梅雨にも負けない!6月に咲く旬の花を紹介

日本では梅雨の時期にあたる6月。毎日じめじめとした雨模様が続く6月ですが、この時期には初夏の到来を告げる花々が一斉に開花します。

この記事では、魅力的な6月に咲く花々をご紹介していきます。花の名称だけではなく、特徴や花言葉もあわせて紹介するので、道端で見かけて気になっていた花の名前が分かるかもしれません。

それではさっそく、季節の移り変わりを感じさせて心を癒してくれる、6月が旬の花をご紹介しましょう。

6月はアジサイの季節

科・属 アジサイ科・アジサイ属
和名 紫陽花(あじさい)
英名 Hydrangea
学名 Hydrangea macrophylla
原産地 日本
花言葉 「家族」「一家団らん」「高嶺の花」

アジサイの花は、装飾花と両性花から造られています。一般的に花と認識される4枚ほどの部分は装飾花で、葉が変形してできた萼片(がくへん)と呼ばれる部分です。

両性花とは、この装飾花に囲まれた中心部を指し、雄しべ・雌しべ・花弁が揃った花のことです。種子を付けず、華やかな見た目で花粉を運ぶ虫たちを誘き寄せる役割を担っています。そんなアジサイの品種の中でも、特に親しまれている品種をご紹介します。

ガクアジサイ

アジサイを大きく分けると、日本原産・西洋原産の2種類に分けられます。日本原産の「ガクアジサイ」は、点状の両性花が中心部にあり、周囲を装飾花が囲う形状です。花の造りが額縁のように見えるため、ガクアジサイと呼ばれています。

あらゆる園芸品種の原種となっているのがガクアジサイで、他のアジサイの種類と比較して装飾花が大きく、葉には光沢があります。

装飾花は初めは緑色ですが、時間が経過するにつれて白色へと変化し、土壌の性質によって青かピンクに変わり、最後には緑色へと戻る色の移り変わりを楽しめます。日本古来の品種なので、日本の土壌や環境に適しており、潮風や乾燥、寒さや暑さにも耐えられる品種です。

ホンアジサイ

ホンアジサイは、前述したガクアジサイを元にして、品種改良されたものです。イラストなどでよく描かれている、こんもりとした丸い咲き方のアジサイは「てまり咲き」という咲き方です。ホンアジサイは、このてまり咲きの品種で、装飾花が手毬のような形状であるのが特徴です。ホンアジサイも、土壌によって装飾花の色が、紫や青、ピンクなどへ変化します。ホンアジサイが多く植えられている寺院は「あじさい寺」として親しまれ、ホンアジサイが見頃になるシーズンには多くの観光客でにぎわいます。園芸品種としても多く作出され、切り花としても人気のアジサイです。

ヤマアジサイ

ヤマアジサイは、主に四国・九州地方に分布しているアジサイです。湿度の高い森林や沢沿いに自生することから、「サワアジサイ」の別名でも呼ばれています。

咲き方はガクアジサイと同じガク咲きで、装飾花は白っぽい青色か、薄くピンクがかった色合いになりますが、ガクアジサイと比べて色彩が薄く、葉は細長く小さめなのが特徴です。花序も小型なので「コガクアジサイ」と呼ばれることもあります。

セイヨウアジサイ

セイヨウアジサイは、ガクアジサイが欧米へ輸出され、品種改良されてから日本に輸入された西洋原産の品種です。いわゆる逆輸入のセイヨウアジサイは、アジサイの英名である「ハイドランジア」とも呼ばれて区別されます。

欧米では鉢花用として改良された品種なので、日本原産のアジサイと比べると草丈が短く、ボリュームのある豪華な花を咲かせます。中でも人気のある品種は「アナベル」です。

咲き始めの装飾花は緑色ですが、咲き進むにつれて白へと変化します。大きく丸く咲く花が見頃を迎える頃には、また緑色へと変化する、初夏らしい爽やかな色の移り変わりが楽しめる品種です。花が枯れると、くすんだ緑色から徐々に茶色く色褪せていき、アンティークな風合いでドライになる、ドライフラワー向きのアジサイです。

カシワバアジサイ

庭の塀やフェンスの網目をくぐるように、にょきっと花を覗かせている長細いアジサイを見かけたことはないでしょうか。それはおそらく、北アメリカ原産のカシワバアジサイです。

名前のとおりに、葉に切れ込みを持つカシワの葉に似た形状のアジサイです。花の色は白く、長い房状に装飾花を咲かせます。ピラミッド状にこんもりと咲き進むので、てまり咲きやガク咲きのアジサイよりも全体的に動きを感じられる品種です。

カシワバアジサイの中でも、装飾花の大きな「スノー・クイーン」や、八重咲きの「スノーフレーク」という品種が人気です。

梅雨入りの6月が見頃の花たち

本格的な夏の到来の前に訪れるのが梅雨です。どんよりとした空模様が続いて気持ちが晴れない時期ですが、恵みの雨に花たちは嬉しげにしているようにも見えますね。

6月に生き生きとしているのはアジサイだけではありません。他にも、たくさんの美しい花たちが夏本番に向けて色とりどりの花を咲かせます。次は、6月に見頃を迎える草花をご紹介しましょう。

アマリリス

科・属 ヒガンバナ科・ヒッペアストルム属
和名 咬吧水仙(じゃがたらすいせん)、紅筋山慈姑(べにすじさんじこ)
英名 Amaryllis
学名 Hippeastrum
原産地 南アメリカ
花言葉 「誇り」「内気」「輝くばかりの美しさ」「おしゃべり」

春から夏にかけて、赤やピンク、白などの鮮やかな花を咲かせるアマリリス。一般的には6枚の花びらですが、中には8〜10枚の花びらを持つ品種もあります。1本の茎先には複数の花が咲くので、一度にたくさんの花を楽しめますよ。

ギボウシ

科・属 ユリ科・ギボウシ属
和名 擬宝珠(ぎぼし・ぎぼうしゅ)
英名 Hosta
学名 Hosta
原産地 東アジア
花言葉 「静かな人」「沈黙」

ギボウシは、葉にさまざまなバリエーションを持つカラーリーフとして人気のある植物です。緑色以外にもやや色味が異なる品種や、葉が縁どられたもの、斑模様があるものなどがあり、ガーデニングにアクセントを添えてくれる植物として人気があります。

耐陰性が強く、日陰でも育ちやすいという点も人気の理由です。日本ではギボウシとして多く流通していますが欧米では属名の「ホスタ」として流通しています。

そもそもギボウシという名前は、和名の「擬宝珠(ぎぼし・ぎぼうしゅ)」が変化したもので、つぼみの形が寺院などの伝統的な建築物の装飾である、逆さの玉ねぎに似た形状の「擬宝珠」に似ていることから名付けられました。ギボウシは一日花で、1日で花はしおれますが、次々に新しい白や薄紫など涼しげな色合いの花を咲かせます。

サントリナ

科・属 キク科・ワタスギギク属(サントリナ属)
和名 綿杉菊(わたすぎぎく)
英名 Santlina, Cotton lavender, Lavender cotton
学名 Santlina chamaecyparissus
原産地 地中海沿岸
花言葉 「悪を遠ざける」「移り気な人」

サントリナは、小さな黄色い花が密集して咲き、ふわふわとした綿毛に覆われる分岐した細かい葉が特徴です。葉のシルバーホワイトカラーが美しく、摘んだり揉んだりすると、葉から、ラベンダーとヨモギを混ぜたような独特な香りがします。防虫効果のあるハーブの仲間です。香りがラベンダーに似ていることから「Cotton lavender(コットンラベンダー)」の別名がありますが、ラベンダーの仲間ではありません。美しいシルバーリーフは常緑なので、花壇や寄せ植え、ガーデニングのアクセントとして人気です。

高温多湿が苦手なので、風通しと水はけに気を配って夏越しさせましょう。花期には花茎が長く伸びていき、球形状の黄色やクリーム色の小花を咲かせます。

シャクヤク

科・属 ボタン科・ボタン属
和名 芍薬(しゃくやく)
英名 Peony
学名 Paeonia lactiflora
原産地 アジア北東
花言葉 「恥じらい」「慎ましさ」「謙遜」「はにかみ」

アジア原産のシャクヤクは、5〜6月に見頃を迎える大輪の美しい花です。中国では古くから栽培され、日本には薬用植物として伝わりました。江戸時代から茶花として楽しまれ、観賞用として多く流通しています。

花色は、白やピンク、赤、紫などがあり、花びらの数や形もさまざまです。ゴルフボールくらいの大きなつぼみを付け、開花すると10~15センチにもなる大輪の花を咲かせます。

花びらはふんわりとしたやわらかい見た目で、華やかなボリュームを持ちながらも落ち着きがある佇まいを持ち、ほのかで上品な香りを漂わせます。

近年では、ボタンとミックスさせたハイブリッドタイプのシャクヤクも登場しており、これまでのシャクヤクの花色にはなかったベージュ系のニュアンスカラーも生み出されています。花言葉の由来はにかみ屋さんの妖精がシャクヤクに隠れていたというイギリスの民話から来ている説や、夕方には花を閉じることからその由来がきたといわれています。

ネジバナ

科・属 ラン科・ネジバナ属
和名 捩花(ねじばな・ねじればな・ねじりばな)、ねじり草、根都古草(ねつこぐさ)
英名 Lady’s tresse
学名 Spiranthes sinensis
原産地 日本
花言葉 「思慕」

5月から咲き出して夏まで咲くネジバナは、らせん状にねじれて咲く独特な形状が特徴で、道端で見かけると一目で分かるような、個性的でかわいらしい見た目をした草花です。

花言葉には「思い慕う」という意味の「思慕」が付けられていますが、これは万葉集の詠み人知らずの歌、「芝付の美宇良崎なる根都古草 相見ずあらば我恋ひめやも」にちなんでいると言われています。この歌に登場する根都古草(ねつこぐさ)がネジバナを指しており、「あなたに逢わなければ恋に苦しむことはなかった」と、ねじれて咲くネジバナの姿に、恋しく思う切ない気持ちを重ねて詠んでいる歌です。

英語ではらせん状の花を三つ編みに結った女性の髪に見立てて、「Lady’s tresses(婦人の編んだ髪)」とも呼ばれます。

ハナショウブ

科・属 アヤメ科・アヤメ属
和名 花菖蒲(はなしょうぶ・はなあやめ)
英名 Japanese iris
学名 Iris ensata 
原産地 日本、朝鮮半島
花言葉 「忍耐」「熱心」

ハナショウブの花には斑点模様が入り、青紫やピンク、白などの華やかな花を咲かせるアヤメ科の植物です。こどもの日の風習である菖蒲湯に使われる「葉菖蒲」に葉の形が似ていたことから名付けられましたが、こちらには薬効がなく、美しい花を楽しむための観賞用として栽培されています。

葉菖蒲はショウブ科、花菖蒲はアヤメ科であるのも大きな違いです。青紫色やピンク色、白色などの大きく華やかな花を咲かせます。

ちょうど同じ時期に見頃を迎えるアヤメやカキツバタと花がよく似ていますが、アヤメには花びらの付け根に網目模様が入り、カキツバタには花びらの中心に白い筋状の模様が入るのが見分け方のポイントです。

6月が旬の樹木

ここまでは、6月に見頃を迎える草花をご紹介しました。次は、少し視線を上げて樹木に注目してみましょう。

6月に花を咲かせる樹木はたくさんありますが、そのうちから3つをご紹介します。日本らしい和の雰囲気と落ち着いた佇まいの花を咲かせるナツツバキやボダイジュ、そして秋冬の実物や縁起物として人気のナンテンです。

どれも梅雨のしっとりとした空気感を味わえる樹木なので、街中を歩くときにはぜひ探してみてくださいね。

ナツツバキ

科・属 ツバキ科・ナツツバキ属
和名 夏椿(なつつばき)、沙羅の木(しゃらのき)
英名 Japanese stuartia
学名 Stewartia pseudocamellia
原産地 日本
花言葉 「愛らしさ」「はかない美しさ」

ナツツバキは日本原産の固有種で、古くから寺院に多く植えられてきた植物です。6月頃にツバキに似た白い花を咲かせることからこの名前で親しまれてきました。沙羅双樹の木に似ていることから「沙羅の木(しゃらのき)」とも呼ばれます。

楕円形状で尖った葉は、つややかで濃い緑の葉を持っています。幹にも光沢があり美しい赤褐色で、花や葉、幹の美しさから、シンボルツリーとして庭木としても好まれている植物です。花言葉は白くて可愛らしい花は一日花であることが由来とされ、「愛らしさ」「はかない美しさ」となっています。咲き方は一重咲き以外に八重咲きの品種もあります。

ナンテン

科・属 メギ科・ナンテン属
和名 南天(なんてん)、南天竹(なんてんちく)
英名 Heavenly bamboo
学名 Nandina domestica
原産地 アジア
花言葉

常緑低木のナンテンは、赤い実をたくさん付ける枝物として人気です。鮮やかな実が付いた姿のほうがポピュラーですが、5〜6月に小さな白い花をたくさん咲かせます。秋から冬にかけて付ける赤い実は、野鳥たちの大好物です。

秋になると葉が紅く色づく紅葉品種もあり、実は赤色だけではなく、白や黄色、薄紫などのバリエーションも存在します。

日本では古くから、難を転じる「難転」という意味を込めて、厄除けや無病息災を祈る縁起物として植えられていました。焼酎に実を漬けた南天酒には咳止めの効用があるとされ、現在でものど飴として販売されています。

ボダイジュ

科・属 アオイ科・シナノキ属
和名 菩提樹(ぼだいじゅ)、コバノシナノキ
英名 Linden
学名 Tilia miqueliana
原産地 中国
花言葉 「夫婦愛」「結婚」

落葉高木のボダイジュは、6月頃にほんのりを香る淡黄色の花を下向きに咲かせます。菩提樹といえば、仏陀が悟りを開いたとされる場所にあった樹木とされていますが、仏教の聖樹とされる菩提樹は「インドボダイジュ」と呼ばれ、シナノキ属の菩提樹とは区別されています。平安時代から寺院や庭園に植えられてきた、日本の文化や歴史に深く関わる植物です。ボダイジュの木は非常に長寿で、数百年から千年以上も生きるとされます。日本で古くから根付いているボダイジュの巨木には、奈良県の法隆寺にある推定樹齢1400年、京都府の常寂光寺の推定樹齢800年のものが有名です。日本の自然や歴史、移り変わりを古くから見守ってきた、私たち日本人にとても馴染み深い樹木です。

まとめ

今回は、開花して6月に見頃を迎える旬の草花や樹木をご紹介しました。しっとりとした空気感に合う、落ち着いた色合いや花姿の草花が多く、梅雨の季節にはぴったりですね。

立夏から梅雨入りまでの時期には、雨の恵みを受けて多くの草花が生き生きと育ち、美しい花を咲かせます。今回ご紹介した花や樹木は、自生している植物も紹介しているので、公園や街中で見かける機会もあるかもしれません。ぜひ6月の散歩を楽しんでみてくださいね。

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