鉢植えのバラの育て方/初心者でも育てやすいバラは?
バラは外見の美しさとエレガントな雰囲気から花の女王とも呼ばれています。バラの甘い香りと優雅な佇まいは女性の憧れですね。
しかし自分が育てるとなるとハードルが高いと感じる方も多いのではないでしょうか。バラはコツさえ押さえれば鉢植えで育てることが可能です。
バラは種類によっても栽培方法が異なるため、品種選びも大切なテーマになります。鉢植えならば、初心者の方でも気軽に始められるのでおすすめですよ。
この記事では、鉢植えのバラの魅力や育て方の秘訣を紹介します。
鉢植えのバラの魅力
鉢植えのバラの魅力は管理がしやすい点にあります。広いスペースがなくても、コンパクトに楽しめるのも魅力。
したがって初心者の方がバラを育てるなら、鉢植えがおすすめです。
ここでは鉢植えのバラの魅力をたっぷりと紹介していきましょう。
小さな苗から始められる
美しく甘い香りのバラは女性の憧れで、育ててみたいと思っている方も多いのではないでしょうか。
しかしバラは育て方が難しいというイメージがあります。そんな方におすすめなのが鉢植えのバラです。鉢植えなら小さな苗が販売されていますし、お気に入りのバラをじっくりと育てる楽しみも生まれますよ。
置き場所を変えられる
小さなサイズの鉢植えのバラなら、移動しやすい点もメリットです。
日当たりや通気性にも配慮できますし、四季それぞれに適切な場所に置くことができます。
たとえば日差しが強い真夏には日陰に移動させられますし、冬も風通しの良い場所に移すことで病害虫の発生を抑えることができるのです。置き場所を変えることで、バラが喜ぶ環境を作ることが可能になります。
バラの香りで心が和らぐ
バラはそのエレガントな姿と甘い芳香で部屋を明るい雰囲気にしてくれます。
一般的にはバラは外で育てるイメージがあると思いますが、環境を整えれば室内でも管理できるのです。アロマテラピーでも活用されているバラには、心身の緊張を解きほぐす効果があると言われています。今では医学的な研究や実証も進み、バラの香りにはさまざまな効能があることが分かってきていますよ。
知っておきたい!バラの豆知識
みなさんはバラについてどれくらい知っていますか?
ここではバラを育てる前に知っておきたい豆知識を見ていきましょう。
バラの基本情報
科/属 | バラ科/バラ属 |
和名 | 薔薇(バラ) |
英語名 | Rosa(ローザ) |
原産地 | ヨーロッパ~北アメリカ |
開花時期 | 5~11月 |
花言葉 | 美/愛 |
誕生花 | 1月1日(緑)2月14日(赤)5月9日(青)6月15日(黄)6月19日(全般)11月2日(紫) |
バラの種類
花期
一季咲き/一季咲きのバラは一年に一度しか咲かない種類です。
春~初夏にかけて花を咲かせます。オールドローズ、ワイルドローズ(原種)、ランブラーローズが一季咲きです。
四季咲き//四季咲きのバラは春から冬のはじめにかけて、年に複数回花を咲かせるという特徴があります。ミニバラ、モダンローズなどが四季咲きです。またつる性のバラには四季咲きはありません。
返り咲き/返り咲きとは本来なら一季しか咲かないはずなのに、夏や秋にもう一度咲くバラのことです。主にオールドローズ系のオータム・ダマスクは返り咲きしやすい品種と言われています。
樹形
ブッシュ(木立)
枝が固くて自立できる種類のバラのことを「ブッシュローズ」と言います。樹形がコンパクトにまとまりやすいので人気です。
ハイブリッドティー系、ポリアンサ系がこの樹形になります。
つる性
つる性のバラは枝が長く生長するので自立することはできません。一般的にはアーチやフェンスなどに誘因して枝を支えることが多いでしょう。一斉に咲く花姿は惚れ惚れするほど美しいですが、広いスペースが必要です。また棘が多いため誘因にも工夫が必要になります。したがって初心者の方にはやや育て方が難しいバラです。
シュラブローズ
半つる性のバラを「シュラブローズ」と言います。つまり木立樹形とつる性樹形の中間の種類です。枝の長さもそれぞれ異なりコンパクトに管理できるものも多く存在します。
花径
花径が7cm以上ある品種を「大輪」と言い、5〜7cmある品種を「中輪」、5cm以下のものを「小輪」と言います。
中には花径が15cmくらいある「巨大輪」と呼ばれる品種もありますが、一枝に一輪の花しか咲かせないことが多いので、花が終わると寂しくなってしまうかもしれませんね。
花形
バラの花弁は5枚〜100枚以上になります。また花弁のフォルムは、大きく分けて3種類に分けることができるでしょう。花弁が5〜9枚のバラを「一重」その他花弁が19枚までを「半八重」20枚以上のバラは「八重」と言います。
しかしほとんどが八重咲きなため、さらに細かく分類されているのです。
その中で代表的なものは「ロゼット」「カップ」「ポンポン」などと呼ばれます。
また花弁の数が多く豪華な佇まいを見せる「シャクヤク咲き」という品種も人気がありますよ。
香り
バラは品種によって香りにも違いがあります。
たとえばオールドローズ系は魅惑的な甘い香りが魅力的です。また青バラ系に多い情熱的でありながらエレガントで洗練された香りも人気がありますよ。
カラー別/バラの花言葉
赤 | あなたを愛する/情熱 | 情熱的な花言葉が多いのでプロポーズや恋人へのプレゼントに最適です。 |
ピンク | 暖かい心/幸福 | 淡いピンクからアプリコットピンクなど同じピンクでも色々な表情が楽しめます。 |
白 | 無邪気/相思相愛 | 何色にも染まらない無垢な白のバラはブライダルブーケにも人気です。 |
黄 | 友情/嫉妬/薄らぐ愛情 | 少し後ろ向きな花言葉を秘めているので贈り物には注意。 |
オレンジ | 絆/すこやか/信頼 | 縁や繋がりをイメージする花言葉が多いので信頼できる友達へのギフトに向いています。 |
紫 | 尊敬/気品 | 尊敬できる上司や両親への贈り物にうってつけです。また長寿のお祝いにもピッタリ。 |
青 | 神の祝福/夢かなう | ロマンチックな花言葉が多いので、夢の実現に向かって頑張っている人に贈ってみましょう。 |
緑 | 穏やか | 落ち着いた雰囲気を持つ緑のバラは男性へのギフトにも最適です。 |
鉢植えに向くバラとは?
バラにはたくさんの種類があります。そのほとんどが鉢植えで育てることが可能です。
またバラの苗は季節によって販売されている種類が異なります。
たとえば4〜6月に出回る「新苗」は一年目を迎えた苗です。ほとんどの場合、若い葉やつぼみが付いている状態で販売されることが多いです。
また晩秋から春にかけて流通する「大苗」は、一年以上育成されたバラで丈夫なものが多いのが特徴。やや値段は高くなりますが、丈夫で枯れにくいというメリットがあります。
その他に通年販売されている「鉢苗」は、大苗よりさらに生長させてから出回るため初心者の方におすすめですよ。
ここでは、鉢植えに向くバラの3つのポイントを紹介しますので参考にしてください。
四季咲きのバラ
四季咲きのバラはある程度の温度さえあれば、何度でも繰り返し咲いてくれます。
そのため育成する楽しみも増えるのです。また色々な種類があるので、自分の好みのバラを探すこともできますよ。
お世話すれば次々と花が咲くので、モチベーションもアップするはずです。
お手入れが楽
初心者の方はお手入れが楽なバラを選ぶと失敗なく育てられます。
特にお仕事で自宅にいる時間が少ない方や多忙な方には、最低限のお手入れでたくさん咲いてくれるバラがおすすめです。
病害虫に強く耐寒性耐暑性に優れている品種は、丈夫で育てやすいですよ。
手ごろなサイズ
バラの樹高は小さなものは20cm程度から、つる性のバラのように数メートルに生長する種類までさまざまあります。
樹高によって剪定方法も異なるので、初心者の方は手ごろなサイズを選ぶのがおすすめです。コンパクトで自立するタイプのバラは、管理が簡単で鉢植えに向いています。
鉢植えのバラを選ぶポイントは?
大切に育てれば長い間鑑賞できるバラ。
初めてバラ栽培をする場合には、苗の選び方も大切な課題になります。
ここでは苗を選ぶポイントを紹介していきましょう。
幹が太いもの
バラの苗を選ぶ際には、枝の数よりも幹が太いものを選ぶようにしましょう。
その理由は幹が太いと栄養分や水分をたくさん吸収できるからなのです。
また株元がどっしりと太い苗は根も丈夫である確率が高くなります。
葉や茎が傷ついていない
葉や茎が傷ついていないもの、黄色っぽく変色していないこともバラを選ぶ際にチェックしたいポイントです。
苗を選ぶ時には、茎や接ぎ口の部分に傷がないものを選ぶと良いでしょう。
ただし苗によっては置き場所によって一部だけ葉が黄色くなっている苗もあります。
こういう場合は、病気ではないので購入しても差し支えありません。
新苗より大苗がおすすめ
初心者で育成に自信がない場合は、新苗よりも大苗を購入することをおすすめします。
それは大きく生長している分だけタフだからです。
また新苗は買ってすぐに手入れが必要になりますが、大苗はそのような手間もいりません。
鉢植えに向いているバラ5選
鉢植えのバラは室内でも管理できるので、いつでも観察できる所もうれしいですね。
ここでは、鉢植えで育てやすいバラを5選紹介します。
- グリーン アイス
- クロード モネ
- レディ エマ ハミルトン
- モッコウバラ
- ノヴァーリス
それぞれの特徴を見ていきましょう。
①グリーン アイス
作出国 | アメリカ |
系統 | シュラブ |
開花性 | 四季咲き |
花の色 | ピンク~白~グリーン |
花形 | ロゼット咲き |
花の大きさ | 小輪(3cm) |
グリーンアイスはミニバラの中で最も人気のある品種です。
耐寒性も強く、花色のグラデーションを楽しめるのが魅力になります。
半つる性なのでハンギングにしても見映えがしますよ。
丈夫で他の植物との寄せ植えにも最適。根が深いので、高さがある鉢に植えるのがおすすめです。
②クロード モネ
作出国 | フランス |
系統 | フロリバンダ(木立性) |
開花性 | 四季咲き |
花の色 | オレンジイエローピンク絞り |
花形 | ロゼット咲き |
花の大きさ | 中大輪(8cm) |
「クロードモネ」は大輪咲きの優雅で艶やかな佇まいが特徴のバラです。
病気にも強く樹高もそれほど高くないので、初心者の方でも簡単に育てられますよ。
この花は「第12回ぎふ国際ローズコンテスト」で金賞を獲得しています。まるで絵画のように美しい色合いとスパイシーな香りが特長です。
③レディ エマ ハミルトン
作出国 | イギリス |
系統 | シュラブ |
開花性 | 四季咲き |
花の色 | オレンジ/アプリコット |
花形 | カップ咲き |
花の大きさ | 中大輪(8cm) |
優しいアプリコット色が可愛らしい「レディエマハミルトン」は、イングリッシュローズです。イングリッシュローズとは、オールドローズとモダンローズを掛け合わせた品種で世界中でとても人気があります。
完全に四季咲きになるので、花が終了したら切り戻しさえしておけば春から秋まで何回も咲いてくれますよ。またフルーティな強い芳香もこの花の特徴です。
④モッコウバラ
作出国 | 中国 |
系統 | つる性低木 |
開花性 | 一季咲き(春) |
花の色 | イエロー/ホワイト |
花形 | 一重咲き~八重咲き |
花の大きさ | 小輪(2cm) |
まだ寒い初春に咲き始める「モッコウバラ」は、インド原産の木香(モッコウ)の芳香に似ていることから名付けられました。
大変丈夫で高温多湿にも強いので、育て方も簡単な初心者向けのバラです。
また他のバラとは違いトゲがないことも、このバラの魅力ではないでしょうか。
つる性の性質を持っているため、鉢植えの場合は支柱を用意します。大きく生長するので鉢は二回りほど大きなサイズがおすすめです。
⑤ノヴァーリス
作出国 | ドイツ |
系統 | シュラブ |
開花性 | 四季咲き |
花の色 | ラベンダー色 |
花形 | カップ咲き |
花の大きさ | 大輪(9cm) |
「ノヴァーリス」は、2010年にドイツで開発されたブルーローズになります。
青系のバラは病気にかかりやすいのが欠点でしたが、こちらは病気にも強く非常に丈夫です。花色は紫色に近く、冬以外の季節は屋外でもスクスク育ちます。ティー系のやわらかな香りも魅力的です。
鉢植えのバラの育て方
鉢植えのバラを園芸ショップなどで購入したら、まず植え替えが必要になります。
それは運搬などの都合で、小さなサイズの鉢に植えられていることが多いからです。
鉢植えにする場合は、植えてあった鉢よりも二回りくらい大きなサイズを用意すると良いでしょう。
ここでは鉢植えのバラの育て方のコツを、用土・置き場所・水やり・肥料・剪定・病気対策などに分けて紹介します。
用土
バラの土は通気性・保水性・排水性に優れていることが大切です。
この条件をクリアすることで、丈夫で美しいバラが育ちます。
初心者の方は、バラ専用の用土を使うのもおすすめです。鉢の底に敷く「鉢底石」も忘れずに準備してください。
バラに合った鉢底石は「軽石」または「パーライト」です。また赤玉土の粒が大きいサイズを鉢底石代わりに使うこともできます。
置き場所
バラは太陽の光と風を好みます。したがって一日最低でも3〜4時間は日光浴させてあげると良いでしょう。
午後よりも午前中のやわらかな日差しがおすすめです。
ただし真夏の暑い季節に西日に当てると、鉢の中が蒸れてしまって根が傷んでしまうことがあるので注意してください。
水やり
鉢植えのバラは、鉢の表面の土が乾いたら充分に水やりをします。なるべく朝の水やりがおすすめです。
また季節によっても水やりの仕方を変えて、バラが心地よい環境で過ごせるようにしましょう。基本的には夏でも一日一回の水やりで大丈夫ですが、夕方になって土が乾いている場合は、水を与えるようにしてください。冬の水やりは控えめにしましょう。
肥料
バラ専用の土には元肥が含まれていることがありますが、きれいな花を咲かせるには更に栄養を与えることが大切です。
四季咲きのバラは3、6、9月に追肥します。特に6月の追肥は夏バテを防止するためにも重要です。地植えと比較すると、鉢植えの場合は肥料切れを起こしやすくなります。
もし株に元気がないなと感じたら、液体肥料を与えても良いでしょう。また鉢植えの場合は寒肥は不要です。
肥料は「住友化学園芸」の固形タイプがおすすめ。こちらは元肥をはじめ、株のまわりにも追肥として使用することができます。
剪定
バラは適切な時期に剪定しないと、花付きが悪くなることがあります。
初めての方にとっては一番難しい作業かもしれませんが、もし切る場所を間違えてもバラが枯れてしまうことはないので挑戦してみましょう。
・冬剪定
植え替え前、12〜2月に行います。元気な芽の上の部分を、樹高の2分の1の高さになるようにカットすると良いです。
内芽の上でカットすると、株が広がるのを抑えることができます。
・夏剪定
四季咲きのバラは夏剪定を行うと開花の時期を揃えることができます。時期的には8月終わり~9月中旬がおすすめです。
夏剪定のメリットは乱れた株を整えることです。必ずしなければいけないわけではありません。
病気対策
バラに発生しやすい病気は「うどんこ病」「黒点病」になります。
バラの中には耐病性がある品種と繊細な品種があるため、初心者の方は耐病性があるものを選ぶようにしてください。
・うどんこ病
主に春〜夏にかけて発生しやすい病気です。この病気にかかると新しい葉や茎が粉をまぶしたように白くなります。
放置してしまうと弱ってしまうので、気づいたら早めに薬剤散布するのがおすすめです。
・黒点病
春から秋にかけ発生します。この病気になると葉にシミのような斑点ができます。気になる方は「ベンレート水和剤」を使用するのがおすすめです。
こちらは病原菌の侵入を防止する効果と、侵入した病原菌を撃退する治療効果があります。
初心者の方には植えのバラがおすすめ!
バラを育ててみたいけれど何だか難しそうと感じている方も多いのではないでしょうか。
そんな方におすすめなのは鉢植えのバラ。コツさえ押さえれば育て方も簡単なのでおすすめです。あなたも華やかで美しいバラを鉢植えで育ててみませんか?