、やがて胡蝶蘭の花が開花します。

花芽をつけるためには、花茎の適切なカットや環境管理が重要になりますが、花芽をつけることができれば、胡蝶蘭の花を何度も咲かせることができるのです。

しかし、胡蝶蘭の株は繊細なのですぐには花芽がつかず、環境に慣れるまで長くて2〜3年ほどかかる可能性もあります。

株が健康であれば枯れてはいないので、焦らずお世話を続けてみましょう。

 

胡蝶蘭を2度咲きさせる手順

胡蝶蘭の花が咲き終わったら、2度咲きに挑戦してみましょう。

条件がそろえば1〜2カ月ほどで花芽がつき、数カ月のうちに新しい花を咲かせることができます。

2度咲きには挑戦せず、来年に持ち越す場合も同様の手順になりますが、その場合は花茎を切る位置が異なるので注意しましょう。

まずは、胡蝶蘭を2度咲きさせるための基本的な手順をご紹介します。

1.時期を見極める

胡蝶蘭の花を2度咲きさせるためには、花が全体の3分の1ほど残っている状態で作業を開始します。

花がすべて咲き終わってしまうと花茎自体も弱ってしまい、直後の2度咲きが難しくなるので、翌年へ持ち越さなければなりません。

そのため、2度咲きさせるためには、花茎が元気な時期からカットするのがポイントです。

花茎をカットするために使用するハサミやカッターなどは、あらかじめ消毒しておくことで切り口からの細菌の侵入を防ぐことができますよ。

また、胡蝶蘭の花粉が落ちることがあるので、シートを敷いたり、屋外で作業したりするなどの対策を施しましょう。

 

2.花茎をカットする

次に、花茎をカットしていくのですが、2度咲きに挑戦したい場合と来年へ持ち越したい場合でカットする位置が異なるので注意しましょう。

まず、2度咲きさせたい場合は、胡蝶蘭の株が元気であるか、そして、十分に光合成ができる健康な葉が3枚以上あるかをチェックします。

健康状態に問題なければ、花茎を根元から3〜4節目の2cm上あたりでカットしてください。

そうすることで、花茎に効率よく栄養が行き渡り、うまくいけば1〜2カ月で花芽がつき、数カ月のうちに2番花が咲きます。

 

次に、株をゆっくり休ませて来年の開花へ持ち越したい場合は、花茎を根元からカットし、葉と株だけの状態にしましょう。

茎と花がないことで、株に栄養を十分に蓄えられるので、来年へ向けてしっかり回復してくれます。

 

3.植え替えをする

贈答用で販売されている胡蝶蘭は、見栄えをよくするために3本や5本ごとに寄せ植えされている状態であることがほとんどです。

花がたくさんつくので豪華に見えるのですが、花が咲き終わって2度咲きや来年に向けて準備する場合は、1株ごとに植え替えることをおすすめします。

そうすることで通気性が良くなり、カビや根腐れを防止することができるので、胡蝶蘭の株にしっかりエネルギーを蓄えることができるのです。

植え替えの時期は、胡蝶蘭の成長期である4〜6月の温かい時期であれば負担になりません。

 

4.カットした花は切花に

まだきれいに咲いている花をカットした場合は、切花として楽しむことができます。

花茎が水を吸い上げやすくなるように、水中で切り戻しを行いましょう。

それでもうまく吸水できていない場合は、切り口を5〜10秒お湯に浸けたあと、冷水に浸けると湯上げ効果があります。

花瓶の中の水はこまめに入れ替え、雑菌が繁殖しないように注意してください。

また、切花専用の延命剤などを用いることで、長く花を楽しめますよ。

 

注意点:2度咲きは胡蝶蘭の株に負担をかけることも

1年のうちに2度胡蝶蘭の花を楽しめる2度咲きは、得をした気分になります。

しかし、本来の胡蝶蘭は、1年に1度花を咲かせるのが自然なサイクルです。花芽をつけて花茎を成長させ花を咲かせることは、胡蝶蘭にとってかなりの負担になります。

そのため、2度咲きさせることで胡蝶蘭の体力が減ってしまい、株の寿命を縮める可能性もあるでしょう。

この先何年も健康な胡蝶蘭を楽しみたい場合は、2度咲きは頻繁に行わない方が良いかもしれません。

 

花芽のお世話のポイント

胡蝶蘭の花芽をつけるためには、株が健康であることや適切な管理を行うことが重要になります。

花芽は、花茎を根元からカットした場合は2枚目の葉の付け根あたりから、すぐに2度咲きさせる場合はカットしたすぐ下の節目から生えてきます。

花芽がつきさえすれば次の花が咲くまであと一歩です。

花芽がどんどん成長できるよう、以下のポイントに注意して管理しましょう。

 

風通しと日当たりの良い場所

花芽がついたら、胡蝶蘭を風通しと日当たりの良い場所に移動させましょう。

胡蝶蘭にとって適切な温度である、10〜20度をできるだけ保つよう時期に合わせて置き場所を変える必要があります。

花芽は太陽に向かって上に伸びていくので、日光に当てることは大切なのですが、夏場の暑い時期は葉焼けを防ぐために直射日光を避けてください。

室内に置く場合、エアコンや暖房器具の付近では胡蝶蘭が乾燥してしまう恐れもあるので避けた方が無難です。

 

水やりは乾燥気味に

胡蝶蘭はそれほど水を必要とせず、やりすぎは根腐れを引き起こす原因にもなります。

花茎をカットして植え替えを行ったら、2週間ほどは水やりを控えて株を休ませましょう。

季節ごとの目安としては、春は10日に1回程度、夏は1週間に1回程度、秋〜冬にかけては2〜3週間に1回程度が良いとされています。

水のやりすぎは根腐れの原因になりますが、逆に水不足になると、胡蝶蘭の葉にシワが寄ってくるので、その際にはしっかり水を与えてください。

水が不足にも過剰にもならないちょうどよいタイミングでサイクルをつくっていくことがポイントになります。

 

適度な肥料

基本的に胡蝶蘭には肥料は必要ありませんが、与える場合は春〜夏の成長期に少量ずつ様子を見ながら与えましょう。

胡蝶蘭の場合は、洋ラン用のものや胡蝶蘭専用の液体肥料を選びます。

液体肥料には胡蝶蘭の成長に必要な栄養素が豊富に含まれていますが、与えすぎると胡蝶蘭が枯れてしまう原因にもなるので注意しましょう。

胡蝶蘭が元気に根や葉を伸ばしている状態の時は、肥料を与えずにゆっくり育てていく方が自然です。

 

複数の花芽は間引く

元気な胡蝶蘭であれば、1つの株からいくつもの花芽をつけることがあるでしょう。

それぞれ順調に成長すれば、全ての花芽が開花につながる可能性もありますが、胡蝶蘭の株には大きな負担になります。

花芽が複数あると、全体に栄養が行き渡らずに結局花が1つも咲かなかったり、株が負担に耐えきれずに枯れてしまったりする恐れもあるのです。

胡蝶蘭の株に負担をかけず無理なく花を咲かせるために、花芽を間引いて1つだけを残すことをおすすめします。

その際には、元気で丈夫そうな花芽を見極めて残すのがポイントです。

 

花芽が出ない原因

適切な位置で花茎をカットしたにもかかわらず、なかなか花芽が出ない場合には、次の原因が考えられます。

単に時間がかかっているだけのこともありますが、まずは胡蝶蘭にトラブルが起きていないかをチェックしてみましょう。

また、置き場所の温度や湿度などの環境にも再度注目してみる必要もあります。

 

株の育成不足

花芽がつかない原因として最も多いのが、株の育成不足です。

胡蝶蘭の花を開花させるには、十分に光合成できる健康な葉が3枚以上必要だと言われています。

葉が2枚以下であれば、まだ栄養を蓄えている途中なので、じっくり成長を待ちましょう。

また、胡蝶蘭の株が育成不足の場合、栄養や空気を取り込むために株や葉の細胞が開きます。そうなると、株の根元が開いたり葉が垂れ下がったりと、元気のない印象になってしまうのです。

葉や根の色に異常が見られないのであれば枯れているわけではないので、引き続きお世話を続けましょう。

 

株が病気や害虫におかされている

水のやりすぎによる根腐れや、葉が軟腐病(なんぷびょう)という病気にかかっていることで花芽が出ないこともあります。

また、アリやナメクジなどの害虫がついている場合もあるので、葉の表面や裏側をよく観察してみましょう。

根腐れした場合は、その部分の根を取り除き新しい鉢に植え替えることで株が元気を取り戻すことがあります。

葉が病気にかかってしまったら、その部分を切り取り、病気の進行を食い止めましょう。風通しの良い場所に移動させて湿気を取り除くことで回復する可能性もあります。

ただし、胡蝶蘭が感染症のウイルスに侵されてしまった場合は、残念ながら処分しなければなりません。

 

環境が適していない

胡蝶蘭は比較的丈夫な植物なのですが、多湿や直射日光、気温の低下に弱い性質があります。

日本の気候ではこの条件がそろいやすいので、季節によって置き場所や管理方法を変える必要があるのです。

多湿になる梅雨から夏場にかけては、風通しのよい涼しい場所に置いてください。

ただし、直射日光に当たりすぎると葉焼けを起こすので注意が必要です。

また、低温が続く冬場は、あたたかい室内に移動させ、昼間は明るい窓際に置いて適度に日光に当てましょう。

 

花芽がすぐに出なくても焦らない

胡蝶蘭の花芽がなかなかつかないと、もう枯れてしまったのではないかと不安になることもあります。

しかし、株や葉の状態が悪くなっていなければ、まだチャンスはあります。

胡蝶蘭はデリケートな植物なので、環境に慣れるまでじっくり向き合ってあげることが大切です。

すぐに花芽がつかなくても焦らずに様子を観察してみましょう。

 

株が栄養を溜めている途中

胡蝶蘭の花が3枚以上であっても、さらに栄養をたくわえるために準備している段階であることも考えられます。

株や葉に異常が見られない場合は、胡蝶蘭が十分に成長するまで気長に待ってみましょう。

焦って水や肥料を与えすぎてしまうと、かえって株に負担をかけて弱らせてしまうことにもなりかねないので、まずは様子見でそっとしておいてください。

 

根の状態をチェック

胡蝶蘭の健康状態は、根を観察することでよく分かります。

健康な胡蝶蘭の根は、太くて白っぽい緑色をしているのですが、この根が黒ずんでいる場合は、根腐れを起こしている可能性があります。

その場合は悪くなっている部分を取り除き、水やりをストップしましょう。

1週間〜10日ほどで根が乾燥してくるので、様子を見ながら水やりを再開します。

もともと胡蝶蘭は水をそれほど必要としない植物なので、少々乾燥気味に育てても構いません。

 

胡蝶蘭が枯れる原因

胡蝶蘭は、適切なお世話を続けることで毎年のように花を楽しめる丈夫な植物なのですが、気付かないうちに病気にかかってしまい、場合によっては枯れてしまうこともあります。

胡蝶蘭が寿命を迎える前に枯れてしまうことのないよう、日頃から健康状態のチェックを怠らないようにしなければなりません。

ここからは、胡蝶蘭が何らかのトラブルに陥っているサインと対処法をご紹介します。

 

根腐れ

胡蝶蘭の根元付近の葉が少しずつ変色している場合は、単なる葉の寿命によるものなので、その部分を切り取るだけで大丈夫です。

しかし、株全体の葉が変色したりシワが寄ったりしている場合は、根腐れを起こしている可能性があります。

また、植え込み材にカビが生えたり、根が黒ずんだりしていても、根腐れを疑いましょう。

根腐れの原因は水のやりすぎによるものなので、悪い部分を取り除いてから新しい鉢に植え替えて、乾燥気味に休ませてください。

根腐れの程度が小さく、胡蝶蘭の生命力が強ければ、再び元気を取り戻しますよ。

 

葉焼け

胡蝶蘭は日光を好む植物なので、明るい場所で育てることは大切なのですが、真夏の直射日光には弱い性質があるのです。

葉焼けのサインとしては、葉の一部が黒くなったり白抜けしたりという変化があります。

葉焼けを発見したら、直射日光の当たらない日陰などに移動させましょう。

悪くなった部分が小範囲であればそのままでも構いませんが、広範囲に広がっている場合は該当部分を取り除くことで新たな病気を防ぐことができます。

 

炭そ病

胡蝶蘭の葉に黒い斑点が現れた場合は、炭そ病にかかっている可能性があります。

炭そ病は、カビ胞子の飛散によるもので、胡蝶蘭以外にも多くの植物が被害に合いやすい病気です。

最初は淡褐色の斑点ですが、徐々に大きくなり、色も茶褐色や黒褐色に変化していきます。

そのまま病気が進むと、葉全体が焼けたように黒くなり、他の葉へも浸食してしまうのです。

炭そ病を発見したら、その部分を5mmほど広めに切り取り、殺菌剤を塗りましょう。

 

枯れた胡蝶蘭の処分方法

胡蝶蘭は葉が1枚でも残っていれば、そこから復活して元気を取り戻す可能性があります。

しかし、全ての葉が落ちてしまった場合は、残念ながら株そのものが枯れてしまっているので、その場合は自治体のルールに沿って適切な処分を行いましょう。

胡蝶蘭本体は、基本的には燃えるごみとして出せます。

大きな株であれば、茎や根を小さく切ってから良く土を落としてごみ袋に入れましょう。

鉢は素焼きやプラスチックなど、素材に合った分別方法で処分します。

花茎を支える支柱には針金やプラスチックが使用されていますので、自治体のルールに従って捨ててください。

寿命の長い胡蝶蘭ならプレミアガーデンへ

今回は胡蝶蘭の寿命や切り花にしたときの寿命、花を2度、3度と咲かせる方法について解説しました。

胡蝶蘭は生命力の高い花なので、適切な管理を続けることで何年も美しい花を楽しむことができます。

元気で丈夫な株であれば、1年のうちに2度咲かせることも可能なので、胡蝶蘭の扱いに慣れてきたら挑戦してみるのも良いかもしれません。

すぐに花芽がつかない場合も、胡蝶蘭の成長に合わせて焦らずじっくり待ってみましょう。

もしも胡蝶蘭が病気にかかってしまったら、できるだけ早く対処し、間に合わなければ適切に処分してくださいね。

また、品質がよく新鮮な胡蝶蘭は何より長持ちです。プレミアガーデンでは、質のいい新鮮な胡蝶蘭を随時豊富に取り揃えております。寿命の長い胡蝶蘭なら、ぜひプレミアガーデンまでご相談ください。

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