白く清楚なスパティフィラム|育て方や特徴、花言葉など

スパティフィラムをご存知ですか?名前には馴染みがないかもしれませんが、実際に見てみると知っているという方も多いのではないでしょうか。

スパティフィラムは白い花を咲かせる観葉植物で、切り花としても楽しまれています。

また、耐陰性があり半日陰の室内でも生長しやすいので、初心者でも育てやすい品種です。

 

今回は、インテリアグリーンとしての人気も高いスパティフィラムについて、特徴や育て方などを詳しくご紹介していきます。

スパティフィラムの基本情報

 まずはスパティフィラムの基本情報を見ていきましょう。

科・属 サトイモ科・スパティフィラム属
和名 笹団扇(ささうちわ)
英名 Spathe flower, Peace lily
学名 Spathiphyllum
原産地 熱帯アメリカ

 

スパティフィラムの特徴

スパティフィラムは、熱帯地域が原産地の観葉植物で、カラーやアンスリウムなどのサトイモ科によく見られる白い花びらのような美しい苞(ほう)が特徴的です。

実際の花は、肉穂花序の小花を苞の内側に咲かせます。栽培環境が適していれば、毎年花が咲く様子を楽しめますよ。

 

細長い葉には光沢があり、鮮やかな濃い緑色と白い苞の対比がきれいで、観賞価値が高いため人気のある観葉植物です。

葉に斑状の模様が入っているものや、甘い香りの漂うものもあります。

大形の品種は樹高が1m以上のものもありますが、ほとんどは室内で育てやすい小形の品種です。

中でも、日本で作られた「スパティフィラム・メリー」が流通数の多い品種となっています。

熱帯地域に自生する植物なので寒さには弱く、直射日光が苦手で明るい日陰を好むため、インドアグリーンとしても向いているでしょう。

 

スパティフィラムの毒性

スパティフィラムは、同じサトイモ科のポトスやクワズイモなどと同様に、毒性を持っている植物です。

葉や茎を、犬や猫などが誤食してしまうと神経症状が表れ、口腔内の炎症、気道の閉塞、体のけいれん症状などを引き起こす恐れがあります。

小さなお子さまやペットを飼育されているお家では、スパティフィラムを届かない場所や入れない部屋に置くなど、安全面に充分注意しましょう。

 

スパティフィラムの名前の由来

スパティフィラムは、ギリシャ語で仏炎苞を意味する「spathe(スパッセ)」と、葉という意味の「phyllon(フィロン)」を掛け合わせた、植物の見た目から由来している名前です。

和名で呼ばれている「笹団扇(ささうちわ)」は、スパティフィラムの細長い葉が笹に似ていることと、独特な苞の形がうちわに似ていることから付けられました。ちょっとカーブしている様子や苞の質感は、確かにうちわに似ていますよね。

 

スパティフィラムの花言葉や風水効果

スパティフィラムは、その美しい見た目から切り花やインテリア、贈り物のフラワーギフトとしても人気です。

誰かへお花をプレゼントする際に気になるのが、お花や植物の持っている花言葉ですが、スパティフィラムにはどんな花言葉が付けられているのでしょうか。

また、観葉植物には風水効果を期待できることで有名ですが、スパティフィラムをインテリアとして取り入れることにより得られる風水効果についても、あわせてお伝えしていきましょう。

 

花言葉「上品な淑女」「清らかな心」

スパティフィラムには、「上品な淑女」「清らかな心」という、女性に贈ると喜ばれそうな花言葉があります。

白い苞にすっと立つような肉穂花序の姿が、凛とした佇まいの女性をイメージさせるのでしょう。

ちなみにこの花の部分ですが、長く咲かせたままだと株がエネルギーを大きく消費して負担が掛かってしまうので、色が変わってきた頃に剪定で取り除くことをおすすめします。

 

スパティフィラムの風水効果

観葉植物には、風水的なパワーが強く備わっていると考えられています。

植物の姿や性質によって、期待できる風水効果はそれぞれ異なりますが、スパティフィラムは「陽の気」を持つ観葉植物です。

家族が集まるリビングや玄関、仕事部屋や子ども部屋などに飾ることで、気の流れを改善したり、良い気を呼び込んでくれたりと、風水効果を発揮してくれるでしょう。

風水的にテレビやパソコンなどの電子機器から発される電磁波は悪い気だと考えられていますが、スパティフィラムはその悪い流れを良くして、お家の気の流れを改善する効果があります。

 

スパティフィラムの人気品種

スパティフィラムは、豊富な種類が展開されているので、自分のお気に入りの品種を見つけることができますよ。

品種により小型、中型、大型と樹高もさまざまですので、お部屋の飾るスペースに合うものを選んでみてくださいね。

ちなみに小型の品種でおすすめなものは、葉に斑模様の入った「スパティフィラム・ドミノ」です。中型種では日本で誕生した「スパティフィラム・メリー」が人気で、流通数もいちばん多い品種になります。

メリーの栽培の突然変異で生まれた品種には「スパティフィラム・ミニメリー」というものがありますが、こちらはメリーよりも小型の品種です。

もうひとつ、小型の「スパティフィラム・フロリバンドゥム」は、和名では「笹団扇(ささうちわ)」と呼ばれており、厚みのある葉でメリーよりも明るい色合いになります。

フロリバンドゥムの中でも、さらにミリアンやミニーなどの品種違いもありますよ。

「マウナ・ロア」というハワイ生まれの品種も中型で、ハワイの活火山と同じ名称です。花が大きく見応えがあるため、切り花としても人気の高い種類になります。

 

スパティフィラムは、熱帯地域の植物らしいトロピカルさやワイルドな雰囲気を持ち合わせつつも、シックな濃い色味の葉と白い苞の対比から、繊細で上品な印象も持つ観葉植物です。

落ち着いた雰囲気のお部屋にもしっくり馴染みますので、ぜひインテリアグリーンとして取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

スパティフィラムの基本の育て方

スパティフィラムは耐暑性に優れ、明るめの日陰でも充分に育ってくれるので、初心者向けのインドアグリーンです。

育て方の基本さえ抑えてしまえば、比較的簡単に育てられますので安心してくださいね。

上手に育てていけば、スパティフィラムの開花を楽しむこともできるでしょう。

それでは、ここからはスパティフィラムの基本的な育て方についてご説明していきます。

置き場所

まず置き場所についてですが、スパティフィラムは強すぎる日光や直射日光を苦手とします。

熱帯地域の自生地を思い浮かべると分かりやすいのですが、うっそうと生い茂る湿度の高い森林の木漏れ日の中で自生しているため、室内で育てるときは少しでもその環境に近づけるよう意識しましょう。

 

ある程度の湿度を保ち、置き場所はレースカーテン越しやブラインド越しに、柔らかく日光が当たるように調節してください。

適度に日光浴をさせると、葉のつやが良くなって健康な株に育ってくれます。

日照が不足すると花が咲きませんが、年間をとおして15〜20度ほどの温度管理ができると、通年開花を楽しめます。

強すぎる日光が当たると、葉やけを起こして葉の光合成を行なう組織が破壊されてしまいます。

一度破壊された組織は元に戻らないため、葉やけの範囲が広いと光合成によるエネルギーが足りず、株全体が枯れてしまう恐れもあるのです。

 

水やり

スパティフィラムは湿潤環境で育っている植物なので、乾燥は花が咲かない原因にもなります。

水やりの際には、土が乾いていることを確認してから、鉢底から水が流れ出てくるまでたっぷりと与えてください。

小さな株だと、水分が少なくなってくると葉がしおれてきますが、水やりをすると短時間で復活してくれます。

葉に霧吹きなどで水をかける「葉水」もこまめに行なうとベストです。

湿潤を好む植物ではありますが、水やりの後は受け皿の水をこまめに捨てて、鉢内を蒸らさないように注意してください。

 

真夏の間は、涼しくなった夕方以降に水やりをしましょう。

鉢土に水分を多く含んだまま1番熱い時間帯を迎えると、水の温度が上昇して根にダメージが及んでしまうため、時間には注意する必要があります。

夕方か夜の時間帯に水やりするのがおすすめですよ。

 

肥料

スパティフィラムは、春から秋という長い間、ずっと花を咲かせてくれますが、その分エネルギー消費が多く、株への負担は大きいです。そのため、他の観葉植物よりも多めに肥料を与えると生長の助けになります。

 

肥料は春に緩効性粒状肥料を置き肥し、春から夏の終わりごろの開花中は2週間に1回ほど液体肥料を水やりの代わりに与えます。

 

観葉植物として親しまれるスパティフィラムですが、一般的な草花と同じく多年草に分類されているため、液体肥料は草花用のものを使用するのがおすすめです。

置くタイプの緩効性肥料は観葉植物用のもので構いません。

 

生育期である春から秋の間に肥料を与え、元気に育ってくれるよう手助けをしましょう。

冬の間は生育が止まってしまうため、肥料は与えず、冬を迎える前には置き肥を取り除くよう注意してください。

休眠期にも肥料を与え続けると、根が栄養過多で根詰まりを起こして、株を枯らしてしまう可能性もあります。

 

置き肥の場合には2ヶ月に1回ほど、液体肥料の場合は10日に1回ほどの頻度で、希釈したものを与えるのがおすすめです。

肥料は鉢の大きさによって適量が異なりますので、それぞれの説明書に記載されている適量に応じて与えてください。

もし誤って肥料を与え過ぎてしまったら、なるべくたくさんの水を与えて、土や根の栄養分を薄め、すみやかに肥料を取り除きましょう。

 

剪定

スパティフィラムの剪定は、猛暑日を避けた生育期の春から秋の間に行ないます。

葉が多すぎて混み合っているときや、余分な葉や古い葉などがあれば、剪定で調整しましょう。剪定時には、切り口から雑菌の侵入を防ぐために、必ず清潔で切れ味の良い刃物を使用してくださいね。

サトイモ科のスパティフィラムは、葉や茎から樹液が出てきますが、直接皮膚に触れると痒みやかぶれなどの炎症を引き起こします。

作業をする際には、必ずゴム手袋などを着用して、肌に触れないよう注意してください。

もし皮膚に付着してしまったら、すみやかに水で洗い流しましょう。

剪定後の切り落とした葉はコップや花瓶などに挿すと、美しい葉を眺めて楽しむことができますよ。

植え替え

スパティフィラムの株が生長しすぎていたり、鉢底から根が飛び出ていたりしたら、植え替えのタイミングです。

水やりの際になかなか水が流れ出てこない場合や、土から異臭がするようなときも、根詰まりを起こしているため植え替えのサインです。

根詰まりを起こしていると花が咲きませんので、なかなか開花しないときは根の状態をチェックしてみてください。

このようなサインが見られない場合でも、1〜2年に1回のペースで一回り大きな新しい鉢へと植え替えましょう。

 

植え替えは、スパティフィラムの生育期である春〜秋の間の猛暑日を避けて作業を行ない、花が咲いている間は植え替えを控えましょう。

 

【植え替えの手順】

  1. 植え替え作業の前は水やりを控え、鉢土を乾燥させておきます。
  2. 株を取り出して、根に付いた土を優しく落としていきましょう。
  3. 傷んだ根や変色している根は、清潔なハサミなどで切り落として、根を整理します。
  4. 鉢底ネット・鉢底石を敷いた鉢に、3分の1ほど土を入れておきます。
  5. 株を置いたら、細かい隙間も埋めるように土を入れていきましょう。
  6. たっぷりと水やりをして、風通しの良い日陰でしばらく株を休ませます。

病気や害虫   

スパティフィラムには特にかかりやすい病気はありませんが、風通しが悪い環境下だとカイガラムシが発生しやすいので注意しましょう。

また、夏以降の乾燥する時期には葉裏にハダニが発生しやすいので、こまめな葉水と日頃の観察が大切です。どちらも見つけ次第、すみやかに駆除してください。

カイガラムシは成虫になると固い殻で覆われてしまうため、薬剤が効きにくくなります。

柔らかい歯ブラシなどで擦り落とすようにすると駆除しやすいですよ。

害虫予防としては、高温多湿を避けたとにかく風通しの良い場所で管理することと、葉の乾燥に注意することです。

 

スパティフィラムの増やし方

スパティフィラムは、「挿し木」と「株分け」の方法で増やすことができます。

挿し木はとても簡単な増やし方で成功率も高いので、初めて挑戦するときにはおすすめの方法です。

また、株分けで増やす場合には、植え替え作業とあわせて行なうと株への負担が少なく済むでしょう。

増やしたいタイミングに応じて、お好きな方法を選んでみてくださいね。

挿し木

まずは「挿し木」での増やし方からご説明していきましょう。

挿し木に使う挿し穂は剪定の際に切り落とした枝などを使うと良いでしょう。

 

【挿し木の手順】

  1. 挿し穂用に新芽が生えている茎を5cmほど切りましょう。
  2. 挿し穂の切り口を1時間ほど水に浸しておきます。
  3. 鉢やポットなどに用意した土に、挿し穂を挿します。
  4. たっぷり水を与えたらしばらく涼しい日陰で管理して、発根を待ちましょう。

株分け

もうひとつの「株分け」は、生長したスパティフィラムの株を分けて、子株を植え付ける増やし方です。

株に負担が掛かってしまうので、植え替え時にまとめて行なうと効率良く作業できますよ。

流れとしては、途中で株を分ける以外、ほとんどは植え替えの手順と同様になります。

 

【株分けの手順】

(1)株を鉢から取り出して、根に付いた土を優しく落とします。

(2)傷んだ根や変色した根を整理しつつ、株を手やナイフで2〜3個に分けましょう。

(3)用意した鉢に3分の1ほど土を入れ、株を置いて周りを土で埋めていきます。

(4)しばらくは明るい日陰で管理して、新芽が出たら通常のお世話に戻しましょう。

実生

スパティフィラムは、種まきによる実生(みしょう)で増やすこともできます。

ただし種から育てていくと、開花するまでに3年以上は掛かってしまうので、長い目で管理してくださいね。

スパティフィラムの種は流通が大変少ないので、採取した種を使って植え付けます。

 

【種まきの手順】

(1)保水力を重視した土を用意して、育苗ポットなどに入れます。

(2)種が重ならないよう均等に蒔き、浅く土を被せます。

(3)土が乾燥しないように観察しながら、たっぷりと水をやり日陰で管理しましょう。

(4)1ヶ月ほどして発芽するので、株が大きくなって安定してきたら鉢へ植え替えます。

まとめ

今回は、白い苞が美しい観葉植物、スパティフィラムの特徴や育て方などについてご紹介してきました。

初心者の方でも育てやすいスパティフィラムは、暑さに強く明るい日陰なら元気に育ってくれる観葉植物です。

品種によって大きさもさまざまで、お部屋のスペースにあわせて好みの品種を選ぶことができますよ。

上品で清楚な雰囲気のスパティフィラムは花も楽しむことができるので、開花の様子もあわせてお世話を楽しんでみてくださいね。

 

大切なあの人にお花を送ってみませんか?