十三夜に飾るお花とは?お月見の彩り方・楽しみ方を紹介
「十三夜」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
「十五夜なら知っているけど……。」という方がほとんどだと思いますが、実は十三夜も十五夜と同じように満月を楽しむ秋の風習の1つなのです。
十三夜では、月を眺める以外にもお花を飾ったりお団子をお供えしたりと豊かな行事がたくさんあるので、おすすめのお花とあわせてご紹介していきたいと思います。
今年の十三夜は、ぜひご家族や身のまわりの方と一緒に楽しんでみてください。
十三夜はお花を飾って楽しもう
十五夜を経験したことのある方は多いと思いますが、十三夜はどうでしょうか。
「何をする日?」と思うかもしれませんが、こちらもやはり秋の美しい満月を眺める日です。
十三夜も十五夜と同様に、ススキなどのお花やお月見団子、収穫した栗や豆などを飾ってお祝いしましょう。
ススキは月の神様が宿る場所で、人間界に降りるときに依り代(よりしろ)にするとされ、ススキを切った時の切り口がとがっていることから「魔除け」になるとも言われており、家の軒などにつるす風習も残っています。
十三夜のロマンチックな雰囲気にぴったりのお花もたくさんありますので、美しいお花に囲まれて美しい月を愛でながら、豊かな気持ちで過ごしてみませんか?
秋の風物詩「十五夜」と「十三夜」
9月のカレンダーを見ると、大きな満月とススキ・お団子の絵が描いてあるのをよく見かけると思います。これは「中秋(ちゅうしゅう)の名月」という、いわゆる日本のお月見の風習を描いたものです。
お月見は1年で一番美しいとも言われる秋の満月を堪能する伝統的な行事で、秋の風物詩として、「十五夜」と「十三夜」が広く親しまれています。
この2つはともに美しい月を愛でる風習なのですが、意味や時期は少しずつ違うのです。
ここからは、「十五夜」と「十三夜」の特徴をご紹介します。今年お月見を計画している方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
十五夜とは
多くの方が耳にしたことがあるであろう「十五夜」とは、旧暦でいうところの8月15日にお月見をして、月の神様に今年の豊作を祈る風習のことを言います。
旧暦では7、8、9月を「秋」としていました。
秋のまん中の月の満月の日ということで、「中秋の名月」と呼ばれています。旧暦ではひと月の始まりの1日は新月とされていたので、15日には高い確率で満月を楽しむことができたというわけです。
ただ現代で使っている新暦では、旧暦と1ヵ月ほどの差ができてしまうので、旧暦の8月15日は今のカレンダーでいうところの9月15日や10月くらいになっています。
十三夜とは
十五夜と共に楽しまれてきたのが「十三夜」です。
十三夜は旧暦の9月13日にお月見をする風習のことを言います。この時期は、ちょうどあちこちでお米などの収穫が終わるころです。
十五夜が豊作を祈る風習であるのに対し、十三夜は美しい月を眺めながら秋の豊かな収穫に感謝する日と言われていますよ。
旧暦と新暦は1ヵ月ほどずれてしまうので、十三夜は10月から11月あたりになることが多いでしょう。1年の中で十五夜に次いで月が美しい日ということで、「後の月」などとも呼ばれます。
そもそも「お月見」の由来とは?
「お月見」は、古く平安時代に始まったとされています。
859〜877年ころ、もともと中国にあった月をめでる風習「観月」を平安貴族たちが日本にとりいれ、楽しみ始めたようです。その頃のお月見は、お酒を飲みながら楽器や歌を楽しむというようなものだったようですよ。
その後に庶民にも広がり、十三夜の季節はお米やお芋などの収穫が盛んになることもあって、「みなで収穫を祝おう。」という風習に変わってゆき、「収穫祭」のような位置づけとして残りました。
十三夜の由来は諸説ありますが、同じく平安時代の醍醐天皇が、宴として始めたことが由来とも言われています。
2023年の十三夜はいつ?
では、今年の十三夜はいつなのでしょうか。
現代のカレンダーは新暦をもとにしているので、旧暦とは1〜2ヵ月ずれてしまいます。そのため、2023年の十五夜は9月29日金曜日、十三夜は10月27日金曜日となります。
十五夜と十三夜はどちらか一方しか行わないと「片見月(かたみつき)」と言われて縁起が悪い、災いがやってくるなどと言われているため、できれば両方お祝いしてみてください。
2023年はともに週末の夜なので、お仕事の後にでも、ぜひゆっくり時間をとってみるのはいかがでしょうか。
十三夜の過ごし方
十三夜の意味を知ると、「今年は満月を楽しんでみようか。」という気持ちになりますよね。
しかし、いざ実行しようと思うと、「十五夜はだいたいわかるけど、十三夜はなにをするの?」と悩む方もいるかもしれません。
十三夜の過ごし方も、基本的には十五夜と同じです。
ここからは十三夜の楽しみ方をわかりやすくご紹介していくので、ぜひ気軽に楽しんでみてください。
月を眺めて楽しむ
この季節が「中秋の名月」などといわれて秋の風物詩となるのは、やはり1年の中で一番月が美しい季節とされているからです。
これは決して心理的なものや迷信などではありません。秋の空は乾燥しているので、水蒸気量が少なく他の季節よりも月がくっきりと見えます。
地上の灯りに邪魔されないほどの高い位置にあるので、さらに綺麗に見えるという効果もあるのです。秋の素晴らしい満月を眺めて、たっぷり堪能しましょう。
お供えものをして楽しむ
十三夜は収穫祭という意味を持っているので、お供え物をして楽しむのがおすすめです。
豊かな収穫物をお供えし、月の神様に「今年もありがとうございました。」と伝えてみてください。お月見団子や栗を使ったお菓子などを楽しむのも良いでしょう。
また、この季節に旬となる「秋の七草」は、お月見を彩る花としても最適です。十三夜にぴったりのお花はたくさんありますので、素敵な夜をきれいなお花で飾って豊かに過ごしましょう。
おすすめのお花については後述しますので、こちらもぜひ参考にしてみてください。
十三夜に供えるもの
十五夜や十三夜には、街のあちこちでポコポコと積まれたお月見団子が売られ始めます。
なんとなく習慣になっていましたが、「改めて考えるとなんでお団子?」と疑問に思う事もあるかもしれません。
ここからは十三夜におすすめのお供え物をご紹介しながら、その意味なども解説していきます。理由がわかるとさらにお月見を楽しめるでしょう。
月見団子
お月見団子は十五夜や十三夜の夜に、月の神様にお供えして感謝の気持ちを伝えるためのものです。
まんまるとした形は満月を表しており、「豊作」だけでなく「健康や幸福」なども意味していると言われています。
十五夜であれば9個、4個、2個と積んで15個、十三夜には9個、4個で13個、または3個が良いとされていますよ。
台のついた「三方(さんぽう)」という皿にのせるのが正式な方法で、奉書紙や半紙などの白い紙を引いて団子を積みましょう。三方は月が見えるところなどに、ススキや野菜などと共に飾ります。
栗
十三夜は別名で「栗名月」「芋名月」「豆名月」などと呼ばれます。
これはこの季節に栗や大豆、里芋、さつま芋などの野菜がたくさん収穫されることに由来しています。お供え物にはこれらの収穫物や果物などを飾ると良いでしょう。
中でも栗は、体を温める効果のある食材と言われています。夏が終わり厳しい寒さへと体が準備をする中で、栗をお供えし、最後にはみなで分けあって食べれば、元気に年の瀬へ向かうことができるでしょう。
街のスイーツ屋さんには栗のお菓子がたくさん並びます。こだわりの一品を買って、家族でいただくのも素敵ですね。
季節のお花
お月見と言えば「ススキ」というイメージがあると思います。ススキは月の神様の宿る場所と言われていることや、稲穂に似ているなどの理由で、お月見には欠かせないお花とされています。
しかし、この季節には他にもたくさんの美しい花がありますので、旬のお花を艶やかに飾るのも良いでしょう。ススキなどをメインとしてお月見用のアレンジメントなどを準備すれば、おしゃれな宴となりますよ。
十五夜・十三夜に飾る「秋の七草」
お月見の季節には、「秋の七草」という、お月見にぴったりのお花が豊富にそろっています。
「春の七草(セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ)」は、お正月の胃を休めるための薬草粥として親しまれていますが、秋の七草はその美しさをめでて楽しむためのものです。ぜひ秋の七草からお供えの花を選んで、お月見の夜を彩ってください。
ススキ
秋や満月と言えば「ススキ」を連想するほどの、秋の代表格といえるお花です。
先端にふさふさとした穂をつけ、河原などでなびく姿は非常に趣があります。上記でもご紹介しましたが、ススキは月の神様が地上へ降り立つときに「依り代」とする植物と言われています。稲穂にも雰囲気が似ていることから、十三夜に飾るお花としてはぴったりでしょう。
茎や葉は細いですが非常に鋭く、切り口は気をつけないと手を切ってしまうほどです。そのため「魔除け」の効果があるとも言われており、家の軒などにつるしておけば体調を崩さないなどの言い伝えもありますよ。
ハギ
ハギは漢字で「草かんむりに秋」と書くだけあって、まさに日本の秋の花の代表として親しまれる植物です。
秋には、しだれたような枝に美しい赤紫や白の小さな花をたくさん咲かせます。
花姿が見事なので和歌などにもよく登場し、古くは万葉集にも詠まれた記録がありますよ。秋のお彼岸にお供えするおはぎは、このハギが由来となっています。
花言葉は「思案・内気」など。思わず物思いにふけってしまう秋の季節にはぴったりの花でしょう。
クズ
葛湯、葛もち、葛切りなどでおなじみの、とろりとした料理などによく使われる食材です。葛のつるは葛布という布地にもなり、根っこは民間療法として体の不調に役立てられてきました。みなさんも聞いたことがあるかもしれない「葛根」は、風邪薬として有名です。
葉は家畜の肥料に使われるなど、余すところなく役立つ有能な植物なんですよ。
花は赤紫色で、とても甘い香りがします。花言葉は「生命力・活力」など。これからどんどん涼しくなっていく季節にぴったりの花と言えるでしょう。
ナデシコ
清楚で可愛らしい日本の女性を表した言葉を「大和撫子」と言いますが、それはこのお花のことです。秋の七草のナデシコは、厳密にはカワラナデシコを指しています。
花は可憐でフリルがついたように美しく、撫でてあげたいほど可愛らしいという意味からこの名前がつきました。
枕草子の中で、清少納言が草花の中でナデシコが一番美しいと言ったというほど、かわいらしさには定評があります。
花言葉は「純愛・無邪気・いつも愛して」など。カップルでお月見をする時などにもおすすめです。
キキョウ
凛とした星形が美しいキキョウも、日本で古くから愛されてきた秋の花です。
あまりに形が良いので、武家の家紋などにもモチーフとして使われています。明智光秀の水色桔梗は、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
花は濃い青紫や白、ピンクなどのあでやかな種類が豊富で親しまれていますが、現代では、野生種は絶滅危惧種に指定されているほど貴重な品種となっています。
花言葉は「清楚・気品」など。上品なたたずまいは、しっとりした秋の夜に最適でしょう。
フジバカマ
房のような薄紫色の花が圧巻な印象の、秋の花です。
夏の終わりのまだ暑い頃から咲き始め、小ぶりの花がふさふさと密集します。「藤袴」という名前は、藤色の袴をはいていた少女が立っていた場所から、この美しい花が生えてきたという逸話に由来しています。
香りは桜餅のように甘く、印象的です。
現代では野生のフジバカマは生息しておらず、絶滅危惧種に指定されています。
花言葉は「躊躇・あの日を思い出す」などロマンチックなもの。ふと過去を思い出す秋の夜長にぴったりです。
オミナエシ
群生する黄色い花が圧倒的な美しさをほこる、あでやかな秋の花です。
漢字では「女郎花」と書きますが、これはあまりの花の美しさが、人間の美女にも勝るからとも言われています。非常に古くから愛されており、和歌や俳句にもよく登場しますよ。「男郎花(オトコエシ)」という、ひとまわり大きな非常に似た花も存在します。
花言葉は「美人・親切」などです。
十三夜に飾りたい!おすすめのお花
十三夜は日本の伝統に基づいたすてきな風習ですが、現代では残念ながら縁側があるお宅も少なく、お供え物もリビングで、またはベランダに持ち出すという方も多いのではないでしょうか。
十三夜にはもちろん秋の七草がおすすめですが、この季節には他にもおしゃれなアレンジができる素敵なお花が豊富にそろっていますよ。
ここからは、十三夜におすすめの個性豊かな花々をご紹介します。
ダイヤモンドリリー
ダイヤモンドリリーはヒガンバナ科の植物で、その名の通りダイヤモンドのようにはじけるような輝きを持った華やかな花です。
白や薄いピンクの4cmほどの花がいくつかまとまって開花する姿は圧巻ですよ。
またmダイヤモンドリリーは光を当てるとゴージャスに輝きます。月の光のもとではある種の神聖さを漂わせてくれるので、十三夜にはぴったりと言えるでしょう。
縁側で伝統的なお月見も良いですが、現代の住環境にあわせた素敵な夜が過ごせそうです。
ピンポンマム
ピンポンマムは別名ピンポン菊などと呼ばれる、まんまるの形状がかわいらしい菊の仲間です。花の色は白、黄、赤、ピンク、緑とさまざまで、茎の先にポンと丸い球体がついています。紫色の花々の中に黄色いピンポンマムを1つ入れてアレンジメントを作れば、まるで夜空にぽかっと浮かぶお月様のようです。白を選べば、まるでお団子のようにも見えますよ。花言葉は「真実・君を愛す・高貴」など。ブライダルシーンにもよく登場する人気のある花です。
リンドウ
キキョウのような深い青紫色が美しいリンドウも、秋の行事にはぴったりのお花です。
紫色の花びらは小さく控えめにたたずむフォルム。美しく清楚、上品な印象があるので、日本の伝統的な行事にはぴったりと言えます。
アレンジメントでは、深い花色を活かしてロマンチックな夜空を表現できるでしょう。お月見の定番・ススキなどともバランスが良いので、十三夜のお花として使いやすいでしょう。
ケイトウ
ケイトウは、まるで燃え上がる炎のような赤い花姿が印象的な秋の花です。鶏のトサカのように見えるので、漢字では「鶏頭」と書きます。
色は赤だけでなく、黄色やオレンジ、淡い緑などもあり、どれも非常にあざやかなので、秋の雰囲気を出すアレンジメントにぴったりでしょう。
個性的な印象があり1週間ほど日持ちもするので、十三夜の後にはリビングなどへ移動して、秋色の演出を楽しむのもおすすめです。
十五夜・十三夜に飾る花は自由にアレンジOK
十五夜や十三夜と聞くと、「満月の見える縁側にお団子を積み上げ、その横でススキがそよそよと揺れている。」というようなイメージを持つと思います。
そんな伝統的な雰囲気ももちろん素敵ですが、縁側の減ってしまった現代では、少し違った形もおすすめです。
秋の七草のようなお月見のお花にこだわらず、自由な発想でお月見らしいアレンジメントを楽しみましょう。
色とりどりのお花を使って満月や夜空を表現したり、秋の雰囲気を前面に出すのも素敵ですよ。アレンジメントや花瓶に入れればお月見の日は窓辺へ、終わったらリビングへと楽しみを続けられます。
まとめ
この記事では、十三夜の楽しみ方や、十三夜に飾りたい、おすすめのお花についてご紹介しました。
十三夜は、1年の中でも非常に月が美しく見える季節です。月見団子やススキなどのお供え物をして、秋の良い時間を過ごしてみてください。
2023年の夏は非常に暑い日々が続きました。あわただしかった夏がもう終わったら、涼やかな十五夜と十三夜の満月を楽しんでみましょう。美しい月明りと花々に囲まれて、素敵なひとときを満喫してくださいね。