アンスリウムを水耕栽培で育てるには?植え替えの手順と注意点を解説

花束や観葉植物として人気のアンスリウム。

アンスリウムの水耕栽培は、土を使用していないのでとても清潔で、キッチンやお部屋の雰囲気に合わせたインテリアとしても人気があります。またエコプラントとしてもすぐれた能力を備えていますよ。

この記事では、アンスリウムの特徴や水耕栽培(ハイドロカルチャー)の手順と注意点、肥料の与え方、水耕栽培のメリットなどを紹介しています。

アンスリウムは水耕栽培で育てることができる?

個性的な花が目を惹くアンスリウムですが、実はサトイモ科の植物です。

赤やピンク、白、緑などの花を咲かせるおしゃれな植物ですが、そんなアンスリウムは、水耕栽培(ハイドロカルチャー)で育てることもできます。

まずは、アンスリウムの水耕栽培での育て方を紹介していきます。

アンスリウムとは

学名アンスリウム・アンドレアナム、和名オオベニウチワ(大紅団扇)と呼ばれるアンスリウムは、前述したように原産国が熱帯アメリカで、ミズバショウと同じサトイモ科の植物です。

葉っぱが硬く、ツルツルとした感触を持ち合わせているのが特徴。

暑い地域で育つ植物なので耐暑性には強いですが耐寒性に弱く、冬は室内で育てることがポイントになります。

水耕栽培(ハイドロカルチャー)とは

植物を育てている方であれば、ハイドロカルチャーという言葉を耳にしたこともあるのではないでしょうか。

ハイドロカルチャー水耕栽培に使用するもので、粘土を高温で焼き上げ、発砲させたものです。ハイドロボールとも言われ、高温で焼くため無菌で虫がわきにくいため、室内で育てるのに適したアイテムとなっています。

清潔な環境で安心して育てられるので、寝室やキッチンなどに置いている方が多いです。

家に観葉植物を置きたいけど、虫が出そうで嫌だ……なんて思っている方は、水耕栽培(ハイドロカルチャー)がおすすめですよ。

アンスリウムを土から水耕栽培に植え替える手順

お店で売っているアンスリウムはポットに植えて売られていることが多いです。

それではさっそく、アンスリウムを土から水耕栽培に植え替える手順を見ていきましょう。

1.必要な道具を用意する

まずは植え替えに必要なものを準備しましょう。

  • アンスリウムの苗
  • ハイドロボール
  • 根腐れ防止剤(ミリオンA・ゼオライトなど)
  • 底に穴がない鉢(できれば透明の鉢が水位がわかりやすくておすすめです)
  • 土入れ
  • ハサミ
  • 棒(割りばしでも大丈夫)

2.アンスリウムの根を洗う

アンスリウムは鉢植えからハイドロカルチャーにするため、暫く水やりをせず、土を乾燥させておきます。

アンスリウムを鉢から取り出し、余分な土をほぐしながら落とし、親株と子株の根をやさしく分けましょう。

水耕栽培の場合は子株を使用するので、子株は水で良く洗い流し、できれば農芸用のシャワーノズルで細部まで土を洗い流し、長すぎる根っこや傷んだ根っこはきれいなハサミで切り落としておきます。

3.ハイドロボールを洗って乾燥させる

ハイドロボールを洗う理由は、水を入れた時に水が濁らないようにするためです。新しいハイドロボールの場合は、洗った後に乾燥させて終わりです。

使いまわしの場合は、表面に土、根っこが付着しているので、丁寧に洗って汚れをきれいに取り去ります。汚れがひどく完全に落ちない場合は、バケツにハイドロボールを入れ、根っこなどの汚れを取り除いてください。

その工程が終わったら、洗ったハイドロボールをざるなどにあけ、熱湯を回しかけて殺菌します。

その後、ハイドロボールをざるから新聞紙などに出して平にし、天日干ししましょう。

4.ハイドロボールを容器に入れる

ハイドロカルチャー事態が根腐れを起こしやすいので、最初に穴の開いていない鉢に、鉢底が隠れるくらいまで、ミリオンA・ゼオライトなどの根腐れ防止剤を敷きます。

鉢の中にアンスリウムを置き、位置が決まったらハイドロボールを容器の4分の1まで埋めていきましょう。

5.アンスリウムを入れハイドロボールを敷き詰める

アンスリウムがしっかりと固定されるようにハイドロボールを入れるポイントは、根っこの隙間にもハイドロボールを敷き詰めることです。

ハイドロボールを少し入れ、鉢をトントンと軽く床にあてましょう。それをくりかえすと、根っこの隙間にもまんべんなくハイドロボールが行きとどきます。

6.容器に水を入れて完成

ハイドロボールを敷き詰めたら、鉢の4分の1程度まで水を入れます。

これでアンスリウムの水耕栽培の植え替えは終わりです。

アンスリウムは「水挿し」も可能!

存在感のあるアンスリウムは、水挿しで育てることも可能です。

アンスリウムを水挿しで育てる適期は、生育期がおすすめですよ。ここからは、水差しの方法について見ていきましょう。

水挿しの方法

まずは以下のものを準備しましょう。

  • 挿し穂
  • 穴の空いていない容器
  • 発根剤
  • ハサミ

挿し穂とは元株から切った枝葉で、元気な枝を選ぶことが大切です。葉っぱが水に触れる部分は切っておきましょう。

穴の開いていない容器はなんでも良いのですが、ガラス製の容器がアンスリウムが映えておすすめですよ。また、透明なので水や根の管理もしやすいのがメリットです。

あとは水を入れた容器にアンスリウムの枝を入れるだけですが、ただの水よりも発根剤を入れると、根っこが育つ確率が高くなります。根腐れ防止剤も入れておくと、より安心です。

注意点としては、剪定するハサミは予めアルコールや熱湯で消毒することです。切った部分から雑菌が侵入して株が痛むのを防いでくれます。

水挿しするときの注意点

アンスリウムを水挿しする際は、以下の点に注意しましょう。

  • アンスリウムの枝を切る時は斜めにハサミを入れると水分や栄養を取り入れ易くなります。
  • 直射日光を避けて管理してください。容器の中の水が高温になり、根っこが弱ります。更に、コケや藻の発生する確率が高くなります。
  • アンスリウムを水に入れる前に、発根剤を切り口に塗ると発根の確率が高くなります。
  • 水は毎日交換し、清潔を保ちましょう。

 

アンスリウムを剪定して余分な枝葉が出た時は、ぜひ水挿しを試してみてくださいね。

鉢に移して「挿し木」をする方法

今までは水耕栽培と水挿しという、水でアンスリウムを育てるやり方を紹介してきましたが、ここからは挿し木という土で育てる方法を紹介していきます。

挿し木は水耕栽培や水挿しよりも発育が早く、育てやすいのが特徴です。

挿し木をするために剪定した枝や茎のことを「挿し穂」と言い、挿し穂を育てる土のことを「挿し床」と言います。

挿し木にすると約1か月で根が伸びてきて、苗が芽を出します。

挿し木はアンスリウムの枝や茎から剪定したもので増やせるので、新しい株を購入する必要がありません。そのため、処分する必要もなく株を増やしていけるのは嬉しいですね。

増やした株は大切に育てて、お友達や親戚などにプレゼントすることができるのもメリットです。

また空気をきれいにする効果があるため、プレゼントにも最適な観葉植物ですよ。

それでは、アンスリウムの挿し木の方法を見ていきましょう。

水挿しをして発根させたアンスリウムを土に戻してあげるだけの簡単な作業です。

 

準備するものは、

  • バーミキュライトと赤玉土をブレンドしたもの(ブレンドが大変な場合は「アンスリウム用の土」を使うと簡単です)
  • 底に穴の開いた鉢(大きさは最初は小さめの鉢でOKです)

水差し・挿し木に最適な時期

アンスリウムの水挿しや挿し木は、暖かい時期が最適で、1番発根しやすい時期でもあります。植え替えと同じように、5月〜7月の生育期間の前半が適期です。

成長が活発になる時期でもあり、葉っぱがどんどん増えていったり、徒長して細い茎になり、ヒョロっとしてきたりすることがあります。その時は迷わずに剪定し、挿し木にしてみるのも1つの方法です。

アンスリウムの特徴

何度も記述していますが、アンスリウムはサトイモ科の多年草で、花を咲かせる時期は5月〜10月です。

主に赤い花が知られていますが、緑やピンク、白、紫などさまざまな色の花を咲かせてくれます。実はこれは花ではなく、仏炎苞といい、花の中心にある尖った部分は肉穂花序(にくすいかじょ)といいます。肉穂花序も黄色や白などの色があり、さまざまな色合いで楽しませてくれます。

光沢のある葉はプラスチックのように滑らかで美しく、ハワイではバレンタインデーに贈る花として愛されています。ハワイでのアンスリウムの人気は高く、「HeartofHawaii」という別名もあるんですよ。

開花時期

春になり暖かい時期が訪れると、アンスリウムは成長期に入ります。そして5月から10月の期間にかけて開花します。

中心の棒状の肉穂花序の花は無数につき、長期間色鮮やかな仏炎苞が鑑賞できるのが醍醐味です。

エコプラントとしての役割

観葉植物には、有害な二酸化炭素を吸って酸素を増加させる空気清浄機的な働きが備わっています。そんな観葉植物のなかでも、空気清浄効果に優れている植物を「エコプラント」と言います。アンスリウムのその仲間で、特にアンモニアを吸着する能力に優れています。

他にも建築資材などから出る、環境に害を及ぼす成分のトルエンやホルムアルデヒドを吸着して除去してくれる優れた植物とも言われていますよ。

アンスリウムは見た目が美しいだけでなく、環境を改善して癒しを与えてくれる優れた観葉植物なのです。

水耕栽培のメリット

アンスリウムを水耕栽培(ハイドロカルチャー)で栽培することのメリットは、大きく分けて3つあります。

  • 虫がわきにくい
  • 水分の管理がしやすい
  • おしゃれに栽培できる

室内でアンスリウムを育てながら楽しみたい方にとっては、どれも魅力的なポイントになります。ここから1つずつ詳しく見ていきましょう。

水分を管理しやすい

水耕栽培の管理しやすいメリットは、「水分を管理しやすい」ことです。

ハイドロカルチャーは透明で底に穴の開いていない容器を使うことで、水分管理がしやすくなります。

土での栽培だと水やりのタイミングで悩む方も多いのではないでしょうか。

しかし、水耕栽培なら透明の容器なので一目で水の残量が分かります。水分の与え過ぎは根腐れや枯れなどの原因につながることもあるため、水分の管理がしやすい水耕栽培は、観葉植物初心者の方にもおすすめです。

おしゃれな鉢で栽培できる

水耕栽培の素敵なメリットは、「おしゃれな鉢で栽培できる」ことです。

ハイドロカルチャーは穴の開いていない容器を使用します。そのため、気に入った容器を気軽に選べるのもメリットでしょう。

不要になったグラスや、空きびんなどでも栽培できるため、センスを重視する方には最高のインテリアとなります。

虫が発生しにくい

上記でもご紹介しましたが、水耕栽培のメリットは、「虫が発生しにくい」ことです。

土栽培の観葉植物を購入すると、虫がいないように見えても、土の中には虫の卵などが潜んでいる場合があります。

一方、ハイドロボールは殺菌してあるため、とても清潔でにおいも少なく、コバエなどの虫がわきにくいのが特徴です。

アンスリウムを水耕栽培する上での注意点

次に、土で育てているアンスリウムを、水耕栽培に変えるときの注意点を紹介していきます。

どんな植物でも、環境が変わるとびっくりするものです。アンスリウムの場合も他の植物と同じで、鉢植えから水耕栽培に植え替えるときは、生育期である春〜秋にかけてが1番望ましいです。生育期は根っこへのダメージを最小限にして回復が見込めるからです。

植え替えのシーズンに行う

土で育てているアンスリウムを水耕栽培へ変えるのは、少し難易度の高い作業です。タイミングとしては、植え替えを行うときと同時に作業することをおすすめします。

土植えの根っこと水耕栽培では根っこの構造が異なるため、土での栽培から水耕栽培に植え替えすることは、根っこにストレスを与えて苗が枯れやすいというリスクがあります。

水耕栽培向けの根に生え変わらせる必要があり、環境に順応するまでの間に株っこが弱る原因になり得ることを覚悟しなければなりません。そのため、植え替えは必ず生育期に行い、弱る可能性を低く抑えることが大切になります。

直射日光を避ける

アンスリウムはお日様が大好きな植物です。

しかし、水を使用するハイドロカルチャーでの栽培は、1日中日差しが強い場所においておくと、苔や藻が発生してしまう危険があるため注意が必要です。

直射日光は葉焼けの原因にもなるので、夏の日差しが強い季節は特に気をつけましょう。

アンスリウムの根をしっかり洗う

前述していますが、アンスリウムの根を鉢から取り出し、変色していたり腐っていたりする根っこは、アルコール洗浄や熱湯消毒した清潔なハサミでカットしましょう。

その後、バケツの中でしっかり洗い、できれば農芸用のシャワーノズルで優しく洗うことがポイントとなります。

土や汚れがついたままだと、腐る原因になる可能性もあるため注意してください。根っこを触ると傷付くこともありますので、注意を払いながら丁寧に洗う必要があります。その際は根っこを乾燥させないよう手早く行うのがコツです。

水のやりすぎに注意する

どんな生き物にも言えることですが、アンスリウムも土から水へと大幅に環境が変わるとストレスを感じてしまいます。そんなときは、しばらく水やりに注意を払うことが大事です。

植え替えたことで根っこにもダメージがかかっているので、土栽培の時よりも水分を吸収する力が落ちます。水耕栽培に植え替えてからは、2〜3日後に水を足すようにしてください。

まとめ

今回は、アンスリウムを水耕栽培(ハイドロカルチャー)で育てる方法を紹介しました。

水の管理がしやすい、お洒落なインテリアになる、そして何よりも土を使わないので虫が発生しにくいなど、水耕栽培にはさまざまなメリットがあることがわかりましたね。

水耕栽培のポイントとしては、

  • 水耕栽培では穴の開いていない容器や根腐れ防止剤、ハイドロボールなどを準備する
  • アンスリウムの根を洗うときは、よごれを全て取り、弱ったり腐ったりしている根は清潔なハサミで切り取る

などです。肥料は生育期に与え、水に溶けやすい化学肥料を選びましょう。

最高のインテリアにもなるおしゃれなアンスリウムの水耕栽培に、あなたも是非一度挑戦してみてはいかがでしょうか。

大切なあの人にお花を送ってみませんか?