イースターとは?代表的なシンボルやおすすめの花などを紹介
 
			      春になると、カラフルなたまごやうさぎをモチーフにした雑貨や飾り付けを目にすることが増えます。これは、キリスト教の復活祭であるイースターにちなんだものです。かつて日本ではあまり馴染みのない行事でしたが、ハロウィンと同じように近年注目を集めるイベントとなっています。
このイースターの季節は、花屋に色とりどりの春の花が並ぶ華やかな時期でもあります。鮮やかな花はたまごやうさぎのモチーフと相性が良く、イースターらしい明るい雰囲気を演出してくれます。
本記事では、イースターの基本情報や代表的なシンボルをはじめ、イースターを彩るのにぴったりの花の種類などを解説します。
そもそもイースターとは
イエス・キリストは十字架にかけられて亡くなったあと、3日目に復活したと伝えられており、その奇跡を祝う日がイースターです。キリスト教徒にとって、復活は「永遠の命」や「希望」の象徴であり、イースターは最も重要な祭りの一つとされています。
日本ではまだ馴染みが薄い行事ですが、キリスト教圏ではクリスマス以上に大切にされる存在です。礼拝やミサが行われる他、春の訪れと重なることから「生命の再生」を祝う意味もあり、たまごやうさぎといった豊穣のシンボルを飾ったり花を使って家や街を彩ったりする習慣があります。
こうした文化的背景が、近年日本でもイースターのイベントや装飾が広がっている理由の一つといえるでしょう。
イースターの日付は毎年変わる
イースターは、ひなまつりやクリスマスのように毎年日付が決まっているわけではありません。イースターの日付は「春分の日のあと、最初の満月の次の日曜日」と決まっており、年によって3月の半ばから4月の半ばとかなり幅広く変動があります。
また、キリスト教の中でも、カソリックやプロテスタントの所属する西方教会とギリシャ正教などが所属する東方教会では使用している暦が異なるので、宗派によってもイースターの日付が異なります。
イースターは春のお祭りでもある
キリストの復活した日をお祝いするイースターですが、冬眠から目覚めた動物や植物が活動を始めることを祝う春のお祭りでもあります。英語で復活祭を意味する「Easter(イースター)」の由来は、春の女神「Eoster(エオストレ)」であるといわれています。
春に植物が芽吹く姿や、動物が活動し始める春を祝うお祭りと、キリスト教の復活のイメージが結びついたのがイースターであると考えられています。
なお、英語で東を意味する「East(イースト)」も、春の女神が太陽とともにやってくることからついた呼び名です。
イースターの2つのシンボル
 
 
イースターといえば、カラフルなたまごとうさぎのモチーフをイメージする方は多いでしょう。パステルカラーのかわいらしい雰囲気の雑貨や飾り付けが多いですが、それぞれのモチーフにもきちんと意味があります。
ここでは、イースターの代表的な2つのシンボルについて詳しく見ていきましょう。
イースターのシンボル「イースターエッグ」
たまごは命の源、ひなが殻を割って生まれてくる姿から復活の象徴とされています。たまご料理を食べてイースターを祝い、殻をカラフルに彩って飾ったりエッグハントと呼ばれる宝探しをしたりして楽しむのが伝統です。
また、各家庭ではたまごの中身を抜いて、殻にペイントや装飾を施したイースターエッグを交換したり、飾ったりしてお祝いする場合もあります。
イースターのシンボル「イースターバニー」
うさぎは、子どもをたくさん産むことから生命力を象徴しています。それだけでなく、子どもに読み聞かせるストーリーでは、イースターエッグを運んでくるキャラクターとしてもイースターバニーが登場しています。
イースターのシンボルとされているのは野うさぎで、春は繁殖を始める時期です。野うさぎのかけめぐる草原や草が生い茂る春の生命力がキリストの復活のイメージとも合わさり、イースターのシンボルとなったとも考えられています。
なお、うさぎ以外にも子どもをたくさん産む羊が登場することも多いです。
イースターの主なお祝い方法
キリスト教を信仰する方にとって、救世主であるキリストが復活したイースターは非常に重要なイベントです。キリスト教圏の国ではイースターは祝日とされている地域もあり、イースター休暇を取る国もあるほど大事にされています。
ここでは、イースターにおける主なお祝い方法を3つ紹介します。
当日はイースター礼拝が開催される
教会では、キリストの復活をお祝いする礼拝が行われます。礼拝に参加したあとは、家族でご馳走を食べるのが伝統です。
一部の宗派では、イースターまでの準備期間に肉やたまご、乳製品を取ることが禁止されている場合もあります。イースターでそれらが解禁されることもあり、豪華な食事会が風習になっていることも多いです。
エッグハントやイースターエッグづくりを楽しむ
たまごにカラフルなペイントを施した「イースターエッグ」をつくる風習もあります。子どもはそのつくったたまごを使用してエッグハントを楽しみます。
エッグハントとは、イースターエッグを森や家の中に隠し、それを探す遊びのことです。見つけるとお菓子がもらえるといったルールを設けている家庭も多くあります。
最近では、日本でもイースターエッグづくりを楽しんだり、たまごの形の容器にお菓子を詰めたものを隠して楽しんだりすることが増えました。それだけでなく、テーマパークではイースターのたまごにちなんで、ことりやうさぎをモチーフにしたキャラクターが登場するなど、賑わいを見せています。
キリスト教圏の国では、多くのお店は休暇に
キリスト教圏の国では、イースターの時期になるとショッピングモールなどのお店はほとんどが休みとなります。イースターの当日をはさんで、その前の金曜日を「Good Friday(グッドフライデー)」、その次の日曜日を「Easter Sunday(イースターサンデー)」と呼び、週末から次の月曜日にかけての期間をイースターとしている国も多いです。
イースターにはイースターリリーがおすすめ!
 
キリスト教圏の国では、イースターの時期になるとイースターリリーを飾る風習があります。イースターリリーの和名は「鉄砲百合(テッポウユリ)」であり、ラッパのような咲き姿で横向きに花をつけるのが特徴的です。
また、ラッパのような花の形はキリストを呼ぶ神様のトランペットを象徴するともいわれています。
ここでは、イースターリリーの特徴や魅力などを具体的に解説します。
イースターリリーは日本原産のユリ
イースターリリーは19世紀にシーボルトが日本から持ち帰り、欧米に広まったといわれています。それまでは、純白のマドンナリリーと呼ばれる品種が聖母マリアの純白の象徴としてキリスト教の聖花として使われていました。
19世紀にテッポウユリが伝来すると圧倒的な人気を得て、マドンナリリーに代わって現在では多くの教会で聖花として飾られています。
イースターリリーはその白さから「純白」「復活」の象徴とされ、聖母マリアの花として親しまれています。
基本的に花屋で購入できる
イースターリリーは、日本の花屋でも購入することができます。1年中流通しており、価格も1本300~500円ほどと購入しやすいです。花屋に入荷するときには蕾の状態が多く、美しく開いていく姿を楽しむことができます。
開花すると花の中から花粉が顔を出すので、早いうちに取り除くと花びらに花粉がつかず、綺麗な状態で花を楽しむことが可能です。これには長持ちさせる効果もあるので、早い段階で花粉を取り除くと良いでしょう。
イースター期間中は贈る場合もある
上述したように、キリスト教圏の国ではイースターの前後を休暇としているところも多く、当日に花を購入しようにも難しい場合があります。そのため、この期間中に人を訪ねるときには、イースターリリーを持っていくことがあり、日本でいう「おもたせ」のようなイメージです。
花束のような大げさなものではなく、チョコレートなどのお菓子と一緒にイースターリリーを簡単に束ねてクラフト紙などで包んで届けることが多いです。
イースターリリー以外にもおすすめの花
イースターリリー以外にも、以下のような花を飾るのがおすすめです。
- スイセン
- パンジー
- ネコヤナギ
- テマリソウ
ここでは、それぞれの花の特徴などを詳しく紹介します。
スイセン
黄色いスイセンは、ドイツでは「イースターのベル」、イギリスでは「レントのユリ」と呼ばれ、春の訪れとともにイースターを象徴する花として親しまれています。明るい黄色の花は見る人の気持ちを前向きにし、イースターらしい華やかさを演出してくれます。
飾り方もさまざまで、バスケットを鳥かごに見立ててスイセンをアレンジしたり、カラフルなたまごや鳥の羽と組み合わせたりすることで、簡単に季節感あふれるイースター飾りが完成します。
さらに、ムスカリなどのパープル系の花と合わせると黄色とのコントラストが美しく、テーブルや玄関に春らしい彩りを添えてくれます。切り花だけでなく鉢植えを選べば、長く花を楽しむことができ、贈り物としても喜ばれるでしょう。
パンジー
小さく愛らしい花を咲かせるパンジーは、豊富なカラーバリエーションでイースターの飾り付けを華やかにしてくれる存在です。明るいイエローやパープル、ホワイトなどの定番カラーに加え、近年はニュアンスカラーやグラデーションが美しい品種も登場し、より洗練されたアレンジを楽しめるようになっています。
切り花としては蕾がついているものも多く、適切に管理すれば少しずつ開花していく様子を味わえるのも魅力です。
たまごのオブジェや鳥の羽と一緒にディスプレイすれば、イースターらしい軽やかな雰囲気が演出でき、テーブルや玄関を彩るのにぴったりです。寄せ植えや鉢植えを選べば、屋外でも長く花を楽しむことができ、プレゼントとしても喜ばれるでしょう。
ネコヤナギ
猫のしっぽのようにふわふわとした見た目が愛らしいネコヤナギは、その姿がうさぎを連想させることからイースターの飾り付けにぴったりの花材です。枝ものとしてボリュームがあるため、他の枝ものと組み合わせて大きく生けたり、やわらかな部分だけを取り入れてアレンジメントに加えたりするなど、さまざまな表情を楽しめます。
また、たまごの殻や小枝を組み合わせて鳥の巣のようにアレンジすれば、イースターらしいあたたかみのあるディスプレイが完成します。ナチュラルでかわいらしい雰囲気を出したいときにおすすめの花材です。
テマリソウ
テマリソウは、ふわふわとした草むらのような質感と丸いフォルムが印象的な花です。その独特な形を生かせば、まるで小さな芝生や花壇をイメージしたアレンジメントをつくれるのが魅力です。それだけでなく、間に小花をあしらえば草原に花が咲いているかのようなかわいらしい演出ができます。
また、スプレーマムやマトリカリアなどの黄色系の花を組み合わせると春らしい明るさが引き立ち、イースターの雰囲気にもよく合います。さらに、たまご型のオーナメントや小さなうさぎの雑貨を添えると、よりイースターらしい遊び心のあるアレンジに仕上がります。
ナチュラルであたたかみのあるテマリソウは、テーブルや玄関を華やかに彩るアクセントとしても活躍してくれる花材です。
春ならではの球根もイースターにぴったり

春は、花屋に球根が並ぶ季節でもあります。そのため、以下のような種類を活用するのもおすすめです。
- ヒヤシンス
- ムスカリ
- テタテ
切り花よりも長く楽しめる球根は、この時期にしか楽しめない春ならではの花です。それだけでなく、球根から花が生まれる様子はまさに生命のたまごのようであり、イースターの由来にもぴったりです。
ここでは、おすすめの球根の特徴などを解説するので、花選びの際に役立ててください。
ヒヤシンス
ヒヤシンスは、豊かな香りが魅力の球根植物です。新緑を思わせる爽やかさの中に甘さを感じる香りが特徴で、部屋に飾れば空間全体を心地良い雰囲気にしてくれます。
花の色も紫やブルー、白、ピンクなど、バリエーションが豊富であり、イースターを彩るカラフルな飾り付けにぴったりです。
切り花として花瓶に飾るのはもちろん、鉢植えのまま育てると長く楽しむことができます。イースターエッグや小さなうさぎのオブジェと一緒にディスプレイすれば、春らしい華やかさがさらに引き立ちます。
鮮やかな色合いと香りの両方で楽しめるヒヤシンスは、イースターのシーズンに取り入れたいおすすめの球根です。
ムスカリ
ムスカリは、ほのかに甘いムスクの香りを楽しめる球根植物です。小さな粒のような花が連なり、鮮やかなブルーがまるで小さなぶどうの房のように見えるかわいらしさが魅力です。
春になると球根から勢いよく芽を伸ばす姿には生命力が感じられ、新しい季節の訪れを告げる花としても親しまれています。イースターの飾り付けでは、イエローの花と組み合わせることでブルーとのコントラストが引き立ち、明るく爽やかな雰囲気を演出できます。
また、たまご型のオーナメントやバスケットに一緒に飾れば、よりイースターらしいディスプレイに仕上がるでしょう。ムスカリは、切り花だけでなく鉢植えとしても楽しめるため、ギフトとしても人気の高い花材です。
テタテ
テタテは、春の訪れを告げる小さなチューリップです。手のひらに収まるほどのサイズ感で、蕾がふくらみ花を咲かせていく過程を楽しめるのも魅力です。
フランス語で「秘密のおしゃべり」という意味を持つ名前の通り、寄り添うように咲く赤い花はまるでひそひそ話をしているかのようなかわいらしさがあります。イースターの飾り付けに取り入れれば、カラフルなたまごや小物と合わせて春らしい雰囲気を演出できるでしょう。
また、テタテは小ぶりなサイズなのでテーブルや窓辺などちょっとしたスペースにも飾りやすく、鉢植えで育てれば長く楽しむこともできます。
まとめ
イースターはキリストの復活を祝うだけでなく、春の訪れや新しい命の象徴として世界中で大切にされている行事です。たまごやうさぎといったモチーフとともに、街や家庭を明るく彩るイベントとして近年日本でも広がりを見せています。
そんなイースターをさらに華やかにしてくれるのが花の存在です。スイセンやヒヤシンス、パンジーなど、春らしい花は飾るだけで季節感を演出し、テーブルや玄関を明るくしてくれます。
ぜひ本記事を参考に、今年のイースターは花とともに春の喜びを感じながら大切な人と過ごす時間を彩ってみてはいかがでしょうか。
 
              
