エバーフレッシュの育て方|害虫や病気の予防法と対策を解説
爽やかな印象で、どんなインテリアにも合うエバーフレッシュは、比較的簡単に育てられる観葉植物です。
簡単と言っても「育て方は?」「害虫や病気の予防と対策は?」といった心配もあるでしょう。
この記事では、エバーフレッシュの特徴、基本的な育て方、注意すべき害虫や病気と予防・対処法についてお伝えします。
エバーフレッシュの特徴・基本データ
エバーフレッシュはネムノキ(合歓木)の仲間で、夜になると開いていた葉を閉じるという面白い特徴があります。
この特徴は、葉から水分が蒸発するのを防ぐ役割があるといわれています。
スリムな幹と、細かい葉が連なる姿がとても涼しげなエバーフレッシュ。
スタイリッシュな樹形から、インテリアとしても人気があります。
また、4月~9月になると、3㎝ほどの黄色いボール状の花が咲き、かわいらしい印象に。
エバーフレッシュという名前は日本での流通名で、正式名は「アカサヤネムノキ」といいます。
この名前は、花が終わると、赤色に熟したさやの中に黒い実がつくことから付けられました。
エバーフレッシュの基本データ
学名:Cojoba arborea var. angustifolia
Pithecellobium confertum
英名:Pithecellobium congertum ever fresh
和名:アカサヤネムノキ
原産地:熱帯アメリカ メキシコ エクアドル ブラジル
科名・属名:マメ科ピテケロビウム属(コヨバ属)
園芸分類:熱帯植物
形態:低木
草丈・樹高:10㎝~3m
耐寒性:弱い
耐暑性:強い
耐陰性:あり
花言葉:歓喜 胸のときめき
エバーフレッシュの種類と品種
エバーフレッシュはコヨバ属の植物です。
コヨバ属は12種類ほど確認されていますが、コヨバ・アルボレアの変種である、アングスティフォリアという品種が、「エバーフレッシュ」として流通しています。
エバーフレッシュには種類や品種が他になく、コヨバ属唯一の園芸品種と言えるでしょう。
見た目や、夜に葉を閉じる特徴がネムノキと似ているため「ネムノキの仲間」といわれていますが、ネムノキ属には属していません。
エバーフレッシュを育てるまでの準備
エバーフレッシュを育てよう!と思ったら、まずは準備をしましょう。
ここでは、エバーフレッシュを鉢で育てるための準備と、庭などに直接育てるための準備についてお伝えします。
鉢で育てるための準備
鉢をお気に入りの物に変えたい場合や、ポットに入って売られている場合、鉢で育てる準備をしましょう。
必要なものは以下のとおりです。
- 底に穴の開いた鉢
- 鉢底ネット
- 鉢底石
- 土:観葉植物用の土、または赤玉土6:腐葉土4で配合した土
また、あらかじめエバーフレッシュをどこに置きたいか、どこまで大きくさせるのかを考えておくことも大切です。
テーブルに置くのか、リビングの床に置くのかで、最終的な大きさはかなり違います。
エバーフレッシュは成長が早いため、はじめに計画を立てておかないとすぐに大きくなり、置き場所や処理に困ることになります。
庭などに直接育てるための準備
爽やかな見た目のエバーフレッシュは、庭に植えると家の外観をスタイリッシュに演出してくれそうですよね。
しかし、日本ではエバーフレッシュを庭などに直接植え、育てることは、現実的ではありません。
庭などで直接育てる場合は、下記の条件を満たす必要があります。
- 真冬に10℃以下になることがないか
- 霜が当たらない場所に植えられるか
- 直射日光が当たらないか
- 乾燥しやすい場所でないか
日本で真冬に10℃以下にならないのは、沖縄などのごく限られた地域のみとなります。
その他の地域で庭にエバーフレッシュを置きたい場合は、鉢植えにし、冬場は室内に移動できるようにしておきましょう。
エバーフレッシュの育て方の基本情報
エバーフレッシュは比較的簡単に育てられるため、初心者におすすめの観葉植物です。
しかし、基本的な育て方を知らなければ、枯らしてしまったり、病気や害虫の原因となったりします。
ここからは、エバーフレッシュの育て方の基本情報として
- 植え付けの仕方
- 水やりの仕方
- 肥料のあげかた
- 剪定の仕方
- 冬越しさせる方法
- 挿し木での増やし方
以上についてお伝えします。
植え付けの仕方
エバーフレッシュを植え付けするなら、真冬や真夏を避けて行います。
必要なものは上記「鉢で育てる準備」でお伝えしたように、鉢、鉢底ネット、鉢底石、土に、エバーフレッシュの苗を用意しましょう。
植え付けの仕方は次のとおりです。
- 鉢に鉢底ネットを敷く
- 鉢底ネットの上に鉢底石を敷き詰める
- 鉢底石の上に3㎝ほど土を入れ、平らにならす
- 鉢の中央に苗を仮置きする
- 株の向きや高さを調節し、鉢のふちより少し下まで土を入れて安定させる
- 鉢底から水が溢れるほどたっぷり水やりをする
植え付け時に根を傷つけてしまわないよう、注意して行いましょう。
水やりの仕方
エバーフレッシュは水を好む植物のため、土が乾燥したらたっぷり水をあげましょう。
とくに春から秋の生育期には、鉢底から染み出る位の水を与え、根腐れを防ぐため、受け皿に溜まった水は必ず捨てます。
冬は休眠期のため、土が乾燥しているのを確認して2~3日経ってから水やりをする程度で充分です。
エバーフレッシュは、夜に葉を閉じて休眠運動をする植物です。
これは、葉から水分が蒸発するのを防ぐ働きと考えられています。
もし昼間でも葉が閉じていたら、水が不足しているサインのため、しっかり水をあげましょう。
また、葉の乾燥を防ぐことと、害虫や病気を予防するために、葉水はなるべく毎日行います。
肥料のあげかた
肥料をあげるコツは、濃度とあげる時期です。
春から秋の生育期に、2カ月に1度、ゆっくりと成分が土に染み込む緩効性肥料を、土の表面に置きます。
肥料の量が多すぎたり頻繁に与えたりすると、養分が過剰になり、根がダメージを受けてしまうので、適切な量と頻度を守りましょう。
液状の肥料は即効性がありますが、持続性はありません。
そのため、2週間に1度の頻度で与えるか、置き肥をしても生育がよくない場合にだけ与えるのが効果的です。
冬場の休眠期は、肥料焼けを起こし、株が弱ってしまうため、肥料を与えないようにしましょう。
剪定の仕方
エバーフレッシュは、放っておくとどんどん成長し、樹形が乱れてくるため、適度に剪定しましょう。
また、個体の新陳代謝によって葉が黄色く変わってきたときも、変色した葉の枝を見つけ次第すぐに取り除くことで、きれいな状態を保てます。
剪定するときは、エバーフレッシュの葉柄の付け根に茶色っぽい新芽がついているので、新芽のすぐ上の部分で切ります。
ポイントは、幹に対して内側に伸びる芽がある葉柄や、他の枝と重なっている枝を切ること。
こうすることで、枝が外へ広がり、風通しが良くなると同時に、見た目が美しくなります。
大きく育てたい場合は枝のみを剪定しますが、小さく育てたい場合は主軸の枝も切り落としましょう。
剪定は、春に行っておくと、冬に樹形が整います。
冬越しさせる方法
熱帯植物で、寒さに弱いエバーフレッシュ。
外気温が15℃以下になるころには、室内に移動させましょう。
室内であっても、なるべく10度以上になる場所が好ましいです。
常緑樹ではありますが、休眠期にあたる冬には、葉を落とすことがあります。
多少であれば問題ありませんが、多くの葉が落ちる場合は日照不足が原因。
エバーフレッシュは耐陰性があるため、室内の照明でも管理できますが、なるべく明るい場所に置くことでスタイリッシュな樹形を保てます。
冬場は水やりを少なくし、肥料をあげる必要はありません。
挿し木での増やし方
エバーフレッシュは生命力が強い植物のため、挿し木で増やすことができます。
挿し木は、春から秋の成長期に行いましょう。
特に5~8月が適していると言われています。
挿し木の方法は以下のとおりです。
- 元気な枝を15㎝ほど、斜めに切る(節の下で切り取ると発芽しやすくなります)
- 切り口に近い部分の葉を取り去り、上の方だけ葉を残す(2~3枚でよい。葉が大きい場合は、半分に切ってもよい)
- 赤玉土などの栄養分のない土や、挿し木専用の土を用意し、挿し木する
- 適度に水やりをし、日陰~半日陰の場所で管理する
- 2~3ヶ月して発根したら、観葉植物用の土の入った鉢に植え替える
上記では土に挿し木する方法をご紹介しましたが、水につけておくだけでも発根できます。
根が出たら、土に植え替えてあげましょう。
エバーフレッシュの育て方のポイント
エバーフレッシュの基本的な育て方を知ったら、次に育て方のポイントについてもおさえておきましょう。
ここで挙げる育て方のポイントは以下の3つです。
- 置き場所
- 苗の選び方
- 植え替え時期と方法
スタイリッシュな樹形が命のエバーフレッシュにおいては、この3つのポイントをおさえておくことで、形よく育てていけます。
ちょっとしたことでもありますが、これらのポイントを理解しているかどうかで、後々の成長に大きな違いが出るでしょう。
置き場所
エバーフレッシュは耐陰性があるため室内の照明でも育てられますが、基本的に日の当たる明るい場所を好みます。
しかし、季節によって最適な場所が変わります。
春から秋は、エバーフレッシュにとって成長する大事な時期のため、なるべく日に当ててあげましょう。
だからと言って、夏の日差しの強い場所に出しておくと、葉が黄色く変色する「葉焼け」を起こすため、直射日光に長時間当てないよう注意します。
カーテン越しの光が当たる場所や、屋外でも日陰~半日陰の場所が適しているでしょう。
冬は必ず室内に移動させます。
エバーフレッシュは熱帯植物のため、寒さに弱いのです。
室内で、なるべく明るく暖かい場所に置きます。
室内に置く場合、空調の風が当たると葉が乾燥してしまうので、クーラーや暖房など、人工的な風が直接当たらないように、置き場所を考えましょう。
また、エバーフレッシュは、環境の変化に敏感な植物です。
あまり頻繁に置き場所を移動させると、葉を落としてしまいます。
そのため、あまり動かさないようにするか、移動させたい場合は、約1週間ずつ場所を変え、徐々に馴らしていきましょう。
苗の選び方
エバーフレッシュの苗を選ぶときは、葉がきれいなグリーンで、生き生きとしているものを選びます。
枝が間延びして弱々しいものは、日照不足で徒長している証拠です。
細かい葉は、抜け落ちている部分が少なく、なるべくきれいに揃っているものがいいでしょう。
葉が変色していないか、乾燥や変形がないかもチェックします。
少し成長した苗を選ぶ際は、幹の曲がっているものや真っすぐなものなど個性があるため、好みの樹形を探してみるのも楽しいですね。
植え替え時期と方法
植え替えは、鉢の中で根がつまり、成長が悪くなることを防ぐために必要な作業です。
- 鉢底から根が出てきた
- 下葉が枯れてきた
- 葉が変色してきた
などの状態が見られたら、根詰まりをしているサインのため、ひと回り大きい鉢に植え替えます。
植え替えは、エバーフレッシュが成長期にあたる4月~6月頃が適していますが、丈夫な植物のため、真冬を避ければいつ植え替えをしても構いません。
植え替えの方法は以下のとおりです。
- 今よりひと回り大きな鉢に鉢底ネット、鉢底石を敷く
- 3㎝ほど土を入れ、平らにする
- エバーフレッシュを鉢から出し、根を少しほぐす
- 鉢の中央に苗を置き、隙間に土を入れる
- 鉢のふちより少し下まで土を入れて株を安定させ、たっぷり水やりする
エバーフレッシュは成長が早いため、2年に1回を目安にして植え替えましょう。
エバーフレッシュにつく害虫・病気とその対処法
インテリア性の高いエバーフレッシュですが、害虫や病気にかかってしまうと見た目が悪くなり、部屋の雰囲気を損ねてしまいます。
また、そのままにしておくと株が弱り、復活できない場合もあるため、定期的に観察・対処しましょう。
ここからは、エバーフレッシュにつきやすい害虫や、かかりやすい病気、対処法についてお伝えします。
カイガラムシ
エバーフレッシュにつきやすい害虫として、カイガラムシが挙げられます。
一年中注意が必要ですが、特に初夏の頃に活動を活発化させます。
カイガラムシがつくと、植物の汁を吸って生育を阻害するだけでなく、排泄物によってカビが繁殖し、黒くすすがついたように葉や枝が変色してしまうのです。
また、排泄物には糖分が含まれ、他の害虫がつきやすくなるため、早めに対処しましょう。
対処方法は、カイガラムシが幼虫か成虫かによって変わります。
幼虫の段階では殺虫剤が効果的です。
成虫になると、殺虫剤が効きにくいため、歯ブラシや濡らした布などで軽くこすり取ります。
カイガラムシを予防するには、植物やそのまわりを清潔に保つことが大切です。
葉水で葉の乾燥やほこりが溜まるのを防ぎ、適度に剪定して風通しをよくしておきましょう。
アブラムシ
アブラムシは、エバーフレッシュの新芽など、植物の柔らかい場所につき、栄養を吸い取ります。
それだけでなく、ウイルスなど病気も媒介し、植物へ大きなダメージを与えてしまうため、予防や早めの対処が必要です。
アブラムシは
- 乾燥
- 窒素成分の多い化学肥料の多用
- 風通しが悪い
という条件でつきやすくなります。
そのため、水やりの際に葉の表や裏にも水をかけるか、毎日葉水をすることで防ぎましょう。
肥料は窒素成分が少ないものを選ぶことや、与えすぎないように注意します。
また、エバーフレッシュは成長が早く、葉が密集してしまいやすいため、適度に剪定をし、風通しのよい環境をつくってあげましょう。
もしアブラムシがついてしまったら、アブラムシ用の殺虫剤を使用するほか、歯ブラシでやさしくこすり落とします。
落ちたアブラムシが別の場所で繁殖しないよう、ビニール袋などを用意して受け、すぐに処分しましょう。
うどんこ病
うどんこ病は、「糸状菌」というカビがつき、葉や茎など植物の表面が、うどん粉をまぶしたように真っ白な状態になる病気です。
株全体にうどんこ病が広がると、光合成しにくくなり、枯れる原因となります。
被害が少ないうちに発症した葉や茎を取り除きましょう。
症状が軽いうちは、自然治癒することもあるため、発生した部分を取り除いてしばらく様子を見てください。
被害が広がってしまった場合は、薬剤を散布します。
うどんこ病は、発生させないようにするのが肝心です。
- 日当たりのよい場所に置く
- 水はけのよい土を使用する
- 剪定して風通しをよくする
- 葉水を行う
これらの対策で、うどんこ病を予防しましょう。
炭疽病
炭疽病は、カビが原因で起こる病気で、主に葉に発生します。
初期段階では、葉に茶色っぽい斑点ができ、斑点の中央部分から次第に黒い点々が現れるのが特徴です。
進行すると、斑点が大きくなり、斑点の部分で葉に穴が開いたり、葉先から枯れたりし、見た目が悪くなります。
広がりやすい病気のため、発生した場合、すぐにその部分を枝ごと取り去りましょう。
炭疽病は、高温多湿の場所や風通しの悪い環境で発生しやすくなります。
発生させないためには、
- 水はけのよい状態にしておく
- 葉が密集しないよう、適度に剪定する
- 葉に水はねや泥はねをしないよう、根本に水やりをする
- 風通しのよい場所に置く
以上のような対策が必要です。
まとめ
今回は、エバーフレッシュの特徴、種類、育て方、害虫や病気の対処法についてお伝えしました。
スタイリッシュな樹形が命のエバーフレッシュは、お世話の仕方で印象が変わったり、枯らしてしまったりするため、基本的な育て方や育て方のポイント、植物の特徴をしっかりおさえておくことが大切です。
愛情をもって上手に育てれば、いつまでもお部屋を彩り、心を癒してくれる存在となるでしょう。