生花はどのくらい日持ちする?お手入れをして、花を長く楽しもう

お祝いや送別の贈り物でもらうことも多い生花の花束やアレンジメント。

自宅に飾ったらあっという間に枯れてしまった、という経験がある人もいるかもしれません。ギフトで贈りたいけれど、ブリザードフラワーやドライフラワーの方が長く楽しめそうなイメージがあり、悩むこともありますよね。

実は生花も自宅で簡単なお手入れをしてあげるだけで、より長く楽しむことができます。

今回は生花の日持ちと、長持ちさせるコツをご紹介します。

 

そもそも生花の日持ちはどのくらい?

生花の日持ちは、飾る時期と花の種類、お手入れ環境によってかなり差があります。

例えばギフトでもよく贈られるバラの花。冬場であれば、こまめにお手入れをすれば2週間ほど美しい状態を楽しむことができます。今までそんなに長持ちしたことがない!と驚いた方も多いかもしれません。

まずは、基本的な花の日持ち期間について見ていきましょう。

 

生花は夏場の冷房の効いていない部屋に弱い

生花が最も苦手なのは、じめじめとして暑い高温多湿な場所です。

日本の夏は湿度がかなり高い国。花の種類にもよりますが、冷房の効いていない部屋では日持ちは3〜5日ほどとかなり短くなってしまいます。夏場に生花を飾る際には、室温に注意しましょう。

 

季節別、基本的な花の日持ち

生花をいちばん長く楽しめるのは冬場です。

この時期は暖房の効いていない玄関などに飾ると、長いものでは10日〜14日ほど美しい状態を楽しむことができますよ。

逆に夏場の日持ちは夏に強いお花をのぞくと、5日程度。夏場は涼しいエアコンの効いた室内で管理してあげると1週間程度は生花を楽しむことができるはずです。

春と秋は日本では比較的過ごしやすい時期。花にとっても同じで、エアコンをかけずに過ごすことができるこの時期の生花の日持ちは7日〜10日程度です。

 

生花を選ぶメリットとは?

ギフトを選ぶときに、できるだけ長い間楽しんでもらいたいという思いからブリザードフラワーやドライフラワーを検討することもあります。

ブリザードフラワーやドライフラワーは、水に生けたり管理したりする必要もないので、もらった側の負担が少ないのが魅力でしょう。

しかし生花には、寿命があるからこその生花にしかない魅力があります。

 

四季折々の花を楽しめる

生花には旬があります。春夏秋冬で、それぞれその季節ならではの花を楽しむことができるのは生花にしかない魅力でしょう。

例えば、夏場であればひまわり。スイートピーやラナンキュラスの花束なら、春の到来を感じさせてくれますね。自然を通じて季節を感じることができる唯一無二の贈り物です。

 

自然の香りを楽しめる

ブリザードフラワーやドライフラワーには出せないのは、生花の香りです。

香りの強くない花でも、部屋に飾ると心が洗われるような自然の香りを感じることができます。

香りの強いバラや、ヒヤシンスなど何度も鼻をつけて香りを楽しみたくなってしまう花があるのも、生花にしかない魅力でしょう。

 

開花から枯れるまでを楽しむことができる

蕾の状態で飾った花が少しずつ開いて満開を迎えるような、日々の変化を楽しむことができるのも生花ならでは。

特に切花についていた小さな蕾は、お手入れによって開かせることができる場合もあります。毎日変化する花の姿を眺めていると、まるでペットを飼っているような愛着が湧くはずです。

 

枯れてしまう原因を知っておけば対策できる!

お手入れ方法を紹介する前に、花がなぜ枯れてしまうのか、その原因を知っておきましょう。

それぞれの原因に合った対策を行えば、いつもより長く生花を楽しめるはず。

お手入れした分だけ長持ちしてくれるので、成果が目に見えて、さらにお手入れするのが楽しくなりますよ。

 

水を吸い上げられなくなってしまう

花は生き物なので寿命があるものです。

花瓶の中で、生花は茎の中にある導管から水を吸い上げて生きています。飾っていくうちに少しずつ給水する力が弱まって、水を吸い上げることができなくなると、やがて枯れてしまうのです。

これは切花の寿命なので仕方がありませんが、少しずつ短く切り戻して給水をサポートしてあげるなどお手入れをすることで、寿命を最大限伸ばしてあげることができます。

 

バクテリアが増殖する

水の中で、花は呼吸してバクテリアと呼ばれる菌が繁殖していきます。

このバクテリアは、少量でも発生すると水の中でものすごいスピードで増殖していきます。見た目で水が白く濁って見えるようならバクテリアがたくさん発生している証拠です。

花は花瓶の中の水を給水するため、水が汚れているとバクテリアも一緒に吸収してしまい、さらに悪循環が起きて枯れてしまうのです。

花瓶の水を取り替え、清潔に保つこと。水を入れ替える際には、茎や花瓶についたぬるぬるも洗い流してあげることでバクテリアの増殖を抑えることが可能ですよ。

また、切花を買ったときについてくる栄養剤を入れるとバクテリアの増殖を防いでくれるのでさらに効果的です。

 

枯れた葉っぱや飾る場所にも注意

葉っぱや花が枯れると、エチレンガスと呼ばれるガスが大量に発生します。

このガスは花や植物の老化を促進するので、枯れた花と一緒に飾っていると他の花もあっという間に枯れてしまいます。

エチレンガスは、生ごみやりんごなどの果物からも発生するので、キッチン周りに飾る際には環境にも気を付けてあげましょう。

また、枯れた葉や花は早急に取り除いてあげることも大切です。

 

乾燥

生花は、花びらや葉の表面から水分が蒸発します。

部屋の中でエアコンの風が直接当たるような場所に飾っていると、乾燥して枯れてしまう原因に。

夏場エアコンの効いた涼しい部屋で管理するときは、直接風が当たらない場所に飾ってあげましょう。夏場の窓際など、直射日光が当たる場所も切花が焼けてしまいます。

窓際に飾りたいときは、カーテン越しのやわらかい日差しが当たる程度の場所なら大丈夫です。

 

花の種類別、日持ちする花の選び方

選ぶ花の種類によっても、日持ちに差があります。

特に日持ちが良いのは、トルコキキョウ、カーネーション、菊など。菊はお供えのイメージを持っている人も多いですが、最近では西洋マムといって、おしゃれな品種が増えていますよ。しっかり管理をすると、2週間ほど楽しむことができます。

トロピカルな雰囲気のランや、モカラ、シンビジュームなども日持ちがよく、上手に管理すると3〜4週間楽しめることもあります。

 

長持ちする花を選ぶポイント

育てられた過程でしっかり栄養を吸収した質の良い花は、同じ種類の花でも花持ちが違います。

見分けるポイントは難しいですが、茎の長さや太さ、花びらのツヤや葉の鮮度をチェックすると良いでしょう。野菜を選ぶときと同じイメージで、元気そうな花を選ぶのがポイントです。

 

切花は月水金曜日に入荷する花屋さんがほとんどなので、入荷日に合わせて購入すればより新鮮な花を選ぶことができますよ。

 

【お手入れの基本】切花、花束編

ここからは、実際のお手入れ方法を花束、切花、アレンジメントに分けてご紹介していきます。

花束は切花を束ねて、保水してからラッピングした状態です。ラッピングをほどいたあとは、自宅用に購入した切花と同じ管理方法で楽しむことができます。

 

購入したら、なるべく早く水につける

花束でもらった場合は、花が蒸れてしまわないようにまずラッピングを外します。

持ち帰りには、水かゼリータイプの水で保水してありますが、できるだけ早く水に入れてあげましょう。

 

水切り

最初に行いたいのは、茎の下を切って水の吸い上げを良くするための水切りという作業です。

切れ味の悪いハサミを使うと、茎の中にある導管がつぶれて水の吸い上げが悪くなってしまいます。よく切れる刃物か花ばさみを使いましょう。

空気中で切ると導管に空気が入ってしまうので、水中で水切りしてあげるのがおすすめです。

 

蕾や葉の処理をする

かわいらしい蕾や葉っぱはなるべく残したいと思ってしまいますが、花を長く楽しむためには余分なエネルギーを使う部分はできるだけ少ない方が良いです。

特に蕾の開花にはかなりのエネルギーを必要とするので、切花の場合、蕾や枝部分の剪定が必要になります。

また、水に浸かる部分の葉っぱは腐りやすくなるので落としてしまう方が良いでしょう。

ユリなど花粉がついている花は、その部分にもエネルギーを使うので、開いたら早々に取ってしまうのが長持ちさせるコツです。

 

花瓶の手入れも忘れずに

バクテリアを繁殖させないためには、花瓶や花器を清潔に保つことが必要不可欠です。

花瓶は洗剤を使い、キュッキュと音がするまできちんと洗って乾燥させておきましょう。

また、生ける花の長さに合った花瓶を選ぶ必要もあります。頭が重すぎると倒れて折れてしまうので、飾りたい花のボリュームに合った花瓶を選びましょう。

 

水の量をチェックしよう

水の量は、花の種類によって、たっぷりの深水に生けるか、少なめの浅水に生けるかを変えてあげると良いです。

一般的にバラやシャクヤク、アジサイ、大きな枝ものは良く水を吸うので、たっぷりの深水で。茎にふわふわと毛が生えているガーベラなど、茎がやわらかい花は腐りやすいので浅水がおすすめです。

それ以外にも、夏に飾ることが多いひまわりは水を良く吸いますが、茎がやわらかく腐りやすいので、こまめに水替えをして水を切らさないように気を付けてあげるなど、花に合わせた水の量で管理してあげましょう。

花は茎の先端部分からしか給水できないので、花瓶の底から3〜5cmくらい水が入っている状態で大丈夫です。

 

【お手入れの基本】アレンジメント編

アレンジメントとは、オアシスと呼ばれるスポンジに花を挿して、そのまま飾れる状態にしたものをいいます。花瓶に飾る花とは違い、オアシスに水を足して管理します。

 

オアシスが乾いたら水を足す

基本的なお手入れ方法は、オアシスを触ってみて乾いているようであれば、上から水を足して給水させてあげましょう。

この時、花びらや葉に水が直接かかると痛みの原因になるので、気を付けて行います。

給水にはスポイトか、先が細くなった計量カップのような容器があると使いやすいです。

 

枯れた花を取り除く

アレンジメントはお花をぎゅっと集めてオアシスに挿しているので、枯れた葉や花があるとそこから花痛みが広がりやすいです。

痛んだり枯れたりしている花や葉は、早急に取り除いてあげてください。

オアシスの中に花がない部分ができてしまったら、目立たない場所から抜いて、差し替えてあげても大丈夫です。

 

花が少なくなったら小さな花瓶に

花が少なくなってオアシスがスカスカになったら、元気な花だけを残して小さな花瓶に生け直してあげると最後まで楽しむことができます。

残ったオアシスは水をしぼって、自治体の処分方法に合わせて処分しましょう。

 

捨てる前にチェック!その花まだ復活するかも

購入したりもらったりした花がすぐに枯れてしまった場合、よく観察すると実は水が下がっているだけで復活する場合があります。

特に、茎が弱い草花は、頭が重いので水が下がりがちです。一見頭が下がって元気がなく、枯れているように見えるかもしれませんが、花の状態が元気そうなら花が水を吸い上げやすい状態に導く水上げ方法を試してみてください。

 

新聞紙を巻いて深水に

バラやラナンキュラス、草花などの頭が下がったときに試してほしい方法です。

まず大きめのバケツなどに水を張ります。

首が下がった花の茎の先を少し切り、まっすぐになるように新聞紙にセットしましょう。この時、新聞紙の角に花の頭がくるように置くとやりやすいです。

クレープを巻くような要領で、そのままくるくると花を巻いてください。

バケツの中にまっすぐに立てて入れ、水圧をかけて給水を促しましょう。斜めの状態だと水圧がかからないので、まっすぐに立てて入れてください。

うまくいけば、このまま半日ほど置いておくだけで元気を取り戻してくれるはずですよ。

 

長持ちさせるコツ

せっかく選んだお気に入りの生花や、いただいたギフトはなるべく長く飾っておきたいものです。飾る場所や、簡単に実践できるコツを知って、花を長く楽しみましょう。

 

風通しの良い場所に飾る

飾る場所で、花持ちも随分と変わります。

おすすめなのは、直射日光の当たらない涼しく風通しの良い場所です。

夏場であればエアコンの効いた涼しい部屋、冬場は逆に玄関などエアコンの届かない涼しい場所を選びましょう。

 

枝ものは切り口をつぶす

大ぶりの枝ものを飾るときには、切り口を叩いてつぶすことで給水を促します。

太い枝であれば、枝の先端を十字に切れ目を入れて割ってあげるのもよいでしょう。

枝ものの中でも特に水の下がりやすいアジサイは、枝の中に綿があります。最初にナイフで斜めに切ってから綿を取り除いてあげると給水しやすくなりますよ。

 

水替えをこまめに行う

水替えの頻度は、多くても問題ありません。とはいっても毎日替えるのは大変なので、時期に合わせて水替えを行いましょう。

春・秋であれば2〜3日に1回。夏場は気温が高く水が腐りやすいので毎日できるとベストですが、2日に1回は変えておきたいところです。

冬場は寒い場所で管理すれば、3〜4日に1度程度でも問題ありません。

 

切花の栄養剤を活用する

花を購入するときに、小さな小袋がついてくることがあります。

切花用の栄養剤で、中には栄養のもとになる糖分や、バクテリアの増殖を抑えてくれる抗菌剤もはいっているので上手に活用しましょう。

1袋に対して水の量が決まっているので、小さな花瓶に飾る場合は、500mlのペットボトルにまとめて作って、水替えの度にそこから使用すると便利です。

また、栄養剤を使うと水が腐りにくくなるので、水替えの頻度を抑えられます。コストはかかりますが、忙しい人にはおすすめです。

 

花の終わりはいつ?捨てるタイミングとは

意外と悩む、花の咲き終わり。捨てるタイミングはいったいいつなのでしょうか。

少しでも綺麗な状態だと、捨てるのは心苦しいもの。処理方法も、他のごみと一緒に捨てていいものか意外と分からないですよね。

 

見た目が枯れている

いちばん分かりやすく、捨てやすいタイミングです。

変色したり、茎が腐っていたりしたら処分する時期。捨てる時期に正解はありませんが、美しくなくなってしまったなと感じるようであれば捨てた方が良いでしょう。

 

ドライになっている

飾っていると、花や葉が乾燥してドライ状態になっていることがあります。

これも処分するタイミングです。

ドライフラワーにする場合は、花色がきれいなうちになるべく早く水分を抜いて乾かすことで綺麗にドライにすることができます。ネイティブフラワーなど一部の花をのぞいて、飾っているうちにドライになったものは花色も悪くなるので、処分する方が良いでしょう。

 

まとめ

生花は、お手入れをしてあげることでより長く楽しむことができることを紹介しました。

花屋さんで出会ったお気に入りの花、ギフトでもらった大切な花、無理のない範囲でお花のお世話をして、美しい状態をより長く楽しめるとよいですね。

大切なあの人にお花を送ってみませんか?