ジギタリスの育て方|初心者でも上手に育てるコツ

 

ベル型の花をつけ、背の高い物は180センチほどにもなるジギタリス。毒性がありますが、薬草としてもしられ、ガーデニングでも人気のお花です。

本記事では、初心者でも上手に育てるためのポイントを丁寧に紹介し、季節ごとのケア方法や、安全に楽しむための注意点についても触れています。ジギタリスの美しい花を庭や鉢で楽しむための具体的なアドバイスを提供しますので、ぜひ参考にしてください。

ジギタリスとは

ジギタリスは、ゴマノハグサ科ジギタリス属の植物の総称です。

「狐の手袋」や「キツネノテブクロ」と呼ばれるように、ベル形の花が手袋のように連なって咲く姿が特徴です。

花色は、ピンクや白、紫など、様々な種類があり、その美しい姿から、洋風ガーデンで人気が高い植物です。

ここでは、ジギタリスの基本情報について紹介いたします。

ジギタリスの原産地と特徴

ジギタリスの原産地は、主に西ヨーロッパ・南ヨーロッパ・北東アフリカから中央アジアにかけてです。

ジギタリスの特徴は以下の通りです。

・ベル形の花を穂状につける ・すらっと優雅な花茎を伸ばす姿 ・洋風ガーデンで人気 ・本来は宿根草だが、耐暑性が弱く、暖地では二年草扱い ・開花のためにはある程度の大きさに達した苗が冬の低温に当たる必要がある ・全草に毒性があるが、薬草としても利用される

このように、ジギタリスは美しい花姿から人気の高い植物ですが、栽培には少し注意が必要な一面もあります。原産地の環境に近づけて管理することがポイントとなります。

ジギタリスの名前の由来

ジギタリスは、ギリシア語の「digitus(ディギトゥス)」が語源となっており、これは「指」を意味しています。

ジギタリスの花の形状が、手袋の指の部分に似ていることから、このように名付けられました。

実際、ジギタリスの花を横から見ると、まるで指が連なっているかのような姿をしています。花の内側には斑点模様があり、これも指の関節のように見えます。

さらに、ジギタリスには「狐の手袋」という和名もあります。これは英名の「フォックスグローブ」を直訳したものです。

「フォックス」は「狐」、「グローブ」は「手袋」という意味で、狐用の小さな手袋のような形であることを表現しています。

このように、ジギタリスの名前には、花の形状を的確に捉えた由来があるのです。ギリシア語に由来するラテン名と、英語に由来する和名の両方が、この植物の特徴をよく表していると言えるでしょう。

代表的なジギタリスの種類

ジギタリスにはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。

品種名 花色 草丈 特徴
エクセルサム 白、紫、ピンク 30~50cm 斑点がほとんどない、寄せ植えに向く
パープレア 紫、白、ピンク 90~120cm 原種に近い、斑点がある、切り花に適する
アンビグア 黄色 50~60cm 斑点がない、寄せ植えに向く
メリアナ ピンク、白 60~90cm シックな色合い
ダルマチカ 白、クリーム 60~90cm 斑点がない

以上のようにジギタリスにはさまざまな種類があり、花色や草丈、斑点の有無などが異なります。お好みの品種を選んで育ててみてはいかがでしょうか。

ジギタリスの育て方の基本

ジギタリスを育てるには、適切な環境選びが重要です。 ここでは、ジギタリスの育て方の基本をご紹介いたします。

適した環境と日当たり

ジギタリスの栽培に適した環境は、日当たりと風通しの良い場所です。

日光は1日に4~6時間程度必要です。ただし、真夏の直射日光は葉焼けの原因となるため避けましょう。レースのカーテン越しの光が当たる程度が理想的です。

風通しの良さも大切なポイントです。ジギタリスは過湿を嫌うため、風通しが悪いと根腐れを起こしやすくなります。

また、ジギタリスは寒さに強い植物ですが、霜には弱いという特徴があります。冬の間は霜よけをするなどの対策が必要です。

地域 露地での栽培可能時期
北海道・東北 5月中旬~10月中旬
関東・中部 4月下旬~11月上旬
近畿・中国・四国 4月上旬~11月中旬
九州 3月下旬~12月上旬

地域によって露地での栽培可能時期が異なるため、上記の表を参考に植え付け時期を調整しましょう。

以上のように、ジギタリスを上手に育てるには日当たりと風通しに気をつけることが大切です。

植え付け時の注意点

ジギタリスを植える際は、根鉢を崩さないように注意しましょう。根鉢を崩してしまうと、根が傷つき生育が遅れてしまうことがあります。また、植え付けの深さは、根鉢の上部が土面とほぼ同じになるように植え付けます。深植えすると根腐れの原因となるため注意が必要です。

土づくりのポイント

ジギタリスは水はけのよい砂れき質の土を好みます。粘土質の土壌の場合は、パーライトや腐葉土などの有機質の堆肥を加えて通気性と排水性を高めることが重要です。

ジギタリスを植える場合には、以下のような用土が良いでしょう。

  • 水はけと通気性に富む
  • 適度な保水性がある

赤玉土(小粒)6:腐葉土3:軽石1などの割合で混ぜ合わせるのがおすすめです。

ジギタリスに合った土づくりを行うことで、健康的に育て上げることができます。植え付け時にしっかりと土づくりをしておきましょう。

水やりの頻度と量

ジギタリスは、基本的に水を好む植物です。土の表面が乾いたら、たっぷりと水やりをしてあげましょう。 目安としては、春から秋にかけては1週間に2~3回程度、冬場は2週間に1回程度あげましょう。

ただし、水やりのタイミングは気温や日照、風通しなどの環境によっても変わります。 鉢植えの場合は、特に土の乾きが早いので注意が必要です。 逆に、水はけの悪い土に植えられている場合は、根腐れを起こしやすいので水やり過ぎには注意しましょう。

ジギタリスの元気な成長のためには、適度な水分管理がポイントとなります。土の状態をよく観察しながら、植物に合わせた水やりを心がけてあげてくださいね。

肥料の与え方

ジギタリスの生育期は春と秋の2回あります。4月下旬~6月下旬、および9月上旬~10月上旬が肥料を与えるタイミングです。

肥料の種類と与え方のポイントは以下の通りです。

・緩効性の置き肥:1ヵ月に1回程度与える

・液肥:1~2週間に1回程度与える

緩効性の置き肥は、ゆっくりと長い期間栄養を供給してくれる粒状の肥料です。月に1回程度、植物の周りに置いて土に混ぜ込むようにします。

一方、液体肥料は水に溶かして与える肥料で、即効性があります。週に1~2回程度、規定の濃度に薄めて株元にかけるようにしましょう。

ジギタリスは肥料を好む植物なので、生育期にはしっかりと栄養を与えることが、豪華な花を咲かせるコツとなります。冬の休眠期には肥料は控えめにしてください。

ジギタリスの管理のコツ

ジギタリスの元気な株を維持するには、適切な管理が必要です。ここでは、ジギタリスの管理のコツをご紹介します。

病害虫対策(特にアブラムシ)

ジギタリスを育てる上で、病害虫対策は欠かせません。特にアブラムシは発生しやすい害虫の一つです。

アブラムシ対策のポイント:

  • 葉の裏などを良く観察し、早期発見・早期防除を心がける
  • 発生初期は葉をつまんで駆除する
  • 水で流し落とす、または石けん水を散布する
  • 天敵(テントウムシなど)を活用する
  • 薬剤を使用する場合は、ジギタリスに登録のある薬剤を選ぶ

健康なジギタリスを育てるには、日頃から病害虫の発生に気をつけ、適切な対策を行うことが大切です。

花がら摘みと切り戻し

ジギタリスの花がら摘みと切り戻しを上手に行うことで、より長く美しい花を咲かせることができます。

花がら摘みは花が終わったらこまめに行います。花がらをそのままにしておくと種ができてしまい、株の勢いが衰えてしまうためです。花茎の付け根から切り取るようにします。

切り戻しは夏の暑さで花つきが悪くなった時期に行います。花茎を根元から10cmほど残して切ります。切り戻しにより、秋に再び花を咲かせてくれる場合があります。

<切り戻しのポイント>

  • 切り戻し適期:夏の花が終わった頃
  • 切り方:花茎を根元から約10cm残して切る
  • 切り戻し後:新しい花芽を育てるため、水と肥料を与える

適切なタイミングでの花がら摘みと切り戻しは、ジギタリスをより長く美しく咲かせるための大切な作業です。こまめにお手入れすることで、初夏から秋まで長く花を楽しめるでしょう。

支柱立ての必要性

ジギタリスは花茎が長く伸びるため、支柱を立てて茎を固定する必要があります。支柱を立てないと、以下のような問題が発生します。

・茎が倒れて花が土に付く ・風で茎が折れてしまう ・見栄えが悪くなる

支柱の立て方のポイントは次の通りです。

  1. 植え付け時、または茎が20cm程度に育ったタイミングで支柱を立てる
  2. 支柱は垂直に深く差し込み、しっかり固定する
  3. 茎は緩めに結束し、茎の伸長に合わせて結束位置を上げていく
  4. 結束はひもや柔らかいテープを使う(針金は茎を傷める可能性あり)

初心者の方は、園芸用の簡易支柱や、ネットタイプの支柱などを使うと手間が省けておすすめです。きちんと支柱を立てることで、ジギタリスを上手に育てることができるでしょう。

夏越しと冬越しの方法

ジギタリスは基本的に2年草ですが、上手く管理すると夏と冬を越して翌年も楽しめます。

ジギタリスの夏越しのポイントとして、まず日当たりの良い風通しのある場所に移動させることが大切です。鉢植えの場合は、屋外の木陰などに置くと良いでしょう。水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと行い、葉が黄色くなった場合は少し控えめにします。

冬越しのポイントとしては、気温が下がる前に室内の日当たりの良い場所に移動させ、10℃以下にならないように管理することが重要です。水やりは土が乾いてからほんの少しだけ行い、葉が枯れてきたら水やりを止めます。そして、春になって新芽が出るまで我慢します。

上手に夏と冬を乗り切ることで、ジギタリスを2年以上楽しむことができます。古い葉を取り除き、株元に日光が当たるようにするのも育てるコツです。冬の間は植物を休眠させ、春に再び芽吹かせることで、長くジギタリスを楽しむことができるでしょう。

 

ジギタリスの増やし方

ジギタリスの増やし方は、挿し芽で増やす方法と、種まきで増やす方法があります。ここではこの2種類の増やし方について、ご紹介いたします。

挿し芽での増やし方

ジギタリスは挿し芽で簡単に増やすことができます。適した時期は6月頃で、まず健康な親株から10cm程度の茎を切り取ります。この時、葉は2~3枚残して他は取り除きましょう。

挿し穂を作ったら、以下の手順で挿し芽を行います。

  1. 鉢に水はけの良い用土を入れる(鹿沼土7:腐葉土3の割合がおすすめ)
  2. 挿し穂の下部1/3を切り口が隠れる程度まで差し込む
  3. 霧吹きで挿し穂に水を与える
  4. ビニール袋などで覆い、日陰で管理する
  5. 1ヶ月ほどで発根するので、その後は徐々に日に当てる

挿し芽後のジギタリスは、翌年の開花に備えてゆっくりと育てていきましょう。肥料を控えめにして、徒長しないように管理するのがポイントです。冬は霜よけをして越冬させれば、春に美しい花を咲かせてくれるでしょう。

種まきでの増やし方

ジギタリスの種まきは5月〜7月が適期です。種は小さいので、以下の手順で丁寧に育苗しましょう。

  1. ポットなどに種をまく(土は薄くかぶせる)
  2. 霧吹きで水やりし、種が流れないよう注意する
  3. 発芽後もしばらくは茎が伸びず、小さな苗のまま冬越しさせる
  4. 春になり気温が上がると茎が伸び始め、花穂がつく

種まきの翌年、二年目の初夏に開花が楽しめます。

また、7月までに種を採取した場合はその場でまくことも可能です。採取が遅れた場合は、保管しておいて9月頃に種まきするのがおすすめ。冬越し後の翌年に、大きな花を咲かせてくれるでしょう。

ジギタリスを種から育てる際のポイントは、発芽後の生育の遅さを理解しておくことです。小さな苗のまま冬を越し、春になって急に成長が始まります。じっくりと育てる楽しみを味わいながら、美しい花を待ちましょう。

種の採取方法

ジギタリスの種を自分で採取する際には、以下の点に注意しましょう。

・種を採取するタイミングは、花後の実が茶色く変色して裂け始めたころが適しています。 ・種は非常に小さいので、こぼれないように新聞紙などを下に敷いて作業しましょう。 ・採取した種は、乾燥剤と一緒に密閉容器に入れ、涼しい場所で保管します。

種まきの適期と方法は以下の通りです。

【種まきの適期と方法】

項目 内容
種まき適期 9月下旬〜10月上旬
種まき場所 プランター、鉢、苗床
覆土の厚さ 5mm程度
発芽適温 15〜20℃
日当たり 明るい日陰

上手に発芽・育苗させるコツは、過湿を避けることです。発芽するまでは表面が乾いたらたっぷり水やりし、発芽後は控えめにします。本葉が2〜3枚になったら、一回り大きな鉢に植え替えましょう。

切り花としての利用方法

ジギタリスは切り花としても人気があります。花持ちが良く、アレンジメントにも使いやすい花材です。

ジギタリスは花持ちが良く、1週間程度は楽しむことができます。花茎が長く、フラワーアレンジメントのアクセントとして非常に効果的です。さらに、ジギタリスはガーデニングシーズンに収穫できるため、自宅の庭から切り花として利用することも可能です。これにより、手軽に美しいアレンジメントを楽しむことができます。

ジギタリスを切り花にする際のポイントを表にまとめました。

ポイント 説明
収穫のタイミング 花が3分の1程度開花した頃
茎の長さ 花穂を含めて70~80cm程度
水揚げ 茎の下部を斜めにカットし、新鮮な水に生ける
日持ち 涼しい場所に置き、水を毎日取り換える

このように、ジギタリスは切り花としても魅力的な植物です。アレンジメントやブーケに取り入れて、ガーデンの雰囲気を室内にも取り込んでみてはいかがでしょうか。花の毒性には十分注意しつつ、上手に楽しんでいきましょう。

ジギタリス栽培の注意点

ジギタリスは美しい花を咲かせる観賞用植物ですが、同時に猛毒を含む危険な植物でもあることを認識しておく必要があります。

ここでは、ジギタリスを育てるうえでの注意点を紹介いたします。

毒性のある植物であることの認識

ジギタリスは美しい花を咲かせる観賞用植物ですが、同時に猛毒を含む危険な植物でもあることを認識しておく必要があります。 ジギタリスが含有する毒性成分は以下の通りです。

・ジギトキシン(digitoxin) ・ギトキシン(gitoxin) などの強心配糖体

これらの毒性成分は、誤食した場合に以下のような中毒症状を引き起こします。

・胃腸障害 ・嘔吐 ・下痢 ・不整脈 ・頭痛 ・めまい ・重症時は心停止により死に至ることも

ジギタリスによる食中毒の事例としては、コンフリーと間違えて摂取し中毒症状が出たケースが報告されています。 観賞目的で栽培する際は、食用植物と隔離して管理するなど細心の注意が必要です。

ペットや小さな子供がいる家庭での注意点

ジギタリスは全草に毒性があるため、ペットや小さな子供がいる家庭では特に注意が必要です。誤って口にしてしまうと、以下のような症状を引き起こす可能性があります。

  • 胃腸障害
  • おう吐
  • 下痢
  • 不整脈
  • 頭痛
  • めまい

重症化すると、心臓機能が停止して死亡することもあるほど危険です。

ジギタリスの葉は、食用とされてきたコンフリーの葉と形が似ているため、間違えて食べてしまう事故も発生しています。コンフリーの葉も過剰摂取は肝障害のリスクがあることがわかっているので、どちらも口にしないよう十分気をつけましょう。

ジギタリス栽培を楽しむ際には、ペットや子供の安全を確保するためにいくつかの点に留意することが重要です。

まず、生育場所を柵などで囲い、ペットや子供が近づけないようにすることが必要です。

また、ジギタリスの葉や花を室内に持ち込まないようにすることで、誤食のリスクを減らすことができます。さらに、子供にはジギタリスが有毒であることをしっかり教え、危険性を理解させることが大切です。

万が一、誤食してしまった場合は、すぐに医療機関へ相談し、適切な対処を行うようにしましょう。

まとめ

ジギタリスは、ヨーロッパを原産地とする二年草または多年草です。ベル形の美しい花を穂状に咲かせ、洋風ガーデンにはなくてはならない存在です。

育て方のポイントは以下の通りです。

  • 日当たりのよい場所か明るい半日陰で育てる
  • 水はけのよい砂質土壌を好む
  • 乾燥気味に管理し、土の表面が乾いてからたっぷり水やり
  • 植え付け時と春先に緩効性化成肥料を施す
  • アブラムシの発生に注意し、こまめに花がら摘みを行う
  • 挿し芽や種まきで簡単に増やせる

ジギタリスには毒性があるので、小さな子供やペットのいる家庭では注意が必要です。しかし、その優雅な姿と美しい花は、少し手間をかけて育てる価値は十分にあります。ぜひ、あなたのお庭にジギタリスを取り入れて、初夏の彩りを楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

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