彼岸花の花言葉とは?色別の花言葉や基本情報なども紹介

秋の彼岸に咲く花といえば、真っ先に思い浮かぶのが彼岸花です。鮮やかな赤色の花は美しい一方で、「毒がある」「不吉な花」などと怖いイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、彼岸花全体の花言葉や色別の花言葉をはじめ、主な特徴や名前の由来、代表的な種類などを詳しく解説します。

彼岸花全体の花言葉

彼岸花全体の花言葉は、「情熱」「独立」「あきらめ」「悲しい思い出」「また会う日を楽しみに」などです。

「情熱」や「独立」といった前向きな花言葉は、鮮やかな赤色の花から連想されるイメージに基づいています。一方で、「あきらめ」「悲しい思い出」などの寂しげな花言葉は、お彼岸に故人を偲ぶ気持ちが反映されていると考えられます。

「また会う日を楽しみに」の花言葉は、彼岸花が咲く時期には葉がなく、花が終わったあとに葉が出てくる特徴から再会への期待を表しているのかもしれません。

彼岸花は、お彼岸の時期に咲く儚くも美しい花です。花言葉からは、「故人への思いを馳せつつも前を向いて生きる」という両義的なメッセージが感じられます。彼岸花を見つめながら、大切な人との思い出にひたるのも一興かもしれません。

花言葉に怖い意味はある?

彼岸花の花言葉自体に怖い意味はありません。しかし、「あきらめ」「悲しい思い出」など、ネガティブな印象を与える花言葉があり、人によっては怖いと感じてしまう可能性があります。

「あきらめ」や「悲しい思い出」は、一見暗い印象を与えるかもしれませんが、これらの花言葉は故人を偲ぶ気持ちを表現しているといわれています。

彼岸花には「また会う日を楽しみに」といった前向きな花言葉を持っているため、先入観にとらわれて怖がる必要はないでしょう。

彼岸花の色別花言葉

彼岸花は、色別でも花言葉が異なります。ここでは、以下の4色が持つ花言葉を詳しく紹介します。

  • 赤色の彼岸花
  • 黄色の彼岸花
  • ピンク色の彼岸花
  • 白色の彼岸花

赤色の彼岸花

赤色の彼岸花の花言葉には、「情熱」「独立」「悲しい思い出」「再会」などがあり、彼岸花全体の花言葉と同じような言葉を持っています。

上述したように、「情熱」「独立」の花言葉は鮮やかな赤色から連想されたイメージであり、強い生命力や意志を表現しています。

一方、彼岸花が咲く時期のお彼岸はあの世とこの世が最も近づき、亡くなった人を思い出す機会です。そのため、「悲しい思い出」などの大切な人を失った寂しさや切なさを感じさせる花言葉が与えられたと考えられます。

しかし、「再会」の花言葉からは悲しみばかりでなく、いつかまた故人に会える日を心待ちにする前向きな思いも込められています。

彼岸花に思いを馳せることで、大切な人を失った悲しみとその思い出を糧に再び歩み出す勇気の両方を感じられるでしょう。

黄色の彼岸花

黄色の彼岸花の花言葉は、「追想」「深い思いやりの心」「陽気」「元気」などです。

「追想」は、彼岸花全体の花言葉と共通しており、お彼岸の時期に故人を偲ぶ心情が反映されています。一方で、「深い思いやりの心」「陽気」「元気」といった前向きな花言葉は、黄色の明るく華やかな色合いから連想されるポジティブなイメージに由来すると考えられます。

黄色の彼岸花は、彼岸花特有の儚さと黄色の持つ明るさが融合した独特の魅力を放っています。花言葉の意味を踏まえつつ、その美しい姿を楽しんでみてはいかがでしょうか。

ピンク色の彼岸花

ピンク色の彼岸花は、「快い楽しさ」「楽しむ」「深い思いやり」などです。

「快い楽しさ」「楽しむ」は、ポップな印象を与える雰囲気からつけられた花言葉であると予想できます。一方、「深い思いやり」は愛情深さを感じられるピンク色になぞって表現されたことが伺えます。

ピンク色の彼岸花は、赤色や黄色と比べるとやや珍しい見た目であり、キュートな色合いが魅力的です。花言葉も前向きに捉えられる言葉が多いため、女性に対するギフトとしておすすめです。

白色の彼岸花

白い彼岸花の花言葉は、「また会う日を楽しみに」「想うはあなた一人」です。

上述したように、「また会う日を楽しみに」は彼岸花の花が終わったあとに葉が出てくる特徴から、再会への期待を表していると考えられます。一方、「想うはあなた一人」は、白い花の純粋なイメージと重なる一途な気持ちを表現しているといわれています。

白色の彼岸花は花言葉の通り、亡くなった人への変わらぬ思いや、また会える日を心待ちにする気持ちのメッセージを込めるのに適しているでしょう。愛する人を失った悲しみとその思い出を胸に、前を向いて歩んでいく勇気を与えてくれる花ともいえます。

彼岸花の基本情報

 

彼岸花の基本情報は以下の通りです。

科・属 ヒガンバナ科・ヒガンバナ(リコリス)属
英名 Red spider lily、Hurricane lily、Red magic lily など
学名 Lycoris radiata
和名 彼岸花
タイプ 多年草
草丈 20~40cm
原産地 中国
開花時期 9月中旬~9月下旬
開花場所 畔、畑、墓地 など
耐陰性 強い
耐寒性 強い
耐暑性 強い
誕生花 9月13日 、9月20日、9月23日、11月15日

主な特徴

彼岸花は、ヒガンバナ科・ヒガンバナ(リコリス)属に属する多年草の植物です。20~40cmほどの長くスッと伸びた茎の先に、星のように拡散する花びらが特徴的です。

彼岸花は一般的な花と異なり、花が終わったあとに葉が出てくる性質を持っているため、花が咲いている期間は葉がありません。独特な雰囲気を与えるその特性から「葉見ず花見ず」などとも呼ばれ、昔の人には不思議な存在として捉えられていたといわれています。

また、多くの花や植物が春から夏にかけて成長していく一方で、彼岸花は秋から冬にかけて成長が活発になるサイクルがあります。

見頃の時期

彼岸花の見頃は、秋分の日を挟む秋のお彼岸の時期の9月中旬~9月下旬です。名前の通り、お彼岸の時期に畔や畑などで美しい花を咲かせます。

彼岸花が開花する気温は約20~25℃とされており、秋のお彼岸の時期の気温と一致します。ただし、地域差や日当たりの条件などにより、開花時期に多少のずれが生じるかもしれません。

彼岸花は開花から約1週間ほどで散ってしまう儚さがありますが、秋の風物詩として古くから親しまれてきました。お彼岸の時期だけに咲く彼岸花を目にすれば、夏の名残と冬の訪れを同時に感じて季節の移ろいを実感させてくれるでしょう。

名前の由来

彼岸花の名前は、秋のお彼岸入りに咲き始めることに由来しています。お彼岸とは、秋分の日を中心とした1週間の期間で亡くなった人を偲ぶ行事のことです。

また、お彼岸には、「此岸(現世)」に対する「あの世」という意味があります。彼岸花には毒性があることから、「彼岸花を食べると彼岸(あの世)に行ってしまう」という説もあり、この点も名前の由来に関係しているといわれています。

英語圏では、「Red spider lily(レッドスパイダーリリー)」「Hurricane lily(ハリケーンリリー)」「Red magic lily(レッドマジックリリー)」などと呼ばれており、花の色や形状に由来している名称が多いです。

彼岸花の別名

彼岸花は古くから存在する植物であるため、迷信や言い伝えから派生した別名が数多くあります。地域ならではの呼び方を含めると、1,000個を超えるともいわれています。

代表的な呼び名は以下の通りです。

  • 曼珠沙華(まんじゅしゃげ・かんじゅしゃか)
  • 死人花(しびとばな)
  • 幽霊花(ゆうれいばな)
  • 地獄花(じごくばな)
  • 毒花(どくばな)
  • 痺れ花(しびればな)
  • 剃刀花(かみそりばな)
  • 狐花(きつねばな)
  • 捨て子花(すてごばな)
  • 天蓋花(てんがいばな)

彼岸花は怖いイメージを想起させる別名が多くありますが、「彼岸=あの世」というような連想から生まれたものと考えられています。しかし、さまざまな別名があるということはそれだけ彼岸花が古くから親しまれていた証であり、人々の暮らしに近い存在だったといえるでしょう。

青色や黒色は存在する?

青色の彼岸花はアニメを通じて注目を集めていますが、残念ながら現状は存在しません。

彼岸花には赤色やピンク色、白色、黄色など、さまざまな色がありますが、青系の花が咲かないのには理由があります。それは、青の色素を作り出す酵素遺伝子が彼岸花の中に非常に少ないからだといわれています。

ただし、近年では「青色の花」の開発に成功した事例も増えてきているため、さらに遺伝子組み換え技術がさらに進歩すれば、青色の彼岸花を見られる可能性があるでしょう。

黒色の彼岸花も青色の彼岸花同様に、現時点では存在が確認されていません。彼岸花の中には「クロバナヒガンバナ」と呼ばれる黒みがかった赤色の彼岸花があるため、この品種を黒色の彼岸花だと誤解している可能性が高いです。

また、彼岸花は枯れると花が黒ずむことがあるため、枯れた花を黒色の彼岸花の一種だと勘違いしているケースも考えられます。

彼岸花が不吉なイメージを持たれている理由

彼岸花は不吉なイメージが持たれやすいですが、どのような原因が挙げられるのでしょうか。主な理由としては、以下の4つが挙げられます。

  • 「彼岸」とついている
  • ネガティブな花言葉が多い
  • 古くからの言い伝えが残っている
  • 毒を持っている

ここでは、それぞれの理由や原因について具体的に解説します。

「彼岸」とついている

彼岸花の名前に「彼岸」が含まれていることが、不吉なイメージを持たれる一因となっています。彼岸という言葉から連想されるのは、あの世や死といったネガティブなものです。

しかし、彼岸の本来の意味はサンスクリット語で「悟りの世界」を表しており、必ずしも死や不吉なことを意味しているわけではないことは理解しておきましょう。

また、彼岸花に対する不吉なイメージを持っているのは日本独特の性質であり、海外では人気のある花として親しまれています。彼岸花の名前にとらわれず、その美しさや花言葉に込められた意味を知ることで、彼岸花に対する印象も変わってくるのではないでしょうか。

ネガティブな花言葉が多い

彼岸花の花言葉には「あきらめ」「悲しい思い出」といった暗いイメージを連想させるものがあり、不吉な印象を与える理由になっているかもしれません。しかし、これらの言葉には故人を偲ぶ気持ちが込められているとも解釈できます。

特に、「あきらめ」という言葉は一般的にネガティブなニュアンスがありますが、仏教の文脈では真理を悟ることを意味する前向きな言葉でもあります。人生には避けられない別れがつきものですが、そういった悲しみを乗り越え、新たな一歩を踏み出す勇気を与えてくれるのが彼岸花なのかもしれません。

彼岸花の花言葉の多くは死や別れに関連していますが、それと同時に大切な人を思う気持ちや再会を願う前向きなメッセージも込められているので、しっかりと意味を理解しておくことが大切です。

古くからの言い伝えが残っている

彼岸花に対する不吉なイメージが定着した背景には、古くから伝わる怖い迷信や言い伝えも影響していると考えられます。

彼岸花には「摘むと死人が出る」「家に持ち帰ると火事になる」「食べるとあの世に行く」など、不吉な出来事や死をイメージさせる言い伝えが数多く存在します。このような言い伝えが古くから語り継がれてきたことで、彼岸花は不吉で怖いといったイメージが人々の間に広まったのかもしれません。

しかし、これらの言い伝えの多くは科学的根拠に乏しく、迷信の域を出ないものがほとんどです。

彼岸花が持つ独特の雰囲気は不吉なイメージを連想させやすいかもしれませんが、根拠のない言い伝えにとらわれる必要はないでしょう。

毒を持っている

彼岸花の花や茎などには毒性があり、特に球根部分の毒性が強いことが知られています。主な毒成分はアルカロイドで約20種類が含まれているといわれており、それが不吉や怖いといった印象を与えている要因として考えられます。

彼岸花を誤って摂取してしまうと、吐き気や下痢などの中毒症状を引き起こす可能性があり、最悪の場合は中枢神経の麻痺により死に至ることもあるため、絶対に口にしてはいけません。

昔から畔や畑、墓地に彼岸花が植えられているのは、この毒性を利用してモグラやネズミなどの害獣から農作物や埋葬された遺体を守る目的があったといわれてます。球根の毒性は非常に強力で、地中に住むモグラやネズミでさえも彼岸花の球根は食べないといわれているほどです。

毒があると聞くと怖いイメージをする方は多いと思いますが、毒がある植物は珍しいことではありません。その特性をうまく活用して人々の生活を守ってきた歴史があるので、必要以上に怖がらなくても良いでしょう。

彼岸花の代表的な種類

彼岸花の代表的な種類は以下の3つです。

  • シロバナマンジュシャゲ
  • キツネノカミソリ
  • ショウキズイセン

ここでは、それぞれの品種の特徴を詳しく見ていきましょう。

シロバナマンジュシャゲ

シロバナマンジュシャゲは、白い花びらが美しい彼岸花の品種です。花びらの縁がゆるやかに波打ち、外側にほどよく反り返るのが特徴的です。

別名「白彼岸花」「白花曼珠沙華」「リコリス・アルビフローラ」とも呼ばれており、彼岸花同様に9~10月にかけて咲きます。

シロバナマンジュシャゲの起源は、ヒガンバナの突然変異説とヒガンバナとショウキズイセン(オーレア)の交配種説の2つの説があります。園芸品種も多く作出されており、純白のものだけでなくピンク色や黄色の花を咲かせる種類など多種多様です。

キツネノカミソリ

キツネノカミソリは、風変わりな名前が印象的な彼岸花の品種です。東北地方から南部にかけて自生しており、彼岸花の仲間としては珍しく夏頃に花を咲かせます。

花の形は、まるで漏斗(ろうと)を連想させるような見た目をしており、内側から外側へと広がる独特の形状をしています。花びらは赤みを帯びたオレンジ色で、30~50cm程度にまで成長します。

キツネノカミソリの由来ははっきりとしていませんが、個性的な呼び名で人々の好奇心をくすぐられる方は多いのではないでしょうか。

キツネノカミソリは、彼岸花の中でも異彩を放つ存在です。個性的な名前と美しい姿は、一度目にしたら忘れがたい印象を与えてくれるでしょう。

ショウキズイセン

ショウキズイセンは、黄色の彼岸花として親しまれている品種です。「ショウキラン」「オーレア」とも呼ばれており、彼岸花の近縁種に当たります。

その中でも、オーレアはラテン語で「金色」という意味があり、ショウキズイセンを的確に表現しているといえるでしょう。

ショウキズイセンの最大の特徴は、鮮やかな黄色の花びらです。彼岸花と比べると花びらが幅広く、一回り大きくなっています。花びらは波打つように外側に反り返って咲くのが特徴的であり、優雅な印象を与えます。

彼岸花よりも少し遅い時期から咲き始めて11月ごろまで花を楽しめるため、花の少ない時期に彩りを添えてくれる貴重な存在です。

まとめ

彼岸花は、秋のお彼岸の時期に咲く美しい花です。花言葉には「情熱」「独立」といった前向きな意味と、「あきらめ」「悲しい思い出」などの寂しげな意味があります。

毒を持っていることや不吉な言い伝えから怖いイメージを持たれがちですが、古くから親しまれていて人生の悲しみと再生を表す花でもあります。

色や種類が豊富であり、シロバナマンジュシャゲやキツネノカミソリ、ショウキズイセンなどが代表的です。ぜひ本記事を参考に、彼岸花を眺めながら故人を偲ぶ思いにひたってみてはいかがでしょうか。

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