カンパニュラ(風鈴草)の色別花言葉|由来となったギリシャ神話とは?

初夏になると見かけるカンパニュラ。かわいらしい釣鐘型や星形の花を咲かせ、育てやすく園芸種としても人気です。

キキョウ科の植物で、和名では風鈴草、釣鐘草とも呼ばれ、カンパニュラ・メディウム、ベルフラワー、ホタルブクロなどさまざまな種類があります。

花言葉は「感謝」や「誠実」、そして「後悔」など意外な意味も。鐘の形からキリスト教や信仰とも関係が深い花ともされています。

この記事では、カンパニュラの白・ピンク・紫色などそれぞれの色の花言葉とその由来、たくさんある種類のそれぞれの特徴、育て方などをご紹介します。

カンパニュラ(風鈴草)の色ごとの花言葉

カンパニュラ全般の花言葉は「感謝」「誠実な愛」「共感」「節操」「思いを告げる」などがあります。また「不変」という意味も持っています。

カンパニュラは鐘の形をしている花であり、ヨーロッパでは鐘は教会を象徴するもののため、キリスト教に結び付けられることが歴史的に多かったようです。

「感謝」「誠実な愛」「節操」などは、そうした教会の教えにまつわる言葉がつけられたのでしょう。

「感謝」という花言葉があることから、ありがとうの気持ちを伝えたい相手に贈るのがぴったりの花ですよ。

ピンク色

ピンク色のカンパニュラの花言葉は、一般的に日本では「不変」だとされています。

カンパニュラは古くから人間に親しまれてきた身近な花ですが、品種改良が繰り返され、たくさんの種が生み出されてきたにも関わらず、釣鐘型や星形の特徴的な花の形はどんな種でもほとんど変わっていません。そこから「不変」の意味がついたようです。

一方、海外の花言葉は「後悔」「うるさい」です。ちょっとネガティブな意味で意外ですが、これはギリシャ神話のあるエピソードに由来しています。ギリシャ神話については、以下で詳しくご紹介します。

白色

白いカンパニュラの花言葉は日本では「感謝」「誠実」

海外でも「感謝」、そして「思いを告げる」などの意味があります。清楚で爽やかなカンパニュラにぴったりの素敵な花言葉ですね。

ありがとうの気持ちを伝えたり、勇気を出して相手に思いを伝えたりする時に、可憐なカンパニュラを贈るのはいかがでしょうか。

白く可憐なカンパニュラは釣鐘型の花がふわふわとしていてかわいらしく、恋人、夫婦、家族など誰に贈っても喜ばれます。

紫色

日本では「希望」、「大望」。海外では「不変」という花言葉がつけられています。

紫のカンパニュラは清楚ながら鮮やかで初夏になると目をひきますが、そんな姿にぴったりの明るいイメージの花言葉がついています。

切り花として贈るのはもちろん、庭やベランダに植え、お家を彩る花としても素敵な花言葉です。自分で育てた花が「希望」という花言葉を持っていたら、それだけでお庭もキラキラと輝いて見えそうです。

カンパニュラ(風鈴草)の花言葉は怖い?

清楚でかわいらしいカンパニュラに「うるさい」「後悔」というネガティブな花言葉がついているのはどうしてでしょうか。

「うるさい」というのはその形のまま、つまり鐘の形をしていることから鐘=うるさいという理由でついているようです。

しかし「後悔」というのはなぜでしょうか。実はカンパニュラはギリシャ神話にも登場し、そこから「命の花」とも言われています。

「命の花」と呼ばれるようになった、ちょっと悲しいギリシャ神話のお話について見ていきましょう。

花言葉の由来になったギリシャ神話とは

昔、あるところにカンパニュールという美しい精霊(ニンフ)がいました。カンパニュールはオリンポスの果樹園で黄金のりんごを守っていました。それがカンパニュールの仕事でした。ある時一人の兵士が黄金のりんごを盗むために果樹園に侵入し、カンパニュールは鈴を鳴らして助けを呼びますが、助けは間に合わずとうとう兵士に殺されてしまいました。

そのことを花の女神であるフローラは悲しみ、カンパニュールを鐘の形をした花に変えたそうです。

カンパニュラの「命の花」という言葉には、実は「守れなかった命」という悲しい意味合いもあるのです。

カンパニュラ(風鈴草)の基本情報

学名 Campanula
英名 Bellflower
科名 キキョウ科
属名 ホタルブクロ属
原産地 地中海・南ヨーロッパ

和名では風鈴草(フウリンソウ)、釣鐘草(ツリカネソウ)と呼ばれます。

垂れ下がった形が風鈴や鐘にそっくりだからというのが理由です。

日本でもホタルブクロという自生種があり、古くから親しまれてきました。近年では300種を超える品種があり、贈り物としての切り花、または園芸用としても人気で、その他プリザーブドフラワーなど、さまざまな形で広く利用されています。

カンパニュラ(風鈴草)の特徴

釣鐘型や星形のかわいい形をしたカンパニュラは可憐な姿で初夏を彩ってくれます。

色も白、ピンク、青、紫などさまざまなものがあり、品種によっては青〜紫の間でそれぞれ違う、独自の優しく美しい色合いを見せてくれます。

多くの種は多年草で、冬の寒さに強く、高温多湿は好みません。品種によって大きさはさまざまで、茎が1mを超えて伸びるカンパニュラ・メディウムや、机における小さなサイズのものもあります。

花の大きさも大小さまざまですが、茎や株にたくさん花をつける多花であることが一般的です。

カンパニュラ(風鈴草)はいつの誕生花?

カンパニュラは主に3月7日、4月23日の誕生花とされています。

5月15日、7月8日の誕生花とされることもあり、春先や初夏の誕生花とされることが多いようです。

誕生日のプレゼントとして贈るととても喜ばれますよ。誕生花を贈る際はその花にまつわるエピソードや特徴、花言葉などを添えて贈るといいでしょう。

上述した通り、カンパニュラの花言葉は「感謝」「誠実」「希望」などなのでプレゼントにぴったりです。贈った花がどんな意味があるのか、相手に伝えてみるといいかもしれません。

カンパニュラ(風鈴草)の種類

カンパニュラには、なんと300種を超える種類があります。

花屋さんでよく見る上向きに咲いた鐘形のお花は「カンパニュラ・メディウム」で、一番多く流通しています。

初夏に花屋さんを覗くと必ずかわいらしい姿を見ることができますよ。

また、青や紫色の小さなベルフラワーも花屋さんの店先でよく見ることができます。たくさんの仲間がいるカンパニュラですが、代表的なものとそれぞれの特徴をご紹介します。

定番の「カンパニュラ・メディウム(風鈴草)」

もっとも一般的な種で、花が細長い鐘の形や風鈴に似た形をしています。

花は横向きや上向きに咲きます。一年草、または二年草で寒さに強く、涼しい環境を好みます。高温多湿の環境には弱く、東京よりも南では育ちにくいとされています。

多花性で大ぶりの花を茎にたっぷりと咲かせるため、育てやすい種ですが見ごたえがあり、花壇や庭が華やかになります。背が高いため配置は花壇の奥の方にしましょう。背丈は90cm〜1mまで伸びます。

リンドウによく似た「カンパニュラ・グロメラータ」

リンドウによく似た姿をしたカンパニュラ・グロメラータ。

和名は「ヤツシロソウ」で九州の涼しい高原などに自生しています。カンパニュラの中では比較的暑さに耐える種です。日本では昔から切り花などに利用されてきました。色や形もリンドウによく似ています。

リンドウと同じ青紫の花を咲かせますが、白やピンクの種類もあります。「リンドウザキ・カンパニュラ」とも呼ばれ、5月〜8月にかけて花を咲かせます。

開花期間が長い「カンパニュラ・メリーベル」

夏に弱い一般的なカンパニュラを改良した種で、長期間花を咲かせてくれるのが特徴です。風通しのよい涼しい環境なら春〜初秋まで花を咲かせます。

多年草で、高さは30〜40㎝。星形の大き目の花(1.5cm〜2cm)を株いっぱいにつけます。花の色は薄く爽やかな青紫です。

コンパクトなサイズ感から、花壇や庭のアクセントに使われることが多いようです。一般的なカンパニュラよりも強く育てやすい種ですが、直射日光や雨水が直接あたる環境は避けましょう。

日本原産「ホタルブクロ(カンパニュラ・プンクタータ)」

キキョウ科の多年草で日本原産です。5月末から日本各地をはじめ東アジア一帯で咲く山野草です。

カンパニュラが上向きで花を咲かせるのに対して、ホタルブクロは下向きに花を咲かせます。子供たちがこの花と蛍で遊んでいたことにちなんでこの名前がつけられたと言われています。釣鐘型の花の中に蛍を入れ、光らせて遊んでいたそうです。とても幻想的で風情のある由来ですよね。

実際に蛍が飛ぶ季節、地域に咲いていることが多く、運がよければ花の中に蛍が入っている光景が見られるかもしれません。

小さな花がかわいい「ベルフラワー(オトメギキョウ)」

青や紫の花をつけます。一年草または多年草で、草丈は10〜15cmほどです。細長い筒状の形をしています。小さいですがたくさん花をつける多花性で、見栄えがし華やかで、園芸種としても優れています。

和名はオトメギキョウというかわいらしい名前がついていて、英名ではカンタベリーベルと呼ばれます。

これはやはりキリスト教に由来があり、イギリスのカンタベリー寺院に訪れる巡礼者が持っている鐘の形に似ていることからこの名前がついています。

桃の葉に似た「モモバキキョウ(桃葉桔梗)」

「モモバキキョウ」は、コーカサス・小アジア地方原産でヨーロッパ〜ロシア中部・南部、トルコ北西部などに自生しています。

涼しい環境を好み、耐暑性が弱いため温暖な地域では育ちません。日本では関東より西では育たないとされています。反対に寒さには特に強い品種です。

色は白や青紫、高さは30cm〜90cmで、茎の先に十数輪の花が咲きます。

和名「モモバキキョウ(桃葉桔梗)」の由来は、葉の形が桃の葉に似ているところからついています。日本では寒冷地を除き、この種は夏が暑すぎるため、育ちにくい種類です。

カンパニュラ(風鈴草)の育て方

耐寒性は強く、病害虫も少ないため育てやすいとされているカンパニュラ。ガーデニングの入門種として古くから親しまれてきました。

基本的には寒さに強く、日当たりがよく水はけのいい環境を好みます。涼しい環境に適していて、逆に高温多湿の環境を嫌うので、季節によって水やりの仕方や場所などを変える必要があります。それぞれのポイントを見ていきましょう。

植え付け

カンパニュラの株を植え付ける場合は、品種にもよりますが、一般的には春先から初夏にかけて植えるのがおすすめです。

湿気を嫌うため水はけのいい土壌を選ぶか作りましょう。たい肥をや肥料を混ぜ、根の長さに合った穴を掘ります。複数株を植える場合は、隣の株と30cmは離しましょう。

根が傷むとダメージを受けてしまうため、慎重に植えてください。地植え(地面に直接植える)場合は盛り土をし、少し高さを出した場所に植えると水はけがよくなりますよ。

置き場所

カンパニュラは涼しい場所を好むため、気温があがりすぎる環境は避けてください。

日当たりがよく、水はけのよい場所で育てましょう。多湿にならないように、風通しのよい場所が適しています。室内に鉢などを置いて育てることもできますが、その場合十分に日光があたる場所に置くなど配慮しましょう。

日光が十分に当たっていない場合、花が咲かなくなってしまいます。

また、夏の直射日光や雨水が直接当たる場所は避けてください。季節によって場所を移す必要性があるため、園芸に慣れていない場合は花壇や地植えではなくまず鉢植えなどで育てるのがおすすめです。

水やり

表土が乾いたら水をあげます。乾燥には強いため、地植えの場合はよっぽど乾燥していない限り雨水だけでも育ちます。鉢の場合は表面が乾いていたら、鉢底から水が流れるぐらいに水をあげます。

カンパニュラは湿度を嫌うので、水やりをしすぎないように注意しましょう。蒸れないように受け皿にたまった水はすぐに捨ててください。

冬に育てる場合は夜に水やりをすると冷えすぎて凍ってしまい、花を傷めてしまうため、日の出ている朝などに水やりをしましょう。

用土・肥料

酸性土を嫌い、中性からアルカリ性の、有機質に富む土を好みます。たい肥、腐葉土などをよく混ぜて有機質に富んだ土を作りましょう。

あらかじめ緩効性のある肥料を撒き、根がよく伸び、また根をはりやすいようにしておきます。園芸店やホームセンターで手に入る園芸用の土で育てることができますが、水はけをよくしておくことが大切です。

必要な場合は、成長期である春から夏にかけて追肥を行います。

冬越えをしている場合、冬には追肥等はしません。

植え替え

地植えのカンパニュラの場合は、基本的には植え替えは必要ないとされています。

はじめに植える前に、日当たり、直射日光、水はけ、風通しなどをよく確認して植えましょう。

鉢の場合は成長期を迎え大きく育ってきたら一回り大きい鉢に移してください。

また、春先の3月、もしくは秋の9月ごろ、株が大きくなってきたら株分けをします。4、5本を1株の目安とし、根を傷つけないように慎重に取り出して植え替えましょう。

鉢の場合でも地植えの場合でも、根がきちんとはるように大き目のスペースが必要です。古くなっている根は切りましょう。

夏越し

暑さには弱いので、夏には半日陰で風通しの良い場所で育てましょう。乾燥に強いカンパニュラはほかの季節は水やりは控えめにしますが、夏には地面が乾いたタイミングで水やりをします。普段は日光も好みますが、盛夏の強い直射日光は危険です。あまりに日差しが強い場所の場合は日陰の風通しのよいところに移しましょう。

また、湿度も低めに保たなければなりません。蒸れやすい空間や環境は避けます。品種によっては夏の暑さに強い種もありますが、お住まいの土地に合った品種を選びましょう。

冬越し

冬の寒さには強いカンパニュラですが、日光には十分当たるように配慮しましょう。冬に水やりをする場合は、夜間などに水やりをすると凍ってしまい、根を傷つけてしまいます。日光の出ている朝に水やりをしましょう。

カンパニュラは多年草の種が多いため、冬越えをさせる機会も多いです。種によりますが、ある程度の寒さには耐えられるのであまり神経質になりすぎなくても大丈夫です。

冬には肥料などは与えないことが一般的です。株から育て冬を越させる場合は、秋のはじめに植え、寒くなる前に根がはるようにしましょう。

カンパニュラ(風鈴草)を育てる際に注意すべき病害虫

水はけが悪かったり蒸れていたりすると、根や茎を枯らしてしまう立ち枯れ病、白絹病、根腐れが起こります。

さらに、カンパニュラは基本的には害虫には強いですが、アブラムシやハダニが発生することがあります。花壇などに複数株植える際は株の間を30cmほどあけて、蒸れるのを防ぎましょう。鉢の場合も株より一回り以上大きい鉢で、しっかりとスペースを確保し、風通しのよい場所、水はけのよい環境で育ててください。

ここからは、カンパニュラ(風鈴草)を育てる際に注意すべき病気や害虫について、詳しくご紹介します。

病気

頑健で育てやすいですが、水はけが悪い土地に植えると「立ち枯れ病」がでることがあります。高温多湿にすると「白絹病」になることがあり、土や株の元が白い絹のような糸状のもので覆われ、放置すると草や茎が腐って枯れてしまいます。

残念ながら治療法がないので、病気になった株は処分しましょう。

また、水はけが悪いと根腐れを起こすこともあります。予防が肝心ですので、土中の水分量、風の通りには常に気を配りましょう。多湿の環境にしないように、株どうし、また他の花や草と密集しないように注意してください。

害虫

害虫は少なく、育てやすいのがカンパニュラの特徴です。

まれにアブラムシがつくことがありますが、広がる前に殺虫剤をまいて駆除しましょう。

また、ハダニも発生することがあります。高温で乾燥しているときに発生しやすいので、水やりの際に葉の裏に霧吹きで吹きかけて予防、除去します。

その他、黄色い斑点が葉などにできるキイロアザミウマやナメクジなどが発生することも。ナメクジは湿っていると発生するため、石灰などを利用して土を乾燥させるようにしましょう。

カンパニュラ(風鈴草)を贈るのにおすすめのシーン

花言葉の「感謝」にちなんで、母の日などありがとうの気持ちを伝えたい相手に渡すのがおすすめです。

また、育てやすく園芸の入門としてもおすすめの花なので、これからガーデニングをはじめたいと思っている人にはうってつけの花でしょう。

一株にたくさん花をつけるため、カンパニュラがあるだけで庭やベランダを華やかにすることができますよ。

たくさんの種類があり育てがいもあるので、ガーデニングが趣味の人へのプレゼントにもおすすめです。

最もポピュラーなカンパニュラ・メディウムから変わり種まで、季節や環境、そして贈る相手に合ったものを色々と探してみても楽しいかもしれません。

まとめ

この記事では、カンパニュラの花言葉、育て方などを見てきました。カンパニュラは人里近くに咲き、古くから人間に親しまれ愛されてきました。

昔から園芸種として長い間育てられてきたこともあり、カンパニュラには文化的にも豊かな意味があります。

親しみやすく可憐で、プレゼントとしてもちょっとした機会に贈りやすい花です。

切り花としてブーケに取り入れるなど贈り物はもちろんのこと、園芸に挑戦してみたいけど、まず何を育ててみたらいいか分からないという人は、ぜひカンパニュラを育ててみませんか?

大切なあの人にお花を送ってみませんか?