品種がたくさん!スカビオサの豊富な種類とその生態を知り正しく育ててみよう

「スカビオサ」は、草原や高い山などにひっそりと自生する花です。

とても魅力的な花を咲かせるスカビオサ。1度見ると忘れられなくなるほど、その姿は美しく印象的ですが、万人に名が知れ渡るほど有名というわけではないかもしれません。

そんなスカビオサの知られざる魅力について、これから詳しく紹介していきます。

 

スカビオサってどんな植物?

スカビオサは、「マツムシソウ」という和名で親しまれています。

その名を聞くと、知っているという人もきっと多いことでしょう。

野山にひっそりと自生し、風になびく姿がとても美しく爽やかなスカビオサ。

野山や高原に広がるように自生している姿ばかり思い浮かぶかもしれませんが、スカビオサは、鉢植えでも地植えでも栽培できる植物です。

 

名前の由来

スカビオサが「マツムシソウ(松虫草)」と呼ばれるのは、花を咲かせる時期に由来したものです。

昆虫のマツムシが鳴き始めるころに花を咲かせることから、マツムシソウと呼ばれるようになりました。

諸説ありますが、マツムシソウのほかにも「ピンクッション」という呼び名もあり、これは針山に、花後のその姿が似ていることから名づけられたと言われています。

 

花言葉

どんな花にも花言葉がありますが、スカビオサにも花言葉があります。

その美しい姿を彷彿とさせるように、「魅力」「風情」という言葉がスカビオサの花言葉です。

その一方で「悲哀の心」「喪失」「不幸な恋」などの悲しい花言葉も持っています。

これは、スカビオサが哀しみの色の象徴とされる青や紫の花を咲かせることが、その理由ではないかといわれています。

 

フラワーギフト

スカビオサは、フラワーギフトとしても人気を集めている花です。

幻想的で美しい姿がその理由ですが、花の色にしては珍しい、青や紫などの花を咲かせることもその理由となっています。

そのため、男性へのフラワーギフトにも最適な花です。

花束としても、アレンジメントとしても存在感を放つことから、お祝いの花として多く活用されています。

 

スカビオサの特徴

スカビオサは野山に自生していますが、特に高い山に多く自生し、日光を好みます。

マツムシソウ科のマツムシソウ属に分類され、なんと70から80種類もの品種が存在します。

ヨーロッパやアジア、北アフリカが原産地とされる多年草です。

少し変わった花びらの形が特徴的で、真ん中が丸く盛り上がり、まるでフリルのような花びらが、風に吹かれて優しく揺れる姿はとても可愛らしく幻想的です。

その姿に魅了される人は多く、歌人にも詠まれるほど多くの人から愛されています。

園芸品種の数も多く、切り花として活用されることも多いスカビオサ。

品種の数や色の種類の数が多いことも、特徴の1つです。

青、紫、白、ピンク、赤、黄などバリエーション豊富な花の色があり、耐寒性に優れています。

遠目から見ると、花全体のフォルムがまるで菊のようにも見え、洋風の雰囲気と掛け合わせた、和洋折衷ともいえる姿こそが高い人気を誇る理由です。

草丈は低いもので10㎝程度、高いものでは1mほどになります。

お手入れが簡単で、比較的育てやすいことから、人気を集めています。

 

スカビオサに適した栽培環境

スカビオサを育てたいと考えた時、まず迷うのが鉢植えにするか地植えにするかという点でしょう。

スカビオサはどちらでも栽培が可能ですが、そのどちらにするかによって栽培方法は違ってきます。

植え付けに最適な時期は、地植えも鉢植えも3月から4月、もしくは9月から10月です。

 

地植えの場合

地植えをするメリットは、なんといってもスカビオサがのびのびと生長できる点につきるでしょう。

植え付けをする土をしっかりと耕したら、2〜3割程度の腐葉土を混ぜ込みます。

地植えの場合、鉢植えのように環境や状況に応じ、移動させて管理することができません。

直射日光が当たり過ぎる時には、大事な株元を腐葉土でしっかり覆うと安心です。

また地植えでも、3年に1回程度を目安に植え替えをすると、さらに健やかに育ってくれます。

 

鉢植えの場合

鉢植えで育てる場合、土の配合割合が大切です。

赤玉土を4割とした場合、軽石砂を4割、腐葉土を2割程度の配合にすると好環境になります。

市販されている培養土でも問題ありませんが、鹿沼土や山砂などを少し混ぜると、株にとっても好環境です。

また、多年草の品種を鉢植えする場合、定期的な植え替えが必要となります。

1年から2年に1回を目安に、現状より大きい鉢に植え替えることがポイントです。

鉢植えする品種が高性種の場合、背が高くなっていきますので生長の度合いに応じて支柱を立てるようにしましょう。

 

栽培に適した気温

スカビオサは高温多湿に弱く、乾燥には強い花です。

特に日本特有の気候でもある高温多湿は、スカビオサにはあまり好ましくない環境であり、真夏になると土の状態によっては株が枯れてしまうこともあります。

また暑さに弱いため、暖かい地域では多年草として扱われています。

そのため、育てる際には夏の気温に注意が必要ですが、花の開花期が長いため、私たちの目を長期間に渡って楽しませてくれます。

 

スカビオサを育てる時のポイント

栽培に適した環境を学んだ次は、育て方のポイントも知っておくと、スカビオサを育てる楽しさが倍増します。

 

選ぶポイント

スカビオサを購入するにあたり、どんなところを注視して選べばいいでしょうか。

葉は枯れる時、根に近い方から枯れていくことが多いため、下の葉に黄色い葉がないものを選ぶようにします。

茎がしっかりしているかどうかも、選ぶ際の重要なポイントです。

 

水やり

土の表面に乾きが見られたタイミングで水やりをします。

スカビオサは乾燥にも強いため、ある程度の渇きには耐えることができる植物です。

鉢植えなら鉢の下から水が流れ出る程度の水を与えますが、与え過ぎてしまうと土中が蒸れてしまうので、注意が必要です。

また真夏においては、水をあげる時間帯も気を付けなくてはいけません。

日が高い時間帯に水やりをすると、土の中で水分が蒸発することで蒸れが生じ、スカビオサが嫌う高温多湿状態になってしまいます。

気温が低い早朝か、下がり始める夕方にあげるのがポイントです。

 

種まきや植え付け

種まきに適している季節は春や秋の気温が高く暖かい日です。

春なら3月から5月、秋なら9月から11月がベストシーズンとなります。

真夏は土が高温多湿となるためできるだけ避け、冬も発育には向かない環境になるため避けるようにしましょう。

植え付けを行う日も種まき同様、春や秋の暖かい日が適しています。

月別にいっても、種まきと同じ月がベストシーズンです。

地植えで植え付けや植え替えを行う場合、のちに説明するアトロプルプレアやコーカシカは株間を30㎝くらいの間隔をあけて植え付けをします。

植え付けを行った後には、水をたっぷり与えることで、健やかな生長が望めるものです。

 

剪定と切り戻し

伸びた茎は半分程度の高さまでカットして剪定することで、通気性を確保できます。

生長に合わせた定期的な剪定は、スカビオサの生長を促してくれるものです。

また花後に種を取る必要性がなければ、葉の付け根まで思い切って切り戻すようにします。

 

肥料

スカビオサは、基本的には植え付けの際に、用土に腐葉土を混ぜれば問題ありませんが、植え付けのタイミングで肥料も与えると、より健やかに生長します。

その際、暖効性の化成肥料を混ぜると効果的です。

追肥する場合は、生長期に薄めた液体肥料を与えますが、頻度は1週間に1回程度がベストです。

休眠期に入る冬場は肥料を与えても効果が少ないので、控えるようにします。

 

スカビオサの種類

スカビオサにはいくつかの種類があります。

品種の数が多いこともスカビオサの特徴であり、数ある魅力の1つです。

それぞれどんな特徴があるでしょうか。

その特徴をこれから詳しく解説していきます。

マツムシソウ

一般的にスカビオサと呼ばれている品種です。

高原や草原に自生し、夏の終わりから秋にかけて花を咲かせます。

自生するため、店舗などでその姿を見かけることはほとんどありません。

 

スカビオサ・アトロプルプレア

花の真ん中が、より丸く盛り上がるのが特徴であり、八重咲きはまるで丸いボールのような花の形に見えるほどです。

色の種類がとても豊富でピンクや白、赤紫など様々な色でわたしたちを楽しませてくれます。

特に黒色のアトロプルプレアは妖艶で、高級感も漂うスカビオサです。

開花期が長く、分かれた枝に次から次へと花を咲かせますが、短命としても知られる品種です。

アトロプルプレアは耐寒性には優れていますが、日本特有の高温多湿が嫌いです。

地植えで育てる場合、特に夏場は土が高温にならないための対策を講じる必要があります。

園芸品種が多く、「セイヨウマツムシソウ」「ピンクッション」という別名もあります。

 

スカビオサ・コーカシカ

淡い青色が特徴的なコーシカは、6月から10月にかけて大輪の花を咲かせます。

その花びらの大きさは、約6㎝から8㎝ほど。

フリルのような大輪の花びらが存在感を放ち、とてもおしゃれな雰囲気を醸し出します。

また四季咲きの性質もあり、品種によって濃い青色や白色など、色とりどりの花を咲かせることも特徴の1つです。

アトロプルプレアと同様に、花壇や切り花に活用されることが多い品種で、「コーカサスマツムシソウ」という別名もあります。

1年草として認識されることも多いコーカシカですが、株の命は他の品種に比べると、長めです。

 

スカビオサ・オクロレウカ

大輪の花を咲かせるコーカシカに比べ、オクロレウカが咲かせる花は小さくとてもかわいらしいのが特徴です。

淡黄色の小輪花を、6月から10月にたくさん開花させます。

ヨーロッパ及び西アジアを原産地とする多年草です。

淡黄色の色をした花は、全体的にとても柔らかい印象を与えるため、優しい雰囲気の庭造りなどにぴったりの品種です。

 

スカビオサ・ステラータ

その見た目のインパクトが大きいステラータは、実がついている状態を楽しむという、変わり種のスカビオサです。

実の大きさは直径3㎝ほどで、ドライフラワーによく活用されています。

その見た目の特徴から「ファンタジー」とも呼ばれ、花は切り花によく用いられる品種です。

また「ステルンクーゲル」という別名もあります。

花のインパクトが大きく、いろいろなイメージを与えることが、別名を複数抱える理由とも言われています。

 

スカビオサ・コルムバリア

コルムバリアは、トルコやイランを原産地とする多年草です。

まっすぐ凛と伸びた茎が美しく、その茎丈は30㎝から50㎝近くまで伸びるものもあります。

夏の初めから秋にかけ、約4㎝前後の花をたくさん咲かせますが、その色は青、紫、白ととても華やかです。

色とりどりの花を咲かせるため、自分が理想とするお庭の雰囲気に合わせて植え付けすることができます。

 

スカビオサのお手入れ

スカビオサは、お手入れが簡単で手間暇があまりかからない花ですが、必要最低限のお手入れは必要です。

どんなことに気を付けて、お手入れをするといいでしょうか。

 

枯れた花

スカビオサは、多年草の場合たくさんの花を咲かせます。

高温多湿に弱いことから、花自体は傷みやすく枯れやすいため、枯れてしまった花に気づいたらすぐに取り除くようにしましょう。

伸びすぎたスカビオサは、草丈が半分ほどになるように剪定してあげると、通気性がよくなり多湿になることを防ぐことができます。

 

病害虫と病気対策

病害虫には強いスカビオサですが、株が多湿になると灰色カビ病を発症するリスクが高くなります。

灰色カビ病は別名を「ボトリチス病」ともいい、多湿になる梅雨によく発症する病気です。

花びらや葉に、斑点模様のようなカビがつくことで被害に気づきますが、異変に気づいたら病気に侵された葉をすぐ取り除くようにしましょう。

病巣に侵されるのが葉だけなら、その葉を取り除くことで回復を期待できますが、株まで侵されてしまうと完治が難しく、枯れてしまうので注意が必要です。

灰色カビ病の大きな原因は高温多湿ですので、風通しには充分注意しましょう。

 

まとめ

スカビオサは、花を咲かせたその姿はとてもはかなげで美しい草花です。

ふんわりと咲き誇る花は、まるで芸術品のような幻想的な雰囲気を持ち、私たちを魅了します。

そんな美しい花だからこそ、育てる際にはその生態をしっかりと把握し、スカビオサが少しでも健やかに生長できる環境を整えることが大事です。

品種の多さが特徴ですが、その特徴を知ることで、より育てやすくなります。

地植えでも鉢植えでも、どちらにしても美しく健康的なスカビオサを観賞できるように、日々のお手入れや管理を怠らないことも、忘れないようにしましょう。

 

大切なあの人にお花を送ってみませんか?