初心者でも失敗しないサボテンの育て方
せっかく購入したサボテンは、枯らさず元気に育てたいものですよね。今回は、初心者でも失敗しないサボテンの育て方を紹介します。サボテンの水やり方法や植え替え方法・増やし方や害虫についてなど、サボテンについての基本的な情報を紹介します。サボテンの基本的な育て方を知りたい方は、ぜひご覧ください。
サボテンはどんな植物?
はじめにサボテンとは、どんな植物なのかを簡単に確認しておきましょう。
サボテンとは、多肉植物の一種です。多肉植物の中のサボテン科の植物を総称して、「サボテン」と呼びます。原産地は、南米やメキシコ・アメリカなど広範囲にわたっており、砂漠や高地などの過酷な環境下でも生きていけるため、初心者でも育てやすいのが特徴です。
種類が多く、特徴や形も多種多様ですが、ほぼすべてのサボテンが「刺座(しざ)」、または「アレオーレ」と呼ばれる部分(主にトゲの付け根にある白い部分)を備えています。
サボテンを選ぶときのポイント
初心者でも育てやすいサボテンですが、選ぶときにはどのような点に着目すれば良いのでしょうか。
サボテンを選ぶときのポイントを紹介します。まず注目したいのは、サボテンのサイズです。サボテンのサイズは、主に大型種・中型種・小型種に分類されます。
置き場所に合わせて、最適なサイズのサボテンを選びましょう。
また、小さなお子さんやペットがいるご家庭は、トゲがない品種を選ぶのがおすすめです。
実店舗で購入する場合は、傷がついているもの・トゲが弱々しいもの・変色しているものは避けるようにすることも重要です。
サボテンに良い土と鉢は?
サボテンを購入するときや植え替えのときにチェックしたいのが、サボテンを植える土と鉢についてです。砂漠や高所などの乾燥地帯に自生しているサボテンは、水はけの良い環境を好みます。そのことを踏まえて、ここでは、サボテンを育てるのに向いている土と鉢を紹介します。
水はけの良い土
まずは、サボテンに向いている土について解説します。サボテンを育てるのに向いている土は、「水はけの良い土」です。自分で土づくりを行う場合は、小粒の赤玉土4:鹿沼土2:軽石2:腐葉土2のバランスで配合し、そこに緩効性の粒状肥料を加えるのがおすすめです。
初心者の方は、市販されているサボテン用の培養土や多肉植物用の培養土を使うのも良いでしょう。
水が溜まりにくい鉢
土が準備できたら、次はサボテンに適した鉢を用意しましょう。サボテンを育てるのに向いているのは、「水が溜まりにくい鉢」です。
水やり後の水がしっかりと流れ出すような、排水性の良い鉢を選びましょう。また、プラスチック製の鉢は湿度をため込みやすいため、乾燥した環境を好むサボテンにはあまりおすすめできません。できれば湿度を逃がす、素焼きの鉢を選ぶようにしましょう。
サボテンを育てるときにまず気をつけること
お気に入りのサボテンを購入し、いよいよ今日から育てるというとき、まずはどんなポイントに気をつければ良いのでしょうか。ここでは、サボテンを育てるときに、気をつけることを3つ紹介します。
置き場所
1つ目のポイントは、サボテンの置き場所です。
サボテンの種類によっても異なりますが、大半のサボテンが日当たりと風通しの良い環境を好みます。日光が降り注ぐ、風通しの良い場所に置いて育てるようにしましょう。
また、サボテンを室内で育てる場合は、エアコンなどの風が直接当たる場所に置くのはNGです。エアコンなどの風がサボテンに直接当たってしまうと、サボテンが弱ってしまう原因になるため注意しましょう。
日当たり
サボテンに適した、日当たりについてより詳しく解説します。サボテンは日光がとても好きな植物です。そのため、できる限り太陽の光が届く場所で育ててください。
また、サボテンは湿気を嫌う植物でもあります。サボテンを屋外で育てる場合は、雨が当たらないように注意することも重要です。ただし、夏場の直射日光や西日などに弱い品種もあるため、サボテンの品種によって微調整するようにしてください。
温度
次は、サボテンを育てるのに向いている温度について紹介します。寒さに弱いイメージのあるサボテンですが、実は大半の品種に耐寒性が備わっています。大抵のサボテンは0度程度なら生育できますが、外の気温が5度以下になったときは、屋内に移して管理するのがおすすめです。ただし、温度に関してもサボテンの品種によって異なる場合があるため、微調整を行いましょう。
サボテンの季節ごとの水やり方法
サボテンの育て方で、初心者の方が一番悩むのが水やり方法ではないでしょうか。サボテンの水やり方法は、季節によってやや異なります。ここからは、サボテンの季節ごとの水やり方法を紹介します。
春
春は、午前中のうちに水やりを済ませます。土の表面がしっかりと乾いたタイミングで、水を与えてください。鉢底の穴から水が流れ出してくる程度まで、たっぷり与えましょう。
夏
夏の水やりは、夕方から夜に行うのが基本です。夏は気温の高い昼間に水やりを行うと、与えた水が高温になり、サボテンの根を傷つけてしまいます。
また、午前中に水やりをした場合も、朝から昼間にかけて、与えた水の温度が上がり、株が蒸れてしまう可能性があります。
必ず、気温が下がった夕方から夜に水やりを行うようにしましょう。
春と同様に、サボテンの土の表面がしっかりと乾いたタイミングで、底穴から水が流れ出してくる程度まで水を与えます。
秋
秋は、春と同様に午前中のうちに水やりを行ってください。春・夏と同じく、土の表面がしっかりと乾いたタイミングで水を与えます。水の量も春夏と同様に、鉢底穴から水が流れ出してくる程度まで、たっぷり与えるのが基本です。
冬
冬場は、水やりを行わないのが基本です。ただし、小さいサイズの株は乾燥で枯れてしまうことがあるため、月に1回程度水を与える場合もあります。
冬場に小さいサイズのサボテンに水を与える場合は、
・気温が5℃以上である
・明らかに株が乾燥している
という2つの条件が揃った状態で、できるだけ気温が高い日の昼間に水を与えてください。
寒い季節に冷水を与えると、根が傷ついてしまう危険性がありますので冷水ではなく、15℃程度の水を与えるようにしましょう。
害虫に注意
初心者でも育てやすいサボテンですが、実は害虫がつくことも珍しくありません。とくに、新芽や若い株には害虫がつきやすいので注意が必要です。
ここでは、サボテンにつきやすい害虫とその対処法についてまとめました。
カイガラムシ
カイガラムシは、サボテンのほか、庭木や観葉植物・ランなどに寄生する害虫です。
種類が多いので姿形の特徴はさまざまですが、とくに多く見られるのがカタカイガラムシ(貝殻のようなカラをかぶっているもの)やルビーロウムシ(体が蝋のような物質でおおわれているもの)です。
寄生すると、サボテンの汁を吸うため、株が弱って最悪の場合枯れてしまいます。
カイガラムシを見つけた場合は、歯ブラシなどでこすり落とすか、薬剤で駆除します。
ハダニ
ハダニは、庭木や草花・野菜などにも寄生するダニの仲間です。ハダニはカイガラムシと同様に、寄生した植物の汁を吸います。
ハダニに寄生されたサボテンには、白や黄色・褐色などの斑点が現れます。見た目が悪くなるだけでなく、生育も悪くなるため注意が必要です。
ハダニは、サボテンと同様に乾燥した環境を好みます。ハダニが発生した部分に、シャワーなどで勢いよく水をかけることで駆除できます。
コナカイガラムシ
コナカイガラムシは、先ほど紹介したカイガラムシの仲間です。体が白い粉におおわれているように見える害虫で、カイガラムシ全般と同様にサボテン・庭木・観葉植物・ランなどに寄生します。
コナカイガラムシも寄生したサボテンの汁を吸い、最悪の場合サボテンを枯らしてしまいます。
コナカイガラムシが発生した場合は、歯ブラシなどでこすり落とすか、薬剤で駆除するようにしましょう。
ナメクジ
ナメクジは、園芸初心者の方にも馴染みのある害虫ではないでしょうか。
ナメクジはサボテンや野菜・観葉植物などを、削り取るようにして食べてしまいます。
湿気が多い場所を好むので、サボテンにはやや発生しにくいのですが、サボテンを湿度の高い場所で育てていたり、湿気が好きな植物を近くで育てていたりする場合に、ナメクジが発生することがあります。
ナメクジを見つけたら、速やかに薬剤を使用するか、割りばしなどで取り除き、塩や熱湯をかけて駆除しましょう。
サボテンの植え替え方法
サボテンが大きく生長してきたら、新しい鉢に植え替える必要があります。また以下の条件が揃ったときも植え替えが必要です。
・サボテンと鉢のサイズが明らかにバランスが悪い
・土が水を吸わなくなってきた
・鉢底穴から根が出てきている
場合は、すぐに植え替えをしましょう。
ここでは、サボテンの植え替え方法を紹介します。
植え替えにおすすめの季節
サボテンに限らず、植物には植え替えに適した季節があります。サボテンの場合は、春が植え替えに適した時期です。
サボテンは、4月下旬から5月頃に生育期に入るため、生育期直前の3月から4月頃に植え替えると、植え替え後も健康に育ちやすくなります。
植え替えの方法
サボテンの植え替え方法を紹介します。
◆準備するもの
・ひと回り大きいサイズの鉢(できれば水はけの良い素焼きの鉢)
・サボテン用の培養土、または多肉植物用の培養土
・緩効性の粒状肥料
・鉢底ネット
・鉢底石
・割りばし
◆サボテンの植え替え方法
- 植木鉢の鉢穴部分に鉢底ネットを敷く。
- 鉢底が見えなくなる程度まで、鉢底石を入れる。
- サボテン用の培養土、または多肉植物用の培養土に緩効性の粒状肥料を加える。
- 3で配合した土を、鉢の半分程度まで入れる。
- サボテンを古い鉢からやさしく引き抜き、新しい鉢の真ん中に置く。
- 残りの土を新しい植木鉢に入れ、サボテンを植えつける。
- 鉢のフチに割りばしを押し込むようにして土をならし、サボテンを安定させる。
植え替え後の注意点
サボテンを植え替えたあとは、2つの点に注意します。
1つ目は、植え替え後1週間から2週間のうちはサボテンを柔らかい日差しが降り注ぐ場所で管理することです。
植え替え後のサボテンは、株や根が弱りやすいため、いきなり直射日光の当たる場所で管理するのは避けましょう。
2つ目は、植え替え後1週間から2週間のうちは水やりをしないということです。
植え替え後はサボテンが水を吸う力が落ちているため、この期間に水を与えると根腐れを起こす危険性があります。
十分に注意しましょう。
サボテンの増やし方
お気に入りのサボテンを育てていると、「このサボテンの株を増やしてみたい」と考える方も多いと思います。
そこで、ここではサボテンの増やし方を紹介します。
どの増やし方も簡単なので、ぜひチャレンジしてみてください。
株分け
1つ目に紹介するのは、株分けでサボテンを増やす方法です。
サボテンから出てきた子株が2cm以上になれば、株分けをすることができます。
株分けで増やす手順を紹介します。
◆サボテンを株分けで増やす手順
- 子株をピンセットでやさしく挟み、左右に振って親株から切り離す
- 子株を風通しの良い場所に2日から3日程度置き、切り口を乾かす
- 小さめの鉢にサボテン用の培養土を入れる
- 子株の切り口を下にして、培養土に挿す(挿し木)
- 根が出るまでは水を与えず、やさしい日差しのもとで管理する
うまくいけば、2週間程度で根が出てきますよ。
接ぎ木
1つ目に紹介するのは、接ぎ木です。
接ぎ木とは、自分では大きく生長できない弱いサボテンを台座となるサボテン(台木)に接いで生長させ、弱いサボテンの種を収穫する方法です。
台木の上に接ぐサボテンのことを、穂木と呼びます。
サボテンの接ぎ木の手順を紹介します。
◆サボテンの接ぎ木の手順
- 台木の上部をカッターナイフなどを使い、平らにカットする。
- 穂木をカッターナイフなどでカットする。
- 台木の維管束からややずらして、穂木を合わせる
- 穂木と台木のあいだにある空気を抜くようなイメージで、穂木をやさしく押す。
- 糸やマスキングテープなどで、穂木と台木を固定する。
- 1週間程度は日陰で管理し、1週間後に糸やマスキングテープをはずす。
接ぎ木がうまくいけば、サボテンの種を収穫できます。
種まき
最後に紹介するのは、種まきでサボテンを増やす方法です。
種を収穫する場合は、サボテンに花が咲いて実がなったら、実を切り取ってください。
その実を水に浸しておくと、ゴマ粒状の種が自然に水の中に出てきます。
種を収穫できたら、種まきを行います。
サボテンの種まきの手順を紹介します。
◆サボテンの種まきの手順
- 鉢に細かいバーミキュライトを入れる。
- 収穫した種を均一に撒く。 ※その際、上から土をかけるのはNGです。
- 鉢の底を水に浸し、土に水を吸わせる。
- ビニール袋などを鉢にかぶせ、保湿する。
うまくいけば、10日から15日程度で発芽しますよ。
サボテンの管理でチェックすべきポイント
最後に紹介するのは、サボテンの管理でチェックすべきポイントです。
サボテンに起こりやすい3つのトラブルについてまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。
真冬に起こる変色
サボテンは、真冬に変色してしまうことがあります。
これは、サボテンが真冬の寒さによって弱ってしまうためです。サボテンの多くは0℃までなら生育できますが、変色を防ぐためには、外の気温が5℃を下回るようになってきたら、屋内で育てるようにしましょう。
木質化
木質化もサボテンによく見られるトラブルの1つです。木質化とは、サボテンの幹の部分がまるで木のように茶色く硬くなる現象です。木質化の原因は、日照不足や湿気などです。
サボテンを暗い場所で管理していたり、雨ざらしにしていたりすることで、サボテンが木質化してしまうことがあります。
また、老化したサボテンも木質化することがあります。
徒長
徒長とは、植物がひょろひょろと伸びすぎてしまうことをいいます。
徒長の原因の多くが、日照不足です。サボテンは、日光が大好きなので、明るい場所で管理しましょう。また、肥料を与えすぎてしまった場合にも、徒長が起こることがあります。
徒長が起こってしまったサボテンは、子株を適宜カットするようにしましょう。
子株は捨ててしまっても構いませんが、挿し木で増やしてみても良いでしょう。
まとめ
初心者でも失敗しないサボテンの育て方を紹介しました。サボテンは、園芸初心者でも育てやすい植物の1つです。
水やり方法や植え替え方法・害虫駆除方法など、基本的なポイントを押さえておけば、大きく育つはずです。ぜひサボテンを、あなたもインテリアに取り入れてみてくださいね。