アイビーを室内で育ててみよう!基本の育て方や人気の種類
壁面に沿うようにして伸びるアイビーは、街中で見かける機会が多い植物です。アンティークな雰囲気の建物やお店などには、アイビーを上手に使って装飾している所も多いですね。
他の植物との相性も良いため、寄せ植えやガーデニングでも人気が高い観葉植物です。
また、アイビーは多少の日陰でも育ちやすいので、室内向きのインドアグリーンとしても人気があります。
今回は、室内向きの観葉植物であるアイビーの育て方や特徴などを解説していき、その魅力をたっぷりとご紹介したいと思います。
アイビーの基本情報
まずはアイビーの基本情報を見ていきましょう。
科・属 | ウコギ科・キヅタ属 |
和名 | 西洋木蔦(せいようぎづた)、ヘデラ |
英名 | Ivy, English Ivy, Common ivy |
学名 | Hedera helix(Hedera) |
原産地 | 北アフリカ、ヨーロッパ、アジア |
アイビーの特徴
学名である「へデラ」や「西洋木蔦(せいようぎづた)」の名称でも呼ばれるアイビーは、つる性の観葉植物で、へデラとして流通していることも多いです。
常緑の植物なので、冬でも葉を落とさずに美しい姿を眺められます。耐寒性や耐暑性を持ち、日陰でも育てやすい観葉植物なので、初心者でも育てやすい品種として人気です。
つる性の特徴を活かして、カゴなどに吊るすハンギングで飾れば、ゆらゆらと揺れるつるを楽しめるグリーンインテリアにもなります。
ポピュラーなハート型の葉以外にも、星型や斑模様が入っているものなどバリエーションが豊富で、園芸品種が多数存在しています。葉に模様が入っている品種が特に人気で、斑状やマーブルなどの模様によって雰囲気が変わるのも魅力的です。
アイビーには500種類以上もの園芸品種があると言われていますが、そのうちの100種類ほどは日本で見ることができます。
アイビーの名前の由来
学名である「ヘデラ」とは、ギリシャ語で「座る・密生」を意味する「hedra」や、ラテン語で「しがみつく」を意味する「haerere」などが語源になったと考えられています。
実は花が咲くアイビー
花が咲くイメージがないアイビーですが、長く育てていると稀に花を咲かせることがあります。花房を球状に集まって咲かせ、一房ごとに見るとそれぞれはかんざしのような形をしています。ただし開花する品種はアイビーの中でも一部なので、長く育てて開花を見てみたい方は、花が咲く品種かどうかを確認してから買い求めましょう。開花後に結実した実は、薬用として漢方などにも用いられます。
アイビーの花言葉
ちょっと珍しい形の花を咲かせるアイビーには、「永遠の愛」「不滅」という花言葉を持っています。丈夫で生命力の強い植物であることから、永遠や不滅といった花言葉が付けられました。
「永遠の愛」の花言葉から、ブライダルシーンでの飾り物としても人気がある植物です。
アイビーの風水効果
環境学のひとつでもある風水では、観葉植物を取り入れることで風水効果が期待できると考えられています。茎が垂れて葉をたくさんつけるアイビーは、風水学的に見ると恋愛運や夫婦運を上昇させる効果があるとされています。
また、アイビーのように葉が鋭い形をしている植物には、邪気を払ってくれるパワーがあります。悪い気が溜まりやすいといわれる水回りのトイレやキッチンなどに飾ると、気の流れを良くして悪い気を追い払ってくれるでしょう。水の気を良くすることで、健康運や金運のアップにもつながります。
ただし、トイレ内は湿度が高く日光も当たりにくい場所です。観葉植物に元気がないと、風水的な効果が期待できませんので、適度に日光浴をさせてアイビーの健康を保ちましょう。
アイビーの人気品種
先ほどお伝えしたように、アイビーは品種がとても豊富です。品種によって葉の形や色、模様なども異なりますので、きっとお気に入りの品種が見つかりますよ。
ここからは、特に人気があるアイビーの品種をご紹介していきます。
ヘデラ・ヘリックス
アイビーの中でもいちばんポピュラーな品種が、「イングリッシュ・アイビー」の名前でも知られる「ヘデラ・ヘリックス」です。アイビーといえばヘデラ・ヘリックスを指すといってもいいほど定番の品種です。どことなくアンティークな雰囲気が漂う薄めの葉色と、小ぶりな星形の葉に人気があります。
ピッツバーグ
濃い緑色の葉がお好みの方には、「ヘデラへリックス・ピッツバーグ」がおすすめです。やや青みがかっている緑色の葉と、クリーム色の葉脈のコントラストが楽しめる品種です。
寒くなると葉が色づいて紅葉するので、季節による変化も楽しめますよ。流通量も安定していて入手が簡単で、買い求めやすい品種です。
ロンベア
ヘデラ・ロンベアは日本国内の山などでも見られ、別名では「キヅタ」「ジャパニーズ・アイビー」とも呼ばれています。
初めにご紹介したヘデラ・ヘリックスの和名は「西洋木蔦(せいようきづた)」ですが、こちらは「東洋木蔦(とうようきづた)」と呼ばれており、日本を原産とする園芸品種です。
アイビーは基本的に常緑性ですが、へデラ・ロンベアは秋に紅葉してから落葉するという特徴があります。
カナリエンシス
「ヘデラ・カナリエンシス」は大ぶりな葉が魅力的なアイビーです。
アイビーをメインにしたい場合や、存在感が欲しいときにはヘデラ・カナリエンシスのチョイスがおすすめです。「カナリーキヅタ」「オカメヅタ」などの名前でも流通しています。
ハート型の葉がのびのびと太い木の幹を覆っていたり、建物の壁面をカバーしていたりと、街中でもよく見かける品種です。やや寒さに弱いのですが、お庭や家のグランドカバーとしても活躍してくれるでしょう。
カナリエンシス・バリエガータ
ヘデラ・カナリエンシスが持つ大ぶりの葉の特徴をそのままに、白い斑が入ったのが「ヘデラカナリエンシス・バリエガータ」という品種です。
バリエガータの斑模様は不規則で、葉ごとに違った表情を楽しむことができます。気温が下がってくると、葉の縁が徐々に赤く色づいてくるので、一年を通して紅葉する姿も楽しめますよ。
グレーシャー
グランドカバー用のアイビーをお探しの方には、「ヘデラヘリックス・グレーシャー」がおすすめの品種です。
アイビーの中でもつるが絡んで伸びていく力が強い品種で、地面や壁のカバーにはうってつけですよ。名前の「グレーシャー」とは「氷河」という意味を指しており、葉に入った不規則的な白い模様を氷河に例えて名付けられました。深みのあるグリーンとホワイトのコントラストが美しいアイビーです。
このグレイシャーから派生して誕生した、「リトルダイアモンド」というアイビーも、小ぶりな葉がかわいらしくおすすめの品種です。
バターカップ
「アイビーの王様」と呼ばれているのが、「へデラ・バターカップ」です。黄色がかったゴールド系の葉のアイビーは、観賞価値が大変高い品種として人気ですが、バターカップはその中でも特に美しい品種だとされています。
ただし、育つ土の酸度が強すぎると、バターカップの最大の魅力である美しいゴールドカラーが出なくなってしまうので、お世話の際には注意しましょう。
このバターカップと同じくアイビーの王様と呼ばれている品種には、同じくゴールド系の葉を持つ「へデラ・ミダスタッチ」という品種もあります。
ゴールドチャイルド
「ヘデラ・ゴールドチャイルド」も斑入りの品種で、葉を縁取るやさしげなイエローと、みずみずしいグリーンとのコントラストが爽やかな品種です。水彩画のようなやわらかい雰囲気を持っているので、背景にもこだわって飾ると絵画のような美しさも感じられます。
愛らしくやさしい雰囲気のアイビーをお求めの方には、こちらのゴールドチャイルドがおすすめです。
セシリア
「へデラ・セシリア」は、へデラ・バターカップと対になるように「アイビーの女王」と呼ばれている人気品種です。葉の縁がやわらかな乳白色で彩られている、やさしげな雰囲気を持つアイビーです。
生育期のうち、春ごろが最も葉の白い部分が多くなり、やわらかな雰囲気を楽しむことができますよ。葉の縁は波打っており、フリルのような華やかさがあります。新しい葉がいちばんくしゅくしゅとしたフリル感が強く、葉が生長するにつれて平たくなっていきます。
グリーンチュチュ
「ヘデラ・グリーンチュチュ」は、フリルレタスのようなくしゅっとした質感の葉を、バレリーナの衣装であるチュチュに見立てて名付けられました。
濃い緑色の葉がフリルのようにくしゅくしゅとしていて、いくら眺めても飽きがこない個性的な品種です。
リース土台に沿わせて、グリーンリース状に仕上げても素敵ですし、バスケットにこんもりとさせたナチュラルな飾り方もおすすめですよ。
ダックフット
「へデラ・ダックフット」は、「アヒルの足」のように小ぶりな葉が魅力的な品種です。小さな葉が連なって伸びていく様子は、小さなアヒルの足跡が付いていくかのような愛らしさを感じられます。ひとつひとつの葉は小さいながらも、密集して伸びていくので見応えがありますよ。
室内でアイビーを育ててみよう!
たくさんあるアイビーの品種について、人気品種を一部ご紹介しました。
葉の色の濃さや模様の入り方で、同じアイビーでも大きく雰囲気が異なりますね。育ててみたいお気に入りの品種が見つかったのではないでしょうか。
続いては、室内で育てる観葉植物としても向いているアイビーの、基本的な育て方を解説していきます。初心者の方にも挑戦しやすい観葉植物なので、ぜひ基本のお世話をマスターして、お部屋のインテリアグリーンにアイビーを取り入れてみてくださいね。
置き場所
アイビーには耐陰性があり、お部屋の蛍光灯だけでも育つ室内向きの観葉植物ではありますが、適度に日光に当てたほうが元気に育ってくれます。強すぎる日光や直射日光は葉が焼けて光合成できなくなってしまうので、レースカーテンやブラインド越しになるように日当たりを調節しましょう。
特に斑入りの品種は日光に弱く、上手に調節して日光浴させないと葉焼けを起こしてしまいます。
また、湿度が高すぎる場所で管理していると、鉢内が蒸れて病気や害虫発生の原因になるため、風通しの良い場所で管理してください。
水やり
観葉植物への水やりの基本は、土が乾いてからたっぷりと水を与えることです。アイビーは少し乾燥気味に育てるくらいだと、根腐れしにくく元気に育ちます。
冬場は特に乾燥気味に管理するよう意識して、土が乾いてから2〜3日後に水やりをするくらいにします。
室内で冷暖房を使用する時期は空気が乾燥しがちなので、霧吹きなどで葉に水をかける「葉水」を行うと効果的です。アイビーの葉の光沢がよりつややかになって、美しく育ってくれますよ。
地植えで育てていく場合には、天候に任せて水やりは行いません。長く雨が降らずに地面が乾ききっていたら水を与える程度で問題ありません。
肥料
アイビーは肥料を与えなくても育ちます。全体のボリュームアップをさせたい場合などに肥料を与えるのであれば、緩効性の固形肥料や速効性の液体肥料を適度なペースで与えていきましょう。もともと生命力の強いアイビーはぐんぐん成長しますので、株をあまり大きくしたくない場合には肥料を取り除きます。
冬にはアイビーが休眠期に入って肥料が不要になりますので、冬越しの前に置き肥は必ず取り除きましょう。肥料が過多になると肥料焼けから根詰まりを起こし、最悪の場合は株が枯れてしまう恐れもあります。
植え替え
アイビーは繁殖力が強く生長も早いので、鉢植えの場合は1〜2年に1回のペースで植え替えを行いましょう。いつまでも小さな鉢で育て続けていると根詰まりを起こします。土の栄養が足りなくなるばかりか、衛生面でも良くありません。
植え替え目安である1~2年が経過していなくても、鉢底から根が飛び出ていたり、水やりの際に水が流れ出にくくなったり、きちんと水やりをしているのに葉の元気がない場合などは植え替えのサインです。鉢の中の根詰まりを放置していると、根が腐って株全体が枯れてしまいますので、早めに植え替えましょう。
アイビーの植え替えは、真夏や炎天下を避け、春から秋の間の生育期に行います。
【植え替えの手順】
(1)今よりもひと回り大きな鉢と、清潔で新しい土を用意します。
(2)古い鉢から株を取り出し、根をほぐしながら土を落としていきます。
(3)傷んだ根や黒ずんだ根があれば、清潔なハサミなどで切って根を整えます。
(4)新しい鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷き、3分の1ほど土を入れて株を置きます。
(5)周りを埋めるように土を足していき、株を安定させましょう。
(6)最後にたっぷり水を与えたら、1〜2週間は風通しの良い半日陰で株を休ませます。
剪定
アイビーは生長が早いので、伸びすぎている部分や葉が混み合っている箇所は、こまめに剪定して整理しましょう。葉が密集して風通しが悪くなると、株が蒸れてしまいカビなどの病気や害虫の発生リスクが高まります。
アイビーは剪定してもすぐに新芽が出てきますので、あまり神経質にならずにカットしても大丈夫です。自分好みのフォルムになるよう、伸びすぎているなと感じたらこまめに剪定しましょう。
ただし、木質化した枝の部分からは新芽が出てきません。剪定時には緑色の茎部分をカットするように意識してください。
アイビーの増やし方
繁殖力の強いアイビーは、剪定で切った茎を使って手軽に増やしていくことができます。「挿し木」や「伏せ芽」、「水挿し」でも増やせますが、最も簡単な増やし方は「挿し木」です。剪定時に切った茎を挿し穂にして、アイビーを増やしていきましょう。
【挿し木の手順】
(1)挿し木用に元気が良い茎(斑入りの品種は模様がきれいに出ている茎)を選びます。
(2)10〜15センチほどの長さになるよう茎を切り、切り口は斜めにカットします。
(3)葉は3、4枚だけ残し、大ぶりの葉は半分に切って水分の蒸散を防ぎます。
(4)植え付け用のポットなどに清潔な土を入れて、挿し穂を植え付けます。
(5)発根するまでは、土が乾かないようにこまめに水やりをして管理します。
(6)2週間から1ヶ月程度で発根するので、別の鉢へ植え替えて育てましょう。
まとめ
今回は、室内でも育てやすいインテリアグリーンであるアイビーについて、人気品種や基本的な育て方などをご紹介してきました。
葉の色や形、大きさ、模様の入り方やコントラストがさまざまなアイビーは、愛好家も多い人気の観葉植物です。
耐陰性があるため日陰でも育てられることから、家を留守にする時間が長い人もチャレンジしやすいのが嬉しいですね。
つる性の特徴を活かして、ハンギングで吊り下げて飾れば、ゆらゆらと揺れるアイビーの姿に癒されることでしょう。他の植物との相性も良いので、慣れてきたら寄せ植えなどにも挑戦してみてはいかがでしょうか。