初盆に供える花は?花選びのポイントや贈る際のマナーなどを紹介

毎年夏にやってくるお盆。故人の魂をお迎えする行事を通してその人を悼み懐かしみながらご遺族の心を整理する日本古来の重要な年中行事です。
故人が亡くなって初めて迎えるお盆のことを初盆といいますが、初盆のお供え物はどんなものにすれば良いのか、どんな花が適しているのか分からないという人はいるのではないでしょうか。
そんな方に向けて、本記事ではお盆の概要をはじめ、初盆に供える花やお盆に関するよくある質問などを解説します。
初盆とは
初盆とは身内の中で故人が出た場合、亡くなってから初めて迎えるお盆のことです。具体的には、亡くなって四十九日が過ぎて初めて迎えるお盆のことを指します。
お盆は亡くなった方が家族のもとへ帰ってくる大切な行事です。故人が今年亡くなった場合でも、お盆を迎える8月中旬に四十九日を過ぎていない場合、初盆は翌年ということになります。重要なのは「四十九日」を過ぎているかどうかです。
故人が亡くなってから日が浅いと遺族が心の整理がついていない場合も少なくありません。弔う側の心を慰め落ち着けるという意味からも、初盆は普段のお盆よりもさらに大切な行事だといえるでしょう。
普段のお盆との違いは?
初盆(はつぼん)は主に西日本に多い呼び方で、東日本を中心とした地域では新盆(あらぼん・しんぼん・にいぼん)と呼ばれることが多いです。
基本的に、初盆では普段のお盆よりも亡くなったばかりの故人を供養するために手厚く営むものとされています。自宅でお供え物や迎え火を焚いて故人の魂を迎えるだけでなく、人を招いて法要を営んだり自宅に住職を呼び読経をあげてもらったりなど、手厚く営む場合もあります。
そもそもお盆とは
そもそもお盆とはどういったものなのか、よく分からないという方も多いのではないでしょうか。
お盆は、亡くなった方や先祖の魂をお迎えする日本の年中行事です。その歴史は古く、日本各地の民間信仰や仏教の各宗派など、さまざまな影響を受けて成立しているとされ、亡くなった方の魂がこの世とあの世を行き来するという考え方になっています。
風習・行事の営み方は宗派や地域で大きく異なっているのも特徴で、似ている風習ながら少しずつ違ったり意味合いが異なったりなど、風習一つにもさまざまな考え方が見られます。
お盆の時期はいつ?
基本的に、現代の日本社会におけるお盆休みは8月13日〜16日ごろとされています。かつては全国的に旧暦の7月13日〜16日にお盆が行われ、明治に入り新暦が導入されました。しかし、現在でも旧暦の7月13日〜16日にお盆を行っている地域もあります。
東京の下町などがその代表とされますが、西日本やその他の地域では、暦が切り替わった際にお盆を新暦の8月に行う習わしになり、そのまま定着した地域が多いようです。これは、農村が多かった明治の庶民の生活では新暦7月は農作業の忙しい時期のため、落ち着いてお盆を行うことができなかったなど、生活上の理由とされています。
お盆の由来とは?
お盆は仏教行事だと思われている方もいるかもしれませんが、仏教の行事と日本古来の先祖信仰・民衆信仰が習合し成立した行事です。仏教の盂蘭盆という7月に行われる行事から影響を受け、その名称が省略され「盆(おぼん)」となったと考えられています。
また、日本の古神道などでは器に魂や精霊が宿るとされており、その器や供え物を置く容器を「盆」と呼んでおり、それが盂蘭盆と混じって習合していったという説もあるようです。
日本以外にも、アジア一帯では夏に故人の魂を悼む・迎えるといった信仰や文化が広く行われています。たとえば、中国では古くから旧暦7月には「地獄の蓋が開く」といわれており、これは「あの世とこの世の境が薄くなる」「あの世の扉が開く」という考えから起こったものだとされています。
このように、さまざまな要素が混じり合って成立しているのが日本のお盆といえます。
お盆の風習
一般的に共通だとされている風習として、以下のような内容が挙げられます。
- お盆の初日を迎えるまでに仏壇を綺麗に掃除し清め、精霊棚(しょうりょうだな)を設け、そこに花やお菓子などのお供え物をし、故人を迎える準備を整えます。
- 盆期間初日に故人・ご先祖様が帰ってくる道しるべとなるように迎え火を焚きます。都市部やマンション、地域によっては提灯などの灯りを利用することがあります。
- きゅうりでつくった精霊馬(しょうりょうま)・なすでつくった精霊牛(しょうりょううし)など、故人が乗るための乗り物を模したものを用意し、仏壇などに飾ります。
これらはあくまで一般的な共通点です。実際に行われる風習・儀式は地域によってさまざまであり、仏教の宗派によっても異なるため、あらかじめ理解しておくことをおすすめします。
お供え物の基本「五供(ごくう)」とは
供養のためにお供えするものには、「五供(ごくう)」という基本の考え方があります。
五供とは、「香」「花」「灯燭(とうしょく)」「浄水」「飲食(おんじき)」の5つでなりたっており、それぞれに意味があります。
- 香(こう):香はお線香のことであり、故人・ご先祖様に香りを楽しんでもらうためにお供えします。毎朝お線香をあげるのが特徴です。
- 花:上記同様、基本的には故人に楽しんでもらうために飾ります。
- 灯燭(とうしょく):ろうそくなどの灯りを灯すもののことを指します。「世の中全体を照らす灯り」という意味があるとされています。
- 浄水:仏教の考えでは「故人は喉が渇いている」とされている他、清い水で場を清めるといった意味合いもあります。常にきれいな状態を保つために、お盆期間中は毎朝取り替えます。
- 飲食(おんじき):食べ物のことであり、家族が食べているものと同じものをお供えすることを意味します。
お供え物に適していないものとは?
仏教の考えからすると肉・魚などは殺生を連想させるため、お盆・初盆の供え物としては不向きです。
また、バラは棘があり、そこから血を連想させるため、避けたほうが良いとされています。故人が好きだったといった理由でどうしてもバラを供えたい場合は、棘を抜くなどの処理を施してください。
それだけでなく、椿などの古くから死を連想させるとされている花やツル性の植物、香りの強すぎる花も避けることをおすすめします。
初盆に供えるのに適した花
古くからの習慣として、お盆の時期に咲いている花を野山で採り、それを故人に供えたとされています。現在でも、お盆の時期に咲いている季節の花・旧暦の秋の花が供え花として一般的に用いられています。
また、仏壇に供えても長持ちし、お盆の期間中ずっときれいな姿で故人を楽しませてくれる日持ちのする花も最適です。
ここでは、初盆に向いている花を6つ紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
キク
キクは仏花として最も一般的であり、高貴さ・清らかさを象徴する日本の花です。そのため、初盆のお供え用の花として最も適しているといえるでしょう。
キクは夏が旬の花であり、日持ちもするので長い間高貴で美しい姿を保ってくれます。それに加え、品格があるので故人を尊ぶ気持ちを表現してくれるでしょう。枯れるときも散らばらず、掃除がしやすいことからも供え物としても申し分がありません。
初盆にはキクの場合は白がおすすめですが、白を中心とした花束に淡い色合いのキクを差し色として入れるのもおすすめです。
ユリ
ユリは大輪の花が堂々と咲く様に気品と高貴さがあり、供花として捧げられるのに適しています。爽やかさもあり、心を癒し慰めてくれるでしょう。
初盆としては白いユリが最適であり、カサブランカやテッポウユリなど、さまざまな種類から選ぶことができます。
香りに関しても、供え物において重要な要素ですが、テッポウユリなどのほのかで爽やかな香りは好ましいとされています。一方、山百合などの香りが強すぎるものは避けたほうが良いでしょう。
普通花屋で売られているユリは花粉が取り除かれていることが多いですが、購入後は花粉がついていないかをチェックすることをおすすめします。万が一、花粉がついたままだとユリの花粉が散らばってしまい、せっかく清めた仏壇が汚れたり服についたりしてしまいます。ユリに花粉がついている場合は、お供えする前にティッシュなどで取り除いてください。
キキョウ
万葉集にも詠まれており、古くから日本的な美の象徴とされているキキョウ。秋の季語にも数えられていますが、花の盛りである旬は現在の暦の6〜8月であるため、お盆のお供えとしても利用されています。
歴史的で清楚な佇まいであり、花言葉は「永遠の愛」「変わらぬ愛」などを持っていることから、故人を悼む気持ちや変わらず慕い続ける弔う側の気持ちを表現できる花だといえます。初盆には利用する際は、白い色のキキョウを取り入れるのがおすすめです。
トルコキキョウ(リシアンサス)
トルコキキョウは洋花ですがキク科であり、6〜8月に旬を迎えるのでお盆のお供え花として選ばれることが増えています。長持ちしやすく扱いも容易なため、結婚式など慶事にも多く利用されており、毎年安定して流通しているので手に入りやすいのも特徴です。
白で多弁のトルコキキョウがお供え花に適しているといわれており、花束などに入っていると軽やかさや品のある華やかさが加わります。白のトルコキキョウはお盆の時期の花屋に行けば比較的手に入れやすいため、供花としての花束やアレンジメントの主役として活用できるでしょう。
カーネーション
カーネーションは母の日に贈るギフトの花として一般的ですが、供花としても最適です。白いカーネーションには「亡き母を偲ぶ」という花言葉があり、亡くなった母親を悼む気持ちを表すために供える方が多くいます。
また、カーネーションは夏に咲く花として入手が容易で日持ちしやすいことから、お供えの花として年々人気・需要が高まっています。柔らかく可憐な様子の花が故人を懐かしむ気持ちに寄り添い、故人・先祖の魂をやさしくお迎えしてくれるでしょう。
千日紅(センニチコウ)
千日紅(センニチコウ)も仏花・供花として用いられます。100日間花が咲くといわれる百日紅よりも長く花が咲き続けることから、仏壇に飾っても重宝するでしょう。千日紅は江戸時代に日本に伝わったといわれており、その当初から仏花として広く使用されてきたといわれています。
千日紅の花言葉は「色褪せぬ愛」「不朽」などがあり、ドライフラワーやプリザーブドフラワーにすることでさらに長持ちさせることが可能です。
白い花束の中に赤や黄色の千日紅を色づけで入れれば他の花が引き立ち、やさしい明るさをプラスしてくれるでしょう。
お盆・初盆のよくある質問
お盆・初盆についてのよくある質問として、以下のような内容が多くあります。
- お供え物を飾る時期は?
- 初盆の香典の相場は?
- 初盆に参加する際の服装は?
- お供物を郵送する場合はいつまでに贈れば良い?
ここでは、それぞれの質問について見ていきましょう。
お供え物を飾る時期は?
お供え物を飾る時期は、お盆期間と同じく8月13日〜16日です。お盆期間中はお迎えしている故人や先祖の魂のために、生前好きだったものや美味しいもの、美しいものなどを楽しめるようにお供えをします。
ただし、お供え物の食べ物や花などはお盆期間中に痛まないように注意し、痛んだらすぐに取り換えるようにしてください。
また、五供としてお供えしている浄水は毎朝新しいものに変えるのが望ましいとされています。16日の夜に送り火とともに魂を送り出すまで、お供え物をしたままにしておくのが一般的です。
初盆の香典の相場は?
初盆の香典の相場は5,000〜10,000円とされています。故人との関係の近さで金額は変わるとされており、自分が故人の子供である場合の相場は10,000〜30,000円です。
自分が故人の兄弟姉妹である場合も10,000〜30,000円、自分が故人の孫である場合は5,000円~10,000円、自分が故人の知人・友人である場合は3,000~10,000円が相場であるとされています。
また、香典を包む側の年齢や立場によっても左右されます。相場や一般的な場合も参考にしながら故人と自分の関係性をふまえ、適切な香典を包むようにしましょう。
初盆に参加する際の服装は?
喪服(礼服)と平服があり、法要や会食などを催す場合、招く側は喪服が基本です。招かれる側の場合も、指定がなければ喪服で参加するのが無難です。その際、男性は黒のスーツ、女性は黒のアンサンブルなどが一般的です。
一方、法要や会食などがなく、家族だけのお墓参りや集まりといった場合は平服で行われることもあります。その場合は、普段着で構いません。ただし、平服でもジーンズやサンダルなどといったカジュアルすぎる格好は失礼になってしまうので避けてください。
お供物を郵送する場合はいつまでに贈れば良い?
お盆期間が13〜16日なので、遅くとも12日までには届くようにしましょう。あまり早くに届きすぎても物が傷んでしまったり、相手の迷惑になってしまったりする場合があります。
特に、切り花の場合はお盆中に花が枯れたり傷んだりしないように12日に届くのが最適です。お盆前は花屋がとても混み合う時期なので時間に余裕を持ち、前もって予約するなどの事前に準備しましょう。
また、配送を滞りなく、予定通りにしっかりと届けてくれる信頼できる花屋を見つけることも大切です。
初盆に供える花ならプレミアガーデン
プレミアガーデンはこちら
プレミアガーデンでは、さまざまなシーンに合わせたフラワーアレンジやギフトフラワーを購入することが可能です。初盆に贈るのに相応しいアレンジメントも多数用意しているので、ぜひ一度Webサイトをご覧ください。
最後に、プレミアガーデンが提供する初盆におすすめの商品を3つ紹介します。
ご供花 胡蝶蘭3本立
華やかで存在感があり、お祝い事の贈り花として人気ですが、白色の胡蝶蘭は供花としても用いることができます。初盆にお供え、お見舞いとしてお贈りしても問題ありません。
華やかで品のある胡蝶蘭は、どのような相手・場合に贈ってもその場に馴染んでくれます。初盆用の花としても遺族の心を癒し、その場の雰囲気を柔らかく明るくしてくれるでしょう。優美な見た目からも高級感を演出できるアレンジメントとなっており、華やかなものを好む故人へのお供えとして最適です。
ホワイトとピンクの花でまとめたアレンジメント
白いキクを中心としたシンプルなアレンジメントです。白いキクによって厳粛な雰囲気を保ちながらも差し色の優しいピンクの入った清楚で明るい雰囲気が心に寄り添い、悲しみを和らげてくれます。
場所を取りすぎない大きさなため、知人・友人といった関係性の故人・遺族へもお贈りしやすいタイプのアレンジメントとなっています。お盆期間中のお墓参りで墓前に供えるのはもちろん、自宅の仏壇前に置いても邪魔になりません。
ご供花 アレンジメント
白ユリやカラーリリーで高さを出した置くスタイルのアレンジメントフラワーです。一見個性的に感じるかもしれませんが、白でまとめることで厳粛で高貴な雰囲気になっています。
大輪の白い花々が豊かに咲いているため、華やかな趣味のあった方や地位のあった方へ贈るお見舞い花としても利用できます。
まとめ
お盆には作法や決まりなど、気にすべき点は複数ありますが、あくまでもお盆は故人や先祖の魂を迎え、一緒に過ごしたり故人を悼み懐かしんだりするための行事です。基本的な事柄を頭に入れた上で、故人を偲ぶ気持ちを大切にお盆を迎えましょう。