オーガスタを株分けで増やすには?特徴や基本の育て方
バナナに似ている葉を持つオーガスタは、飾ると南国リゾートのようなゆったりとした雰囲気が生まれる、とても人気のある観葉植物です。
観葉植物を育てていく中での楽しみのひとつが株を増やすことですが、オーガスタも株分けによって増やしていくことができます。
今回は、オーガスタの特徴や基本的な育て方をご紹介しつつ、株分けなどの増やし方についてご紹介していきたいと思います。
オーガスタの基本情報
まずはオーガスタの基本情報を見ていきましょう。
科・属 | バショウ科・ゴクラクチョウカ属 |
和名 | オーガスタ、ストレリチア・ニコライ |
英名 | bird of paradise tree |
学名 | Strelitzia nicolai |
原産地 | 南アフリカ、マダガスカル |
オーガスタの学名は 「Strelitzia nicolai(ストレリチア・ニコライ)」というため、こちらの名前で流通していることも多いです。
学名の「nicolai(ニコライ)」は、皇帝・ニコライ一世に由来しています。
とても美しい白い花を咲かせるので「天国の白い鳥」という別名も持っていますよ。
オーガスタはバナナと同じバショウ科で、光沢を持ってつやつやとした葉の形状もバナナの葉に似ており、トロピカルな雰囲気があります。常緑の多年草で一年中この美しい葉を眺めることができるため、お部屋のインテリアにもぴったりですね。
オーガスタの新芽は、丸めたままで葉を棒状に伸ばしていき、だんだんと扇状に幅を広げていきます。
オーガスタのように大きな葉を持っている植物は、葉からの蒸散作用が大変高いので、加湿器の役割も果たしてくれますよ。マイナスイオンも放出してくれるので、自然の空気清浄機としてお部屋に迎えてみてはいかがでしょうか。
「有茎種」と「無茎種」
オーガスタは、バショウ科、ストレリチア属の植物です。
ストレリチア属は大きく分けて「有茎種」と「無茎種」の2種類に分類することができます。
オーガスタのように、樹高が5メートル以上にも生長するものは大型に分類され、「有茎種(ゆうけいしゅ)」と呼ばれます。
ストレリチア・レギネのように、樹高が1メートル程度からそこまで大きくならない小型のものは、で「無茎種(むけいしゅ)」と呼ばれます。
有茎種とは、株から茎がまっすぐに伸びている品種のことで、オーガスタの他には「タビビトノキ」が有茎種に含まれています。
ちなみに「タビビトノキ」は、樹高10〜20メートルにまで生長するかなりの大型品種です。オーガスタよりも葉の幅が細いのですが、生える量がとても多いのでボリューミーに見えますよ。扇状の葉の形がバショウによく似ているため、「オウギバショウ」という別名もあります。
無茎種は、株元から葉や花の柄が伸びる、茎を持たない品種を指しています。極楽鳥花として有名な「ストレリチア・レギネ」などが無茎種に当たります。
オーガスタの花言葉
草花に花言葉が付けられているように、観葉植物にも花言葉があります。
オーガスタなどのストレリチアの品種には「輝かしい未来」「あたたかい心」という花言葉が付いています。
「輝かしい未来」は、ストレリチアの植物が咲かせる、鳥の姿に似た花姿から連想されました。「あたたかい心」は、ゆったりとした雰囲気を持っていることから付けられた花言葉かもしれませんね。
オーガスタのように丸みのある葉は、風水的観点から気の流れを穏やかにしてくれる効果が期待できます。部屋に飾るのはもちろん、グリーンギフトとしても贈りやすいでしょう。
ストレリチアの人気品種
ストレリチアの品種では、「オーガスタ」として流通しているストレリチア・ニコライを始め、どれも人気がある品種です。
それぞれの魅力を簡単にご紹介していきましょう。
ストレリチア・レギネ
一般的にストレリチアというと、この「ストレリチア・レギネ(レギナエ)」が代表品種です。
ストレリチア・レギネは茎を持たない無茎種なので、葉が直接地面から生えます。
橙と青の発色が良い鮮やかな美しい花を咲かせ、その花の形が鳥の頭のようにも見えるため、「極楽鳥花(ごくらくちょうか)」とも呼ばれており、観葉植物としてだけではなく、切り花としても高い人気があります。
耐寒性もそれなりにあるので、育てやすい品種です。
ストレリチア・ノンリーフ(ユンケア)
「ストレリチア・ノンリーフ」は、先ほどご紹介したストレリチア・レギネの葉を小さくしたような品種。とても乾燥に強い性質を持ち、こちらも育てやすい品種です。
放射状に伸びたほっそりとした茎の先で、葉が円柱状に丸くなっていく姿はスプーンにも似ていて、その独特な姿が高い人気を誇ります。
ストレリチア・レギネよりもゆっくりと生長してくれるので、インドアグリーン向きでもあるでしょう。
オーガスタの増やし方
丈夫で育てやすいオーガスタは、観葉植物に育て慣れていない初心者の方でも挑戦しやすい品種です。
観葉植物を育てる中での醍醐味には、株を増やしていく楽しみがあります。オーガスタも、株分けによって増やしていくことができますよ。
種まきによる「実生」でも増やせますが、日本の環境下では種から育てていくことが難しいため、株分けでの増やし方が最も簡単になります。
株分けは植物にとって負荷が掛かるので、植え替えの際に一緒に行うと良いでしょう。
株分けができる状態は?
オーガスタをはじめ、観葉植物を株分けするためには、親株に「子株」ができている必要があります。植え替えなどで株を取り出したときに、親株に小さい子株ができているかどうかを確認してみましょう。
また、その子株が健康で元気な株かどうかも大切です。
元気な子株ができていたら、5〜6月頃の適期を目安にして株分けをしてみましょう。
株分けや植え替えの前には水やりを控え気味にして、オーガスタの株を乾燥させておくと作業しやすくなります。
オーガスタの株分け手順
- オーガスタの根元を持って、鉢から株を引き抜きましょう。
- 株分けの下準備として元気な子株を確認したら、まずは株全体を整えておきます。
- 葉が弱っていたり変色していたりしたら、茎の下部分から剪定しておきます。
- 根をやさしくほぐしながら、付いている土を落としていきましょう。
- 親株と子株の間をスコップなどで割り、切り離します。
- 傷んでいたり黒ずんでいたりする根があれば、切り落としておきます。
- 新しい鉢に3分の1ほど土を入れて、親株・子株をそれぞれの鉢に置きます。
- それぞれの株の周りを埋めるように土を足していき、株を安定させましょう。
大きなオーガスタの株を引き抜くには、とても強い力が必要な場合もあるので、一人での作業が難しければ無理せず人手を借りましょう。
オーガスタの基本の育て方
ここまではオーガスタの株分けの手順について解説してきました。
子株ができるまで育てるには、基本的な育て方を守って育てることが大切になりますが、ここでもう一度、オーガスタの基本的な育て方を確認しておきましょう。
置き場所
自生しているオーガスタは、多湿の環境を嫌い、直射日光を好みます。そのため、置き場所は日当たりが良好で風通しが良く、湿潤な場所を避けて置くのが好ましいです。
オーガスタは耐陰性も持っているので、ある程度の日陰でも育てていけるのですが、日光が不足すると株がだんだんと元気をなくしていき、葉の色やつやも悪くなっていきます。
メインにしている置き場所だと日光が不足しそうな場合には、定期的に日光浴をさせましょう。
適切な水やりの仕方
多湿を嫌うオーガスタには、水のやり過ぎに注意が必要です。多湿を嫌うため、水はけの悪い状態が続くと根腐れのリスクもかなり上がります。
オーガスタを枯らしてしまう、いちばん多い原因には「根腐れ」が挙げられます。
市販されている観葉植物用の土を使っている場合には、赤玉土などの排水性を上げる土をブレンドしておくと、水はけが良くなりますよ。
自生地が乾燥地帯であるオーガスタは、とても乾燥に強い性質を持っているので、乾燥気味に育てていっても問題ありません。
鉢の土を観察して、乾いた土が白っぽくなっていたら、鉢底から水が流れ出てくるほどたっぷりと水を与えましょう。
また、水やりの後に受け皿に溜まった水は、放置しておかずにすぐに捨ててください。
水をそのまま溜めておくと鉢内が蒸れてしまい湿度が上がってしまい、根腐れの原因にもなります。水やりと受け皿の処理は必ずセットで行うように習慣づけておくのがおすすめですよ。
オーガスタは、気温が下がってくるにつれて生長速度がゆるやかになっていきます。
それに合わせて水やりの頻度も減らしていく必要があるので、冬季は土が乾いたことを確認してから5日〜1週間後くらいに水を与えるくらいでちょうどいいでしょう。
冬季は空気が乾燥しているので、霧吹きなどで葉に水をかけて、葉からも水分を補給させてあげてください。
この「葉水」をすることで、葉の色やツヤが良くなりますし、乾燥を防ぐことは害虫や病気の予防にも繋がります。
葉の表面には埃が付きやすいので、濡れた柔らかい布やティッシュなどを使って、葉の表面を拭き取っておくのも害虫予防に繋がりますよ。葉がきれいになって光合成もしやすくなるので一石二鳥です。
冬越し
オーガスタはやや寒さに弱いため、冬季は気温が5度以上になるように温度管理することが大切です。
雪が積もる寒い地域などで育てていく場合には、冬季の間は室内に鉢を入れて冬越しさせましょう。鉢を暖かくしようと暖房器具の近くやエアコンの風が当たる場所などに置いてしまうと、水分が蒸発して株が乾燥してしまいますので注意してくださいね。
暖房器具などを使用すると室内が乾燥するため、加湿器などを使って湿度を調整できるとベストです。
また、冬の間の日中になるべく窓際などで日光浴をさせますが、夜になる前に部屋の中ほどに鉢を移すようにしてください。
窓際に鉢を置いたままだと、日中に与えた水分が夜間の冷え込みにより冷えて、根がダメージを受けたり株が凍結したりする恐れがあります。
肥料
オーガスタの親株に元気な子株を作るためには、肥料の助けも必要です。
置き型の緩効性肥料を、生育期である春から秋の間、2〜3ヶ月に1回ほどのペースで与えていきましょう。室内で管理している場合には、化学肥料を使用することでコバエなどの虫の発生を予防することができます。
株の成長が止まり休眠期を迎える冬には、肥料は必要ありません。かえって肥料過多による「肥料焼け」を起こして、株が不調をきたす恐れがありますので、冬を迎える前には置いた肥料を忘れずに取り除いてください。
一方で、株分けをせずにオーガスタを育てたい場合には肥料は不要です。肥料を与えることによりぐんぐん生長していきますので、室内の決まった置き場所に納まりきらなくなってしまう可能性もあります。
丈夫なオーガスタは肥料を与えなくても、水や日光といった基本を守って育てれば、すくすくと生長してくれますよ。
剪定
生長の早いオーガスタは、新しい葉が伸びていくにつれて、下に付いている古い葉にまで栄養が行き届かなくなってくるので、下のほうから次第に枯れていきます。
葉の色が悪くなってきたり、黄色く変色している葉は剪定で切り除いておきましょう。
株が生長しすぎてバランスが崩れていたり、葉が伸びすぎて見栄えが悪くなっていたりするときにも、全体の様子を見ながら剪定で整えてください。
剪定に適している時期も、株分けと同じく5〜6月頃ですが、他の季節に行っても大丈夫ですが、株が休眠に入る冬季は避けましょう。
オーガスタはとても強靭な生命力を持っているので、葉のほとんどを剪定してしまっても、また新芽を伸ばしてくれるほどです。あまり神経質になりすぎず剪定ができるのはありがたいですね。
植え替え
寒さに弱いオーガスタは、冬季に室内で管理できるよう、鉢植えで育てていくことが多いです。鉢植えの観葉植物は、株の生長に合わせて新しい鉢への植え替え作業が必要になってきます。
オーガスタは成長が比較的早い植物なので、1〜2年に1回は植え替えを行いましょう。
植え替えの適期は、株分けと同様に5〜6月頃です。
下向きに根を生やしていくオーガスタの性質を踏まえると、ある程度深さのある鉢に植え替えることをおすすめします。
【植え替えの手順】
- 鉢から根を取り出して、根をほぐしながら古い土を落としていきます。
- 傷んでいる根や、黒ずんで腐っている根などがあれば切り落としましょう。
- 新しい鉢に鉢底ネット・鉢底石を敷いたら、土を3分の1ほど入れておきます。
- 根を整理した株を置き、周りを埋めるように土を足して株を安定させます。
- たっぷりと水を与えたら、風通しの良い半日陰で管理して株を休ませましょう。
- 2週間ほどは肥料を与えずに管理して、徐々に通常のお世話へ戻していきます。
前回の植え替えから1〜2年が経過していなくても、オーガスタの株が生長しすぎていたら植え替えが必要です。
鉢底から根が飛び出てしまったり、水やりの際に水がなかなか流れ出てこなくなったりしたときは、鉢内で根詰まりを起こしているかもしれません。こういった場合は早急に植え替えを行いましょう。根詰まりを放置していると根腐れを引き起こして、最悪の場合には株が枯れてしまいます。
害虫・病気対策
オーガスタには、カイガラムシなどの害虫が発生することがあります。
カイガラムシは、葉の裏や若い芽などに好んで寄生し、植物を吸汁して栄養を吸い取ってしまう害虫です。発見したら、早めに駆除しておきましょう。
発見が遅くなり、すでに大量に発生してしまった場合には、殺虫剤の使用が有効です。
しかしカイガラムシは、幼虫のうちは薬剤が効くのですが、成虫になると硬い貝殻のような殻で体を包んでしまうので、薬剤が浸透しにくくなります。
成虫のカイガラムシは、柔らかい歯ブラシや爪楊枝などを使って、歯を傷つけないように注意しながら擦り落とす駆除方法が効果的です。
害虫の排泄物を放置しておくと、その排泄物から発生したカビによって「すす病」になる二次被害も考えられます。カビは風などに乗って他の植物にも感染してしまうので、害虫を発見した時点で早急に対処しておきたいですね。
害虫の早期発見には、日頃から株をよく観察しておくことが大切です。葉水をかけたり、葉の表面を拭き取ったりしながら、葉の裏までしっかり見ておきましょう。
まとめ
今回は、南国ムード溢れるオーガスタについて、増やし方や基本的な育て方などをご紹介してきました。
オーガスタの株分けは簡単にできますので、育て方に慣れてきたら株分けにチャレンジして鉢を増やしてみましょう。
オーガスタは生命力が強い観葉植物なので、水のやりすぎや過湿状態に注意して育てていけば丈夫に生長してくれますよ。お部屋に飾るとリゾート空間を演出してくれる、のびのびとした雰囲気を持つオーガスタを、ぜひ楽しんで育てていってくださいね。