花を長持ちさせる方法とは?基本的な手入れや便利アイテムなどを紹介

お祝いや記念日にもらう花ギフトをできるだけ長く楽しむためには、最初の処置と日々のちょっとした手入れが欠かせません。それだけでなく、花の鮮度を保つための専用アイテムを取り入れれば、美しい状態をより長く保てるようになります。

本記事では、花を長持ちさせるための基本的な方法をはじめ、あると便利な手入れグッズや弱ってきたときの対処法などを紹介します。

花を長持ちさせる基本的な手入れ方法

花は切り花の状態になると、その寿命は短くなります。冬であれば10日~2週間ほどもつことがありますが、春から夏にかけては短くて1~5日ほどしかもたないことも多いです。

花をできるだけ長持ちさせるためには、基本的な管理方法を押さえておく必要があります。ここでは、花を長持ちさせるための手入れ方法について詳しく紹介します。

水切り

切り花を長持ちさせるためには、切り口から吸水しやすくすることが重要です。そのため、花束などを買ったりもらったりした場合はラッピングを速やかに外し、水切りを行うことが大切です。

水切りとは、切り花の茎を水の中でカットすることであり、水の中で切ることで切り口から空気が侵入することを防ぎ、水を吸い上げやすくなります。その際、切り口の組織を潰してしまわないよう切れ味の良い剪定バサミなどを使うのがポイントです。

花は、花瓶の中で切り口が水につかっているとその部分が少しずつ傷んで雑菌が繁殖してしまうため、毎日少しずつ切り戻していくことが効果的です。

余分なつぼみや枝葉の剪定

水切りができたら、生ける前に余分なつぼみや枝葉を剪定しましょう。そうすることで、つぼみや葉に栄養が広がってしまうことを防ぎ、花だけに養分を集中して送れるようになります。

ただし、茎の下にある花や葉が花瓶の中で水につかってしまうとその部分が腐食し、花瓶の中の水を汚してしまいます。そのため、茎の半分から下の花やつぼみ、葉などは取り除くようにしてください。花瓶の口付近に葉や花がないことですっきりと生けられ、見た目も美しくなります。

清潔な花器を使う

上述したように、水の中に雑菌が繁殖してしまうと花が早く萎れてしまう原因になります。

そのため、切り花を花瓶などの花器に生ける場合は、使用する花器を清潔な状態にしておくことが大切です。

花を生ける前は、花瓶を中性洗剤とスポンジなどでしっかり洗い、よく乾燥させておきましょう。切り花の長さに対して花瓶が大きすぎると、水につかる部分が増えて雑菌が繁殖しやすくなったり見栄えが悪くなったりするので、切り花に合うサイズの花器を選ぶのがポイントです。

水の量に注意する

切り花を生ける際は花瓶だけでなく、水の量も大切です。茎が水につかる面積が増えるほど、その部分が傷みやすくなるので水は控えめに入れるのが基本です。

ただし、吸水量は花の種類によって異なるので、その花が吸水しやすいのかそうでないかで水の量を調整する必要があります。

たとえば、チューリップなどの球根類は吸水性が高いので浅い水で生けるのがポイントですが、アジサイやバラなどは吸水しにくいので水をたっぷりめに入れても構いません。吸水性が普通であれば、花瓶の1/3程度の高さの水に調整すると良いでしょう。

毎日の水替え

花瓶の水の中では、時間が経つほどにどんどん雑菌が繁殖していきます。雑菌が増えると切り口が傷んでしまったり、植物の中に入り込んで枯らしてしまったりする原因にもなります。

花を長持ちさせるためには、毎日花瓶の水を入れ替えていつも清潔にしておくことが大切です。その際、花瓶にヌメリなどがついていたら中性洗剤などでしっかり洗浄してください。

直射日光の当たらない風通しの良い場所

花といえば、たっぷりの日光を浴びせるのが大切というイメージがあるかもしれませんが、切り花に直射日光が当たりすぎると花が傷みやすくなってしまいます。それだけでなく、エアコンなどの風が直接当たる場所も花を傷める原因となってしまいます。

また、気温が上がりやすい場所も花瓶の水の温度が上がって雑菌が繁殖しやすくなる原因になるため、直射日光の当たらない涼しい場所に置くようにしてください。

花を長持ちさせる便利アイテム

花を長持ちさせるための基本的なお手入れ方法について解説しましたが、花を長持ちさせる便利アイテムが存在します。

ここでは、おすすめの便利アイテムについて詳しく見ていきましょう。自宅にあるものでも代用できるので、ぜひ実践してみてください。

延命剤

切り花を長持ちさせるためには、専用の延命剤を使用するのがおすすめです。延命剤には殺菌成分や花の養分となる糖類などが含まれており、確実かつ効率的に花を長持ちさせられます。

延命剤は、フラワーショップやホームセンター、園芸店などで購入することが可能です。水に混ぜる量は、パッケージにある用法・用量を守りましょう。

サイダーなどの炭酸飲料

炭酸飲料には、花が栄養として吸収しやすいブドウ糖が多く含まれています。花などの植物は二酸化炭素を吸収して酸素を排出する光合成を行うため、二酸化炭素が含まれている炭酸水は簡易的な延命剤ともいえます。

また、酸性の水の中など、雑菌の繁殖を抑えられることもあり、切り花にはぴったりのアイテムです。ただし、糖分が多すぎると虫を寄せつけてしまうことになりかねないので、花瓶の水に対して20%ほどの割合で混ぜるようにしましょう。

お酢

お酢は、家庭に常備していることの多い定番の調味料です。お酢で水を酸性にすることで、雑菌の繁殖を抑えて花を長持ちさせられるようになります。お酢と水、1対1の酢水に30秒ほどつけて切り口を殺菌したり花瓶の水の中に少量のお酢を入れておいたりする方法が効果的です。

ただし、お酢に切り口を長い間つけすぎていたり花瓶の中に入れすぎたりすると、強い酸性に花が耐えられなくなってしまうので注意してください。

ハイター

ハイターなどの漂白剤には殺菌作用があり、花瓶の水の中に混ぜることで花瓶の中で雑菌が繁殖するのを防ぐことができます。

ただし、入れすぎると逆に花が弱ってしまう原因になるので、水1Lに対してハイターを5~6滴ほど入れると良いでしょう。ハイターがない場合は、台所用の中性洗剤でも代用可能です。

砂糖

砂糖は、花が養分として必要とするブドウ糖が多く含まれています。延命剤や炭酸水がなければ、ほとんどの家庭にある砂糖で代用してみると良いでしょう。

ただし、砂糖だけでは花瓶の中に雑菌が繁殖しやすくなってしまうため、上述したハイターや中性洗剤と併せて使うのがポイントです。水1Lに対し、漂白剤を入れたあとに5~10gほどの砂糖を入れると良いでしょう。

10円玉

財布の中に10円玉があれば、花瓶の中に入れてみるのもおすすめです。10円玉に使われている銅には殺菌効果があるため、花瓶の中で雑菌が繁殖するのを抑制できる効果が期待できます。

方法としては、花瓶の中に10円玉を数枚入れておくだけなので気軽に実践できます。水替えの際は、10円玉もきれいに洗っておくとより効果的です。

花が弱ってしまったときの対処法

上記のようにしっかり対処していても、気温の変化などのちょっとしたきっかけで花が急に萎れてしまうことがあります。

完全に枯れる間であれば、以下のような応急処置を行うことで花が再び元気を取り戻せる可能性があります。

深水法

バラやヒマワリなどは吸水性が低く、水切りして花瓶に生けてもぐったりしているままということは少なくありません。そのようなときは、深水法が効果的です。

深水法は、水圧を利用して花が水を吸い上げやすくする対処法であり、吸水性が低い大ぶりの花におすすめです。手順としては、湿らせた新聞紙などで花を包み、水をたっぷり入れた深めの容器の中にまっすぐ立つように花を入れ、半日から1日ほど休ませます。

水圧によって水を吸い上げやすくなり、花が再び元気を取り戻す可能性があります。

湯上げ

適切な水切りを行ったにも関わらず花に元気がない場合は、茎に通っている導管内に気泡が入っていることも考えられます。そのような場合は、湯上げ処理をして中の気泡を抜いてみましょう。

まず、湯気から花を守るために切り花を新聞紙などでしっかり巻きます。次に、切り口から2~3cmほどを80℃以上の熱湯に静かにつけ、泡がぶくぶくと出てきたらすぐに取り出して水につけて冷やしてください。その際、新聞紙は巻いたままにしておき、そのまま1~2時間ほど休ませます。

こうすることで、茎の中の気泡が排出されて吸水しやすくなり、花が長持ちしやすくなります。

【スタイル別】花を長持ちさせる方法

一口にフラワーギフトといっても、花束やフラワーアレンジメントなど、さまざまな種類があります。ここでは、フラワーギフトのスタイル別で花を長持ちさせる方法を詳しく紹介します。

花束

花束をもらったら、できるだけ早くセロハンテープやリボンなどのラッピング剤を外しましょう。花をまとめているテープや紐は、そのままにしておいても花瓶にも生けやすくなりますが、解くことで花同士が離れて通気性が良くなるのでおすすめです。

花がばらばらにできたら速やかに適切な水切りを行い、清潔な花器に生けるようにしてください。

フラワーアレンジメント

フラワーアレンジメントは、カゴなどの容器に敷き詰めた吸水性スポンジに花を挿してアレンジメントしたものです。切り花と違い、その容器ごと飾れるので手間がかかりませんが、セロハンテープなどのラッピング剤は取り除いて通気性を良くしておきましょう。

フラワーアレンジメントの場合は、基本的に吸水スポンジが乾いてきたタイミングで水を追加するだけで問題ありません。その際は、花や葉に水がかからないように根元から静かに水を注ぐのがポイントです。

【種類別】花を長持ちさせる方法

ここでは、花の種類で異なる長持ちさせるポイントを解説します。どれも簡単な方法ばかりなので、大切に育てる際に役立ててください。

バラ

バラは花に重さがあるので、早めに花瓶に挿してもぐったりしてしまうこともあります。

バラに元気がない場合は、生ける前に深水法などの処置を行って吸水性を上げておきましょう。

しっかり新聞紙で包むことで重たいバラの花が支えられ、再び元気を取り戻します。ただし、バラは暑さに弱い花なので、できるだけ涼しい場所に置くようにしてください。

アジサイ

梅雨の時期に美しく咲き始めるアジサイは、花が大ぶりで存在感があるので夏の花束の主役になることも少なくありません。

アジサイの場合は、ハサミで水切りを行ったあとに切り口を叩き潰すという方法が効果的です。切り口の表面積が増えることで吸水しやすくなるのですが、このときに茎の中の綿のようなものを取り除いておくとより効果が高まります。

ヒマワリ

夏の花の代表ともいえるヒマワリは、大きく明るい印象なので部屋の中に飾っておくと元気をもらえるような花です。ヒマワリは葉も大きく、水分や栄養分をたくさん吸収してしまうため、花を長持ちさせるために余分な葉を取り除いておくのがおすすめです。

また、ヒマワリの茎は腐食しやすいため、花瓶に浅く水を張るようにしてください。切り花の場合は、直射日光の当たらない場所に置くようにしましょう。

球根類

チューリップなどの球根で育つ花は、茎にたくさんの水分を含んでいます。水につかることで腐食しやすくなるので、花瓶の水は浅めに入れておくのがおすすめです。

また、切り口の鮮度を保つために水替えのタイミングでこまめに切り戻しするのもポイントです。

枝もの

桜や梅などの枝ものを家に飾ると、ぐっとおしゃれな印象になります。枝ものを生ける場合は、硬い枝を割って吸水力を高めるために枝の先を斜めにカットしてから十字の切り込みを入れる「根元割り」が効果的です。

また、茎や枝の切り口の外側を少しだけ剥ぐことで表面積が広がって吸水性がアップするのでおすすめです。

花を処分するタイミング

どんなに適切な手入れを続けても、いつかは花の咲き終わりを迎えます。傷んだ花を放置していると見栄えが悪く、害虫を呼び寄せてしまうこともあるので処分する時期を見極めることが大切です。

ここでは、花を処分するタイミングなどについて具体的に解説します。

花が下を向いている

花の首がもたげてぐったりしていたら咲き終わりを意味しています。深水法や湯上げで元気を取り戻すこともありますが、茎が折れていたり花束が完全に萎れたりしている場合は処分するタイミングです。

花自体がまだ咲いている場合はもったいない気もしますが、早めに処分したほうが良いでしょう。

葉や花が乾燥している

葉や花が乾燥しているのは、うまく吸水できておらず養分が行き渡っていないという証拠です。触ったときにカサカサしていれば、枯れてしまったと判断して良いでしょう。

乾燥の度合いが軽ければ、霧吹きなどで葉水を与えることで潤いを取り戻すこともあります。

葉や花が変色している

葉や花が変色しているときは、病気にかかったり枯れてしまったりしているサインです。水替えや花器の清掃を怠ると、すぐに雑菌が繁殖してしまい瞬く間に花が傷んでしまうこともあります。

花に変色や腐食が見られる場合は、速やかに処分してください。

長持ちしやすい花3選

花を少しでも長く楽しみたい場合は、長持ちしやすい丈夫な花を選ぶのがおすすめです。最後に、比較的長持ちしやすい花を3つ紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

トルコキキョウ

トルコキキョウは、フリルのような繊細な花びらが幾重にも重なった気品あふれる人気の花です。白やピンク、紫などのカラーバリエーションが豊富で、お祝いやお悔やみ、ブライダルなど、あらゆるシーンで活躍しています。

トルコキキョウは花が長持ちすることでも有名であり、冬なら3週間ほど、夏場でも2週間ほどはきれいに咲き続けます。

カーネーション

カーネーションには「母への愛」という花言葉があり、母の日ギフトとして定番となっている花です。花持ちが良いことでも有名であり、母の日にもらったカーネーションの花束を花瓶に挿してしばらくの間楽しんでいる方も多いのではないでしょうか。

カーネーションは、冬なら2週間程度、夏でも1週間ほどは花が長持ちします。

ラン系

ビジネスシーンの贈り物としても多く選ばれている胡蝶蘭などのラン系の花も、比較的丈夫で長持ちしやすい花の一つです。胡蝶蘭は鉢植えで贈られることが多く、夏場であっても1ヶ月以上、冬場なら2~3ヶ月近くも咲き続けることがあります。

切り花であっても3~4週間ほどは長持ちするので、一つの花をできるだけ長く楽しみたい方におすすめです。

まとめ

花を長持ちさせるために大切なのは、「最初の下処理」と「日々のこまめなケア」を続けることです。水切りや余分な葉・つぼみの剪定、清潔な花器の使用といった基本を押さえるだけでも、花持ちは大きく変わってきます。

また、延命剤や炭酸飲料、お酢、10円玉などを上手に取り入れれば、雑菌の繁殖を抑えたり養分を補ったりでき、より美しい状態を保ちやすくなります。弱ってしまった花には深水法や湯上げといった応急処置が効果的で、スタイルや種類に合わせたひと手間を加えることもポイントです。

トルコキキョウやカーネーション、ラン系のような比較的長持ちしやすい花を選べば、日々の工夫と組み合わせて花ギフトをより長く、心地良く楽しめるでしょう。

大切なあの人にお花を送ってみませんか?