胡蝶蘭の冬の育て方。越冬させる方法や、よくある質問もご紹介

胡蝶蘭の原産地は赤道付近にある熱帯雨林地帯が中心になっています。

一年を通じて暖かい地域で育ったので、上手に冬越しをするためには温度管理が必須です。

初めて胡蝶蘭を育てる人には少しハードルが高いかもしれませんが、胡蝶蘭の性質を知ればじょうずに冬越しをして、また来年も花を楽しむことができるでしょう。

 

今回は初心者の方におすすめする胡蝶蘭の手入れの方法や、越冬させるために気を付けたい育ポイントをまとめて紹介していきますので、最後までチェックしてみてくださいね。

 

胡蝶蘭の特徴・基本データ

 

胡蝶蘭はラン科の植物で、高温多湿の地域(主にタイ・フィリピン・インドネシア・オーストラリアなど)で育った植物です。

見た目がゴージャスでエレガントなイメージがあり、他の花よりも目立ち、インテリアとしても魅力があるのでさまざまなお祝いのシーンで使われることが多いでしょう。

胡蝶蘭を新築祝いや開店祝い・さらに栄転などギフトで贈られたと言う方も多いのではないでしょうか?

しかし、育てるとなるとちゃんと冬を越えさせることができるのか不安になりますよね。

胡蝶蘭の特性を知ることで、そんな悩みを解決することが可能です。

早速、胡蝶蘭の特徴をチェックしてみましょう。

 

寒さや乾燥には弱い

 

胡蝶蘭は寒さや乾燥には弱い植物。

それは胡蝶蘭が一年中雨量が多く、温暖な場所で育ったことによるものです。

今は品種改良が進みだいぶ改善されているものの、胡蝶蘭が持つ高温多湿を好む特性は共通しています。

冬(12月~2月くらい)は、花が咲くまでの準備段階なので、この期間をどう乗り切るかが、花を咲かせられるかどうかの分かれ道になるでしょう。

胡蝶蘭が好む温度や湿度を保ち、うまくコントロールすることで寒い冬を乗り越えることができます。

 

花が長持ちし、2度咲きも可能

 

胡蝶蘭は花持ちが良く、正しくお手入れをすると二度咲き三度咲きも楽しめるバイタリティがある植物です。

大輪の花ばかりに注目がいきがちですが、葉も肉厚でじょうぶと言う特徴があります。

特に冬場の温度管理・湿度管理・水やりのタイミング・四季折々の置き場所の管理などに注意すれば、何度もお花を咲かせることが可能です。

 

胡蝶蘭は着生植物である

 

胡蝶蘭は、他の多くの植物のように土の中に根を生やして育つのではありません。

野生の胡蝶蘭は、木の上に根を張り生きています。

これを「着生植物」と言いますが、胡蝶蘭は空気中に含まれる水分を吸い上げて生きているという特徴があるのです。

見た目の優美さとはうらはらに、胡蝶蘭はワイルドな環境の中で育ってきた植物だと言えるでしょう。

 

胡蝶蘭を越冬させるための育て方のポイント

 

胡蝶蘭を越冬させるためには、覚えておきたい育て方の要点がいくつかあります。

性質的に見れば、胡蝶蘭にとって日本の冬は厳しいかと思いますが、心を込めて接すれば植物はわたしたちの気持ちに応えてくれるでしょう。

それでは、胡蝶蘭を越冬させるために必要なポイントを紹介していきます。

基礎スキルを身につけて、来年も胡蝶蘭の花を咲かせてみてください。

 

温度管理に気をつけよう

 

高温多湿の環境で育った胡蝶蘭は、寒さや乾燥が弱点だと言えるでしょう。

特に気温が10℃以下になると急激に弱ってしまうので気を付けてください。

冬は部屋の中に置いておくとしても、窓際だと冷気が入るのでおすすめしません。

いつも窓際に置いている方は場所を部屋の中央に移すか、アイテムなどを利用して温度を一定に保つようにしましょう。

その際に使うアイテムなどは後に紹介するので、チェックしてみてくださいね。

 

冬の水やりのタイミング

 

胡蝶蘭は寒さが弱点なので、冬の水道水は危険です。

水やりのタイミングは、出来るだけ午前中が良いでしょう。

午後だと夜までの時間が短くなり急激に気温が下がるので気を付けてください。

水温はポットのお湯などを30℃くらいのぬるま湯にして、与えるのがベストです。

こうすることによって防寒対策にもなります。

頻度は根元を指で触った時に乾いている状態の時、ペースとしては2・3週間に一度くらいが良いでしょう。

 

冬の乾燥から胡蝶蘭を守ろう

 

冬は、お部屋の中に胡蝶蘭を置いておく時間が多くなりますね。

そこで気をつけなければいけないのは、エアコンの風向きです。

胡蝶蘭に直接当たってしまうと弱ってしまうので気をつけましょう。

湿度は60%~80%を好みますが、難しい場合は一日に数回葉水してあげてください。

胡蝶蘭は空気中の水分を吸収するので、こうすることで湿度が保てます。

虫よけにもなるのでおすすめです。

 

胡蝶蘭への秋~冬の手入れの仕方/冬支度のポイント

 

胡蝶蘭への肥料の与え方は、正しく成長させて花を何度も楽しむためには大切なポイントになるでしょう。

特に胡蝶蘭への肥料は、株が衰弱している状態だと栄養にならないので注意が必要です。

ここでは胡蝶蘭の冬支度の注意事項をまとめておきます。

 

花芽が出たら家の中に入れる

 

10月に入り気温が下がってきたら胡蝶蘭を部屋の中に入れてあげる準備時期です。

それ以前でも、花芽がついたら家に中に入れるという方法もあります。

家の中に入れる際は、葉に虫がついていないかチェックしてあげると良いでしょう。

鉢の周囲から根がはみ出てしまっている場合は、はさみを良く消毒してからきれいに整えてあげてください。

 

肥料は秋までに与えておこう

 

胡蝶蘭は元来バイタリティがある植物なので、少ない水と栄養で育ちます。

しかし夏の暑さで株がダメージを受けている場合は、水を吸い上げるパワーがダウンしてしまうことがあるでしょう。

そんな時には肥料を与えても、なかなか思うようには受け取ってくれません。

それどころか逆に根に深いダメージを与えてしまう可能性があるので、秋以降の肥料は控えめにしてください。

また肥料は葉や茎にパワーを授けるためのものなので、花が咲いているときに肥料を与えると花が落ちてしまうことがあります。

 

水やりの回数は減らしていく

 

胡蝶蘭の水やりは普通は一週間に一度を標準に与えますが、秋から冬にかけては少しずつ減らして行くようにしましょう。

夏の成長期を過ぎた秋の胡蝶蘭の株は疲れているので、手をかけ過ぎると弱ってしまうことがあります。

したがって肥料と同様に、水の与え過ぎにも注意が必要です。

特に胡蝶蘭の場合は、根が濡れる頻度と乾く頻度のバランスをとることで成長が促進されます。

根が濡れたままにならないように配慮して、受け皿に溜まった水は早めに処理しましょう。

 

冬の胡蝶蘭の温度・湿度管理のアイデア

 

胡蝶蘭は気温が15℃までなら成長しますが、それ以下になると株が元気を失って、10℃以下ではかなりのダメージを受けてしまいます。

このことから、胡蝶蘭にとって日本の冬は大敵と言えるでしょう。

日本の冬は寒いので大抵のことは仕方がないと言えますが、ダメージを最小限に抑えることが胡蝶蘭を守るポイントです。

ここでは、胡蝶蘭を寒さからガードする防寒方法などをチェックしていきましょう。

 

発泡スチロール・段ボールを使う

 

温度変化は最も胡蝶蘭を弱らせるので、なるべく15℃を下回らないようにすることが大切です。

対策として、発泡スチロールや段ボールを使う方法があります。

暖かい昼間は日光に当ててください。

この場合は直射日光は避け、カーテン越しに昼前後の二時間程度を目安にすると良いでしょう。

夜は発泡スチロールや段ボールを逆さにして胡蝶蘭に被せ防寒対策をします。

寒さがきびしい時はその上から毛布などを掛けるとさらに良いです。

 

ビニール袋を使う

 

防寒方法として最も簡単なのは、胡蝶蘭にビニールを覆う方法でしょう。

園芸用のワイヤーなどをドーム型に張りビニール袋を被せてもいいですが、そのまますっぽり被せても問題ありません。

ただ胡蝶蘭が酸素を取り込めるように、小さな穴を開けてあげると更に良いでしょう。

特にエアコンがついている部屋に胡蝶蘭を置いておく場合は、乾燥を防ぐために葉水をしてからビニールを被せてください。

 

加湿器を利用する

 

冬の胡蝶蘭の育て方のポイントとして温度管理・湿度管理は絶対に必要です。

温度管理は発泡スチロールや段ボールを・ビニール袋などを使ってある程度は防ぐことができるでしょう。

しかし湿度管理はどうすれば良いでしょうか。

胡蝶蘭が育っている環境では湿度は60℃以上あります。

冬場は乾燥しがちなので加湿器を使用するのも一つの手です。

ただし直接ミストがかかると花が傷んでしまうので、少し遠い場所に置いておくようにしてください。

 

胡蝶蘭の寿命を延ばす育て方

 

胡蝶蘭は育て方によっては、10年以上楽しむことができるお花です。

最初は少し難しそうだと思うかもしれないですが、ポイントを押さえれば意外と簡単ですよ。

ここでは胡蝶蘭の寿命を延ばす育て方のコツを紹介します。

 

ラッピングしてある包装紙やリボンなどはすぐ外す

 

胡蝶蘭は自分のために買うと言うよりもギフトなどで贈られる場合がほとんどでしょう。

もし胡蝶蘭を長持ちさせたい、何年も楽しみたいという方はラッピングペーパーやリボンなどはすぐ外してください。

そのままの状態で置いておくと鉢に中の風通しが悪くなり、蒸れやすくなってしまいます。

それが原因で、根腐れしてしまうこともあるので注意しましょう。

 

根は乾燥させ葉は常に保湿しよう

 

胡蝶蘭は高温多湿を好みます。

特に冬場は水を与えるタイミングに迷いがちです。

基本的には水苔などの植え込み材が乾いてからと思いがちですが、出来るなら少し土の中に指を入れて乾いていると感じるくらいまで水を与えないのがベスト。

冬は表面が乾いてから、二日後くらいのタイミングと覚えておくと失敗しないでしょう。

葉は一日数回時間を決めて、霧吹きなどで葉水してあげてください。

また葉が汚れると光合成を妨げるため、気づいたらティッシュペーパーや新聞紙で拭いてあげる良いです。

 

冬でも直射日光は避ける

 

胡蝶蘭の置き場所は、明るく直射日光が当たらない場所が最適です。

イメージとしてはレースのカーテン越しなのですが、西日が入る部屋や南向きの部屋はたくさんの光が入るので葉が焼ける原因になります。

胡蝶蘭は基本的に明るい場所が好きなので、冬は一番日が当たる部屋の中央に置くようにしてください。

さらに換気ファンなどを使用して部屋の通気を良くすると、じょうぶに育ってくれるでしょう。

 

胡蝶蘭の春から冬までの育て方知ろう

 

お祝いの日に贈る花として一番先に思い浮かぶのが胡蝶蘭ではないでしょうか。

胡蝶蘭は育て方のコツさえつかめば、鉢植えのままでも冬を越せる植物です。

しかし胡蝶蘭の基本的な育て方を知るためには、季節ごとどのように成長するのか理解することが必要ですね。

胡蝶蘭は、元気な株になるほどたくさん花芽をつけきれいな花を咲かせます。

ここでは胡蝶蘭が四季それぞれどんな風に変化していくかチェックしてみましょう。

 

胡蝶蘭の春の育て方

 

胡蝶蘭が開花する季節です。

冬が終わり、水やりの頻度も少しずつ増やしていきましょう。

目安としたら10日に一度くらい、水苔を指で触り乾いてきたと思ったら与えてください。

肥料も花が咲いている期間は与えません。

 

胡蝶蘭の夏の育て方

 

花が終わり胡蝶蘭の株が一番疲弊する時季になります。

なぜかと言うと花に栄養分を取られてしまったため、休養の期間に入るからです。

この時期は水分を吸い上げるパワーも強くなっているので、肥料を与えるチャンス。

植え替えをするのなら、花が終わったこの時期に行うのがベストです。

 

胡蝶蘭の秋の育て方

 

秋は胡蝶蘭の芽が出て育成する時季になります。

長くなるようなら支柱を立ててあげると良いでしょう。

晩秋になったら水やりの回数も減らして、肥料を与えるのもやめてください。

胡蝶蘭はデリケートなところがある植物なので、この期間に肥料や水分を与え過ぎてしまうと、根が腐ってしまうので注意しましょう。

 

胡蝶蘭の冬の育て方

 

寒さのピークを迎えた時期には、胡蝶蘭も休息しています。

水やりも最低限にして、乾燥気味に育てるとじょうぶに育つでしょう。

また上記にも書いたように、温度管理湿度管理が必須になる季節でもあります。

温度を18℃以上にして、根は乾燥気味に葉には表裏葉水を忘れないようにしましょう。

 

胡蝶蘭の育て方のよくある質問

 

胡蝶蘭を育てていると、さまざまな疑問が出てきますね。

ここでは、育てている過程でこんな状態になったらどうすれば良いの?という疑問に答えていきます。

参考にしてみてください。

 

胡蝶蘭の葉が黄色くなってしまった

 

胡蝶蘭の葉は、私たちに株の状態を教えてくれるチェックポイントになります。

できれば定期的に観察して、異常があれば手入れをしてあげましょう。

ただし一番下から自然に黄色く枯れた場合は、役目を終えたという意味で病気ではないので安心してください。

この場合は、葉の後ろから手前に取りのぞいてあげましょう。

この他、直射日光に当たったことによる日焼けの可能性もあります。

日焼けの場合は葉が黒く変色するので、早く日陰に移してあげてください。

 

花が終わったらどうすればいいの?

 

胡蝶蘭は、できればすべての花が咲き終えてから根元で茎を切るのが理想的です。

この場合は、根元から3㎝~5㎝くらいの地点を目安にカットしましょう。

越冬して来年また花を咲かせたいときは、株に十分休養時間を与える方がベストです。

株に負担をかけたくないときも、なるべく根元近くでカットします。

もし花がついている場合は、花器にさして切り花の胡蝶蘭を楽しんでください。

 

胡蝶蘭はベランダでも育てられるか

 

たとえばマンションなどベランダで育てる場合は、直射日光から胡蝶蘭を守らなくてはいけません。

上層階になるほど風が強くなるので、和簾などで風よけをすると良いです。

簾は虫よけにもなりますし、隙間があるので適度に心地良い風が入ってくるので最適なアイテムでしょう。

また地面にダイレクトに鉢を置くよりも、フラワースタンドを使用して高さをつけると、鉢の中の通気が良くなるのでおすすめです。

万が一冬もベランダに胡蝶蘭を置く場合は、簡単なビニールハウスなどを作り温度を保つ必要があります。

 

冬越しをしたものの胡蝶蘭に元気がないとき

 

何とか冬を越えたものの、葉も茎も元気がないような場合どのような対策があるでしょうか。

胡蝶蘭の状態は葉を見ればわかります。

したがって葉が皺だらけになってしまったような場合には、冬の間にダメージを受けてしまった可能性があるでしょう。

このような場合は、霧吹きなどで周囲を湿らせてから暖かい場所に移して、しばらく様子をみてください。

二か月くらい様子を見て葉にツヤが出てきたら回復した証拠です。

 

まとめ

 

今回は胡蝶蘭の冬の育て方の要点をご紹介しました。

高温多湿で育った胡蝶蘭には、日本の冬は厳しいですが来年も美しい花を咲かせるために対策してみてください。

胡蝶蘭には「幸運が飛んでくる」と言うポジティブな花言葉があるため、晴れの日に贈るギフトとして大変ふさわしいでしょう。

最近ではアニバーサリーなどに手軽に贈れるギフトとして、ミニサイズの胡蝶蘭も人気!

華やかさに加えてエレガンスで、インテリア性が高い胡蝶蘭は、贈った人も贈られた人も幸せになるギフトです。

育てるのは少しレベルが高いと思われがちですが、育て方のコツを覚えたら初心者でも簡単に冬越しできますよ。

大切なあの人にお花を送ってみませんか?