皇帝ダリアの花言葉・育て方

樹木のように大きく育つ皇帝ダリアは、名前の通り皇帝のような威風堂々の存在感で晩秋を飾ってくれます。

キク科のテンジクボタン属(またはダリア属)の一品種ですが、よく花束用の切り花で見かけるダリアとはかなり違った趣がありますよ。

草丈は6mになるものまであり、薄紫や薄ピンクの花を高く育った茎の先に咲かせます。

木立ダリア、王様ダリア、帝王ダリアなどさまざまな名前を持つ皇帝ダリアですが、一体どんな花なのでしょうか。花言葉や育て方、プレゼントにおすすめのシーンなどをご紹介します。

皇帝ダリアの花言葉

皇帝ダリアの花言葉は「乙女の真心」「乙女の純潔」です。

花言葉の由来は花の姿や印象から来ているといわれており、秋の青空の下、清楚で可憐なピンクや紫色の花を咲かせている様子が、乙女の真心や純潔などに結びつけられたのでしょう。ゴージャスな印象のあるダリアに比べて、かなりすっきりとした花姿の皇帝ダリアは、確かに乙女の真心や純潔に喩えられるのにぴったりの花です。

皇帝ダリアの花言葉に怖い意味はある?

ダリア全般には「華麗」「優美」「気品」などの花言葉の他に、「移り気」「裏切り」「不安定」など一瞬怖いと思えるような花言葉がついています。こうした花言葉がついた由来には、ナポレオン皇帝の妻であったジョセフィーヌ妃が関係しており、ダリアを愛した彼女のとある逸話のためといわれています。しかし、皇帝ダリアにはそういったネガティブな意味の花言葉はついていません。ギフト、プレゼントに安心して贈れるでしょう。

皇帝ダリアの基本情報

科・属 キク科・テンジクボタン属(ダリア属)
和名 コダチダリア
英名 Tree dahlia
学名 Dahlia imperialis(皇帝のダリア)
原産地 メキシコ、中米

皇帝ダリアは球根(塊根)から育つ多年草で、草丈は1m〜6m、11月〜12月の晩秋にピンクや紫色の花を咲かせます。短日植物といい、日照時間が短くなってくると蕾をつけ開花する性質です。

また、茎が木のように固く変化する木質化が起こるのも特徴で、木のような茎を長く長く伸ばして生長します。

皇帝ダリアの名前の由来

皇帝ダリアは非常に背が高くなり、木質化した茎も相まってまるで樹木のように見えることから英名で「Tree dahlia」という名前がついています。さらにその樹木のような立ち姿が威風堂々としていることから学名の「Dahhlia imperialis(皇帝のダリア)」がついたというのが一般的な説。

日本語でも、そのような姿の印象とこの学名から皇帝ダリアという名前で呼ばれています。ちなみに、一般的に皇帝ダリアという名前が定着していますが、正式な和名は「コダチダリア」です。さらにこちらも俗名ですが、帝王ダリア、王様ダリアと呼ばれる場合もあります。

皇帝ダリアの特徴

茎が木のように太く固くなるため、長く生長し、一般的なダリアと比べて非常に草丈が高くなります。切り戻しをしないと草丈は6m前後にまでなりますよ。大きくなると10mまで育つことも。

一般的には3〜4mほどで育てる場合が多く、そのぐらいとなると一般家庭では2階の窓から楽しむような高さになります。背の高い茎の先に一重咲き、八重咲のすっきりとした花をつけ、秋空の下に咲き誇る姿には雄大な美しさがありますよ。

開花は11月頃の晩秋ですが、電球などの人工の光に当たると開花時期が遅れるため注意しましょう。寒さに弱く、霜に当たるとすぐに地上部は枯れてしまうため、寒冷地では開花させるのが難しい花です。

ダリアと皇帝ダリアの違いとは?

ダリアと皇帝ダリアの大きな違いは花の形状です。ダリアには品種改良によりさまざまな品種がありますが、一般的にデコラティブ咲き、ボール咲きなどたくさんの花びらの重なった華やかな形状が特徴です。

一方で皇帝ダリアは一重咲きもしくは八重咲。ダリアに比べてかなりすっきりとした印象の花です。

二つめの違いは草丈です。ダリアは多くの品種で大体1m前後ですが、皇帝ダリアは6m、もしくはそれ以上にまで生長します。特に庭植えの場合、この草丈の違いによって姿の印象は大きく異なりますよ。

また、三つ目の違いとして、ダリアと花言葉の違いも挙げられます。ダリアには「移り気」「裏切り」といった一見ネガティブな印象の花言葉がついていますが、皇帝ダリアにはそういった花言葉はありません。

皇帝ダリアはいつの誕生花?

皇帝ダリアは11月14日の誕生花です。

誕生花は元々、古代のギリシャ・ローマで植物や花に神秘的な力、神々の霊感が宿ると考えられていたことにはじまります。その日に生まれた人の人格や個性を表すとされる花が当てはめられました。

皇帝ダリアを誕生花に持つ人は、皇帝ダリアのように威風堂々として存在感のある人なのかもしれません。秋に美しく咲く皇帝ダリアを、ぜひ11月14日生まれの人へプレゼントしてみてください。

皇帝ダリアの代表的な種類

ここからは、皇帝ダリアの代表的な種類についてご紹介します。

  • ガッツァリア
  • ダリア・エクセルサ
  • ピンナタ
  • メルキー

それぞれの特徴を見ていきましょう。

ガッツァリア

皇帝ダリアと園芸ダリアを掛け合わせた品種改良によって生まれたのがガッツァリア。

病気に強く花も咲きやすく、非常に育てやすく改良された品種です。特にダリアがかかりやすいウドンコ病に強い特徴があります。

草丈は1m50cm〜2m、開花時期は4〜11月で、庭植えの場合10月頃に開花します。大輪の花を長期間咲かせてくれますよ。

ガッツァリアの中でもさまざまな種類があり、草丈が低く8月に開花する、一般家庭でも育てやすいピンク色の美しい「ガッツァリアダブルピンク」や、優しいクリーム色の「ガッツァリアダブルクリーム」などがあります。

ダリア・エクセルサ

ダリア・エクセルサは八重咲きで草丈は2m前後に生長します。開花時期は皇帝ダリアより1月遅い12月頃です。他の皇帝ダリア種と同じく霜が降りると枯れてしまうため、寒冷地でなくとも咲く前に枯れてしまう場合もあります。咲かせるのは難しいですが、八重咲の皇帝ダリアは珍しく、華やかな見た目のため人気の種です。

ピンナタ

ピンナタの和名は「天竺牡丹(てんじくぼたん)」で、草丈や花の形状、色はバリエーション豊かでさまざまな種類があります。

ポンポン咲き、ショー咲き、ファンシー咲きなど現在さまざまな咲き方をする現在のダリア園芸種群の祖先だといわれていますよ。和名の天竺牡丹はダリアの花の和名としても使われていますが、このピンナタの和名とする説もあります。

メルキー

メルキーもピンナタと同じように現在世界に何千とあるダリアの祖先4種のうちの1つで、原種です。さまざまな品種改良の結果華やかかつ豊かな色と形になったダリアですが、原種ダリアであるメルキーは一重咲きのすっきりとした形状をしており可憐な印象です。白、薄ピンクまたは薄紫色の花を咲かせます。

皇帝ダリアの育て方

皇帝ダリアは基本的に肥沃な土を用意すれば、生命力は強いため細かな管理は必要なく、ぐんぐん育ってくれますよ。

育て方のポイントは、日照の管理と霜に当たらないようにすることです。街灯や園芸ライトなど、人工の光が当たらない場所を工夫しましょう。光が当たることで開花時期が遅れ、霜がおりる季節が来て開花前に枯れてしまうことにもつながります。

用土・肥料

水はけ、水もちがいい土を利用します。有機質が豊富な、肥沃な土を好むため、中粒赤玉土と腐葉土を7:3の割合、もしくは赤玉土(中粒)5〜7:腐葉土3:ピートモス2で配合しましょう。赤玉土の代わりにパーライトを用いることもできます。

庭植えの場合は肥料はあまり必要ありませんが、育ちが悪い場合には5〜10月の生育期に緩効性の化成肥料を月に1度与えます。

置き場所

皇帝ダリアは日照の管理が大切です。

まず、日当たりが好きな植物なので午前から午後にかけて日当たりのいい場所を選びましょう。しかし、短日植物のため日照が短くなってきたと認識しないと花を咲かせません。街頭やライトなど、夜でも人工の光が当たる場所は避けてください。光が当たると株が勘違いをし、開花時期が遅れてしまいます。

さらに草丈が非常に高くなるため、上へ伸びていくことのできる縦の空間が必要です。背が高くなっても構わないスペースを確保しましょう。根はそこまで横に大きくはなりません。

根が浅いため強風に弱く倒れやすいため、風当たりが強くない場所を選びます。

水やり

地植えの場合は基本的に自然雨に任せて、乾燥している時期、地面が乾いてる時などに水やりをします。

5月〜10月の生長期には日に1度水を与えるのが目安です。夏には朝と夜の2度水を与えましょう。

皇帝ダリアは大きく育つために水をたくさん必要としますが、同時に根が腐りやすく排水のよさが必要です。乾燥しすぎ、水の与えすぎはどちらも皇帝ダリアは嫌うため、季節や生長段階に応じて適切な水やりをしてください。

植えつけ・植え替え

大きく育つ皇帝ダリアは庭植えがおすすめです。鉢植えにする場合は24cm以上の大き目の鉢に小苗を植えます。球根(塊根)の場合も苗の場合も、3月上旬〜5月の春に植えつけを行います。発芽温度は18℃〜24℃です。高く育つ皇帝ダリアの生長を促すため、3〜5mの支柱を用意し、株の周りに組み立てておきます。支柱を埋める際は、塊根を傷つけないように注意してください。

植え替えの場合はそのままにしておくと根詰まりを起こすため、2年に1度、3月〜5月に一回り大きな鉢に植え替えを行います。

剪定

皇帝ダリアの背を高くしたくない場合は、切り戻しを行います。

春に植えつけ、9月頃までに伸びてきた茎を、希望の高さまで切って高さを調節しましょう。1mを超えた頃が目安です。9月以降は花芽がつき、誤って花芽を切り落としてしまう場合があるため、剪定は早めに行っておきましょう。

夏の管理方法

皇帝ダリアは夏の暑さには弱く、8月の真夏には生長を止めます。ただ、9月〜11月にかけて大きく育つ傾向があるため、8月は大きく育たなくても様子を見ましょう。

夏には土が乾燥しやすいので、朝と夕に土の様子をよく見て、乾いていたらたっぷり水を与えるようにします。

また、切り戻しも8月頃に行うことが一般的です。様子を見ながら数度に分けて行いましょう。さらに夏の台風などの強風で倒されることがあるため、しっかりと支柱を用意しておきます。

冬の管理方法

皇帝ダリアは寒さに弱く、冬に霜に当たるとすぐに枯れてしまいます。さらに地中の温度が5℃を下回ると球根も枯れてしまいます。

地植えの場合は晩秋から冬のはじめに花が終わったら、地表近くで地上部分を刈り取りましょう。そのまま地中で冬越しさせるか、寒冷地なら球根を掘りあげて、暗く冷えた屋内(5℃以下にならない場所)でピートモス、オガクズなどに包み、暖かくなる春まで保管します。鉢植えの場合も地上部分を刈り取り、霜や雨に当たらない軒下、暖房の当たらない室内などに移動させてください。

増やし方

皇帝ダリアは株分けと挿し木で増やします。

株分けは3月頃に行いましょう。球根(塊根)を大型の剪定バサミやのこぎりなどで切り分けます。芽は塊根と茎の間から出るため、傷つけないよう慎重に切り分けてください。1つの株につき発芽点が1つあるようにします。

挿し木は12月頃の開花後、もしくは花が終わりに近づいたら、枯れる前に茎を切り倒しましょう。さらに剪定バサミで節が1つ残るように10cmほどに切り、3週間ほど風に当たらせて乾燥させます。

その後3月まで室内で保管し、春先に挿し木を植えてください。1ヶ月ほど乾燥しないように水を与えて、根付くのを待ちましょう。

注意すべき病害虫

皇帝ダリアにつきやすい虫は、葉の食害を起こすヨトウムシ、病気では主に糸状菌(かび)であるウドンコ病や灰色かび病などが挙げられます。

ウドンコ病は、かかると光合成を阻害して株の生長に大きく影響する厄介な病気。放っておくと株中に広がって枯れてしまうため、きちんと予防と対策をしましょう。

害虫

ヨトウムシ

ヨトウムシは6〜10月頃、夜に現れて新芽を食べてしまいます。1度現れると物凄い勢いで葉や芽を食い荒らしてしまうので注意してください。葉の裏にヨトウムシの卵がついていないか確認して取り除きましょう。殺虫剤で徹底的に予防する方法もあります。

病気

ウドンコ病は、ダリア、皇帝ダリア共によく発生する病気で、主に梅雨時期などに葉に白い粉をまぶしたように広がります。

早期に殺虫剤で防除するか、罹ってしまった場合は患部の葉などを取り除き、蔓延を防ぎましょう。取り除いた部分は、そこからまた広がる恐れがあるため地面などに落とさず処分してください。

皇帝ダリア育てる際によくある質問

皇帝ダリアを育てる際によくあるのが、高く育つ皇帝ダリアを自分の庭に植えても大丈夫?という質問です。背の高い植物や樹木を植える場合は、近所迷惑になることを考えてつい心配してしまいます。また、低く育てるための摘芯や切り戻しはどう行えばいいのでしょうか。それぞれの疑問にお答えします。

庭で皇帝ダリアを育てるのは迷惑になる?

皇帝ダリアは草丈が高く、3〜6m、もしくはそれ以上にまで育ちます。その姿は華やかで雄大です。しかし、あまり高く育つと花びらや落ち葉が近所の家の敷地に落ちてしまう、強風などで自分の家の敷地以外にも倒れこんでしまうこともあるでしょう。

皇帝ダリアは高さのわりに根が浅く、強い風に倒されやすい傾向があります。さらに、大きく生長しすぎると電線に引っかかってしまうというトラブルもあるようです。背が高くなる植物はこうした弊害が起こることがあり、そういった場合は近所の迷惑となってしまいます。迷惑にならないよう、切り戻しをするなどして高さを調節することが大切です。

皇帝ダリアを低く育てるには?

皇帝ダリアを低く育てるには、摘芯(新しく出た芽をつむこと)または切り戻し(植物を大きく切って高さを調節すること)をしっかりと行います。

時期は5〜8月までの間、1mを超えたあたりで、先端の節を切り落としてください。そうするとそこからまた新たな芽が出てくるため、伸びてからまたそれを切り、幾度か繰り返すと高さが調節されて育てることができますよ。

または、鉢植えで育てると地植えよりも小さく育てることができます。鉢植えの場合は根詰まりを起こしやすいので、2年に1度は植え替えを行いましょう。

皇帝ダリアを贈るのにおすすめのシーンとは?

ダリアは華やかな花で、花束やアレンジメントで常に見かけるほどに人気ですが、花言葉に「裏切り」や「移り気」「不安定」などややネガティブな言葉がついていることが難点です。それに比べると皇帝ダリアにはギフトとして贈って困るような花言葉はついていません。秋の贈り物、秋生まれの方への誕生日プレゼントにもぴったりです。

ダリアと違い切り花としては出回ることもそれほど多くないため、希少性も相まって素敵な贈り物になるでしょう。

皇帝ダリアの葉が黒くなる・枯れる原因は?

皇帝ダリアを育てていると、葉の上部が黒くなって周囲が枯れることがあります。これは夏頃に多く見られる現象で、原因ははっきりとしていませんが、夏の暑さや直射日光による葉焼け、もしくは虫が原因と考えられています。

このような症状が見られたら、切り戻しの要領で黒くなった部分の茎や葉を切ってあげましょう。するとそこから脇芽が出て、また9月以降に生育してくれます。切った茎や枝はゴミに出してしっかりと処分してくださいね。

一度葉が黒くなって枯れたものの、切り戻しを行った後にしっかり育ち、秋に花も咲いたという事例が多く報告されています。枯れてしまったと諦めずに、切り戻しをして様子を見ましょう。

まとめ

皇帝ダリアは日照の管理と寒さ対策が必要ですが、それさえ気をつければ生命力の強い種のため、きちんと育ってくれますよ。

切り戻しをきちんと行えば、高さは1〜2mほどまでおさえることができます。しかし、皇帝ダリアの樹木のような趣や雰囲気を楽しむために、やはり3mほどにして育てる場合が多いようです。きちんと育てば、秋のお庭のシンボルフラワーとなって楽しませてくれるでしょう。

小さく鉢植えで育てることもできるので、園芸に慣れていて自信がある方や、皇帝ダリアをしっかりと大きく育てられるお庭などの空間のある方は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。

大切なあの人にお花を送ってみませんか?