プレゼントにもおすすめ!花の種の蒔き方や育て方は?

花の種は、ホームセンターなどで購入する以外にも、プレゼントやキャンペーンでもらう機会もありますよね。

せっかく手元に種があるから、種まきから植物を育てたい……と思っても、種から育てるのは植物のお世話に慣れていない人には少しハードルが高いものです。

しかし種まきは、基本的な方法とコツを抑えれば発芽の確率がグンと高まります。

種は苗よりも安価に入手できますので、コスト面でもお財布に優しいのが嬉しいポイントでしょう。

今回は、園芸が初心者という方でも挑戦しやすいように、種まきの手順や適期、手順のコツなどをご紹介していきます。

種から発芽させる喜びを知って、植物のお世話を楽しんでくださいね。

 

花の種を入手するには

草花の種は、ホームセンターや園芸店などで入手するのが一般的ですが、最も身近なところだとスーパーの一角でも品揃えがあることも。

市長区村の緑化活動の一環として種を無料で配布していたり、お店のキャンペーンやノベルティの商品として配布されていたりもします。

ガーデニングが趣味の方から、「育ててみて」とプレゼントされた経験がある方もいらっしゃるかもしれませんね。

ネットショップなどでも購入が可能ですが、購入の際には大手の種苗会社から買い求めることをおすすめします。

 

花の種の発芽に必要な条件

まずは、花や植物の種子が発芽するために必要な条件からご紹介していきましょう。

種子が発芽するために大切な要因は、4つあります。

 

(1)水分

(2)酸素

(3)温度

(4)光

 

上記の4つが、それぞれの種子にとっての好条件として整うと発芽します。

つまり、種まきをする種子に合わせて適した環境を整えてあげれば、初心者の方でも発芽させられるということです。

 

花の種には2種類ある

植物の種は、発芽の性質によって大きく2種類に分けることができます。

発芽する際に光を必要とする「好光性種子(こうこうせいしゅし)」と、反対に光を必要としない「嫌光性種子(けんこうせいしゅし)」です。

購入した種の袋などにこのタイプが記載されていますので、種まきの前には必ずチェックしておきましょう。

植物の種子には、「フィトクロム」というタンパク質が含まれます。

このフィトクロムが光に当たったときの反応の違いによって、どちらの種類に分けられるかが決まります。

ただし、中にはこのフィトクロムが発芽に関係しない種子もあり、光があってもなくても発芽には影響しない場合もあります。

 

好光性種子

好光性種子は、「明発芽種子(めいはつがしゅし)」や「光発芽種子(ひかりはつがしゅし)」と呼ばれることもあります。

英語では「light germinating」と呼ばれ、発芽のために光を必要とする種子です。

光を浴びることによって、種子に含まれるタンパク質であるフィトクロムが活性化されて、発芽へと繋がります。

後述する「嫌光性種子」と比べてみると、全体的に小ぶりの種が多くなります。

 

好光性種子の種まきでは、土を被せないことが重要です。

一般的な種まきのイメージは、掘った土に種を埋めて、土を被せますよね。

好光性種子の場合は、種子に土をしっかりと被せてしまうと、種に光が届かず発芽が促されません。

しかし、まったく土を被せずに種まきをすると、庭などに植えた種は、鳥に食べられやすくなりますので、種に光が届く程度に浅く土をかぶせるようにしましょう。

 

嫌光性種子

嫌光性種子は、「暗発芽種子(あんはつがしゅし)」と呼ばれることもあります。

英語では「dark germinating seed」と呼ばれるように、発芽に光を必要としない種子の種類を指しています。かえって暗所に種を蒔くことにより、発芽率が高まる種類です。

土を厚く被せた暗い中でも、水分・酸素・温度の他の条件が適した環境であれば発芽します。

好光性種子の種の大きさは比較的小ぶりのものが多いのですが、嫌光性種子の種は粒がやや大きめです。

嫌光性種子の種まきは、掘った土の中に種を置き、上から土を被せる一般的な方法です。植物の種類によって、適した穴の深さなどがあります。

 

種まきの方法は4種類

種を購入すると、袋の裏などに種子に合った種まきの手順が記載されています。

種によっては、土に蒔く前に一晩水に浸けておくものや、種に軽く傷をつける必要があるものなどもありますので、必ず種まきの前に確認しておきましょう。

植物によって適した種まきの方法がありますが、「直まき」「すじまき」「点まき」「ばらまき」といった4種類の方法に分けられます。

それぞれの種の蒔き方について、さっそくご紹介していきましょう。

 

直まき

「直まき」とはいちばん簡単な方法で、庭や花壇などの土へとそのまま種を植える方法になります。

土に直接種を蒔くので、苗まで育てた後の植え替え作業が不要ですが、降雨によって種が流れたり、日光が強すぎたりといった天候被害の影響が強いため、気を付けて管理する必要があります。

 

すじまき

「すじまき」は、小粒で細かい種を蒔くのに適している方法です。

等間隔の列を作って種同士が重ならないようにして、まっすぐに種を蒔いていきます。列を作る際には、支柱や定規などの長い棒状のものを使用すると溝が作りやすいですよ。

溝に種を蒔いたら、土を薄くかけて手で土を軽く押さえましょう。霧吹きで土をたっぷりと湿らせて、日当たりの良い場所で管理してください。

すじまきは、発芽した後の苗がきれいに横並びになっているので、苗の比較がしやすく、間引きの判断が簡単であるというメリットがあります。

 

点まき

「点まき」は、等間隔でいくつか空けた穴の中に、種を数粒蒔く方法です。

すじまきで蒔く種よりもやや大粒であるのが特徴です。ポピュラーな種類では、アサガオの種はこの点まきの方法を使って蒔きます。

空ける穴は指を使っても良いのですが、ペットボトルのキャップを使って等間隔に空けていくと、手軽かつきれいに空けられますよ。

直径2〜3ミリ以上になるように穴を作っていき、その穴の中に2〜3粒の種を蒔きましょう。

点まきの蒔き方では、発芽した後の間引きの手間が楽であるというメリットがあります。

発芽後にいちばん生育状態の良い苗を選んで、1本残しておきましょう。

 

ばらまき

「ばらまき」は、その名前のとおりに庭や花壇の土に、種をばら撒いていく方法です。

すじまきや点まきとは異なり、種の重なりを気にせずに、均一に蒔いていきます。

ひとつひとつ蒔くには難しい粉のような細かさの種を蒔く方法として適しています。

あらかじめ、パーライトや粒子の小さな砂などに種を混ぜ込んでおいて、粗目のふるいやコショウなどの瓶を使って種を蒔いていくと、均等に種を蒔いていくことができるのでおすすめです。

 

基本的な種まきからの育て方

ここまでは、種子の発芽に必要な条件や、発芽条件によって分けられる2種類の種子についてご紹介しました。

種まきに初めて挑戦する場合でも、その植物の種子に適した方法で種まきをすれば、発芽に成功する率がかなり高まります。

続いては、植物を種から育てるうえでの基本的な手順や管理方法などをお伝えしていきます。

 

種まきに使う用土

種まきの際に使用する土は、清潔であることが大前提ですので、他の鉢植えなどから使い回して土を使うことは避けましょう。

他にも、通気性が良く、保水性があるということも重要です。

ガーデニングなどに慣れている場合は、自分で土の配合などを調整できますが、初めて挑戦する場合にはかなり難易度が高いですよね。

初心者の方は、市販されている種まき用の土を使用すれば、配合の知識がなくても種まきに取り掛かることができます。

慣れるまでは市販品を使っておけば安心でしょう。

 

種まきに使う容器

植物の種を蒔くときは、庭に直接蒔くか、種まき用の容器を使用しましょう。

容器を使用して種まきを行う場合には、セルトレイや育苗箱、育苗ポットなどを使用することをおすすめします。

直まき以外の方法では、発芽してから本葉が育ち始めた頃に植え替えを行いますので、植え替え作業がしやすいような容器を使うのが良いでしょう。

種まき初心者の方におすすめしたいのが、「サカタのタネ」から販売されている種まき用グッズです。オンラインでも購入できるので、調べてみてくださいね。

中でも、ポット型タイプの「ジフィーセブン」というシリーズは、種が発芽してからポットごと植え替えることができるので、せっかく生えてきた根を傷つける心配がなく、初心者の方にはとても扱いやすいアイテムです。

ただし、ジフィーセブンは比較的大きめの種向きで、小粒の種を播くには「ピートバン」という同じシリーズの商品がおすすめです。

ピートバンは、水苔などを細かく砕いて乾燥させたピートモスを板状にして作られたもので、水をかけて膨らませて使用します。

こちらはジフィーセブンよりも多くの種を蒔くことができ、水持ちも良いという特徴があります。ピートバンは肥料が含まれているので、苗に育つまでの生長を助けてくれます。

 

種まきの適期

花の種まきに適しているのは、植物によって異なりますが基本的には春と秋です。

発芽の条件として温度が重要になりますが、発芽時に15〜20度ほどを必要とするものがほとんどで、その適温を満たす季節が春と秋になるためです。

また、苗としてぐんぐん育っていく時期が生育期と重なるように、やや早い時期に蒔くこともあります。

植物の種類によっては、さらに高い温度環境が発芽条件となっているものもありますので、必ず説明書きを確認しておくようにしてください。

 

種まき後の置き場所

種を蒔いたポットなどは、なるべく室内で管理します。

好光性種子の場合には、風通しが良く、日当たりがいい場所が適しており、室内では窓辺などがおすすめです。

発芽の条件に適した気温を維持できるよう、温度管理を意識しておきましょう。

嫌光性種子の場合には、種に土を被せてから風通しの良い明るめの日陰で管理すると、発芽率が上がります。

 

種まき後の水やり

土をかけてもかけなくても、勢いよく水やりをすると種が流れて偏ったり動いたりしてしまいます。

種まき後はジョウロなどで水やりをせず、霧吹きで土全体にたっぷりと水を吹きかけましょう。発芽するまでは霧吹きで水やりを行い、根が安定してからはジョウロでの水やりに切り替えます。

種を蒔いたら、発芽するまでは乾燥に十分注意して管理してください。

種が乾いてしまうと発芽に失敗しますので、発根して苗が安定するまでは、種を乾かさないように土をよく観察して管理します。

発根して根が安定してきたら、土が乾いてから水を与えます。これは、土を乾かすことで、土の中に酸素がある時間も作るようにするためです。

 

発芽後の管理

無事に種子が発芽したら、元気な苗が効率よく育っていくように間引きを行います。

近くにある発芽や生長が遅い種を取り除いてください。取り除く種と根が絡んでいる場合もありますので、清潔なハサミなどでカットしましょう。

発根してきたら、しばらく苗を育てていきます。本葉が生えてきて枚数が3枚ほどになったら、1株ずつに苗を移しておきます。

本葉が5枚ほど育ってきたら、いよいよ鉢やコンテナ、庭の花壇などに植え替えていきます。

 

発芽後の肥料

小さな苗にはすくすくと育っていってもらいたいものですが、ここで肥料を与えすぎると、まだ苗に肥料が強すぎて枯れてしまう恐れがあります。

固形肥料だと特に枯れやすいので、肥料を与える場合には液体肥料を与えましょう。

液体肥料を薄める場合には、200倍以上に希釈しても構いません。

肥料が濃すぎると苗にとって毒となってしまうので、与えすぎず2〜3週間に1回ほどのゆっくりとしたペースで与えていってください。

 

初心者でも育てやすい種は?

初めて挑戦する種まきですから、できれば成功させたいですよね。

種に適した環境を整えて管理すれば発芽率は上がりますが、初心者でも発芽に成功させやすい種を選べば、もっと成功率は上がります。

続いては、初心者の方でも発芽を成功させやすい種について、いくつかの種類をご紹介していきましょう。

 

パンジー

ガーデニングに欠かせない存在として大人気のパンジーは、とても発芽させやすいお花です。庭や花壇に撒いておけば、苗に生長してからはほとんど手間要らずで育ってくれます。種まきの適期は8〜9月の秋先です。

パンジーは草丈が低いお花ながらも、大きな花を咲かせてくれるので、開花するとお庭が明るく華やかになりますよ。

開花時期は秋の終わりの11月頃から梅雨前頃までです。

 

アサガオ

アサガオは、小学校の授業などで、種から育てた経験がある方は多いのではないでしょうか。夏の朝に咲くお花として有名なアサガオですが、近年その開花サイクルに日没の時刻が関係していると明らかになっています。

朝日に反応して咲くのではなく、日没してから10時間ほど後に開花するのだそうです。

涼しげな色合いで暑い夏の中で咲くアサガオは清涼感があり、日本の夏の風物詩でもあります。

つる性の植物ですので、支柱を使ってつるを絡めたり、グリーンカーテンのように育てていくこともできますよ。

 

ヒマワリ

大輪の黄色い花が明るく元気な印象があるヒマワリも、種から育てやすいお花です。

小さい頃、学校に咲いているヒマワリの花から、種を収穫して持ち帰った経験はないでしょうか。ハムスターや鳥の餌としてもおなじみですよね。

花の中心にぎっしりと大粒の種をつけるヒマワリですが、品種によって花の大きさや草丈、花の色なども異なります。可愛らしいサイズ感のミニヒマワリや、花の色がオレンジ色の品種もあります。

ヒマワリの種は、発芽の温度条件が20〜25度となっているので、4月下旬〜5月上旬頃に種まきをします。

1〜2センチほどの穴を空けて、その中に2〜3粒種まきをしてください。

直まきの場合には、背が高くなる品種は苗と苗の間を空けるようにしましょう。

 

コスモス

夏が終わって肌寒くなってきた秋口に咲くコスモスは、少し儚げな雰囲気もある可憐なお花です。

群生しているコスモス畑などは観光名所にもなっていますね。

コスモスの品種には、夏咲きと秋咲きがあり、 夏咲きの品種の種まきは3〜4月頃に行うと、7〜8月頃に開花させることができます。

秋咲きの品種は、6〜7月頃に種まきを行うと秋口に開花します。

 

まとめ

今回は、花の種の蒔き方や管理方法、種まきの種類、初心者でも発芽させやすい種について、詳しくご紹介してきました。

花の種は安価で求めやすいため、苗から育てるほうが簡単ではありますが、種から育てたほうがコストを抑えられますよ。

みずみずしい双葉が顔を覗かせてくれたときの嬉しさは大きなもので、より一層の愛情を込めてお世話していけるでしょう。美しい花を見られたときには、大きな喜びを感じられますよ。

自分が育てて収穫した種を、誰かにプレゼントして育ててもらうのも素敵ですね。

種から育てる楽しみを知って、緑の輪を広げてみてください。

大切なあの人にお花を送ってみませんか?