シャクヤクの花言葉にはどんな意味がある?由来や基本情報なども紹介
シャクヤクは、気品溢れる美しい見た目であり、古くより高い人気を集めている花です。上品で麗しい姿がすっきりと優美なことから、女性の所作をたたえる表現としても使われています。そんなシャクヤクには、美しさをたたえるような花言葉がつけられています。
この記事では、魅力的なシャクヤクの花言葉をはじめ、おすすめの品種や育て方などを紹介します。
シャクヤクの色別の花言葉
シャクヤク全般の花言葉は、「恥じらい」「謙遜」「慎ましさ」などです。西洋でも、シャクヤクには「恥じらい」や「思いやり」の花言葉が込められています。
きらびやかで堂々とした雰囲気のシャクヤクなのにも関わらず、少し控えめな花言葉が多いのは、夕方になると花を閉じてしまう習性があることなどが由来といわれています。
ここでは、シャクヤクの色別で持つ花言葉を詳しく紹介します。
赤色のシャクヤク
思わず見とれてしまうような赤色のシャクヤクの花言葉は、「誠実」「威厳」などです。
赤色には情熱や愛などの花言葉が多い傾向にあり、一見するとミスマッチな花言葉にも受け取れるかもしれません。しかし、派手に見えてもエレガントで楚々とした姿のシャクヤクには「誠実」がぴったりな花言葉といえます。
また、「威厳」には近寄りがたいほどの美しさをたたえるイメージがあり、麗しい姿のシャクヤクにマッチしています。
白色のシャクヤク
純白のシャクヤクに秘められた花言葉は、「満ち足りた心」「幸せな結婚」などです。美人の代名詞ともいわれているシャクヤクは、花嫁が持つブーケとしても注目されています。
また、白色は清潔さを感じやすい色合いであり、物事をスタートさせるときに相応しい色です。これから新しいことを始める方へ贈る花としておすすめです。
紫色のシャクヤク
紫色のシャクヤクが持つ花言葉は「怒り」「憤怒」などであり、唯一ネガティブな意味が込められています。紫のシャクヤクは高貴さを感じるため、プレゼントとして活用したいと考える方は多いかもしれませんが、マイナスの意味を持つ花言葉は相手を不快な気持ちにさせてしまう可能性があります。大切な場面で紫色のシャクヤクをプレゼントしたい場合は、単体ではなく他の色のシャクヤクをミックスさせるのがおすすめです。
ピンク色のシャクヤク
ピンク色のシャクヤクには「恥じらい」「内気」「はにかみ」など、愛らしい花言葉が秘められています。シャクヤクの花は、日中に咲き夜は花を閉じる性質を持つ植物です。その姿が恥ずかしがっている様子に感じられることから、この花言葉がつけられたという説もあります。また、英語ではにかむ様子を例える慣用句として、「Blash like peony」という言葉があり、シャクヤクの花のように頬を赤く染めることに由来しています。
日本だけでなく、海外でもシャクヤクには奥ゆかしい女性のイメージがあるといえるでしょう。
シャクヤクの特徴
シャクヤクの花はパッとした華やかさがあり、芳醇な香りにも独特な魅力がある花です。4~6月くらいにかけて大型の華麗な花を咲かせます。花屋では、2月下旬~3月上旬頃に出回り始めますが見頃は5月であり、開花時間が5日程度と短い花として知られています。
基本データ
科・属 | ボタン科・ボタン属 |
学名 | Paeonia lactiflora(パエオニア ラクティフロラ) |
英名 | Peony(ピオニー) |
和名 | 芍薬(シャクヤク) |
原産地 | アジア北東部 |
開花時期 | 4~6月 |
花色 | ピンク色、赤色、白色、複色、黄色、紫色など |
草丈 | 50~100cm |
誕生花 | 5月2日、5月18日、7月24日など |
シャクヤクが日本に渡来したのは平安時代であり、中国から漢方薬として伝わったと言われています。その後、江戸時代に熊本県肥後市の侍が作ったとされる「肥後六花」の一つである肥後シャクヤクが品種改良され、園芸用として出回るようになったようです。
日本で改良された品種のことを「和芍薬(ワシャクヤク)」と言います。しかし、原種となっているのは、モンゴルや中国に分布するシャクヤクです。
日本由来のシャクヤク
日本の本州などに自生している「ヤマシャクヤク」は、可憐な一重咲きの品種です。花の大きさはシャクヤクよりも小さめで、草丈は30~40cm程度と低いのが特徴です。開花時期は4~6月で花色は白色が多いですが、斑入りの種類も存在します。
シャクヤクの香り
シャクヤクには芳香があります。バラの香りにも似ており、咲き進むにつれて少しずつ香りも熟成して甘さを増していくのが魅力です。シャクヤクの香りは、やわらかくフェミニンで上品な印象を与えると人気があり、数あるフレグランスの中でも幅広い年代の女性に愛されています。ただし、シャクヤクから天然香料を抽出することはできません。シャクヤクに似た香りをつくる場合は、別の花から採った香料を調合して似た香りを再現する必要があります。
シャクヤクとボタンの違い
シャクヤクとボタンは、ボタン科ボタン属に分類されており、花の姿が非常に似ているため、混同している方は多いのではないでしょうか。
英語では、シャクヤクは「Chinese peony(チャイニーズピオニー)」、ボタンは「Tree peony(ツリーピオニー)」と呼ばれています。シャクヤクは香りが強く、ボタンは香りが弱いのが特徴です。また、シャクヤクは多年草であるのに対して、ボタンは落葉低木であり、性質にも違いがあります。
シャクヤクのことわざの意味
スラっと伸びた茎の先に大輪の花を咲かせるシャクヤク。女性の美しい所作を表現することわざに、「立てばシャクヤク 座ればボタン 」があります。
女性はよく花に例えられることがありますが、それは外見の優雅さだけではなく、しとやかさと慎ましさを兼ね備えた心の美しい女性こそが魅力的に映るという深い意味が込められているのではないでしょうか。
その他にも別の見方も存在します。花を愛でるときの視線に由来するもので、背の高いシャクヤクは立って鑑賞し、背の低いボタンは座って眺めるのが最も美しいという価値観から生まれた表現であるという説もあるようです。
シャクヤクの人気の種類
シャクヤクは、「和シャクヤク」「洋シャクヤク」のグループに分かれています。和シャクヤクは一重咲きのタイプが多く、洋シャクヤクはバラのように豪華な咲き方をする八重咲きが多いです。
また、色や形などで分類すると、1,000種類以上は存在するともいわれています。ここでは、特に人気の種類を抜粋して紹介します。
サラベルナール
類別 | 洋芍薬(ヨウシャクヤク) |
カラー | 淡いピンク色 |
開花時期 | 4~6月(国内)、11~12月(輸入) |
花径/咲き方 | 20~25cm、八重(バラ)咲き |
香り | 甘い香り |
サラベルナールはバラのような咲き方をする巨大輪の品種であり、ブライダルブーケとして人気があります。花びらの先がフリルのように可愛らしく、ブルーを帯びたような淡いピンク色が魅力的です。
花嫁の美しさを引き立ててくれるような透き通るようなトーンはブライダルシーンを引き立ててくれるでしょう。
白雪姫
類別 | 洋芍薬(ヨウシャクヤク) |
カラー | 純白 |
開花時期 | 5~6月(国内) |
花径/咲き方 | 20cm以上、平バラ咲き |
香り | 甘い |
白雪姫もウェディングシーンでよく見かける純白の品種です。まるで天使の羽を束ねたようなふんわりとした優しげな印象の花なので切り花としても人気です。
また、白雪姫を青色に染めた「青雪姫」も注目されています。
オリエンタルゴールド
類別 | 洋芍薬(ヨウシャクヤク) |
カラー | 淡い黄色 |
開花時期 | 4~6月(国内) |
花径/咲き方 | 15~18cm、半八重咲き |
香り | 微香 |
シャクヤクの中では貴重であるイエロー系の品種「オリエンタルゴールド」。洗練されたクリーム色の花びらが幾重にも折り重なるエレガントなシャクヤクです。
ボタンの「金晃」とシャクヤクの「花香殿」を交配させた花であり、まっ白な「オリエンタルホワイト」という品種もあります。
シャクヤクの育て方
スレンダーな茎の先に豪華な花を咲かせるシャクヤクは、アジア原産の多年草です。花の姿や豊かな香りから多くの女性に愛されており、年々注目を浴びています。
ここでは、美しいシャクヤクの栽培のコツなどを紹介するので、ぜひ参考にしてください。
購入時期
シャクヤクは一般的には苗から育てます。秋になると比較的安価な小さなポット苗が出回りますが、すぐに花を楽しみたい場合は春に蕾がついた株を購入するのがおすすめです。
小さな苗を購入する際には、芽が大きく膨らんだものをチョイスすると良いでしょう。
用土
地植え、鉢植えともに水はけと水持ちの良い土が向いています。やや大きめの赤玉土4に対して、鹿沼土4、腐葉土2を混ぜて使いましょう。
腐葉土の代わりに、パーライトを混ぜるのもおすすめです。初めて植物を育てる方なら、市販の草花用の培養土を活用する方法もあります。
置き場所
地植え
シャクヤクは、日当たりが良く通気性に優れている場所を好みます。真夏の直射日光には弱いので、半日陰になるエリアがおすすめです。
また、西日を遮るようにすると丈夫に育ちます。
鉢植え
基本的には地植えの場合と同じです。
梅雨の間や風が強い日は、軒下に移動させると良いでしょう。
水やり
地植え
苗を植えるときにたっぷりと水やりを行えば、その後は水やりはほとんど必要ありません。地面に植えた植物は土の中に広く根を張り、水分を吸収するパワーがあるので、自然に降る雨の水があれば十分です。
ただし、日照りが続いて雨だけでは水分が不十分な場合は、必要に応じて水を与えるようにしましょう。
鉢植え
シャクヤクは乾燥に弱いので、夏場は水切れに注意してください。
また、真夏の日中と寒い時期の夜間の水やりは控えます。水やりの際は、鉢土に静かに注ぐように与え、花や葉に水がかからないように注意しましょう。
肥料
シャクヤクは、肥料の与え方で花付きが変わります。たくさんの花を楽しみたい場合は、生長に合わせて肥料を与えてください。
植え付ける際には元肥として緩効性肥料を与えます。ただし、市販の土には元肥が配合されている場合があるので注意しましょう。
また、芽を出す3月頃と花が終わった6月頃に緩やかに持続して効くタイプの固形肥料を与えるのがおすすめです。
花が咲き終わった後の管理
シャクヤクは、花が終わったあとの管理も大切です。花が咲き終わったら、手で摘み取ってください。カットする部分は、花から数えて一つ目の葉っぱの上です。
枯れた花をそのままにしておくと、栄養分が奪われて開花期が短くなる可能性があります。
また、落ちた花びらを拾い、常に清潔にしておくことで病気を防ぐことが可能です。
枯れた葉っぱの管理
寒くなって葉が枯れてきたら、枯れた葉と茎もカットしましょう。
その際は消毒した剪定ハサミを使うのがポイントです。なるべく早くカットすることで栄養分が行き渡り、次の年も美しい花を楽しめます。
増やし方
シャクヤクは、株分けという方法で増やすことが可能です。株分けに適した時期は9~10月であり、目安としては3~5年に1回、植え替えのタイミングで行うと良いです。
株を掘る際には根を傷めないように注意し、一つの株に芽が3つほどつくようにハサミやナイフを使用してカットしましょう。念のため、切り口に殺菌剤を塗布すると安心です。
かかりやすい病気
シャクヤクがかかりやすい病気には、「灰色かび病」「モザイク病」があります。
灰色かび病
灰色かび病は、ボトリチス菌が原因で発症することが多いです。この病気になると花や茎などに水が染みたような模様が現れ褐色します。
放置すると菌が株全体に広がり枯れてしまうため、早めに対処する必要があります。普段から清潔にしておけば、灰色かび病を未然に防ぐことが可能です。
モザイク病
モザイク病はウイルスが原因で起こります。主にアブラムシから運ばれて感染することが多いです。
症状はさまざまですが、多くの場合は葉にモザイクのような黄色の模様が現れます。モザイク病は一度かかると治療できないので、原因となる害虫駆除を徹底的に行うのが肝心です。
シャクヤクのおしゃれな飾り方
シャクヤクを部屋に飾るときは、蕾が少し膨らんだ状態のものを選ぶのがおすすめです。
ただし、蕾が固いと花が咲かずに萎れてしまう場合があるので注意してください。
ここでは、おしゃれな飾り方を詳しく見ていきましょう。
一輪挿し
シャクヤクは存在感のある花なので、一輪挿しでも十分に見応えがあります。口が細いタイプの花器を使用すれば安定感が増します。
シャクヤクは、和洋どちらの雰囲気にも合うのでおすすめです。
透明なガラス瓶
少し広めのガラス瓶に、さまざまな色のシャクヤクを何気なく飾っても素敵です。その季節にしか咲かない花をたっぷりと使用すれば、贅沢な気分を味わえるでしょう。
シャクヤクは重さのある花なので、安定感がある花器を選ぶのがポイントです。
シャクヤクの贈り物にぴったりなシーン
やわらかいシルクのような花びらが幾重にも折り重なり咲くシャクヤクは、贈り物にもぴったりです。
最後に、シャクヤクのプレゼントに向いているシーンを2つ紹介します。
誕生日
シャクヤクは5月生まれの誕生花になっています。爽やかな風が薫る季節に旬を迎えるため、5月生まれの大切な人へプレゼントすれば喜んでもらえます。
贈る際に一言メッセージを添えれば、さらにお互いの距離が縮められるでしょう。
記念日
華やかな見た目のシャクヤクは、記念日のギフトにも最適です。豪華ながらもしなやかさを感じさせる佇まいは、晴れの日を彩る花として相応しいのではないでしょうか。
アレンジメントフラワーとして贈るのなら、クレマチスを組み合わせると大人っぽい雰囲気になります。
また、フレッシュな旬の枝ものを加えると、存在感がアップするのでおすすめです。
まとめ
シャクヤクには、「恥じらい」「謙遜」「慎ましさ」など、シャイな雰囲気や美しさをたたえるような花言葉を持っています。女性を象徴するような言葉もあり、ことわざにも登場する花です。
5月を迎える頃になると、花屋には色とりどりのシャクヤクが並び始めます。ラグジュアリーな美しさと甘い香りに、つい足を止めてしまう方も少なくありません。
シャクヤクの美しい花の姿と素敵な花言葉は、多くの女性に愛され続けています。
ぜひ本記事を参考に、特別な日のプレゼントとしてシャクヤクを活用してみてはいかがでしょうか。