春に先駆け2月に咲く代表的なお花10選

暦では春を迎えていても、雪が降ったり霜が降りたりとまだまだ厳しい寒さの残る2月。

しかしそんな寒さにも負けず、花たちがこぞって開花する春の前に、一足早く花を咲かせてくれるお花がたくさんありますよ。

今回は、2月に咲く花の中からおすすめの種類や特徴、そして花言葉について、詳しくご紹介していきたいと思います。それでは見ていきましょう。

ウメ

まずは、桜よりも先に春の訪れを教えてくれる「ウメ」についてご紹介します。

科・属 バラ科・サクラ属
和名 梅(うめ)
英名 Plum blossom
学名 Prunus mune
原産地 中国

日本の早春を代表する花といえば、まずはウメが挙げられるでしょう。

万葉集で多くの歌が詠まれるほど、日本人には馴染み深く、古くから愛される樹木です。

ウメのつぼみを見かけると、やっと春に近づいてきたのだなという気持ちになりますね。

 

バラ科サクラ属のウメは、中国原産の落葉高木で、葉よりも先に2〜3cmの小花を咲かせます。枝に鼻を近づけると、ほのかに甘く良い香りを楽しむことができますよ。

その品種は300種以上にも及び、ピンクや白、紅などの花色があります。

 

美しい花を楽しむ、観賞用として高い価値のあるものは「花梅」。

梅酒や梅干しなどの食用として、品質の良い実を初夏につけるものは「実梅」と呼ばれます。

花以外にも、花から漂う香りや幹の形、枝などが鑑賞ポイントになり、愛好家にも人気のある樹木です。

鑑賞目的か食用目的かにより、栽培の方法も異なってきます。

花言葉「上品」「高潔」「忍耐」「忠実」

ウメ全体には、「上品」「高潔」「忍耐」「忠実」の花言葉があります。

「忠実」の花言葉は、学問の神様と言われる藤原道真にまつわる言い伝えが由来となっています。

道真は梅の木を愛して育てていたことで知られていますが、太宰府に左遷された道真の元へ、彼の愛した梅の木が飛んでいったという逸話です。

少々驚きの言い伝えではありますが、ここから「忠実」の花言葉が付けられました。

 

ウメには色別にも花言葉があり、清少納言が愛したとされる紅梅には「艶やか」「優美」の花言葉があり、白梅には「気品」「上品」があります。

いずれも、美しいウメの咲き姿から連想された花言葉です。

ツバキ

科・属 ツバキ科・ツバキ属
和名 椿、海柘榴(つばき)
英名 Camellia
学名 Camellia japonica
原産地 日本、中国、東南アジア

 

続いてご紹介するツバキも、古くから愛される、日本を代表する花のひとつです。

木一面に大ぶりの鮮やかな花が咲き誇る姿は、圧巻とも言えます。

花はもちろんのこと、つやつやと光沢を持った、濃い緑色の葉も美しい樹木です。

ツバキの持つ常緑の葉と紅白の花は、邪気を祓う縁起物だと考えられています。

 

まだ寒さの厳しい2月頃に花を咲かせるのは、寒椿(かんつばき)という品種です。

品種によって花期が異なるため、冬以外にも秋から春まで開花が楽しめますよ。

花の咲き方も、一重咲き、八重咲き、絞り咲き、千重咲きなどバリエーションが豊富です。

 

また、ツバキと間違えやすい花に、サザンカがあります。サザンカも秋の終わりから2月頃に開花する植物です。

ツバキとサザンカを見分けるポイントは、花が散る様子です。

サザンカは、はらはらと1枚ずつ花びらを散らしていきますが、ツバキは大きな花首ごと、ぼたりと花を落とします。

木の下を見て、花ごと散っていればツバキ、花びらが散っていればサザンカというわけです。

花言葉「控えめな優しさ」「誇り」

ツバキ全体には、「控えめな優しさ」「誇り」の花言葉が添えられています。

色別にも花言葉を持つツバキは赤色が「控えめな素晴らしさ」「気取らない優美さ」「謙虚な美徳」、白には「完全なる美しさ」「申し分のない魅力」「至上の愛らしさ」、ピンクには「控えめな美」「慎み深い」の花言葉があります。

どれも、椿のしっとりとした佇まいを思い浮かべる素敵な花言葉ばかりですね。

ロウバイ

科・属 ロウバイ科・ロウバイ属
和名 蝋梅、蠟梅(ろうばい)
英名 Winter sweet
学名 Chimonanthus
原産地 中国

ロウバイは、漢字で「蝋梅」と書くように、黄色い花びらが蝋細工でできているかのような半透明さを持っています。

別名では「唐梅(からうめ)」とも呼ばれており、12月から2月頃に見頃を迎える、お庭の木や公園などに植えられている木としてお馴染みの樹木です。

ロウバイは樹高が低く、かなり間近で鑑賞できるため、その芳香な匂いを存分に楽しむことができますよ。

日の光に透けたロウバイの花びらは、きらきらと艶がありとても美しいので、ぜひお天気の良い日に鑑賞することをおすすめします。

 

ロウバイの種類はいくつかありますが、中でもよく見かけるのは、定番品種であるソシンロウバイと、マンゲツロウバイ、ワロウバイの3種類です。

マンゲツロウバイは他の品種と比べると花径が大きく、丸みを帯びた花びらになっています。

ワロウバイは、花びらがほっそりとしていて、花の中心部分が赤紫色をしているのが特徴です。

花言葉「先見」「奥ゆかしさ」

ロウバイは、春を前にして早々に花を咲かせるため、「先見」の花言葉があります。

まるで春の訪れを察知する、先見の目を持っているようですね。

また、ロウバイは蝋細工のような美しい花を、やや俯かせて咲く姿が特徴的です。その慎ましく咲く様子から、「奥ゆかしさ」の花言葉が付けられました。

フクジュソウ

科・属 キンポウゲ科・フクジュソウ属
和名 福寿草(ふくじゅそう)
英名 Amur adonis、Pheasant’s eye
学名 Adonis
原産地 日本(北海道~本州)

フクジュソウは、漢字では「福寿草」と書く、大変縁起の良い花です。

福を招く縁起物として人気があり、南天などと一緒に正月飾りとして飾られることがあります。

 

低い草丈と太い根や茎が特徴的で、早春になると茎先に黄金色の花を咲かせます。

低めの草丈に対して咲く花は大きく、見応えのあるお花です。

ウメの花のように、先に花を咲かせて、あとから緑の葉が顔を覗かせます。

咲き方も豊富で、一重咲き、八重咲き、花びらの先に切れ込みのあるものなど、品種によってさまざまな姿を楽しめますよ。

 

フクジュソウの花色と言えば黄色を思い浮かべますが、赤い花を咲かせる品種もあり、ギリシャ神話に登場するフクジュソウは赤色になります。

しかし、このフクジュソウにまつわる神話は、現在では同じキンポウゲ科の仲間である、アネモネの逸話として語り継がれています。

花言葉「幸せを招く」「幸福」「祝福」

フクジュソウの花言葉には、縁起物として愛されているお花らしい「幸せを招く」「幸福」「祝福」があります。

年の瀬には、「難を転じる」とされる南天とあわせて、難を転じて福となす縁起物として飾られることの多いお花です。

セツブンソウ

科・属 キンポウゲ科・セツブンソウ属
和名 節分草(せつぶんそう)
英名 winter aconite
学名 Shibateranthis pinnatifida
原産地 日本、中国

 

セツブンソウは、ちょうど節分の頃に咲くのが名前の由来で、主に関東より西の地域に自生しています。

草丈は10cm前後と低く、かなり地面に近いところで咲くお花で1株に1つの花を咲かせる植物です。

5枚ある白い花びらに見えるものは葉が変化してできた萼片(がくへん)です。

花の中心にある雄しべは、淡い紫色、もしくはパウダーブルーのような色合いでとてもきれいですよね。

雄しべをぐるりと囲むようにしている、黄色いしべのようなものがありますが、これは花弁が退化してしべ状に変化したものです。

セツブンソウの花姿は、淡い色合いの雄しべと黄色、白のコントラストが美しく、観賞用としても人気の高いお花です。

花言葉「気品」「光輝」「微笑み」

セツブンソウには、その慎ましやかな姿から「気品」「光輝」「微笑み」という花言葉が付けられていますが、他にも「人間嫌い」というものも。

これは、節分で人間に豆を投げられて退治される、鬼の気持ちが由来しているのではないかと考えられています。

オオイヌノフグリ

科・属 オオバコ科クワガタソウ属
和名 オオイヌノフグリ、瑠璃唐草(るりからくさ)
英名 Bird’s Eye、Cat’s Eye
学名 Veronica persica
原産地 ヨーロッパ

オオイヌノフグリは、春の野を彩る身近なお花ですね。

瑠璃色の花を持つことから「瑠璃唐草」の別名を持つオオイヌノフグリですが、他にも「天人唐草(てんにんからくさ)」や「星の瞳」という呼び方もされています。

畦道などで群生している姿を見かけるオオイヌノフグリですが、一日花であることをご存知でしょうか。

日の出の頃に咲き、その日のうちに花が萎んでしまうので、実は咲き姿を見られるのはとても貴重な花なのです。

オオイヌノフグリの花は、よく見るとネモフィラに似ています。

群生する姿は、ネモフィラの花畑をミニチュアサイズにしたようですよね。

花の大きさ自体が違うため見間違えることは少ないですが、オオイヌノフグリの葉は丸みを帯びており、ネモフィラの葉は尖っているという違いがあります。

花言葉「信頼」「忠実」「清らか」

オオイヌノフグリの花言葉は、学名にもなっているベロニカに由来しています。

聖女ベロニカは、イエス・キリストが重い十字架を背負いながら刑場へ向かう道中で、彼の汗をハンカチで拭ったとされる女性です。

このベロニカの尊い行いから、「信頼」「忠実」「清らか」という花言葉が付けられたのですね。

シクラメン

科・属 サクラソウ科・シクラメン属
和名 篝火花(かがりびばな)
英名 florists’ cyclamen、Persian cyclamen
学名 Cyclamen persicum
原産地 地中海

冬の鉢花の代表格でもあるシクラメンは、「冬の鉢花の女王」とも呼ばれます。

鉢花としての流通も多いですが、冬の庭を彩るガーデニングフラワーとしても欠かせない存在です。

 

シクラメンの花弁は反り返って咲くのが特徴的で、その独特な姿がかがり火に例えられ、「篝火花(かがりびばな)」の和名が付きました。

その人気の高さから品種改良が多く重ねられており、赤、白、ピンクの定番カラー以外にも、紫や黄色などの珍しい花色も出回っています。

品種によって、八重咲きやフリルのように咲くものなど、咲き姿もさまざまです。

近年では、良い香りを漂わせる品種も誕生しており、どんどん新しい品種がお目見えするお花です。

花言葉「遠慮」「内気」「はにかみ」

シクラメンの花は、俯くようにして控えめに咲くため、「遠慮」「内気」「はにかみ」といった花言葉が付けられており、他に「気後れ」という言葉もあります。

色別にも花言葉があるシクラメンには、白には「清純」、ピンクには「内気」、赤には「嫉妬」の言葉が添えられています。

赤色の「嫉妬」は、シクラメンの花がかがり火にも見えることから、燃えるような嫉妬心をイメージしたのでしょう。

ポインセチア

科・属 トウダイグサ科・トウダイグサ属(ユーフォルビア属)
和名 猩々木(しょうじょうぼく)
英名 Poinsettia
学名 Euphorbia pulcherrima
原産地 メキシコ、中央アメリカ

クリスマスが近づくと、あちこちの花屋さんで見かけるようになるポインセチア。

アメリカの初代駐メキシコ公使であった、ジョエル・ロバーツ・ポインセットの名前から名付けられた花名です。

鮮やかに色づいている部分は花びらではなく、苞(ほう)と呼ばれる組織になります。

この苞に守られるようにして、中でひっそりと咲いているクリーム色の小花が、本当の花です。

ポインセチアの赤・緑・白のカラーが、イエス・キリストを讃える色だとされ、クリスマスに飾られる植物として定着しました。

ポインセチア=クリスマスシーズンのイメージが根強いため、寒さには強い植物だと思ってしまいますが、実はポインセチアの原産地は熱帯地域です。

鉢植えで育てる場合は、できるだけ日の光の注ぐ場所に置いて育てましょう。

日本ではこじんまりとした鉢植え姿でお馴染みですが、自生するポインセチアは3mほどに育つこともあります。

花言葉「聖夜」「祝福」「幸運を祈る」「私の心は燃えている」

ポインセチアの花言葉は、「聖夜」「祝福」「幸運を祈る」「私の心は燃えている」といったものがあります。クリスマスをお祝いする植物として、聖夜にちなんだ花言葉ですね。

ポインセチアと言えば赤が定番なので、これらのポインセチア全体の花言葉と、色別に見て赤色が持つ花言葉は同じです。

他にも、白には「慕われる人」「あなたの祝福を祈る」、ピンクには「思いやり」「清純」の花言葉があります。

クリスマスローズ

科・属 キンポウゲ科・ヘレボルス属
和名 寒芍薬(かんしゃくやく)
英名 Helleborus
学名 Christmas rose、Winter rose
原産地 ヨーロッパ、西アジア

 

「冬の女王」と呼ばれるクリスマスローズは、名前に「ローズ」とありますが、バラの仲間ではありません。

キンポウゲ科のクリスマスローズは、ラナンキュラスなどの仲間になります。

冬のガーデニングの強い味方であるクリスマスローズは、整った形の花びらをカップ状に咲かせ、お庭を彩ってくれます。花期も2カ月ほどと、長く楽しめるのが嬉しいですね。

 

クリスマスローズは、イエス・キリストの生誕日に、少女がマリアとイエスに贈った花だとして言い伝えられています。

また、12月25日の誕生花になっており、クリスマスローズとキリストには深い関係があることが分かりますね。

日本の気候では、2〜3月頃に花を咲かせますが、ヨーロッパの気候だと、ちょうどクリスマスシーズンに花が咲きます。

とても人気の高いお花であり、毎年新しい品種が登場しているクリスマスローズは、年々咲き方や花色のバリエーションが増えてきています。

花言葉「慰め」「私の不安を和らげて」「私を忘れないで」

また最近では、クリスマスローズは受験生へ贈るお花としても人気です。

クリスマスローズの5枚ある花びらに見える部分は、葉が変化した萼片(がくへん)です。

萼は花びらとは違い、散ることがありません。

そのため、「五枚の萼=合格」「落ちない花」という験担ぎで「合格の花」だとされ、受験シーズンにも人気が高まっています。

ハボタン

科・属 アブラナ科・アブラナ属
和名 葉牡丹(はぼたん)
英名 Flowering kale、Ornamental kale
学名 Brassica oleracea var. acephala
原産地 ヨーロッパ

公園の花壇などで、キャベツのような見た目の植物を見かけたことはないでしょうか。

これはハボタンと呼ばれるお花で、何枚にも重なった葉の様子がボタンの花のように美しいことから名付けられました。

その美しさから、英名では「Flowering kale(花のようなケール)」とも呼ばれるほどです。

学名にもある「Brassica(ブラシカ)」とは、ラテン語で「キャベツ」を意味する言葉です。

和名では、牡丹菜(ぼたんな)、阿蘭陀菜(おらんだな)といった別名もあります。

葉色の赤と白が紅白で縁起の良い色だとして、古くからお正月の縁起物としても親しまれてきました。

花言葉「祝福」「愛を包む」「慈愛」「物事に動じない」

紅白カラーの縁起物であることから、「祝福」の花言葉が付けられています。

「愛を包む」「慈愛」の花言葉は、ハボタンの美しい葉が中心にある花を優しく包み込んでいる姿から連想されたものです。

まとめ

今回は、2月に咲く花の代表的な種類や、それぞれの花言葉についてご紹介してきました。

まだまだ開花する植物が少ない中で、美しい姿を見せてくれる2月の花たち。

もし見かけることがあれば、歩くスピードを少し落として、ゆっくりと鑑賞してみてくださいね。

また、贈り物にもぴったりな花言葉が多かったと思います。今回紹介した、季節のお花たちを贈り物にしてみるのも素敵ですよ。

大切なあの人にお花を送ってみませんか?