初心者必見!クリスマスローズの育て方|室内での管理方法や地植えの方法
「クリスマスのバラ」という意味合いがあるクリスマスローズ。花の色や咲き方でさまざまな種類があり、花が少なくて寂しくなりがちな冬場の庭先を明るく彩ってくれますよ。
この記事では、クリスマスローズの基本的な育て方やポイント、注意点などを解説します。
お庭にクリスマスローズを新しく植えたい、クリスマスローズの育て方について知りたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
クリスマスローズの基本情報
植物名 | クリスマスローズ |
学名 | Helleborus |
英名 | Hellebore, Christmas rose |
和名 | 寒芍薬 |
科 | キンポウゲ科 |
属 | ヘレボルス属 |
原産地 | ヨーロッパ、西アジア |
クリスマスローズという名前がついていますが、実はバラ科ではなくアネモネやラナンキュラスと同じキンポウゲ科の仲間です。東ヨーロッパや西アジアが原産地で、現地ではクリスマスの時期に花を咲かせますが、日本においては1月以降に開花する品種がほとんどです。
クリスマスローズの特徴
一昔前までのクリスマスローズの花の色は白が定番でしたが、最近は品種改良が進み、赤やピンク、黄色や緑などカラフルな花色が存在するようになりました。
クリスマスローズの花びらに見える部分は本来花びらの根元につく「がく片」で、花びら自体は退化しています。
クリスマスローズは多年草なので、適切に管理を続ければ何年も花を楽しむことができるのも人気の理由です。
クリスマスローズの育て方の基本
クリスマスローズは、季節や気温によって置き場所や水やりの量を調整する必要がありますが、基本的にはそれほど難しくはありません。
注意すべきなのは梅雨から夏にかけての高温多湿になる時期で、環境が悪化すると病気や害虫発生の原因にもなるため注意しましょう。
それではさっそく、クリスマスローズの育て方について詳しく解説していきます。
苗の選び方
クリスマスローズを初めて育てる方や花の管理に慣れていない方は、ある程度育って既に開花している株から始めてみると育てやすいのでおすすめです。
4〜5号鉢に植えられているクリスマスローズは3年ほどたっているので、丈夫な株になっています。
クリスマスローズの株は、花がらや葉柄がしっかりしていて、力強く立っているものを選びましょう。花や葉が萎れていたり黒いシミのあるものは病気や虫の被害に合っている可能性が高いので避けてください。
用土作り
クリスマスローズの基本は土作りから。
クリスマスローズは、水はけと水持ちの両方がバランスの良い土を好みますが、根腐れを防ぐためにどちらかと言えば水はけの良さに重きを置きましょう。
初めてクリスマスローズを育てる方は、園芸店やホームセンターで売られているクリスマスローズ専用の土を使うのがおすすめです。市販の専用土には肥料も含まれているので、しばらく肥料をあげる手間もかかりません。
土の配合に慣れている方は、自分でブレンドする土作りにも挑戦してみてください。配合の目安としては、赤玉土・腐葉土・軽石を4:3:3で混ぜた土がクリスマスローズに適しています。他にも、赤玉土・腐葉土・鹿沼土を5:4:1で混ぜるのもおすすめです。
自分で土を配合した際には、植え付ける1週間前に緩効性肥料を入れて休ませておきましょう。
種まき
既に持っているクリスマスローズから種を採取した場合、種まきをしてクリスマスローズを増やしてみましょう。種の状態からクリスマスローズを大きく育てるには何年もかかるので根気が必要ですが、適切な管理を続けていればいずれ立派な花を咲かせてくれます。
冬になったら、トレーに種まき専用の土を入れ、種をまいてしばらく日陰に置いておきましょう。発芽したら日当たりの良い場所に移動させてください。
2〜4月頃、本葉が1枚ついたら、1株ずつ育苗ポットへ移して通常通り水や肥料を与えながら育てます。クリスマスローズはどんどん成長していくので、その年の秋と翌年の春にそれぞれ一回り大きなポットに植え替えましょう。
植え付け
購入した苗や、種からある程度育った苗を鉢に植え付ける時期は、10〜3月が適しています。クリスマスローズは生育が旺盛でどんどん根を伸ばしていくので、大きめの鉢に植え付けましょう。
鉢の底には底石を敷いて水はけを良くしておき、クリスマスローズは専用の土や培養土を入れます。苗ポットと同じくらいの大きさの穴を開けたら、ポットから抜き取った株を優しく植え付けましょう。このとき、根をよくほぐして、古い土や傷んでいる根を取り除いてください。
置き場所
クリスマスローズは、庭植えと鉢植えの両方で育てることができます。
庭植えの場合は、春から秋までは日が当たりやすいように、落葉樹などの木陰に植え付けるのがおすすめです。夏場に直射日光に当たりすぎると弱ってしまうため、西日が当たらない場所を選びましょう。
鉢植えの場合は、季節によって置き場所を変えるとクリスマスローズに負担がかかりません。5〜9月の暑い時期には明るい半日陰で、10〜4月には日当たりの良い場所に置いてあげましょう。
また、クリスマスローズは湿気を嫌うため、高温多湿になる梅雨時期には雨に当たりすぎないように屋根のある場所で管理してください。
水やり
クリスマスローズを庭植えしているのであれば、夏場に何日も雨が降らない場合を除いて、特に水やりは必要ありません。
鉢植えで育てているクリスマスローズには、季節や気温によって水やりの頻度を変える必要があります。
クリスマスローズがよく育ちやすい10〜5月の間は、土の表面が乾いたらたっぷり水をやりましょう。水の温度が下がりすぎないよう、晴れた日の午前中にやるのがおすすめです。
6〜9月は高温多湿になりやすい時期なので、根腐れを起こさないよう乾燥気味に育てるのがポイントです。
肥料
クリスマスローズを庭植えしている場合は、花が咲く前の10月頃に緩効性肥料を与えるとその後の花付きが良くなります。
鉢植えの場合は、庭植えと違って雨や水やりによって肥料成分が流れ出しやすくなっています。そのため、10月、12月、2月の3回に分けてに緩効性肥料を与えるようにしましょう。
また、10〜4月の間に月に2〜3回ほど液低肥料を与えるとより効果的です。
夏の管理方法
夏はクリスマスローズの休眠期です。休眠期に肥料を与えると株を傷める原因にもなるため、夏の間に肥料を与えるのは避けてください。
湿度の高い日本の夏は、水をやりすぎると根腐れして弱る原因になります。気温が高い日中に水をやると暑さで根が傷んでしまうため、暑さが落ち着く夕方に水やりをしてください。
また、夏の直射日光もクリスマスローズはとても苦手です。屋外で鉢植えで育てている場合は、夏の間は室内の風通しの良い場所に移動させるのもおすすめです。
庭に地植えしている場合は、寒冷紗などで直射日光が当たらないように陰を作ってあげると良いでしょう。
冬の管理方法
冬はクリスマスローズの開花時期です。クリスマスローズは夏が苦手ですが、寒さにはマイナス15度前後まで耐えられるとされていますよ。
冬は日当たりの良い場所に置き、水やりはまだ寒さの厳しくない午前中に与えてください。夕方に水やりをしてしまうと夜の冷え込みで霜に当たり、根が傷んでしまいます。
特に寒さが厳しい地域の場合は、マルチングで防寒してあげると良いでしょう。
マルチングについてはこちらの記事でも詳しくご紹介しているのでぜひご覧ください。
観葉植物のマルチングとは?ヤシの繊維(ココヤシファイバー)はメリットがたくさん
増やし方
クリスマスローズのお世話に慣れてきたら、株を増やしてより庭先を明るく彩りましょう。
クリスマスローズは、株分けと種の採取の2種類の方法で増やすことができます。それぞれのポイントを抑えて、効率よくクリスマスローズを増やしてみてましょう。
株分け
クリスマスローズの株がしっかり育ってきたら株分けができるのですが、それまでには6〜8年ほどかかるので根気が必要です。
株分けに適した時期はクリスマスローズの生育期である10〜12月で、植え替えのタイミングで同時に行うと一度で済みます。
株分けする際には、1つの株につき3つまでを目安にして、分けた株にはそれぞれ2〜3個の新芽がついている状態にしておきましょう。
その後、株の大きさにあった鉢に植え替えて通常のお世話を再開してください。
種の採取方法については後述します。
病気・害虫
4月〜11月頃までの期間は、クリスマスローズに病気や害虫が発生しやすくなります。特に夏場のじめじめした時期には、灰色かび病やべと病、ブラックデスなどの病気にかかりやすくなるのです。
これらの病気の予防としては、雨よけをして水はけや風通しを良くしておくことが大切です。症状が出てしまった葉は、感染拡大を防ぐためにすみやかに取り除いておきましょう。
また、葉が乾燥しすぎてもアブラムシ類やハダニ類などの害虫がつくので良くありません。害虫予防としては、花専用の防虫剤を散布するのが効果的です。
害虫がついているのを発見したら、セロハンテープなどで取り除いておきましょう。
クリスマスローズを育てる際の注意点
クリスマスローズの育て方はそれほど難しくなく、初心者の方にも扱いやすい花です。
少々放置していてもすぐに枯れるようなことはあまりないでしょう。しかし、最低限以下のようなポイントに気を付けてください。
- 西日が当たらない場所に置く
- できるだけ屋外で育てる
- 夏に負担をかける作業を行わない
それぞれのポイントについて詳しくご紹介します。
西日が当たらない場所に置く
クリスマスローズの原産地は東ヨーロッパなどで、日本のような高温多湿の気候にはあまり適していません。土は水はけを良くしておき、風通しの良い場所で育てましょう。
特に夏場の強い日差しには弱いのですが、元気な株にするためには多少の日光浴も必要です。クリスマスローズを植える場所は、午前中は柔らかな日が当たり、午後は日陰になるような場所が適しています。
落葉樹の下であれば、夏場は直射日光を防ぎ、秋から冬にかけては適度に日が当たるのでおすすめです。
できるだけ屋外で育てる
クリスマスローズがきれいな花を咲かせるためには、冬の寒さにさらすことも必要です。寒い時期に外に置いておくのは気が引けるかもしれませんが、クリスマスローズのためにも外で元気に育ってもらいましょう。
ちなみに、クリスマスローズだけでなくチューリップやスイセンの花のように、寒さを経験することで開花のスイッチが入ることを「春化」と呼びます。
夏に負担をかける作業を行わない
秋から冬にかけて生育期を迎えるクリスマスローズは、日本の猛暑が苦手な花です。夏場は半休眠状態に入るので、この時期に植え付けや植え替え、株分けなどの負担のかかる作業は控えましょう。
また、養分を吸収しなくなるので肥料を与える必要もありません。水やりも乾燥気味で回数を減らすようにしてください。
クリスマスローズの花が咲き終わったらどうすればいい?
「冬の女王」とも呼ばれるクリスマスローズ。
美しい花を楽しんだ後は、せっかくですから種を採取したり交配させてみたりしてみましょう。
種を採取する
花が咲き終わったクリスマスローズは、花の中心に種を作ります。そのまま放置していると種が熟成してこぼれ落ちてしまうので、種を採取したい場合は種がこぼれる前を見計らって花茎ごと切り取っておきましょう。もしくは、花に袋やネットを被せて種がこぼれ落ちるのを防ぐのもおすすめです。
採取した種は種まきシーズンである秋になるまで大切に保管してください。乾燥のしすぎや多湿を避ける必要があるので、通気性の良い袋に土ごと入れておくのがおすすめです。
花がらや花茎を切り取る
クリスマスローズの花を楽しんだ後は、花がらや花茎を切り取りましょう。
遅くとも梅雨前には花がら切りをするようにしますが、有茎種の場合は新しい茎が出ているかどうかを確認してみてください。
新しい茎が出ていない場合は、花茎を根元から切るとクリスマスローズの株が枯れてしまうので、その場合は種を取って株はそのままにしておきましょう。
ただし、種をつくるという工程はクリスマスローズに負担をかけるので、その年に初めて開花した未熟な株の場合は体力を残しておくために種を作る前に花がらを切り取っておくのがおすすめです。
交配させてみる
さらにクリスマスローズのお世話に慣れてきたら、上級者編の「交配」にチャレンジしてみましょう。
クリスマスローズは非常に交配しやすい花なので、専門的な知識がなくても可能です。隣同士で違う色のクリスマスローズを植えておくだけでも、花粉が飛んで自然に受粉し、新たなクリスマスローズが生まれることもありますよ。
しかし、種まきからクリスマスローズが花を咲かせるまでは数年かかるので、どうせならば希望の花の色や形を見極めて交配してみるのもおすすめです。
方法としては、種子親となるクリスマスローズの花が開花しないうちに、ピンセットなどで雄しべを抜き取り、しっかり開花している花粉親のクリスマスローズの花粉に付着させます。花粉親の花が咲き終わったら、種が自然に落ちないように袋やネットなどで覆いましょう。
クリスマスローズの人気品種
クリスマスローズは、同じ花から採れた種でもそれぞれ別の色の花を咲かせることがあります。それがクリスマスローズの最大の特徴であり魅力なのですが、それゆえに園芸種が存在しません。
同じ花がないからこそ偶然の発見や交配を楽しむものですが、ある程度の系統別に分類はされています。ここからは、クリスマスローズの人気の系統を3つ解説します。
- オリエンタリス ハイブリッド
- ゴールド系(オーレア系)
- ニゲル系
それぞれの特徴を見ていきましょう。
有茎種と無茎種
クリスマスローズは、長い茎をもつ「有茎種」と、短い茎をもつ「無茎種」に分かれています。その中間種もわずかに存在しますが、多くのクリスマスローズは有茎種もしくは無茎種です。
有茎種は茎の先に葉をつけ、その先に花を咲かせます。それに対し無茎種は根茎と呼ばれる部分から直接花を咲かせ、太い根がしっかりと生えているのが特徴です。
有茎種と無茎種で花の付き方や見た目の印象が異なるので、お好みの方を選んでみてください。
オリエンタリス ハイブリッド
市場に流通するクリスマスローズの中でもよく見かけるのがこの「オリエンタリス ハイブリット」です。花の形や色のバリエーションが豊富で、花弁が特に多い多弁花や、2色以上の花色が楽しめる複色花、花の表面に斑点が入るスポットなどが人気を集めています。
ゴールド系(オーレア系)
明るい黄色や鮮やかなオレンジ色の交配親をもって生まれたクリスマスローズです。
花だけでなく葉もわずかに黄色を帯びており、秋にさしかかってくると黄色が濃くなって紅葉を楽しめます。現在では品種改良が進み、八重咲きのものや花に斑が入るものなどが増えてきました。
ニゲル系
ニゲルはクリスマスローズの原種で、名前のもとにもなった、クリスマスシーズンに咲く品種です。ニゲルは地面に近い位置でたくさんの花を咲かせるので、開花期を迎えると庭先を明るく彩ってくれます。
花の大きなものや、八重咲き、斑が入るものなどバリエーションも豊富です。
クリスマスローズの育て方を知って冬のガーデニングを楽しもう!
今回はクリスマスローズの育て方についてご紹介しました。
クリスマスローズは、花が少なくなりやすい冬の時期の花壇や庭先を明るく彩ってくれる心強い味方です。基本的な育て方はそれほど難しくありませんが、季節によって置き場所や水やりの調整が必要です。
慣れてきたら、株を増やしたり交配させたりして、クリスマスローズの魅力をもっと引き出してみてくださいね。
クリスマスローズには、「私を忘れないで」「慰め」「私の不安を和らげて」などの花言葉がついています。こちらの記事では、クリスマスローズの少し切ない印象の花言葉について解説しています。
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