シクラメンってどんな花?花言葉や育て方、害虫や病気対策をご紹介します
冬の花の定番といえるシクラメンは、カラーバリエーションや花の咲き方がさまざまで、鉢植えだけでなくガーデニングとしても楽しめます。鮮やかな色のお花は、家の中に飾ってもお部屋を明るい雰囲気にしてくれるはず。
花言葉も前向きなので、フラワーギフトとしてプレゼントにもおすすめですよ。今回は、そんなシクラメンの種類や育て方のポイント、害虫や病気対策についてもご紹介します。
シクラメンの特徴・基本データ
シクラメンは冬になると園芸店やホームセンターに並ぶ、サクラソウ科の球根植物です。
開花期は11月〜4月の寒い時期で、高さは10cm〜25cmのコンパクトサイズのお花です。
シクラメンの花色は、赤やピンク、白などの定番色に加え、黄色や紫の珍しい品種もあり、冬のお庭や室内を彩ってくれるでしょう。
また、品種によって花の咲き方も異なり、八重咲きや花弁にウェーブが入るロココ咲きなどバリエーション豊かです。
さらに、株と花の大きさによって、大輪系、中輪系、小輪系(ミニシクラメン)の3つのタイプに分類されます。
基本的には鉢に植えて室内で育てるのが一般的ですが、最近では、寒さに比較的強く庭植えにもできるガーデンシクラメンも人気です。
シクラメンは夏場の管理方法に少々コツが必要ですが、正しいお世話を続けると毎年のようにきれいな花を咲かせてくれますよ。シクラメンの管理方法については、下記で詳しくご紹介します。
シクラメンの種類と品種
シクラメンの種類は、地中海沿岸地方やヨーロッパ中部に約20種〜30種ほどが分布しています。
現在販売されているほとんどは園芸品種で、花色や花びらの形にさまざまなバリエーションがあり、種類は「原種のシクラメン」、「ミニシクラメン」、「ガーデンシクラメン」の3つに分類され、それぞれ栽培方法や温度管理が異なります。
原種のシクラメン
ごく一般的なシクラメンで、花径は4.5cm前後あります。
暑さに強く、丸く肉厚な花びらが特徴的な「バーバーク」や、真綿色といわれるクリーム色がかった白の花びらが特徴的な「モンブラン」などの品種が存在しています。
また、上品なフリルのフリンジ咲きが特徴的な「ビクトリア」は、スタンダードからミニシクラメンまでさまざまな品種があり、好みの色や大きさを選ぶ楽しみがありますよ。
他にも、「ヘデリフォリウム」や「コウム」など、日本のような環境でも栽培しやすい品種が数多くあります。
ミニシクラメン
ミニシクラメンは、シクラメンの中でも小さめの、花径4cm以下の小さな花をつける品種です。小ぶりながらも丈夫なので育てやすく、初心者の方にも人気がある品種となっています。
妖精のような可愛らしさのある半八重咲きの「フェアリーピコ」や、爽やかな白の八重咲きの花を株一面に咲かせる「カレン」などは花持ちがよく、冬でも花を楽しめるので人気です。
他にも、「フェアリー・バンビ」や「ウインク」、「ネオゴールデン・ガール」などの繊細な色味が魅力のミニシクラメンもあります。
ガーデンシクラメン
ミニシクラメンの中でも耐寒性に優れていて丈夫で、庭に植えて育てることができるのがガーデンシクラメン。冬でも庭でガーデニングを楽しみたい方に人気がある品種です。
丸みのある花が特徴的で、病害虫にも強い「ゴブレット」や、大人っぽい深紅の花色が特徴的な「ショコラ」などがあります。
他にも、日に当てることで色味が増していく「ピアス」や、葉全体が銀色に輝く「プラチナリーフ」など、個性豊かな品種がたくさんあるので選ぶのも楽しいですよ。
シクラメンの花言葉
冬を代表するお花といっても過言ではないシクラメンですが、ガーデニング楽しむ以外にもフラワーギフトとしてプレゼントする時にも多く選ばれています。
大切な人にお花をプレゼントするときは、その花の花言葉にも着目してみましょう。
その際には、花言葉をメッセージカードに記すと、気持ちが伝わりやすくなるのでおすすめですよ。
シクラメン全般の花言葉と由来
シクラメン全般の花言葉は「遠慮」「気後れ」「内気」「はにかみ」などがあります。
全般の花言葉で考えると、プレゼントするには少し違和感があるような気がします。
ちなみに、シクラメンの花言葉は、昔のイスラエルのソロモン王の時代に由来します。
ソロモン王が花の形を王冠に使おうとして花たちに断られたとき、「私の形を使ってください」とシクラメンが恥ずかしそうにささやいたそうです。
その時からうつむいて咲くようになった、という伝説からこのような花言葉がつけられたと言われています。
シクラメンの色別の花言葉
シクラメンは花色が豊富でそれぞれの色によって花言葉が異なるので、それぞれ見てみましょう。
白いシクラメンの花言葉は「清純」「綿密な判断」「思いやり」、ピンクのシクラメンには「憧れ」「内気」「はにかみ」などの意味合いがあります。
また、赤いシクラメンの花言葉には「愛情」「きずな」「はにかみ」「嫉妬」などがありました。
「思いやり」「憧れ」「愛情」などは、プレゼントに最適な花言葉ですが、「嫉妬」などの他の意味合いにとらえられないように、メッセージカードを添えると安心です。
シクラメンの育て方の基本情報
シクラメンは通常の植物とは違い、季節によって水やりや温度管理などが異なるお花です。
適切でない管理を続けると、株が弱って枯れてしまうこともあるので気を付けましょう。
ここからは、シクラメンを育てる上での基本的な管理方法をご紹介します。
初めてシクラメンを育てる方は、ぜひ参考にしてみてください。
土選び
シクラメンの用土は、水はけと通気性の良いものを選びましょう。
保水性を第一に考えるなら、赤玉小粒と腐葉土とピートモスを5:3:2で混ぜて肥料を加えたものがいいでしょう。
底面給水鉢で育てるなら、赤玉土と腐葉土と粉状のパーライトを6:3:1で混ぜ、肥料を加えた土がおすすめです。
自分で配合するのが難しい場合は、市販されているシクラメン専用の土がおすすめ。
シクラメン専用の培養土に粉状のパーライトを9:1で混ぜるだけで、最適な用土が完成します。
置き場所・温度管理
シクラメンの適温は5〜10℃で、比較的涼しい環境を好みます。
冬に暖房の効いた部屋に置くと室内温度が25℃を超え、花茎や葉が伸びすぎて倒れてしまったり、休眠してしまうことがあるので注意しましょう。
シクラメンの花を長持ちさせるには5~10℃くらいが理想的なので、冬場は玄関や廊下に置くのがおすすめです。
しかし、日光不足になると花色が悪くなったりつぼみが咲かずに枯れてしまうので、日中はできるだけ日当たりの良い場所に置きましょう。
夏越し
シクラメンは夏の暑さに弱く、5月頃には葉が全て枯れて休眠状態に入ることがほとんどです。
しかし、寒冷地や涼しい場所に保管していた場合、休眠せずに夏を越すこともあります。
休眠するかしないかで夏の管理方法が異なり、正しいお世話を続けることで、次の年もまた花を咲かせてくれるはずです。
ここからは、シクラメンの夏越の方法についてご紹介します。
休眠に入った場合
5月以降に葉が枯れたら、シクラメンが休眠した合図です。
鉢を日の当たらない風通しの良い場所に保管し、9月の植え替え時期まで一切水を与えません。シクラメンはもともと、6〜10月は雨がふりにくい高温乾燥地帯で育っていた植物なので、この方法が一番自然に近いのです。
ただし、日本の夏は多湿の傾向があり、シクラメンの球根が腐ることがあるので注意しましょう。
休眠に入らなかった場合
寒冷地では、シクラメンが休眠しないまま夏を越すことも可能です。
半日陰の涼しい場所に置いて、通常通りの水やりを続けてください。ただし、水をやりすぎると過湿により病気の原因になることもあるので、様子を見ながら、やや乾燥気味に水やりをしましょう。
休眠させない育て方は株がひとまわり大きくなり、少し早めの11月頃から花をつけ始めますが、管理が難しいので、シクラメンの育成に慣れている人向けの育て方です。
水やりの仕方
シクラメンの水やりは、葉茎をかきわけて根元(表面の土)のみに静かに水を注ぎます。
葉や花、球根の上部などに水がかかると株が弱る原因になるので、先の細いじょうろを使うのがおすすめです。
シクラメンのような球根植物は水やりをしすぎると根腐れを起こすので、乾燥気味にさせるのが基本です。
水やりの目安は、軽く葉全体を手のひらで押したときに、戻りが弱く、ハリがない状態になったタイミングです。
表土の乾き具合だけで判断するのは難しいので、この方法で確かめると良いでしょう。
底面吸水鉢の場合は、1カ月に1回程度、底の受け皿をはずして鉢土の表面からたっぷりと水を与えてください。
肥料の与え方
シクラメンの肥料は、9月〜翌年の5月まで2カ月に1回の割合で土の表面に化成肥料を施していきます。
もしくは、化成肥料の代わりに1週間に1回くらい、1000〜2000倍に薄めた液体肥料を与えても良いでしょう。
底面吸水鉢の場合、液体肥料は鉢の底の受け皿に薄めたものを入れます。
適切な肥料を与えることで、シクラメンの株が元気に育ち、きれいな花をたくさん咲かせてくれるはずです。
シクラメンの育て方のポイント
シクラメンの花を翌年も楽しみたい場合は、適切な管理が必要になります。
休眠するかしないかで植え替え方法の注意点が異なったり、球根に日光を当てるためのメンテナンスも大切です。
また、シクラメンの栽培に慣れてくると、株を増やすこともできるかもしれません。
ここからは、シクラメンをより長く楽しむためのポイントをご紹介します。
植え替え時期と方法
シクラメンが夏を越したあとの8月〜9月に、植え替えや植え付けを行います。
休眠させた場合はすでに株も根も死んだ状態なので、鉢から取り出す時にそこまで慎重になる必要はありません。古い土を落とし、根も半分ほどカットしてスッキリさせましょう。
しかし、休眠させなかった場合は、株や根にダメージを与えないよう細心の注意を払って作業してください。
植え替えるときは、球根の頭を少し地表に出すようにします。だいたい、球根の半分から3分の1が埋まる程度でいいでしょう。
葉組み
シクラメンは、球根の上部に日光が当たらないとうまく花を咲かせることができません。
そのため、葉が生い茂る10月頃から、葉の数や形を整える「葉組み」という作業が必要になります。
手順としては、新しい芽が中心になるように、育った中央の葉を外側に引っ張ります。
古い葉は外や下の方に、新しい芽は中央や古い葉より上になるように調整してください。
月に1回程度、この葉組みをすることで花が綺麗に咲き、風通しが良くなるだけでなく、病害虫の被害もへらせます。
種まきによる増やし方
シクラメンは球根植物ですが、分球によって増やすことはできません。しかし、種を採取して増やすことは可能です。
シクラメンの花が落ちた後に丸い実が出てきたら、その後半年ほど色が黄色く熟すのを待ちます。熟した実の中に種が入っているので、秋にその種をまき、15℃くらいの室温で育てると数カ月くらいで発芽することがあります。
しかし、シクラメンは発芽しにくいうえに時間がかかるので上級者向けと言えるでしょう。
シクラメンの花が終わったら
シクラメンの花をたくさん咲かせるコツは、「こまめな花がら摘み」です。
咲き終わった花はそのままにせずきちんと摘みとり、株の周りを清潔にしておきましょう。
シクラメンの花がらを摘むときは、茎の根元に近い部分を指でつまみ、ひねるようにして優しく引っ張ってください。
はさみを使うと土などから雑菌が入り、病気になりやすくなってしまうので手で摘むのがポイントです。
花だけでなく、枯れた葉も同様にこまめに取り除きましょう。余分な箇所に養分がいくことなく、新しい花が咲きやすくなります。
花が咲かないときの対処法
シクラメンは、年末から春まで長い期間花を咲かせてくれますが、開花時期にもかかわらず花が咲かなくなってしまったという経験はないでしょうか。
まだ咲く時期であるはずのシクラメンの花が咲かなくなった場合は、次の原因が考えられます。シクラメンの花の少なさに悩んでいる方は参考にしてみてください。
日光不足
室内で育っているシクラメンは、庭で育てるガーデンシクラメンよりも日光不足になりやすい傾向にあります。
シクラメンは日光を好むので、室内に置く場合にはできるだけ明るい窓際におきましょう。
ただし、寒さが厳しい冬場は、窓際だと外気の影響が大きくシクラメンが弱ってしまうことがあります。
真冬の夜中や早朝は、温度が下がりすぎないように窓から少し離した部屋の中心あたりに移動させましょう。
温度が適切でない
それなりに寒さに強いシクラメンですが、開花するにはある程度の温度も必要です。
1日中暖房の効いていない寒い部屋に置いていると、シクラメンにとっては寒すぎる場合があります。冬でもよく晴れた昼間であれば屋外の方が温度が高いことがあるので、日光浴をさせてあげましょう。
室内で暖房を効かせる場合は風が直接当たらない場所に置き、設定温度が高くなりすぎないように注意してください。
追肥していない
多花性のシクラメンを鉢で育てる時は、肥料の追加が必須になります。
鉢のような限られた土の中では、花を咲かせるための養分が足りなくなってしまうのです。
肥料の頻度やタイミングは使う肥料の説明書きなどを見て確認し、適度に追肥しましょう。
ただし、肥料を与えすぎると株を傷めてしまう原因になるので注意が必要です。
水やりが適切でない
水が多すぎたり少なすぎる場合も、シクラメンの花が咲きにくい原因になります。
シクラメンは乾燥気味に水やりをするのが理想ですが、判断がつきにくい場合は軽く葉全体を手のひらで押してみましょう。
戻りが弱く、ハリがない状態になったときが水やりのタイミングです。
水を与えすぎると、根腐れを起こして株が傷む原因になるので、控えめにするのがポイントです。
シクラメンにつく害虫・病気とその対処法
シクラメンの咲き終わった花や枯れた葉をそのままにしていると、病気や害虫が発生する原因になってしまいます。
また、乾燥のしすぎに注意したり、風通しをよくしていくことも大切です。
健康で丈夫なシクラメンを育てるために、次の病気や害虫には特に注意しましょう。
シクラメンホコリダニ(ハダニ)
シクラメンホコリダニは、シクラメンで最もよく見つかりやすいハダニです。
全長0.2mm〜0.4mmほどのとても小さなダニで、高温乾燥の環境を好むので、発生が多くなるのは初夏~秋頃です。
冬場の室内が、必要以上に高温になったり、乾燥したままの状態が続かないように注意しましょう。
ホコリダニの増殖は早く、気付いたときには被害が大きくなっている害虫なので、早めの対策と予防が必要です。
アブラムシ
アブラムシもシクラメンに発生しやすい害虫の1つです。
アブラムシは春と秋に発生しやすく、シクラメンの葉の裏や蕾、花柄や葉柄などに寄生して汁を吸います。アブラムシは小さな害虫なので、よく観察しないと発見しにくいのですが、繁殖力が高いので気付いた時には葉の裏などにびっしりついていることもあります。
アブラムシは葉の汁を吸って植物を弱らせるだけでなく、ウイルス性の病気を媒介する場合もあるので、見つけたらガムテープなどでしっかり取り除きましょう。
灰色かび病
枯れた花や葉を放置すると、灰色かび病という病気にかかりやすくなります。
土の中などにいる病原菌が、地表面に落ちた枯れ葉や花がらで増殖し、風に飛ばされることによって植物に感染していくのです。
最初は水がにじんだようになって褐色になり、やがて腐敗し、表面に灰褐色のカビが密生してきます。
灰色かび病を防ぐためには、咲き終わった花は、根元を指でつまみ、ひねるようにして抜き取りましょう。
枯れて変色した葉も、こまめに切り取って清潔に、風通しをよくしておくことが大切です。
シクラメンが灰色かび病に感染してしまったら、発病した部分を速やかに取り除き、被害が大きい場合は株ごと処分する必要があります。
冬を彩るシクラメンを楽しもう
寒くなってお部屋や花壇がさみしくなる冬でも、シクラメンを飾るとぱっと明るくなります。今の時期から4月までが開花期なので、この機会にシクラメンを購入してみませんか?
シクラメンは正しい管理を続けると毎年花を楽しむことができますが、少々コツも必要なので、この記事を参考に育て方のポイントをおさえておきましょう。
きれいに咲いたシクラメンを、花言葉に想いを託して大切な人にプレゼントするのも素敵ですよ。