サボテンの胴切り方法を紹介|初心者でも失敗しないやり方とは
サボテンの胴切りは、根腐れを起こし調子を崩してしまった株に対して傷んだ部分を取り除き元気にするための方法です。また、サボテンを増やしたり、徒長した形を綺麗に整える方法としても使われています。今回は胴切りが初めてという方でも失敗しないよう、コツや手順を詳しくご紹介します。ポイントを押さえ、自信を持って胴切りにチャレンジしましょう。
サボテンの胴切りとは
胴切りとは、サボテンの茎をナイフやカッターでスパッと横に切り、上下で株分けする方法のことをいいます。根腐れしたときや、徒長したときに行います。カットした上部は乾燥させ、別の鉢に移し育てます。健康な部分を切り離し植え替えることで、再び元気に生長します。サボテンを長く楽しむために覚えておきたい方法ですね。生育期である春・秋に作業をすることでダメージを最低限に押さえ回復しやすくなります。
サボテンを胴切りする理由
サボテンに胴切りが必要になるときは根腐れを起こしたときや、細長く伸びてバランスが悪くなったときです。そのまま放置すると栄養が取れず健康状態に影響がでます。病気になり枯れてしまうことも。
胴切りすることによって、根腐れした組織から元気な部分を切り離すことで再び生長します。また、胴切りはサボテンを増やすために使われる方法でもあります。胴切りした元株が元気であれば切断面から新芽が出ます。子株の境目を切り取り、新しい鉢に植え付ける挿し木により増やすことができます。
サボテンを胴切りするタイミング
サボテンは、水や肥料を与えすぎると根腐れを起こします。根腐れを起こすと根元が変色し、ふやけたような状態になります。反対に葉や茎はしぼんできます。サボテンの健康状態が悪いと気づいたら、できるだけ早く胴切りをしてあげましょう。もう一つのタイミングはサボテンが細長く徒長しているときです。
ある程度の長さに切ることでバランスを整えることができ、栄養を全体に届けることができます。サボテンの胴切りは、湿度が低く、日光が強すぎない時期を選ぶことが大切です。梅雨時期や真夏を避け、春や秋の晴れた午前中に行うようにしましょう。
胴切りに必要なもの
胴切り前に必要な道具を揃えて準備をしましょう。厚手の手袋、刃物、アルコール入りウェットティッシュや消毒、新しい鉢と土、新聞紙です。
揃えるものはいろいろありますが、胴切りを成功させるために大切なアイテムです。ここでは胴切りに必要なものをそれぞれ紹介していきますので準備の参考にしてくださいね。
厚手の手袋
胴切りを行う際、サボテンを強く押さえます。手にトゲが刺さり怪我をしないためにもゴム手袋や皮手袋など厚手のものを使用してください。
軍手は生地を突き破り容易に刺さるので注意が必要です。「トゲが刺さりにくい手袋」と謳っているものも販売されています。1セット持っていると、サボテンだけではなくバラのお手入れにも使うことができますよ。手の保護のために必ず用意しましょう。
ハサミやカッター
胴切りは、サボテンを一度土から掘り起こし横向きに置いて刃物でカットします。切れ味の良いものを選ぶと綺麗な切り口になり、ダメージを最小限に抑えることができます。
サボテンは、小さいサイズはハサミやカッターで十分ですが、大きいサイズはナイフやノコギリを使用し、サイズに合わせたものを揃えましょう。新品の刃物を揃えても良いでしょう。
アルコール入りウェットティッシュや消毒剤
胴切を行う際、切り口から雑菌が入る可能性があります。道具を清潔にすることが胴切りを成功させる重要なポイントです。アルコール入りのウェットティッシュや消毒剤を用意して、カットする前に刃物を消毒してから作業をはじめましょう。また、作業の途中、何度か刃物を使用します。その都度消毒すると雑菌の付着を防ぐことができます。
新しい鉢と土
雑菌の繁殖を防ぐため、鉢と土は新しいものを用意しましょう。植え替え直後はサボテンの健康状態も不安定です。鉢は通気性があり水分を蒸発させやすい素焼き鉢がおすすめです。鉢底ネット、鉢底石も併せて揃えましょう。
土が湿った状態が長く続くと根腐れを起こします。土は「サボテン・多肉植物用の土」が市販されています。植物に合わせて土を配合しているので、こういった専用のものを使うと失敗を防ぐことができますよ。
サボテンの胴切りの方法
次はサボテンの胴切り方法です。初めてカットするときは緊張しますが、各工程のポイントを押さえれば初心者の方でも失敗を防ぐことができます。一番大切なことは雑菌が付かないよう道具を消毒し、断面をしっかり乾燥させることです。トゲもあり刃物を使いますので怪我にはくれぐれもご注意くださいね。ここではサボテンの胴切りの方法を紹介します。
道具を消毒
まず、刃物を消毒します。胴切りの失敗原因は道具の消毒が不十分であることが多いです。雑菌は目で確認することができません。雑菌や汚れが断面に付着すると、腐ってしまうおそれがあります。消毒することで腐敗菌などの繁殖を防ぐことができます。刃物はカットする度に必ず消毒するよう心がけてください。
サボテンをカット
道具を消毒し厚手の手袋を着用したら、いよいよ胴切りです。涼しく乾燥した場所を選び、サボテンへの負担を減らしましょう。サボテンの中央辺りを意識してスパッと切ります。根腐れしている場合、腐敗菌が付着する可能性があるため、必ず変色部分よりも上でカットしてください。その後、植え付けやすいよう切断面を尖らせます。刃物はその都度消毒してください。
断面を乾燥させる
胴切り後は消毒のため30分ほど日光に当てましょう。光断面が乾く前に口の保護や発根促進を促す専用の園芸用薬品を薄くまぶすと発根を早めることができます。
その後、直射日光の当たらない風通しの良い場所で完全に乾燥させます。新聞紙で包んで保存しましょう。直射日光の当てすぎは断面が痛む原因になるので注意してください。
土に植え替える
乾燥し、根が出てきたら土に植えましょう。植え替え後、1週間程度水やりを控え、直射日光を避けて風通しの良い明るい日陰で養生します。根付くまでカビが生えないよう見てあげてください。少し持ち上げると根付いたかどうかわかります。確認できたら水をたっぷり与えてあげてください。その後はゆっくり生長しますので、気長に待ちましょう。
サボテンの胴切りに失敗しないためには?
胴切り自体は決して複雑な作業ではありません。サボテンの胴切りで大切なキーワードは消毒と乾燥です。失敗しないためにも刃物をきちんと消毒し、胴切り後にしっかり乾燥させることが重要となります。ここではサボテンの胴切りのポイントを紹介します。
丁寧な消毒
道具の消毒は胴切りの大切なポイントの一つです。刃物を消毒せずにカットすると、雑菌や汚れが断面に付着します。そこから腐っていき、上手く発根できない可能性があります。植え替えやすいよう断面を鉛筆の芯のようにカットするのですが、カットする度に消毒すると雑菌が付着しづらくなります。サボテン断面に土や汚れが付いていたら断面の消毒もしましょう。
日光に長時間当てすぎない
サボテンは乾燥地帯に生息しているので日光に強いイメージがあります。ですが胴切り後のサボテンは言わば傷だらけの状態です。直射日光は傷口にダメージを与えることになりますので、長時間日光に当てないよう気をつけてください。胴切り後、切断面を殺菌するために日光に当てますが、30分程度を目安にし、その後は明るい日陰で乾燥させるようにしてください。
サボテンの胴切りのコツ
胴切りは、「道具のこまめな除菌」「カットの際に負担をかけない」「しっかり乾燥させる」という点を意識すると上手くいきます。
刃物をその都度消毒し断面に雑菌が付かないよう気をつけましょう。カットするときは何度も刃物を入れるのではなく一度でスパッと切ると、サボテンの負担を軽減できます。発根させるためには切断面をしっかり乾燥させることがポイントです。
カットは大胆に
胴切りをする際に、本当にカットしても大丈夫かな?と、恐る恐るカットするとどうなるでしょう。サボテンに負担がかかり傷つけなくて良いところにもダメージを与える可能性が出てきます。カットするときは、できる限りスパッと大胆に切りましょう。また、刃を入れる場所、色が変色している箇所は必ず除きその上から切るようにしてください。そうすることで根腐れによる腐敗菌を取り除くことができます。
新聞紙を使って乾燥させる
胴切り後、植え替えるまでに切断面をしっかり乾燥することが重要になります。新聞紙で軽く包んであげると湿気を吸収してくれるので、むき出しの状態で乾燥するよりおすすめです。雨の日など、室内で乾燥させるときに新聞紙で包んでいると汚れなくてすみます。そのまま発根するまで様子をみてあげてください。
胴切りしたサボテンの管理に気をつける
胴切りしたサボテンには大きな傷ができているのと同じ状態ですので、断面から雑菌が入り込みカビが生え、病気になることがあります。
そのため、胴切りした直後はもちろん、植えた鉢に根が張るまで定期的な管理が必要になります。湿度の高い日は、室内の涼しい場所で管理するなど、天候によって置き場所を変えるのも一つの方法です。また、切断面のチェックは時間のあるときにこまめにしましょう。
サボテンの胴切りでよくある失敗は?
初めての作業は失敗がつきもの。ですが事前に知識をつけておくと防げたり対処できるものもあります。根が生えてこなかったり、カビが発生している場合は原因が必ずあります。事前に知っておくと気をつけることもできますし、発見したときにすぐに対応できますよね。
根が生えてこない
1カ月以上経っても根が生えてこない場合、霧吹きで湿らせた土に1cmほどサボテンを挿してみてください。
土と触れている部分から発根しますが、時間がかかる場合もあります。このとき、サボテンの切り口が完全に乾いていることを確認してから挿してください。根が生えてくると生長を感じることができますので、それまで触らず気長に待ちましょう。
胴切りしたあとにカビが発生する
サボテンを胴切りしたあとにカビが発生することがあります。断面に雑菌が付いていることや、断面がしっかり乾燥していないと起こりやすいです。カビの発生を防ぐには、消毒した刃物でカットすること、風通しの良い明るい日陰で断面を乾燥させることが重要です。
サボテンのお手入れは普段から気をつける
サボテンの管理を普段から工夫すると、胴切りもスムーズに進みます。胴切り前は日当たりが良く、風通しの良い場所にサボテンを置いてあげましょう。
水やりのタイミングに気をつけて健康的管理をしてあげると、根腐れや害虫に気づけるので早い段階で対処が可能になりますね。胴切り後も断面がしっかり乾燥しているか、色が変色していないか定期的にチェックしてあげてください。ここではサボテンをお手入れするときの注意点を紹介します。
日当たりや置き場所に注意
胴切り後、サボテンを長時間日光に当てると断面が弱り黒く変色する可能性があります。直射日光に当てるのは殺菌目的のため、30分ほどに留めてください。その後は風通しの良い半日陰で管理してあげましょう。
湿気が多くジメジメしているところに置くと、雑菌が増殖するおそれがあるので避けましょう。元株も同様です。植え替え後は直射日光をなるべく避けて1週間ほど養生させてください。
適切な温度
サボテンは乾燥地帯に生息しているため、暑さ・寒さ両方に強いです。気温が5度を下回らなければ死滅することはないといわれています。その反面、湿気に弱いという弱点があります。胴切り後は、風通しの良い日陰で乾燥させるようにしましょう。
植え替え後も、5度を下回るようであれば室内に入れる、またはビニールをかけて保温してあげましょう。
水やり
胴切り直前は水やりを控え、土が乾燥した状態で鉢から出すようにしましょう。植え替え後は、養生期間が1週間ほど必要になりますので、その間水は与えないようにしましょう。根が落ちていない状態で水を与えると、傷から水が入り根腐れの原因になります。
根付くまで、水やりは我慢してくださいね。その後は、乾いたら水をたっぷりあげるなど
品種に合わせた水やりをしてください。
土・肥料
土は「サボテン・多肉植物の培養土」として配合されたものをおすすめします。できるだけ乾燥した土を選び使いましょう。サボテンは葉や茎の部分に水分や栄養を蓄える性質があり、専用の土には既にある程度の肥料が入っているので元肥を追加で入れる必要はありません。元気がないと感じたときに与える程度で十分です。成育期には液体肥料で追肥し、冬の休眠期は肥料を与えないようにしましょう。
害虫
サボテンに付く害虫はカイガラムシ、アブラムシ、ネジラミなどが挙げられます。被害を拡大させないためにも見つけたらすぐに駆除しましょう。カイガラムシは湿気が苦手で、サボテンと同じく乾燥した環境を好むため狙われやすいです。
すす病はカイガラムシの排泄物により黒いカビが繁殖するサボテンの病気です。アブラムシは新芽やつぼみなど、新鮮な植物の汁が好きなので植え替え後、特に気をつける必要のある虫です。ネジラミは根に付きやすい害虫です。植え替えの際は根をよく洗うことをおすすめします。
まとめ
胴切りはポイントを押さえれば失敗を防ぐことができます。切断面に雑菌が付かないよう道具の消毒と断面の乾燥が重要になるので、消毒は手間を惜しまずその都度しましょう。初めての胴切りは緊張するかもしれませんが、上手く育てば新芽も見ることができますよ。サボテンは生命力に溢れているので、胴切りを通して、生長する姿を楽しんで育ててくださいね。