ルピナスの育て方のコツとは?水やりや増やし方などを紹介
ルピナスは、藤の花を逆さまにしたような咲き姿が蝶に見える特徴的な花です。小さく可愛らしい花をたくさん咲かせ、バリエーション豊富な色合いが人気を集めています。
最近では切り花としてだけでなく、ガーデニングシーンでも注目を集めている植物です。
そこで今回は、ルピナスの基本情報をはじめ、水やりや増やし方など、育て方を詳しく解説します。
ルピナスはどんな花?
ルピナスの基本情報は以下の通りです。
科・属 | マメ科・ハウチワマメ属(ルピナス属) |
学名 | Lupinus |
英名 | Lupin、Russell lupinus |
和名・別名 | ハウチワマメ(葉団扇豆)、タチフジ(立藤)、ノボリフジ(昇藤) |
原産地 | 北アメリカ、南アフリカ、地中海沿岸 |
開花時期 | 4~6月 |
ルピナスの特徴
花穂に、蝶のような形をした小さな花をたくさん咲かせます。花の色には赤色やピンク色、オレンジ色、黄色、白色、紫色などがあり、それぞれの色の濃淡も豊富にあります。
また、ヤツデのような可愛らしい葉も特徴的であり、個性的な花の姿に見惚れる方は多いのではないでしょうか。
ルピナスは花合わせのアクセントとなるため、草花を集めたナチュラルな雰囲気の花束やスタイリッシュなフラワーアレンジメントにマッチする植物です。
ルピナスの花言葉
ルピナスの花言葉は、「想像力」「いつも幸せ」です。カラフルな見た目で天に向かって咲き、ポジティブな雰囲気がある見た目にマッチした花言葉といえるでしょう。
入学や就職のシーンはもちろんのこと、これから新しいことを始める方や、いつも幸せな日々を過ごせていることへの感謝を伝えたい相手に贈ってみてはいかがでしょうか。
ルピナスの品種
ルピナスの品種は、原種と園芸品種を含めて200種以上存在します。主に流通しているのは、1年に一度しか咲かせない「一年草」と次の年も花を咲かせる「多年草」の品種です。
ただし、ルピナスは暑さに弱く夏越しが難しい品種が多いため、日本では多年草のルピナスも一年草として扱われることは少なくありません。
ルピナスの主な品種と特徴は、以下の通りです。
品種名 | 特徴 |
ラッセル・ルピナス | 「ジョージ・ラッセル」とも呼ばれている多年草の品種です。園芸用に改良されたものであり、草丈が150cm程度まで成長するため、存在感を放っています。 |
カサバルピナス | 南ヨーロッパ原産であり、白とブルーのツートンカラーが美しい品種です。名前のカサバ(傘葉)は、大きな葉が傘のように見えることからつけられました。 |
キバナルピナス | 南ヨーロッパ原産であり、鮮やかな黄色ルピナスです。和名では、「キバナノハウチワマメ」と呼ばれており、甘い香りが特徴的です。地中海沿岸の地域では、お酒のおつまみとして種子が食べられています。 |
ピクシー・デライト | 背丈の低い品種であり、他のルピナスと異なり暖かい地域でも育ちやすいのが特徴です。ソフトブルーや淡いピンクが優しい印象を与え、可愛らしい花が人気を集めています。 |
リリアン | 黄色やピンク色、紫色といった鮮やかな色合いが特徴の早咲きの品種です。草丈は50cm程度になり、比較的コンパクトな見た目が人気です。 |
ルピナスの育て方
ここでは、ルピナスの育て方について解説します。
押さえておきたいコツなども紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
種まき・植え付け
ルピナスは、移植を嫌う植物なので種から育てるのが基本です。
種まきのタイミングは、多年草のルピナスなら6月ごろ、一年草のルピナスなら9~10月ごろであり、適した時期が異なる点には注意してください。
ルピナスの種は硬いので、種まきの前は一晩水につけて吸水させておきましょう。種がふっくらした状態で、乾かないうちに種まきを行います。
ルピナスの種まき方法は以下の通りです。
- ポットに種を2~3粒をまきます。
- ルピナスの種は嫌光性種子なので、土の上を数cm程度土で覆って光が当たらないようにしておきましょう。
- 2~3日に1回、水やりを行いながら発芽するまで日陰で管理します。
- 発芽後は成長を促すために日の当たる場所で管理します。
ルピナスは移植を嫌うため、ポットで発芽させたあとは根を傷つけないように中の土ごと植木鉢や庭に植え替える方法がおすすめです。
苗から育てる方法
ルピナスは、春に出回るポット苗から育てることも可能です。ポット苗の場合は、鉢植えか地植えで植え付けてから管理してください。
鉢植え・プランターで育てる場合
ポットより2まわりほど大きな鉢やプランターに植え付けを行います。水はけを良くするために底に軽石を敷き、根を傷つけないように優しく植え替えを行いましょう。
具体的な手順は以下の通りです。
- 植え替える新しい鉢の底にネットを敷き、全体の1/6程度の軽石を入れます。
- ルピナスの苗を鉢の中央にセットし、周囲に土を足していきます。その際、できるだけ根をいじらないようにするのがポイントです。
- 鉢のまわりを割りばしなどで突つきながら土を足していくと、徐々に隙間が埋まっていくはずです。
- 水やりのスペースを残すため、鉢の上から2cmほど下のところまで土を入れます。
- 植え替え後は土が浮いてこないように優しい水圧のじょうろでたっぷり水を与えましょう。2~3日は日陰で管理し、苗が安定したら日向に移します。
地植えで育てる場合
地植えの場合は、日当たり良く土が硬すぎない場所に植え付けを行います。株と株の間は30cmほど空けて植え付けると良いでしょう。
具体的な手順は以下の通りです。
- 地植えを行いたい場所の雑草を取り除きます。雑草があると必要な栄養分を取られてしまうので、可能な限り除去してください。
- 地植えする前にルピナスの苗を確認し、痛んだ葉があれば取り除きます。
- 根を傷めるとうまく育たないことがあるので、優しくポットから外して苗を植えて上から押さえるように土をかけて固定します。
- 地植え後は、土が流れないように優しいじょうろを使って水やりを行いましょう。
日当たり
ルピナスは日光を好みますが湿度の高い場所が苦手なので、育てる際は日当たりと風通しの良い場所を選びましょう。花をたくさん咲かせるには、直射日光が6時間以上当たる環境が必要だといわれており、日陰でずっと育てているとうまく開花しないので注意してください。
また、直根性のルピナスは移植を極端に苦手とします。途中で場所を変えると枯れてしまう可能性があるので、最初の場所選びは慎重に行うことが大切です。
水やり
ルピナスは湿度が高い場所を嫌うので、できるだけ乾燥気味に管理するのがポイントです。
地植えの場合は極端に雨が少ない状況を除き、基本的に水やりは必要ありません。乾燥した状態が何日も続いたときに水やりを行う程度で十分です。
一方、鉢植えの場合は土が乾いてから水やりを行います。その際、鉢底から水が出るまでたっぷりと水をやり、メリハリをつけて行うことが大切です。
水やりをしすぎてしまうと根腐れといったトラブルにつながってしまう可能性があるので注意してください。
用土
ルピナスは、通気性と水はけの良い土を好みます。粘土質の土壌は蒸れる傾向にあり、根腐れを起こしやすいのでルピナスには不向きです。
土に適度に水分を加え、手ですくい上げたときにある程度塊が残り、塊を軽く指で押すと崩れ落ちる程度が理想的です。
地植えの場合は、植え付けを行う1週間ほど前に有機石灰や苦土石灰などを混ぜこみ、弱アルカリ性~中性の土壌をつくっておきましょう。
鉢植えの場合は底に軽石を敷き、通気性と排水性を高めます。土は草花用にブレンドされたものか、赤玉土をメインにブレンドした土を使用すると良いでしょう。
冬越し・夏越し
ルピナスは比較的寒さに強い植物です。地植えで育てる場合も、-5℃程度であれば冬越しできます。
ただし、凍結すると枯れてしまうので、寒さが厳しい地域の場合は根元をバークチップや藁で覆い保護すると良いでしょう。
一方、夏では気温が25℃を超えると成長しなくなってしまいます。日本の夏は高温多湿でルピナスにとっては厳しい環境なので、夏越しさせるのは難しいかもしれません。
地植えのルピナスを夏越しさせたい場合は、鉢やプランターに植え替えて日当たりが良く涼しい室内で管理する必要があります。
ただし、上述したようにルピナスは移植を嫌うので、地植えから鉢やプランターに植え替える際に株が傷んでしまうケースがあります。特にこだわりがない場合は無理に夏越しさせず、新しい苗か種を植え付ける方法がおすすめです。
肥料
肥料は、生育期である3月に与えます。具体的には、地植えで育てる場合は緩効性化学肥料を、鉢植えで育てる場合は液体肥料を施すと良いでしょう。
ルピナスを含めたマメ科の植物は、根粒菌という微生物が窒素物を集めてくれる性質を持っています。そのため、肥料を選ぶ際は窒素以外の成分がメインに配合された肥料を選ぶのがおすすめです。
また、開花を促したいときにはリン酸の多く含まれた肥料、植物を強く育てたい場合はカリウムが多く含まれた肥料を選ぶなど、状況に合わせて使い分けるのもポイントです。
注意すべき病害虫
ルピナスは、病害虫の心配がほとんどいらない丈夫な植物です。しかし、新芽や柔らかい葉には、アブラムシやヨトウムシが発生してしまうことがあります。
ルピナスの株や葉が元気のないときには葉や茎の裏側を良く観察し、害虫が発生している場合は適切な方法で取り除きましょう。
アブラムシ
アブラムシは、4~6月の開花時期に発生する害虫です。発生すると目視で確認することができ、葉が委縮したり変形したりといった症状が見られます。
新芽の時期の柔らかい葉が被害に遭いやすく、アブラムシは繁殖力が強いため、できるだけ早い段階で取り除くことが大切です。
アブラムシの駆除方法としては、手でつまんで駆除したり粘着テープで取り除いたりするのが一般的です。
また、アブラムシ用の殺虫剤を散布することで被害を防ぐことも可能です。駆除したあとは、流水で葉をきれいに洗い流しましょう。
ヨトウムシ(ガの幼虫)
ヨトウムシは、地植えでルピナスを育てる場合に特に注意が必要な害虫です。ヨトウムシがルピナスを食べてしまうと葉や茎がボロボロになってしまい、最終的には株ごと枯れてしまう場合があります。
ヨトウムシを駆除する際、葉の表面が白くなっている場合は葉の裏側に虫がいないか確認してみてください。葉の裏に卵を見つけた場合は、葉ごと切り落として株全体を確認しましょう。
また、事前に防虫剤を散布しておくことで被害を防ぐことが可能です。
ルピナスの花を長く楽しむためには
ルピナスを長く楽しみたい場合は、花がら摘みと切り戻しを行うと良いでしょう。
主な手順としては、最初の花(一番花)が終わったら花の真下で穂先を短くカットします。その後、横から側芽が伸びてくるので、次の花を楽しむことが可能です。
花を残したままの状態にすると種をつくり始めるため、エネルギーが分散して次の花が咲きづらくなります。
一方、種を採取したい場合は、最後の花がらをそのまま残しておくと枝まめのようなサヤができるので、そのままサヤが乾燥するのを待ちます。サヤが乾燥して茶色くなったら、種を採取することが可能です。
ルピナスの花が咲かない原因は?
ルピナスの花が咲かない場合、以下のような原因が考えられます。
- 日照不足
- 種をまく時期が遅い
- 根が傷んでいる
- 栄養不足
ここでは、具体的な対処法を紹介するので、状況に応じて適切な方法を選んでください。
日照不足
ルピナスの開花には、直射日光が6時間以上当たる環境が必要です。葉ばかりが増えて開花しない場合は、日照不足の可能性があります。
いつまでも開花しない場合は、置き場所を再度確認し、日当たりが足りているかをチェックしてみてください。
種をまく時期が遅い
一年草のルピナスの種まきは9~10月ごろに行い、多年草の場合は6月ごろに行います。種をまく時期が遅いと低温で苗が成長できず、翌年開花することができません。
発芽に必要な温度は15~20℃程度です。地域によって10月に気温が下がってしまう場合は、9月ごろに種まきしておくと安心です。
万が一、開花しなかったとしても株は成長を続け、翌年に咲く場合があります。
根が傷んでいる
ルピナスの根は直根性で、根が傷つくと発芽しないことがあります。
ポットなどから鉢植えする場合は、根を傷つけないように注意を払い、土を崩さずに中の土ごと植え替えを行いましょう。
栄養不足
上記の原因をクリアしているにも関わらず開花しない場合は、栄養不足の可能性があります。ただし、ルピナスは根から栄養を吸い上げやすい「吸肥性」の高い植物なので、肥料を与えすぎると肥料焼けを起こし枯れる原因にもなります。
開花を促すために肥料を足したい場合は、リン酸が含まれた緩効性の肥料を様子を見ながら与えると良いでしょう。
ルピナスの花が終わったあと
ルピナスの花が完全に咲き終わったあとは、そのままにしておくとこぼれ種から翌年も開花することがあります。ただし、日本の高い気温で夏越しするのは難しいです。
夏越しできずに枯れてしまったあとは、次の種まきに備えて土壌を整え、ふさわしい時期に新しい種をまくか、再び苗から育てることになります。
ルピナスの増やし方
ルピナスは、種まきで増やす方法が一般的です。直根性のルピナスは観葉植物の増やし方として一般的な株分けには向いていません。
また、一年草の品種が多いため、挿し木で増やすのも難しいといえます。
種を採取したら
乾燥したサヤから採取した種は乾燥剤とともに袋に入れ、種まきの時期までは暗所で保管します。
種は嫌光性なので、日の光の当たらない場所で管理しましょう。
ルピナスを寄せ植えで楽しむのもおすすめ
ルピナスを上手に育てられるようになったら、他の植物と一緒に組み合わせる寄せ植えを楽しんでみてはいかがでしょうか。
地植えの場合は、背丈の違うルピナスを群植させるのがおすすめです。地植えでも花壇の場合なら後方に背丈の高いルピナスを置き、前方に背丈の低いルピナスを置くと動きを演出でき、広大な草原のように広がる庭を創出できます。
一方、鉢やプランターに寄せ植えする場合は、ルピナスと同じ中性~アルカリ性で水はけの良い土壌を好む植物を選ぶと失敗が少ないです。
ルピナスとの寄せ植えに相性の良い植物としては、カンパニュラやサフィニア、ゼラニウム、グラス類、サルビア類などが挙げられます。
ルピナスの育て方を知って美しい花を楽しもう
個性的な咲き姿で華やかなルピナスは花壇を美しく彩り、花束やフラワーアレンジメントのアクセントとなる花です。直根性で高温多湿を嫌うルピナスの性質を知り、根を優しく扱ったり、比較的乾燥気味に育てたりすることが上手に育てるコツといえるでしょう。
また、自分で採取した種から新しい花が開花したときの喜びは素晴らしいものになります。
ルピナスを育てる際は、ぜひ種も採取して美しいルピナスの咲く姿を毎年楽しんでみてはいかがでしょうか。