十五夜のお供え物はこれで決まり!お月見に飾りたい秋の花はこれ

十五夜は「中秋の名月」と呼ばれる行事であり、お月見しながら楽しむ秋の風物詩です。

古くからある伝統行事ですが、「十五夜がいつなのかイマイチ分からない」や「十五夜にどのようなものをお供えすれば良いか分からない」という方は少なくないのではないでしょうか。

そこでこの記事では、十五夜のルーツをはじめ、お供えに向いている花などについて解説します。

十五夜のルーツ

十五夜のルーツは、中国の唐時代に起源し、月を珍重しながらお茶やお餅を食べる習慣があり、「中秋節」と呼ばれていました。

日本に伝わったのは平安時代だといわれています。

ここでは、日本における十五夜の起源や2023〜2027年の十五夜についてなどを解説します。

日本での十五夜の起源

上述したように、日本に月を鑑賞する習慣が入って来たのは平安時代からであり、当初は貴族の間で流行していました。

それが庶民の間に広まったのは江戸時代後期のことです。

十五夜を祝う理由には主に3つあり、代表的な理由としては収穫した農作物への感謝と豊作を願う気持ちが挙げられます。

また、月への賞賛があり、当時は月の明かりで生活をしていたこと、月の満ち欠けによって農作物を育成する手がかりを得ていたことなども理由の1つです。

そのほかにも、秋は1年のなかで月の高さがちょうど良く、空気中の水蒸気の量が少なく澄んでいるため、一番美しい月を眺めることも由来として挙げられます。

2023~2027年の十五夜はいつ?

十五夜とは、旧暦の8月15日の夜のことを指しますが、現代では日にちが旧暦と異なります。

2023年(令和5年)の十五夜は、9月29日になります。

十五夜は新月からはじまり、その日を軸として15日目のことであり、十五夜が必ずしも満月になるとは限りません。

しかし、幸運なことに2023年の十五夜は満月と重なるため、お月見することをおすすめします。

それ以降は2024年は9月17日、2025年は10月6日、2026年は9月25日、2027年は9月15日が十五夜となり、満月と1~2日程度ズレてしまうため、十五夜に満月を見たい場合は今年がチャンスです。

十五夜と中秋の名月は同じ?十三夜との違いは?

十五夜と中秋の名月は、同じ意味なのか気になるという方はいるのではないでしょうか。

結論からいうと、ほとんど同じようなものですが、本質的にはやや違いがあります。

十五夜は新月から数えて15日目の月を指すため、年に12〜13回程度ありますが、中秋の名月は旧暦の8月15日に見る月を指しており、年に1回だけしかありません。

しかし、現代では月が一番くっきり綺麗に見える中秋の名月を「十五夜」と呼ぶことが増えてきています。

このほかにも、日本由来の「十三夜」という風習があります。

これは旧暦で9月中旬を指しており、新月から数えて13日目の月で、満月から少し欠けた月です。

ちなみに2023年の十三夜は、10月27日になっています。

十五夜にお供え物をする理由

十五夜は、秋の豊作物の収穫に感謝を捧げる伝統行事であり、豊作を祝う食べ物を月が見える場所にお供えするようになったのが主な理由として挙げられます。

また、ススキを魔除けとして飾ることがあり、これは神様の依り代と考えられているためだといえます。

そのため、災いといった悪いことから収穫物を守り、翌年の豊作を願うという意味があります。

ここでは、十五夜によく選ばれるお団子をはじめ、代表的なお供え物を4つご紹介します。

お供え物① お団子

十五夜といえば、月を眺めながらお月見団子を食べたことがあるという人も多いのではないでしょうか。

しかし、なぜ十五夜にお団子を食べる習わしが誕生したのでしょうか。

秋はお米をはじめ、さまざまな作物を収穫する時期であり、お供え物はその季節に採れたものになります。

お団子は、収穫したお米を使って丸い月に見立てて作ったものです。

さまざまな意味を持っていますが、主な意味として豊作への感謝の気持ちが挙げられます。

また、丸い形をしていることから物事が円満に解決することや幸福を意味していたともいわれています。

お供え物② サトイモ

十五夜のことを「芋名月」とも呼び、これは秋に収穫するサトイモをお供え物として選んだことが由来になっています。

サトイモが選ばれた理由としては、主食としてまだお米がなかった時代の影響といわれています。

しかし、サトイモは1株で多くの芋が収穫できることから、近年では子孫繁栄を祝う意味も込められるようになっていきました。

地方によって異なりますが、多くの場合は味噌煮やシンプルな煮物、衣かつぎと呼ばれる蒸した芋をお供えします。

また、サツマイモを供える地域もあります。

お供え物③ 秋が旬の作物

秋にはさまざまな野菜や果物が収穫の時期を迎えます。

そのため、これらの旬の素材を器に盛り、お供えとして選んだことがはじまりです。

旬の作物として、栗やカキ、きのこやブドウなどがお供え物として重宝されていました。

秋が旬の作物であれば特にこれといった決まりなどはないため、自身のお住まいの地域で採れたフレッシュな作物をお供えすると良いでしょう。

お供え物④ 秋の七草

四季には七草が存在しますが、それぞれ違う目的で用いられています。

たとえば、春の七草はお正月に食べ過ぎた胃腸を休めるために、栄養たっぷりの野菜が入った七草粥を食べます。

また、無病息災を祈る意味もあります。

秋の七草は、主に見て楽しむことが多いです。

現在では、自然に生えている秋の七草を鑑賞することは難しいですが、フラワーショップに行けば手に入る花はあります。

以下では、秋の七草について具体的にご紹介します。

秋の七草って何?

お月見のお供え物といえば、お団子のほかにススキが有名ですが、一昔前では秋の七草も一緒に飾っていました。

秋の七草は日本で古くから親しまれてきた草花で、奈良時代に山上憶良が詠んだ和歌から人々に広まったとされます。

ここでは、秋の七草を詳しく見ていきましょう。

ススキ

ススキはイネ科の植物であり、原産地は中国や日本などのアジア一帯です。

非常に暑さに強く、昔から野山などに生えているため、馴染み深いという人も多いのではないでしょうか。

このススキはお花見には欠かせない植物であり、昔の人は軒先に飾ることで無病息災を願いました。

また、上記でお伝えしたように魔除けとして活用されることが多い植物です。

ススキは夏が終わり、秋風が吹きはじめると黄色の粒のような花穂を付け、その姿は光に反射しキラキラ輝き美しいものです。

また、花が終わると全体的に白銀になり、最後は綿毛を付けて種に変化し、秋の雰囲気にマッチした見た目になります。

ススキの花言葉には、「活力」や「生命力」、「心が通じる」などがあります。

オミナエシ

オミナエシは東アジア原産のオミナエシ科の植物であり、秋の七草として日本では昔から親しまれています。

漢字では「女郎花」と書きますが、華奢で長い花茎とその先に咲く小さくてかわいい黄色の花が美女を征するほど美しいことから付けられたとされています。

オミナエシの開花時期は8月〜10月であり、花言葉には「美人」や「約束を守る」などが秘められています。

ナデシコ

ナデシコはアジア原産のナデシコ科の植物です。

ナデシコの種類は300種類以上だともいわれており、しなやかな花姿と香りが魅力的な花といえます。

昨今では品種改良が進み、ガーデニングとして楽しむだけではなく、切り花としても人気があります。

秋の七草として知られる「カワラナデシコ」は、淡いピンクや白色をしていて、花の先が細く裂けているのが特徴です。

ナデシコの花言葉は「無邪気」や「純愛」などであり、純粋さを表すような言葉が充てられています。

キキョウ

キキョウは東アジア原産の多年草で、紫色で星形の花を咲かせる特徴的な植物です。

以前までは河原でも見られることがありましたが、今では野生のキキョウは減りつつあります。

この植物は根の部分が薬草としても用いられており、咳を鎮めて痰を喉から排出しやすくする効果があるといわれています。

園芸用のキキョウにはさまざまな種類があり、絞りが入った種類や八重咲きなども出回っており、キキョウの種類は多種多様です。

キキョウの主な花言葉として、「変わらぬ愛」や「誠実」などが挙げられます。

フジバカマ

フジバカマは中国原産であり、花弁の形が袴のようであることから「藤袴」という名前が生まれたといわれています。

比較的見かけやすい植物であるため、散歩などに出かけた際に土手や河原などで見かけたことがある人は多いのではないでしょうか。

フジバカマは8月〜9月にかけて小さな白や藤色の花を咲かせる花であり、ナチュラルガーデンや和風の庭にピッタリの花です。

フジバカマには、「ためらい」「あの日を思い出す」「躊躇」という花言葉が秘められています。

クズ

クズは日本をはじめとしたアジア原産のマメ科の植物であり、夏の終わりから秋にかけて赤紫色のきれいな花を咲かせるという特徴があります。

マメ科の植物で、これほど大きくなる植物は珍しいでしょう。

また、クズの根は「葛餅」としても有名で、葛根湯という漢方薬には、クズの根を乾燥させたものが使用されています。

薬効には解熱作用のほか、鎮痛作用もあるため、風邪をひいた際にお世話になった人もいるかもしれません。

クズの花言葉としては、「芯の強さ」や「快活」などが挙げられます。

ハギ

日本原産のハギはマメ科の植物で開花時期は7月〜9月であり、赤紫色の風情のある花を咲かせることで有名です。

ハギは万葉集のなかで最も登場する花であり、梅や桜より多く142首も詠まれているため、日本人の生活に密着していたことが伺えるでしょう。

また、お彼岸にお供えする「おはぎ」は、この花が小豆に似ていることから名付けられたという説があります。

ハギには、「思い」「内気」「思案」「柔軟な精神」など、幅広い花言葉を持っています。

十五夜のお供え物の飾り方は?

十五夜には作物の豊作を祝い、お米で作った月見団子や旬の野菜や果物などを飾ることをお伝えしてきました。

しかし、お供え物の飾り方には、決まりがあるのだろうかと気になることでしょう。

 

十五夜は「お月見」がメインであるため、月が一番きれいに見える場所にお供え物などをセッティングしてみましょう。

飾り方としては、三方という台やお皿に半紙やキッチンペーパーといった白い紙を敷いてお団子を積み上げていきます。

長方形の紙を使うときは、裏側を下にして三角形を折ってください。

その際、手前から折り、右が前に重なるようにします。

和服や浴衣を着るときの衿の合わせ方と同じだと覚えておくと良いでしょう。

十五夜に関連して団子を15個並べる際は、下から9個(3列×3)、4個(2列×2)、縦に2個というようなピラミッド型に並べるのが一般的です。

また、地域によってお月見団子の種類もたくさんあり、沖縄の場合は小豆をまぶした「ふちゃぎ」、静岡であれば団子の中央が凹んだ「へそもち」などがあります。

関西ではサトイモに餡を絡ませた食べ物をお供え物として使用するなど、さまざまであるため、自身の地域に合ったお団子を選ぶと良いでしょう。

 

海外のお月見事情

中国の「中秋節」から発祥したお月見文化ですが、アジアのあちらこちらで受け継がれています。

海外ではお月見の日にどんな風に過ごしているのかをチェックしてみましょう。

 

台湾

台湾ではお月見が重要な行事の1つとされており、国民の休日になっています。

中国と同じように焼き菓子の「月餅」と、グレープフルーツを大きくしたような見た目の果物「文旦」をお供え物にしています。

また、家族や親類が集まり、バーベキューをしながらお月見を堪能する人も大勢いるようです。

 

韓国

韓国では、旧暦8月15日に「秋夕(チュソク)」という行事があります。

この日は家族や親せきなどが集まってお墓参りをしたり、ご馳走を食べたりしながら収穫の秋を祝う日です。

一般的には祭壇にお供え物をして、ご先祖様に感謝しながら手を合わせます。

そのあとに家族や気の合う仲間とワイワイと食事するのが定番のようです。

 

オーストラリア

シドニー西部のベトナム人が多いエリアでは、中秋節をお祝いするムーンフェスティバルが開かれています。

これは日本や中国と同じように、美しい月と農作物に感謝する日です。

しかし、季節が逆のオーストラリアでは、これから春となりますので、豊作を願うお祭りとなります。

この日はアジアン屋台がたくさん出るので、家族や友達と賑やかに過ごす人が多いようです。

お月見にススキと一緒に飾りたい花3選

十五夜には美しい月を眺めながら美味しいものを食べて、ゆっくりと過ごしたいところです。

その際、お月見を彩る花はどんな花が合うのか気になるという方は多いのではないでしょうか。

花だけで飾っても風情を演出できますが、ススキと一緒に飾ることでさらに雰囲気が良くなります。

ここでは、ススキと一緒に飾る際におすすめの花を3つご紹介します。

ピンポンマム

ピンポンマムは鮮やかな黄色の花をしており、月に似た見た目をしている花です。

そのため、お月見の日にコロンとしたフォルムをしているピンポンマムを飾り、月に見立てるのも素敵ではないでしょうか。

また、ピンポンマムは和の雰囲気にもピッタリであり、雰囲気を損なうことはありません。

そのほかにも、緑色をしたマリモのようなテマリソウと組み合わせると、グッとオシャレ度が増すのでおすすめです。

コスモス

秋に咲く花の代表といえば、誰しもがコスモスを思い浮かべるのではないでしょうか。

コスモスは、ちょうど十五夜のころから咲きはじめるので、ススキと一緒に飾ってみましょう。

また、リンドウやクラスペディアなどを加えるとよりお月見にピッタリな見た目になり、風にそよぐようなヨウシュヤマゴボウやアマランサスを加えてもオシャレになります。

ワレモコウ

ワレモコウは、30〜100cm程度のサイズがあり、インパクトの強い花を持つ植物です。

そのため、大きな花瓶にワレモコウを大胆に生けるのも楽しみ方の1つでしょう。

そこに空き地などに咲いているイヌタデや山シダをいれると、さらにナチュラル感が増します。

また、かわいい黄色の花を咲かせるエゾヨモギギクやナデシコなどを加えると、華やかさも演出できます。

十五夜のお供え物/秋の七草や風情のある花を楽しみましょう

十五夜に月を愛でるという形は、遠く平安時代から続いている文化です。

現代では月の明かりで生活をしていた昔とは様式は違いますが、月に馳せる思いは共通しているのではないでしょうか。

現代人は忙しく、毎日時間に追われているため、のんびり月を眺めている暇はないという方は少なくありません。

せめて十五夜には秋の七草や優美な花を飾り、家族で月を眺めてみてはいかがでしょうか。

大切なあの人にお花を送ってみませんか?