ススキの花言葉は?実は縁起が良いススキの基本情報を解説
秋の日本で思い出すのがススキ(薄・芒)です。
中秋の名月でもススキを飾ることが習わしとなっている日本では、秋の七草のひとつである「尾花」として、万葉集でも多く読まれています。
秋になると平地から高山まで、淡い小麦色のススキが風に揺られて群生している風景はとても情緒的で、秋の訪れを告げる使者でもあるススキ。
この記事ではそんな風情のあるススキの花言葉や由来、歴史、そしてススキの種類から育て方までを紹介していきます。
ススキの花言葉は?
ススキの花言葉は、「活力」「生命力」「精力」「なびく心」「憂い」「心が通じる」「悔いのない青春」「隠退(いんたい)」などたくさんあり、前者3つはススキの生命力の強さが源になっていると考えられます。
しかし、なびく心、憂い、心が通じる、悔いのない青春、隠退は、生命力とは関係なく、特に隠退に至ってはネガティブな言葉ですね。
そんな数あるススキの花言葉の由来は、この後紹介していきます。
ススキという名称の由来
ススキという名前の由来には2つの有力な説があります。
1つ目は、2メートルほどまで伸びる生命力の強いススキは、まっすぐに伸び、白い穂をつけます。そのため、「スス」はスクスクとまっすぐに育つ様子を表し、「キ」は茎や草、芽が萌え出るという意味の萌(キ)という意味です(木ではありません)。
2つ目は、神様に捧げる舞のことを「神楽」と言います。そして、舞の時に手に持って使われる手草ですが、稲穂の代わりにススキが用いられていたのです。そのため、ススキは清らかという意味合いがあります。
「スス(スズ)」は清々しい、清らかで、「キ」は禾(穀物の総称)を持った者が由来ということ。
一説では、ススキの茎の中は空洞になっており、その中には神様が宿ると言う言い伝えがあります。また、硬いススキの茎はとても鋭く、魔除けとして使われてきたそうです。
そんな由来から神が宿り、魔除けになるススキは、災いから人々を守ってくれると言う意味合いで、豊作祈願として十五夜でススキが使われるようになったようです。
ススキの花言葉の由来
なびく心、心が通じる、憂いという花言葉は、ロマンスをイメージさせる花言葉です。
これは、ススキが風に揺れる様子を思い浮かばせるもの。惹かれ合って結ばれ、時には冷たい素振りをして悩ませる。風に揺れるススキにそんなロマンチックな思いを抱いています。
活力、生命力、精力という花言葉は、前述した意味合いとは真逆のイメージです。
これらの花言葉は、ススキの生命力の強さを連想しています。ススキの成長はすごく、2メートルほどまでグングン伸びます。また、日本の北から南まで、あらゆる場所で見られ、丈夫な地下茎を持っているのが特徴です。
そんな生命力あふれる植物になぞらえて付けられた花言葉といわれています。
悔いのない青春は、ススキの見た目から付けられた花言葉だと思われます。
白いうぶ毛のような種は太くなり、稲穂のような形状になります。そんなススキが一面に広がって風に揺られている風景は、なんとも壮大で毅然としています。
そんな風景から、後悔のない青春を送った若者のイメージにつながったのではないでしょうか。
最後に「隠退」ですが、今までの花言葉からは一線を画した言葉となっています。
隠退とは、第一線から退くこと、世間を避けて閑居することを意味します。これは決して否定的な意味合いではなく、ススキの9月15日の誕生花に由来しています。
ハッピーマンデー制度ができ、9月15日の敬老の日は過去の祝日となっていますが、最近まで「敬老の日」で、お年寄りをねぎらっていました。
ススキの花言葉は怖い?
ススキの花言葉は怖いとよく言われますが、これは、ススキが風に揺れている様子を夜見ると、どうも幽霊に似ているような印象があるようなのです。
そんな様子を表しているもので、実際に怖い花言葉はありませんでした。
ススキは縁起の良い植物
前述しておりますが、暦を用いて計算していた昔は、人々の生活は月と密接な繋がりがありました。特に農家では、満月を豊穣の象徴とされていて、秋になると収穫祭を催して収穫した野菜や稲穂を月に供える中秋の名月の儀式が行われていたのです。
しかし、稲はまだ完全に実っておらず、稲穂の代わりにススキを代用して供えたのが習わしとなっています。
また、こちらも前述しておりますが、昔からススキは神様の依り代(よりしろ)と考えられていました。茎の中は空洞になっており、神様が宿っていたと信じられていたようです。
そして、すすきの茎は硬くて鋭い切り口になっているため、魔除けになるとも考えられました。
ススキ(尾花)は秋の七草の1つで、悪霊や災いなどから収穫物を守って、次の年の豊穣を願う意味からお月見には欠かせません。
ススキの歴史
ススキの歴史は古く、万葉集にも登場します。そのことから、奈良時代初期から親しまれていた植物であることがわかります。
それを表す、「萩の花、尾花、葛花、撫子の花 女郎花、また藤袴、朝顔の花」という、奈良時代初期の貴族で歌人の山上臣憶良(やまのうへのおみおくら)が、秋の七草を詠んだ句があります。
ススキを贈るベストなタイミングは?
ススキの花言葉はとてもポジティブな意味合いなので、プレゼントには最適ではないでしょうか。
落ち込んでいる友達や心が通い合った友達への贈りものとして、そして秋らしいアレンジメントとして、さまざまな意味合いで贈ることができる植物でもあります。特に友達や家族へのプレゼントに喜ばれるでしょう。
「心が通じる」友情の証として
ススキの花言葉に「心が通じる」という言葉があります。
この花言葉は愛情や友情で深い関係にある人に贈りやすい花言葉ではないでしょうか。友達や恋人、家族が悩みを抱えて落ち込んでいる時や、友達や恋人との仲が深まった方などにススキを贈ると気持ちが伝わり、喜ばれるでしょう。
秋らしいアレンジメントのアクセントとして
お月見とは本来、秋の収穫を感謝し、翌年の豊穣を祈念するという風習からきています。
ススキは、十五夜の時期に収穫できない稲穂に代わり、豊穣の象徴として供物に添えられます。また、魔除けとしても飾られるようになりました。
自然に生えているのを獲って来て、自分でアレンジするのも良いですね。
しかし、茎や葉が固くて手を切りやすいので、注意してください。ススキが生えていない場所にお住まいの方は、お花屋さんでも販売しています。
秋のイベントに合わせて
秋のイベントにはハロウィンやお月見などがあります。特にお月見ではススキがアイテムとして重要になりますね。こんな時にはススキのアレンジメントフラワーを作ってみてはいかがでしょうか。
自分で作る場合は、秋の七草である萩(はぎ)・葛(くず)・撫子(なでしこ)・女郎花(おみなえし)・藤袴(ふじばかま)・桔梗(ききょう)などと共に、アレンジフラワーを作ることも出来ます。
材料をそろえるのが大変だという方は、フラワーショップでも十五夜の時期になるとステキなススキのアレンジメントフラワーが並んでいるので、購入するのも良いかもしれませんね。
ススキの基本情報
ススキ(芒、薄、Miscanthussinensis)は、イネ科ススキ属の単子葉類植物で、尾花とも言われている秋の七草の一つです。
また、茅(かや、萱)と呼ばれる有用植物の代表的な一種。野原に生息し、ごく普通に見られる多年生草本とされています。
開花時期
2018年のススキの開花日を調べてみました。
・仙台管区気象台:7月19日
・函館地方気象台:8月2日
・金沢地方気象台:8月6日
・津地方気象台 :8月7日
・広島地方気象台 :10月9日
・神戸地方気象台 :10月10日
・銚子地方気象台 :10月12日
・和歌山地方気象台:10月19日
・沖縄気象台:10月22日
このように、驚くことにススキは桜などとは逆に、寒い地域の方が早く開花することがわかります。ススキの開花は南下するということですね。
そのため、北の方から開花し、時期は7月〜10月となります。
原産国
原産国は中国、朝鮮半島、日本、台湾などで、耐寒性や大暑性にも優れている生命力のある植物です。
日本ではかなり昔から野山や平地に自生していて、環境に馴染みやすく、雑草のように至る所に自生します。
また、よく育ちすぎて巨大化してしまうので、庭に自生した場合は、メンテナンスが必要な場合もあります。
誕生花
9月15日の誕生花はススキです。家族や友人に9月15日生まれの方がいる場合は、ススキを生け花やアレンジメントでプレゼントするのも素敵ですね。ススキを使うと秋のイメージを簡単に出すことできます。
また、バースデーパーティーの会場にススキをアレンジメントするのも気が利いています。もちろん花束にも最適です。きっと喜ばれること間違いなしでしょう。
ススキの種類
ススキにはたくさんの種類があり、その種類ごとに特徴も違います。
ススキの葉は細長く、一般に知られているグリーンのほかに、斑入りの品種もあります。また、葉っぱの細さもそれぞれ違います。
ここからは、5種類のススキについて詳しく紹介していきます。種類ごとに特徴が違うので、新たな発見があるかもしれません。
タカノハススキ
タカノハススキは、葉っぱに縞模様のような黄白色の斑点模様が入っているススキの一種で、結構古いススキのひとつです。
学名の「Zebrinus」は、黄白色の段斑が入る様子が矢羽のように見えることからその名前が付けられ、和風の庭園や自然な雰囲気のボーダー花壇に適しています。
また、鷹の羽の模様が虎斑と同じ縞模様であることから、和名は「タカノハススキ(鷹の羽薄)」で、矢羽に鷹羽を使ったことから矢筈模様とも呼び、「ヤハズススキ(矢筈薄)」という別名もあります。
ハチジョウススキ
普段見られているススキに比べて全体的に太く、茎の太さは直径2センチにもなります。葉の幅も1.5センチと広いのが特徴。
葉の縁にはトゲがありますが、裏側に巻きついているため、表からはトゲが見えにくくなっています。
ススキよりトゲが鈍いため、触ってもトゲが刺さりにくく、トゲのないものもあります。葉裏はやや白く、毛がほとんどありません。花序はススキとよく似ていますが、枝がやや太く、密集しています。
海岸に自生するススキの一種とされていますが、最近ではススキの変種として認めないという見解が増えています。
イトススキ
葉っぱが幅5ミリ前後ととても細いススキの一種です。
茎の長さは標準的なススキの半分〜3分の2ほどで、さまざまな土地のやせた尾根などで見ることができます。葉は立ち上がっているため、あまり広がらないのが特徴です。
庭に植える場合は、このイトススキがおすすめ。斑点模様入り(白覆輪)のタイプもあり、一番おすすめできる種類です。
屋久島ススキ
ススキの中で一番小さい種類で、草丈が25センチ以内です。
葉はイトススキと似ていて細く柔らかい印象で、若干広がりがあり、四方に暴れる感じが野性的な印象を受けます。
屋久島ススキは、寄せ植えや草もの盆栽にも適しています。日向か半日陰で育てることがポイントで、用土は特に限定されません。
しかし、イネ科の単子葉植物であるナンバンキセルが寄生しやすく、寄生すると株が弱ってしまうため、注意が必要です。湿った環境に弱いので、水はけを良くすることが大切です。
金華山ススキ
読んで字のごとく、岐阜県の金華山に生長するススキで、イトススキのように葉が細く、広がるのが特徴の品種です。
細くて繊細な葉は鉢植えや庭植えに最適。とても丈夫なので、日当たりのよい場所でよく育ちます。
十五夜の供え物でよく見かけるススキで、日本の平地や山によく自生しおり、風になびいて揺れる草姿はとても風情があります。
どんな環境にも適応して育てやすく、夏の終わりごろから咲く長く白い花穂が、幻想的でとても美しいイメージ。
和風寄せ植えのセンタープランツにすると美しく映え、庭植えで風情のある景色を作っても良いでしょう。
主に岐阜県金華山に自生するススキと言われていますが、宮城県の牡鹿半島金華山が発祥とも言われています。
ススキの育て方
最後に、ススキの育て方について紹介していきます。
ススキは自然環境の中で逆境にも負けずに逞しく自生する植物です。しかし、ガーデニングで育てる場合は気を付ける点があるのでしょうか。
どこに置いたらいいのかや水やりの仕方、病気はあるのか、害虫はつくのかなど、上手に育てる方法を解説していきます。
置き場所
ススキは日本全国所選ばずに自生している植物で、日常の中で目に入ることも多いです。面白いのは、北に行くほど開花が早いという変わった性質があるのもススキの特徴。
そのため、地域によって開花の時期は異なりますが、丈夫なのでスクスクと育ちます。
しかし、家庭で育てる場合は、日の当たる風通しの良い場所で育ててあげるのが良いでしょう。
水やり
ススキは乾燥に比較的強いので、頻繁に水やりをする必要はありません。
地植えの場合は、自然に任せて雨水で対応できます。鉢植えをした場合は、しばらく雨が降らない日が続いたときに、たっぷりと水やりをしましょう。
病気と害虫
ススキに付きやすい害虫は、アブラムシとカバキコマチグモです。基本的にススキは病気や害虫の対策は不要です。
アブラムシは、3月頃から発生し、小さな虫ですが繁殖力がとても強く、一旦発生すると茎葉にぎっしりついて養分を吸い、株を弱らせてウイルス病を媒介する原因にもなります。
見た感じ気持ちが悪いので、見つけ次第落とすと良いでしょう。
また、スプレータイプの薬剤を散布するか、植え付けの時に土に混ぜるアブラムシ用の粒剤を利用するのもおすすめです。
カバキコバチグモは毒グモの一種で、ススキの葉に巣作りすることがあります。
しかし、あまり攻撃性がありませんが、産卵期を迎えた雌グモは攻撃的になりますので、どちらにしても触らないように注意しましょう。
肥料
ススキはどのような土壌でもたくましく育つので、特に肥料はやらなくても良いでしょう。逆に与えすぎると、穂の生長が悪くなるのでやらないようにしてください。
植え付け・植え替え
ススキを地植えする際は、株の間隔を50センチほどあけて植え付けをしてください。
ススキは成長が早いため、株の間隔は広めにとることを心がけましょう。
2〜3月頃が適期となります。
鉢植えの場合は、7〜8合ほどのスタンダード鉢に対して一株植えるのがおすすめです。
ススキは根茎植物で株が大きくなるため、株分けをします。また、植え替え時期も、植え付けと同様休眠期の2〜3月に行うのが良いでしょう。
増やし方
ススキの増やし方は、株分けが通常のやり方です。
地植えの場合は、根を傷つけないようにスコップなどで丁寧に株を掘り起こし、3個から4個ほどに切り分けます。こちらも植え替え時期に株分けを行うのと良いでしょう。
気を付ける点は特にないですが、ススキは生長が早いため、株と株の間隔を必ずあけて植え付けてください。
必要な作業
ススキは、放っておくとどんどん生長します。そのため、限定した土地に植えた場合は、5月下旬から6月までの間に「葉刈り」をする必要があります。
根元から30センチ〜50センチぐらいの部分を残しながら刈っていきましょう。この作業は必須で、刈らなかったり遅れてしまうと、穂が出なくなってしまう可能性があるので覚えておいてください。
因みに、小さい個体は葉刈りの必要はありません。
まとめ
今回は、ススキの花言葉はやススキの基本情報を紹介してきました。
ススキの花言葉は、「活力」「生命力」「精力」「なびく心」「憂い」「心が通じる」「悔いのない青春」「隠退(いんたい)」など、意外とたくさんありましたね。
お月見やハロウィンなどの、秋のイベントで飾るのに最適なススキですが、昔からススキは神様の依り代(よりしろ)と考えられ、中秋の名月に稲の代わりに穂の出たすすきを稲穂に見立てて飾る風習があります。
また、すすきの茎が空洞で、中には神が宿っているとされ、魔除けとしても知られています。
丈夫で生長の良いススキは、庭や鉢植えで育てるのもとても簡単です。日本の植物として代表的なススキを、是非生活に取り入れてみませんか?